きょうは前回ブログの続きです。10年前、中京テレビが放映した慰安婦特集番組の不自然な字幕について書いた私は、さらに事実関係を検証するためにインドネシアに向かいました。
インドネシアでは、空港からホテルへと向かう際に、早くも華僑の白タクに引っかかって相場の数倍の料金をとられたりもしましたが、幸運なことに中京テレビの番組で取材協力者と紹介されていた男性通訳、ワヒューさんと接触することができました。
彼は日本語が堪能で、中京テレビの取材人と20日間にわたって行動をともにしていたそうです。番組は、ジャワ島西部の町、スカブミに元慰安婦たちが日本からの補償を求めて結集した-というシーンから始まるのですが、ワヒューさんによると、実態はこうだったそうです。
「慰安婦集会はテレビ局の要請で特別に集めたもので、交通費もテレビ局が負担した。奥さんたち(元慰安婦とされた女性たち)はこのとき、『集まるのはもう3回目になるのに、まだお金がもらえない。もういやだ』と怒り出しました」
「それ以前にも2回、同じような集会が開かれましたが、それは日本人のライター(戦後補償実現市民基金代表)らが『補償問題で日本政府を追及します』と集めたものでした」
また、首都ジャカルタでニューズ・レターを発行し、現地事情に詳しい元日本兵の石井サトリアさんにも話を聞くことができました。石井さんは、こう証言しました。
「インドネシアで慰安婦問題が浮上したきっかけは、3年前にやってきた日本の弁護士。彼らは地元紙に『補償のために日本から来た。元慰安婦は名乗り出てほしい』という内容の広告を出した。それまでは、インドネシア人の間で慰安婦について話題になることはなかった」
当時、元慰安婦女性の登録作業を行うなどの実働部隊を務めていた「元兵補中央協議会」のラハルジョ会長も訪ねて話を聞きました。兵補とは、日本軍政時代に補助兵として採用されたインドネシア人のことです。
元兵補中央協議会の活動は、もともとは戦時中の兵補の強制貯金の未支払い分に対する賠償要求が目的で、慰安婦とのかかわりは薄かったといいます。そんな彼らがなぜ慰安婦問題に取り組むようになったのか聞くと、ラハルジョさんははっきりとこう答えました。
「東京のT弁護士の指示を受けて始めた。『早く』と催促も受けた。われわれは元慰安婦に対するアンケートも行っているが、これもT弁護士の文案で作成した」
T弁護士は有名な方で、当時、「従軍慰安婦訴訟」にかかわり、戦後補償関係の著書もある人です。
T弁護士に帰国後、電話でコメントをいただこうとしたところ、いきなり「産経には日頃から不満がある。訴えてやろうか」と脅かされました。ただ、私がラハルジョさんに直接会って話をしてきたと言ったところ、慌てた様子で「えっ…。一度会ってお話がしたい」と下手に出てきました。不思議ですね。
それはともかく、元兵補中央協議会はT弁護士らの指導に従い、実際には慰安所で働いていない女性も含め、2万人近くもの元慰安婦女性の登録を行い、「1人当たり200万円の補償を要求する」としていました。
しかし、実際は「登録したら、日本から補償がもらえる。金額がすごいというので盛り上がったが、それまでほとんどの人が慰安婦の存在すら知らなかった」(スカブミでインタビューした青年)というのが本当のようでした。
2万人という登録者の数について、戦時中のことをよく知る老舗英字紙「インドネシア・タイムズ」の会長に聞いたところ、「ばかばかしい。1人の兵隊に1人の慰安婦がいたというのか。われわれは中国とも韓国とも違う歴史とプライドがある。『お金をくれ』などとは、360年間わが国を支配したオランダにだって要求しない。日本大使館は何をしているのか。日本を理解させようとしていないのではないか」と吐き捨てました。
日本軍政時代、インドネシアにいた日本人は民間人を含め、多いときで4万5000人ぐらいだったそうです。
この世の中には、日本を悪者にして、日本を困らせるためには、どんな手段も厭わないという日本人がいる。本当にわけのわからない話ですが、これは確かなようです。そして、世界各地で反日運動を煽っているのも、何割かは日本人自身なのかもしれません。
実は、このインドネシアで有名だったT弁護士の名前を、それから3年後の平成11年に遠く離れた樺太(サハリン)の地で耳にし、驚いたことがあります。
ユジノサハリンスクで、サハリン高麗人協会のパク・ケーレン会長と話していた際に、パク氏は「日本はもっと韓国への帰国支援をすべきだ」と言い出しました。
実はサハリン残留韓国人は、日本が徴用で連れてきたというよりも、自分の意思で来た人の方が多いようですが、それはそれとして日本は村山内閣時代に、ソウルに27億円かけて永住帰国者のためのアパートを建てるなど、帰国支援を続けています。
「韓国人は日韓併合前から、サハリンに移り住み始めていた。戦後は、労働力がほしかったソ連が韓国人を帰国させようとしなかった」と現地の残留韓国人が教えてくれました。
ところが、パク氏はこうした善意の支援についても「日韓基本条約で補償問題は解決済みというが、支援は日本政府が不十分だと認めているから行われているのだ」と受け止めていました。
そして、さらなる補償を求める論拠として、パク氏の口から飛び出したのが、またしてもT弁護士の名前でした。
「東京で、すばらしく大きな弁護士事務所を開いているT弁護士が、日本政府にもっと要求しなさいと教えてくれた。T弁護士のいうことだから、間違いないはずだ」
なんという反日にかけるエネルギーでしょうか。そら恐ろしい思いがしました。インドネシアとサハリンで私が同じ名前を聞いたということは、このほかの国でもどうようの活動をしている可能性が高いということでしょう。敵は強大です。
コメント
コメント一覧 (22)
「火のないところに火をつける・・」から、小生の体験をコメントさせてください。
現役時代、「日本環境法律家連盟」と二度関わりを持ちました。名前の通り、公共工事等に起因する環境保護に関する、原告側の弁護士活動が主体です。
ある日、大きな問題も発生していない、山中へ、連盟に加入している弁護士数人が、中央の保護団体、マスコミ等を引き連れ、事業が、環境に与える影響について、自分たちの意見を、マスコミの前で、披露しました。
当然翌日の、中央紙Y・M・A新聞と地元新聞に、この内容が掲載されることとなります。
大半の意見を無視し、声を大にしてわずか数人の考えをマスコミに掲載させる、彼らの行動パターンが、阿比留さんのブログにかかれている、真実を歪めている現実と似ているような気がして、投稿させていただきました。
ちなみに、徳山ダム(岐阜県内)の事業認定取り消しを求めた原告側の弁護士も、この連盟の一員です。先日、名古屋高裁で開かれた二審結果は、住民敗訴でした。
小生が言いたかったことは、公共事業は全て悪というのではなく、必要な事業、いわゆる、地域住民に必要な、道普請・川普請、大型建造物のメンテナンス等々は、今後も必要です。
利権が絡む、大型公共事業こそ、着手段階か、できればそれ以前の段階で、「日本環境法律家連盟」の出番をお願いしたいと思います。
それでは、早すぎて、出番がないかもしれませんが。
今回の滋賀県選挙も、このような活動家と、もったいない精神で、新知事が誕生しましたが、着工が決まる前に何とかしてほしかったです。
小生のところの出火事件は、大火事となり、鎮火するまでに5年近い歳月がかかりました。
「火のないところに火をつける」という表現には笑ってしまいました。
ところで、一箇所、「東京のT弁護士」の苗字が伏せられていないところを見つけましたのでご連絡いたします。有名な方ではあるのですぐにわかってしまうでしょうけど一応。
自虐教育の浸透ぶりには、ほとほと恐れ入ります。
火のないところに火をつけ、無実の人を罪に落とし平然としている、自虐の歴史をこしらえる連中のやることを暴いてください。
うさんくさい大義名分を振りかざした声の大きな少数派が、サイレント・マジョリティーである良識派を押さえつけるという構図が、ずっと続いてきているようです。メディアはもっと本質を見抜く努力をすべきなんですが、現実はご存知の通りです。
ご指摘ありがとうございます。別に実名でもかまわなかったのですが、10年も前の話なのでちょっと遠慮しました。「火のないところに…」というタイトルは実感です。
きょう書いた話は、産経新聞の紙面でもある程度、書いてはいるのですが、サハリンでまた弁護士の暗躍を見聞した部分は書く機会がありませんでした。ブログを活用させてもらっています。
なにッ!!
竈や囲炉裏に火を焚くならiza知らず、火を付ける対象によっては刑法第108条にいう「放火」ですよ。俗に言う着火マンです。立派な重要犯罪です。
放火の対象が現住建造物なら死刑又は無期若くは5年以上の懲役。非現住建造物などなら2年以上の懲役…弁護士先生だったら百も承知か、ハハハ。
ついでに、≪本条の行為は具体的危険の有無を問わずそれ自体公共の危険あるものとされている。(抽象的危険犯)≫
スミマセン。久しぶりに元の職場の連中と杯を交わしてきたもので…。
そうですね。実態は放火犯といえますね(笑)。反日的な左派勢力の人たちは、今は主に市民団体、NPOの中に身を潜めているようで、何をやっているのか心配です。
国家反逆罪のような法律でも作らないと、取り締まりできませんね。
サハリンで残留韓国人に「T弁護士はこれこれこういう活動をしている人。日本ではそういう筋の人として有名だ」と説明した際に、先方が「でも、東京で一番立派な弁護士事務所をやっていると聞いている‥」と少しうつろな表情になったのが気の毒でした。
これ某巨大掲示板やネットで従軍慰安婦の論争がおきると、必ず張られるコメントなんですが、今まで出所不明で使うのは少し不安だったんですが阿比留さんがとったコメントだったんですね。これでこれからは安心して使えます。
確かに現地で聞いたコメントです。通訳を介してではありますが。でも、必ず張られるコメントになっていたとは知りませんでした。
正確にいうと、ネットの保守派が議論するときのソースに
よく引用する定番サイトがここなんですが
国際派日本人養成講座
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogindex.htm
この中の、このエントリーを「従軍慰安婦」の議論で、
左派に対抗するネットの保守派がよく引用するわけです。
「従軍慰安婦」問題(下)
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogbd_h11_2/jog107.html
要は孫引きになりますが、それでも戦後の歴史に興味がある
保守系のネットの住民なら、たぶん誰でも一度は見たことのある
定番中の定番の反論材料になってます。
本当は、最後にでてくる出典を基にして、元の記事も調べて
みるべきだったんでしょうが、定番の老舗サイトなんで
皆ついそのまま孫引きしてるんでしょう
ところで元の記事を今見るには、縮小版を調べるしかないんでしょうか?
残念ながら弊紙は縮小版はつくっておりません。元の記事を見る方法としては、産経web-sという検索システムの会員(有料)になっていただくか、本社の調査資料部で閲覧を申請する方法などがあります。記事は平成8年11月3日と4日の二回にわけて掲載されています。ちなみに、あのせりふはジャマル・アリ会長という当時83歳の戦時中をよく知る人のコメントです。
ありがとうございます。元の紙面では実名です。
突然の質問ですいません。
上記のジャマリ・アリさんの発言のことでお聞きしたいのですが
mixi内での議論で上記の発言の信憑性を精査しています。
私は、引用したモノなのですが、
この発言を疑問視する人から下記のように云われました。
続く
1、中宮崇さんという人のサイト
http://www.interq.or.jp/world/mado/genshiji/970526/JYOUHOU.HTM
内容は、小林よしのりという漫画家からの孫引き。「ianfu・インドネシアの場合には」への罵詈雑言。 インドネシアタイムズ会長の談話はなし。
2、伊勢某さんとかいう人のJOLメルマガサイト
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogbd_h11_2/jog107.html
3、サンケイ記者と名乗る阿比留瑠比さんの「記者ぶろぐ」
http://abirur.iza.ne.jp/blog/day/20060709/
4、誰が責任をもつかわからぬ「従軍慰安婦の真相」というサイト。
http://resistance333.web.fc2.com/html/comfort_woman2.htm#4
これは、1の中宮崇サイトを丸写しした上、中嶋慎三郎 祖国と青年 1996/12を引用しています。これはコピペサイトです。 ちなみに「祖国と青年」は元生長の家青年部である日本青年協議会の機関紙です。
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2では
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>この様子を報道した中京テレビ製作のドキュメンタリー「IANFU(慰安婦)インドネシアの場合には」に、英字紙「インド ネシア・タイムス」のジャマル・アリ会長は次のように語った。
>>ばかばかしい。針小棒大である。一人の兵隊に一人の慰安婦がいたというのか。どうしてインドネシアのよいところを映さない。こんな番組、両国の友好に何の役にも立たない。我々には、日本罵倒体質の韓国や中国と違って歴史とプライドがある。「お金をくれ」などとは、360年間、わが国を支配したオランダにだって要求しない。
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3では、
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>2万人という登録者の数について、戦時中のことをよく知る老舗英字紙「インドネシア・タイムズ」の会長に聞いたところ、
>>「ばかばかしい。1人の兵隊に1人の慰安婦がいたというのか。われわれは中国とも韓国とも違う歴史とプライドがある。『お金をくれ』などとは、360年間わが国を支配したオランダにだって要求しない。日本大使館は何をしているのか。日本を理解させようとしていないのではないか」と吐き捨てました。
>日本軍政時代、インドネシアにいた日本人は民間人を含め、多いときで4万5000人ぐらいだったそうです。
~~~~~~~~~
4では
~~~~~~~~~
>この番組を見た、英字紙「インドネシア・タイムス」のジャマル・アリ会長が、直接、中嶋慎三郎に語った言葉
>>ばかばかしい。針小棒大である。一人の兵隊に一人の慰安婦がいたというのか。どうしてインドネシアのよいところを映さない。こんな番組、両国の友好に何の役にも立たない。我々には、日本罵倒体質の韓国や中国と違って歴史とプライドがある。「お金をくれ」などとは、360年間、わが国を支配したオランダにだって要求しない。
*ちなみに、アリ会長と中嶋氏は、三十年来の親友である。
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2と4は全く同じです。ですから、伊勢某氏が後から書いたとすれば、中嶋慎三郎氏から丸ごと盗んだことはどうやら明確です。これ自体が大問題です。
3と4は部分的には違うように見えますが、よくみると、重なる部分は次のとおりです。
「ばかばかしい。・・・1人の兵隊に1人の慰安婦がいたというのか。・・・われわれ(に)は(日本罵倒体質の)中国とも韓国とも違う(った)歴史とプライドがある。『お金をくれ』などとは、360年間わが国を支配したオランダにだって要求しない。」
たとえ同じ人の話だとしても、違う相手にこれほど同じ表現になるわけがありません。中嶋慎三郎さんか阿比留瑠比さんの少なくともどちらかは、インドネシアタイムズ会長さんの話を自分で取材して記事にしたのではなくて、自分じゃあないだれかが日本語の記事にしたものを読んで、あたかも自分が聞き取りしたかのように盗作使用したのです。
以下引用終わり。
と云う主張をします。
実際のところどうなんでしょう?
もし、mixi内に来ていただけるなら招待してお話を聞きたいのですが可能ですか?
あのとき、私はその中島氏と一緒にいました。そして、中島氏(インドネシア語はぺらぺらです)ともう一人、インドネシア人通訳がいました。その中で通訳上の誤差、あるいは言葉全体の中のどこを選ぶかということで、違いが出たということではないでしょうか。中島氏はインドネシアに計200回以上も行っているほか、東南アジア各国に知己がいる希有の人です。それで、インドネシア取材をすることになった際に、知人などの紹介で同行してもらいました。中宮崇さんという方は、存じません。
また楽しいお話訊かせてください。