先日のエントリで、安倍晋三首相直属の諮問機関、教育再生会議で公教育における「規範意識」が大きなテーマになりそうだと書きました。17人の委員の大半は、日本社会で規範意識が薄くなっていることに危機感や問題意識を表明したようです。

 私としては、野依良治座長が「まっとうさ」という言葉遣いをしていたのが気に入りました。私が好きな漫画家の一人に川原泉という人がいますが、この作家の作品の登場人物は、愚直で実にまっとうな人が多い。そんなことを連想した次第です。

 そんなことをぼんやりと考えていたところ、また山梨県の公立学校教員から情報提供がありました。選挙資金集めと政治行動で有名な山梨県教職員組合は今月28、29の両日、富士吉田市で第56次教育研究集会を開くそうですが、この集会では過去、一度も「道徳教育」が研究テーマになったことがないそうです。

 送られてきた資料によると、今年の研究テーマは「外国語教育」「数学教育」「自治的諸活動と生徒指導」「平和教育」「民主的な学校づくり」「保護者・地域住民との連携」…と22個もありますが、道徳や規範、公共心のたぐいは一切ありません。

 この先生によると、「山教組が道徳教育を受け付けない。こうした実情はあまり県民も知らない。時代の要請に背を向けている」とのことでした。小中学校では、道徳の時間が週1度、年間で35時間確保されているのに、それに関する研究発表は56回にもおよぶ教研集会の歴史上、一度もないというのです。他県のことは分かりませんが、まったく何を考えているのか。

 日教組の頭の中では、道徳=国家統制=軍国主義=戦争という古くさい上に実際は何の根拠もない思考パターンが固定化し、それ以外は考えられないということでしょうか。道徳の時間は自習にしている学校も多いと聞いたことがありますが…。やれやれ。

 で、昨日の朝のことですが、地下鉄永田町駅を降りて首相官邸に向かう途中、またまた新しいビラを受け取りました。例によって教育基本法に反対する内容ですが、見出しを見て思わず笑ってしまいました。

 「日教組の座り込み始まる」「ハンストパワー・3日目も爆発!」「教基法改悪阻止の訴え国会前に響く」

 これは全国労組交流センターのビラです。ハンストパワーが爆発って、どういう現象なのでしょうか。私には、ほとんどの通行人に無視され、邪魔にされているだけに見えるのですが。本人たちものんびりと雑談に興じているようにしか思えないのですが、この人たちにとって、座るとは何か宗教にも似た特別な意味でもあるのでしょうか。

 もう一枚もらった都教委包囲・首都圏ネットのビラは、大分県教組の活動を詳しく載せていましたので参考になりました。こちらの見出しは

 「大分県教組 10月10日~11月いっぱいまで」「支部単位で順繰りに、国会前座り込みを闘う

 はあ、座り込みを闘うのですか。だから、何でそんなに座りたがるんですかって!。…気を取り直して記事を読むと、次のように書いてありました。

 《大分県教組は代表者会議で、教育基本法改悪阻止のため、支部5人で順繰りに上京団を組織し10月10日より、教基法阻止まで(さしあたって11月いっぱい)国会前行動を闘うことを決定したそうです。この日は2支部10人がハンスト現場の隣で座り込みをしていました》

 まったく、山梨が山梨なら、大分も大分です。このビラには「国会見学に来た小中学生にノリノリでアピールしたり、また、ハンストを国会議員、とりわけ苫別委員会(※特別委員会の誤記と思われる)の委員たちに知らせるために、独自のロビー活動=議員まわりもやりました」と誇らしげに記されていました。

 国会見学に来た小中学生が可哀想です。こんなのを見せられて道徳だの規範意識だのと言われても、説得力を感じないでしょうね。ビラにはさらに、ハンストの様子を写した東京新聞の写真と、ハンストを報じた朝日新聞の記事(ともに18日付)も転載されていました。

 東京新聞と朝日新聞には、彼らを増長させないよう配慮をお願いしたいのですが、聞いてはくれないでしょうね。