きょう、政府は「北朝鮮が核実験を行った蓋然性が極めて高い」という政府見解を発表しました。「えっ、今ごろ?」と思われるかもしれませんが、諸情報を総合してようやく核実験だったことはほぼ間違いないとの判断に達したようです。

 日本は日本で航空自衛隊がT4を飛ばして放射能検出などの努力をしていましたが、もともと放射能を検知するためのフィルターもろくに用意されていない状況だったと聞きました。わが国の安全保障は、まことに残念ながら、米国に頼らなければ何もできません。

 それにしても、国際社会の反対を押し切ってミサイルをぶっ放し、核実験を強行する国がすぐ近くにあるというのは、本当に恐ろしいですね。ここに至っても、核保有の議論すら許さないという政治家たちは、どういう発想をしているのかと思うと頭がくらくらします。

 それはさておき、きょう国会議員会館でもらった在日本大韓民国民団の機関紙、民団新聞(10月25日号)に興味深い記事が載っていました。

 それによると、本国の核実験に沈黙している在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)は、1995年までの綱領には、核兵器の製造・使用の禁止と完全な撤廃を要求するとはっきりと記していた、とのことです。

 「われわれは、侵略的軍事同盟と戦争に反対し、原子兵器、水素爆弾、細菌兵器など、いっさいの大量破壊兵器の製造および使用の禁止とその完全な撤廃を要求し、世界平和のために努力する」(綱領第7条)

 ところが、95年9月の第17回全体大会で綱領を全面的に改定し、7条の文言を「国の富強発展に特色ある貢献をする」に入れ替えたといいます。ちょうど、北朝鮮が本格的な核開発に向けて走り出していたころですね。軽水炉建設、重油提供などと引き替えに、核開発計画を凍結するふりをして…。

 まあ、ありていに言って、北朝鮮本国が核を持つことにしたので、総連はあわてて核廃絶の旗を降ろしたということでしょうね。なんて節操のない振る舞いでしょうか。結局、本国の顔色を見て、言うことを聞くだけということです。

 公安関係者の話では、総連も内部では「核開発なんかやめて、拉致被害者を返して早く国交正常化してほしい」と思っているそうですが、これでは本国への働きかけなどは全く望めそうにありません。

 まさか総連は、核武装の論議を封じるべきでないと話しただけで一部勢力からたたかれている、自民党の中川昭一政調会長や麻生太郎外相について、批判したりはしないでしょうね。その資格は、一万歩譲っても120%ありませんよ。

 この日の民団新聞には、もう一つ面白い記事が載っていました。何でも、「日本社会で最近とみに高まりつつある偏狭ななしナショナリズムに在日の立場から一石を投じてきた市民公開講座『在日から見える社会』」に、元官房長官2人が参加し、講演するとのことです。

 元官房長官ってだれだろうと読むと、野中広務氏と加藤紘一氏でした。わかりやすいですねぇ。私はときどき、世の中ってなんとわかりやすいんだと感動してしまうことがあります。ときどき、ですが。