昨日は夕刊当番として朝から出勤し、その後に東京・日比谷公会堂で開かれた「悠仁親王殿下のご誕生をお祝いする集い」に行ってきました。注目していたのは、来賓としてあいさつする下村博文官房副長官と自民党の中川秀直幹事長が、皇室典範問題に言及するかどうか、するとしたら何と話すかでした。

 

 で、その発言内容については今朝の産経にも短く載っていますが、ここでもうちょっと詳しく紹介します。私には、もともと皇位の男系継承維持派である下村氏と、前任の政調会長時代に女系天皇容認を推進してきた中川氏の発言との間に、明確に温度差があるように感じられました。

 

 まず、政府を代表し、安倍晋三首相の名代としてあいさつした下村氏は、次のように述べました(皇室典範と関係の薄い部分は少し省きました)。テープ起こしは後輩記者にお願いしました。

 《今回の親王殿下ご誕生は我が国にとって本当に素晴らしいことだ。しかし、このことによって我が国の男系男子の伝統が、これからも法律改正しなくても大丈夫だということではない。これから国会においては、新たな法律改正をどう考えるかということを、そんな先でなく考えていくべき大切な時期であると思う。


 昨日、安倍総理は所信表明演説の中で、「美しい国、日本」の美しい国の定義の1つとして、美しい国とは我が国の伝統、文化、自然、歴史を大切にするという国だと述べている。伝統やそして歴史を重んじる、2000年以上続いた我が国の祖先の方々のその思いを、私たち現代人も謙虚に受け止め、そして子孫に対して、未来に対して継承していくのが現代人の役目でもある。
   

  小泉総理の下で皇室典範の関係の有識者会議の結論が昨年11月に出たが、内閣が替わったわけですので、この有識者会議の結論には拘束される必要はないと考えている。しかし、法律改正の必要があるとはいえ、すぐ安倍内閣の下で新たな別の視点としての有識者会議を立ち上げるという考え方よりも、まずは臨時国会で近々に皇室の伝統を守る国会議員の会が設立される予定だ。


 ですから、ぜひ今回の皇室の伝統を守る国会議員、超党派の議連としてたくさんの国会議員に加盟をされることを期待し、この中でよく議論して頂きながら、政府に積極的な提言をしてほしいと思う。
 

 さきほど三好達日本会議会長(元最高裁長官)から話があったが、そもそもこの皇位継承については慣習法であったが、明治になって、これを成文法に変えた。そのときの皇室典範解説書としての「皇室典範義解」というのを伊藤博文が著している。皇室典範をつくるにあたり、明治のときでも男女平等的な感覚の中で、女性天皇、女系天皇を認めてもいいのではないかという国民の声もかなりあったと聞いている。


 しかし、その時代の感覚や、そのときの皇室の方の思いを超えて、2000年を超える今までの慣習法を誠実に成文法として、皇室典範として法律としてただす、それが役割であるということを伊藤博文も「皇室典範義解」の中で表しているのであり、私たちはこのことも参考にしないとならない》


 下村氏は、女系天皇容認・長子(第一子)優先を柱とした「皇室典範に関する有識者会議」の報告書を、安倍政権では踏襲する必要はないと言っていますね。また、今月17日に発足する男系継承尊重派による超党派議員連盟に期待を寄せています。


 一方、中川氏のあいさつは次のようでした。自らの立場が男系尊重か女系容認かについては触れず、どうとでもとれる政治家らしい言葉遣いというか。中川氏は今年春ごろまで、男系派の議員事務所に女系容認派学者の書いた小冊子を配ったりしていましたから、本心はどこにあるのか。

 《さる9月7日に親王殿下がご誕生になりましたことは、三好会長からも、日本国民を代表した気持ちが述べられたが、まったくその通り。我が党にとっても慶賀に堪えないところでございます。今日ここにこれだけの多くの皇室に尊崇の念を抱かれる皆さんがお集まりになり、皆さんと共に慶事をお祝いできることは自民党にとっても大きな喜びであり、皆さんと共に心からお祝いを述べたい。


 皇室は他に比類なき長い歴史を有し、また国家国民の統合の象徴として我が国にとってかけがえのないものでございます。この皇室が万が一にも絶えてしまうようなことがあってはならない。皇室が何百年後、何千年後と永遠に続くようにすることは、我が国の将来にとって極めて重要であり、現代を生きる我々にとって将来世代への大事な責任だ。
    

  私は自民党幹事長としても、また皇室に心から尊崇の念を抱く国民の1人としても、皇位の安定的な継承について慎重かつ冷静にしっかりと議論を深めていくまいりながら、多くの国民の皆さんにご賛同頂きたいと考えている》


 最後の段落で中川氏が使った「安定的な継承」というのが要注意です。これは、有識者会議がいやになるほど強調していたいわばキーワードだからです。あいさつでは、直接の言及はないものの、ニュアンス的には女系天皇を認めたい気持ちに変化はないのだろうと思います。


 とはいえ、自民党総裁である安倍氏は女系容認には慎重派ですから、党ナンバー2の幹事長である中川氏としても、今までのようには持論を表に出せないのでしょうね。


 中川氏は、三好会長の「日本国民を代表した気持ち」についてまったくその通り、とも述べています。三好氏は「男系継承は成文憲法のない時代から連綿と続く現行憲法を超える事柄」と話しているので、一見するとこの見解を肯定しているようにも受け取れます。 


 ですが、私は中川氏がまったくその通り、と話したのは、あくまで「親王さま誕生を奉祝する気持ち」であって、三好氏の主張そのものではないだろうな、と感じました。うがちすぎかもしれませんが、老獪な政治家の言葉は額面通り受け取ることはできないので、油断はできません。

 

 この問題に関する政府と党側の見解の相違が、将来に禍根を残すことがないように祈ります。まあ、中川昭一政調会長は伝統維持派ですから、そんなに心配することはないのかもしれませんが。

 

 話は飛びますが、親王さまを産んだ紀子さまが退院されるため病院が出てくるシーンをテレビで見ていたら、背後ににこにこしてつきそう古川貞二郎元官房副長官が映っていました。この人は、有識者会議をリードした中心メンバーの一人です。

 

 「おいおい、悠仁さまの皇位継承権を事実上、奪おうとしたあなたが、なんで平気な顔でそこに立っていられるんだ!」と驚いた次第です。古川氏らの思惑通りに法改正が成されていれば、皇位は愛子さまからそのお子さまへと継承されるわけですから、有史以来の皇室伝統上は正統な皇位継承者である悠仁さまは、あくまで「血のスペア」役に徹するしかありませんし。

 

 不思議な光景を見るものだな、と同僚に話したら、「役人はそういう生き物だから」と分かったような分からないような言葉が返ってきました。納得できるようなできないような‥。