こういう拙いブログでも続けていると余得があるようで、先日から続けて何冊かの献本を受けました。ありがとうございます。で、せっかくですから、その中からお礼に代えて、最近考えていることに関係する部分にちょっと触れたいと思います。

 まず、メールマガジン「国際派時事コラム・商社マンに技あり!」で有名な泉幸男さんから、『日本の本領 国際派商社マンの辛口メモ』(彩雲出版)を送っていただきました(産経政治部の大先輩である花岡信昭氏が推薦文を書いていらっしゃいました)。

 添えられた手紙には「紙上で、またブログで、阿比留ワールドをいつも楽しみにしております」と書いてありました。あの、ありがたいし光栄なのですが、「阿比留ワールド」って一体…。あまり深く考えずにとりあえず喜んでおこうと思います。

 この本に書かれていることはどれも面白いのですが、私が特に関心を覚えたのが第9章「米紙におくった反論投書」です。米国の、偏見と軽薄さに満ちた皇室報道や反捕鯨報道に対し、泉さんが反論の投書を送り、それが掲載されるまでの顛末が記されているのですが、面白いです。

 私も先日のエントリで「史実を世界に発信する会」のことを紹介しましたが、こういう反論は大事ですね。相手が何も文句を言ってこないと思うと、つい筆がすべっていい加減なことも書き散らしがちになるという心理は、なんとなく分かりますし。

 また、7章の「道州制より府県合併だ」にも示唆を受けました。この中では、日本地図を示して1都6府20県試案が提案されているのですが、これが面白い。これによると、私の出身地である福岡県は山口県と合併して「福岡府」になるそうです。確かに近いです。

 このほか、青森県と岩手県と秋田県は合併して「奥羽県」に、山梨県は長野県と合併して「信甲県」となります。具体的でいいですね。いがみ合いなどもちょっと心配ですが。

 話は飛んで、日本政策研究センターからは「対中韓『歴史認識』外交を問う」と「東京裁判とは何だったのか」という2冊のブックレットを送ってもらいました。勉強させていただきます。

 この「歴史認識」の方に、「朝日新聞『慰安婦論』は完全に破綻している」という章がありました。これが時系列をおって非常によくまとまっていて、頭の整理になります。ちょっと引用・要約すれば

 ①平成3年8月11日に、朝日がソウル発の記事で《日中戦争や第二次世界大戦の際、「女子挺身隊」の名で戦場に連行され、日本軍人相手に売春行為を強いられた「朝鮮人従軍慰安婦」のうち、一人がソウル市内に生存していることがわかり…》という記事を載せた。

 =この時点で、もうおかしな記事であることが分かりますね。慰安婦と、国家総動員法に基づき勤労奉仕をした挺身隊はまったく別の存在ですし、強制連行があったという証拠もありません。また、朝日も後にはあまり使わなくなった「従軍慰安婦」という言葉があっさりと使用されています。

 ②平成4年1月11日の1面トップの記事の解説記事でも、朝日は《太平洋戦争に入ると、主として朝鮮人女性を挺身隊の名で強制連行した。その人数は8万人とも20万人ともいわれる》と書いた。

 =慰安婦で最も多かったのは日本人ですし、繰り返しますが挺身隊と慰安婦には何の関係もありません。また、突然、何も根拠を示さずに8万人から20万人という数字を出してきました。これも、現代史家の秦郁彦さんが実証的に調査したところでは、慰安婦の総数は1万数千人だったと言います。よくこんな記事書くよなあ…。

 ③同年1月23日の朝日夕刊コラムは、やってもいない強制連行をやったと証言する詐話師として知られる吉田清治氏の話を何の検証も留保もなく掲載し、《記憶の中で、特に心が痛むのは従軍慰安婦の強制連行だ》と書いた。

 ④ところが、慰安婦の強制連行には証拠がなく、証言者の言い分は疑わしいことが分かってきた平成9年3月31日の社説では、朝日は《旧日本軍の従軍慰安婦をめぐって、日本の責任を否定しようとする動きが続いている。これらの主張に共通するのは、日本軍が直接に強制連行したか否か、という狭い視点で問題をとらえようとする傾向だ》とはぐらかした。

 =自分たちが根拠なく、慰安婦の強制連行を自明のことのように書き、その前提に立って日本を非難していたのに、強制連行説があやしくなると、強制連行があったかどうかは「狭い視点だ」と言い出したわけです。全く反省が見られません。

 この日の朝日は慰安婦問題に関する2ページぶち抜きの特集記事を掲載し、河野洋平元官房副長官のインタビューも載せています。河野氏は、同時期の産経新聞のインタビュー申込みは断っています。どの社の取材を受けるかは自由ですが、朝日なら都合のよい質問をしてくれると計算したのでしょうか。

 一方、安倍晋三首相は今国会での答弁で、慰安婦問題について「当時、『狭義の強制性』が果たしてあったかの確証については、いろんな疑問点があると申し上げた。その後、『広義の強制性』に議論が変わっていった」と指摘しています。

 さんざん煽っておいて、旗色が悪くなると論点をずらしてごまかそうとした朝日の動向について、安倍首相は正確に把握しているということでしょうね。

 このブックレットを読み、以上のような流れが再整理できました。ちなみに、国会論戦を見ていて、共産党の志位和夫委員長は「広義」と「狭義」の強制性の意味が分かっていましたが、民主党の菅直人代表代行は安倍首相の説明がよく分かっていなかったように感じました。

 きょうは紹介できませんでしたが、ほかにも献本いただいた方もいます。この場を借りてお礼申し上げます。