ここ最近、国会議員会館をうろうろしていると、あの「週刊金曜日」がいろんな議員のところに届けられていました。ふだんは手にとることもない雑誌なのですが、せっかくだからとぱらぱらめくると、表紙には「9条否定で核も持つ タカまる出しの安倍〝軍事〟政権」とありました。ある意味突き抜けた雑誌であります。

 よく見ると、それには、発行人の佐高信氏による「政治、経済、宗教等、あらゆるものにタブーのない本誌こそ、みなさん方の最大の武器になるものです。いわば、〝生活必需品〟として、本誌の購読よろしくお願いします」という手紙が添えられていました。拡販の対象として、国会議員を選んだ、ということのようでした。

 まあ、国会議員には週刊金曜日に限らず、いろんな雑誌が試読誌として届けられますから、それ自体は珍しくないのですが…。編集委員としてアピール文を書いている一人が、あの本多勝一氏であることに目がつきました。

 本多氏といえば、元朝日新聞記者で、最近では9月24日に中国の南京大虐殺記念館から「『事実』を伝える上で大きく貢献した」として表彰されていましたね。中国側のプロパガンダはそのまま忠実に伝える一方で、歴史的事実は気にしないという大きな器を持った有名人です。

 前置きが長くなりましたが、民主党の小沢一郎代表はかつて、この週刊金曜日誌上で、本多氏のインタビューを受けています。まあ、どこの雑誌の取材に答えようが自由ですが、興味深いのは、小沢氏がインタビューを終えた本多氏から褒め称えられていることです。

 インタビューは平成16年12月7日に小沢事務所で行われたといい、本多氏はその感想についてこう書いています。

 「正直な話、かなり基本的な認識で小沢氏と共通するとは意外だった。現役記者のころ〝政界〟を担当なり取材なりしたことがないので知らなかっただけかもしれないが、論理の一貫性でも明晰な頭脳が感じられ、小泉首相のような馬鹿とは桁が違う

 本多氏は、小沢氏について明晰な頭脳、桁が違うと持ち上げる一方で、小泉前首相については馬鹿であると断言しています。実は、本多氏はインタビューでも小沢氏とのやりとりの中で「そう、事実として彼(小泉氏)はバカですからね」と語っています。

 佐高氏が自慢するタブーのなさというのは、こうした言葉遣いのことかもしれません。また、小沢氏は自分のインタビュー原稿を厳しくチェックするので有名ですから、当然、本多氏の「バカ」発言にも目を通し、容認したのだと考えられます。私には、下品に感じられますが。

 また、インタビューで小沢氏は、平成17年中の解散・総選挙の可能性について繰り返し「ない」と断言しています。まあ、郵政解散を予測しろというのは酷かもしれませんが、特に政局を見通している人でもないようですね。

 その小沢氏は昨日の記者会見で、沖縄県知事選における野党共闘の失敗について問われ、「ジレンマはない」と述べています。以下、その部分の質疑をそのまま記します。小沢氏の考え方がよく表れていると思うので。

 《記者 沖縄の知事選を分析すると、野党共闘の結果、真ん中から右側の有権者が離れたのではないかというものがある。今後の参院選を展望するときに、野党共闘とマジョリティをとるのとはジレンマがあるのでは。

 小沢氏
 ジレンマはない。どちらがプラスかというだけだ
その判断だ。ですから例えば、いつも言うが、社会党や共産党まで入った形は、君が今いうように、そうじゃない人の票が逃げるのではないかという議論は常にある。

 それから、特に僕なんかは、あんたが社会党や共産党のあれと一緒に共闘というんじゃ、ちょっと違うんじゃないかという人もいる。それはやめた方がいいんじゃないかっていうね。おかしいという人もいる。

 だけど、二大政党として戦後半世紀にわたって対立してきた社会党の政権をつくって、何が何でも権力を奪回するんだといっていた自民党が現に政権をとっている。それをマスコミも国民も容認している。いい加減といえば、こんないい加減なことはないが、現実にそのことはもう忘れ去られちゃっているごときの状況だ。

 ですから、その善し悪しとか、日本の政治風土という、そのレベルという問題があるが、現実にそういったことを勘案しながら、野党としては多数の国民の支持を得ていくにはどうしたらいいか、ということを考えてやらなくちゃいけないから、だから、そういう意味で、例えば、沖縄の選挙も全野党がまとまったことによって、ライトのほうの票が逃げたんじゃないかという君の話の中のことだが、ほんじゃあ、民主党単独でやってあれだけで取れっかという問題がある。

 だからそれは、いろんなこと言うんだけどもね。日経新聞もときどき読むが、いろんなこと言うわね。自民党が権力を取り返すために、社会党の総理大臣を作ったとその一時をマスコミは忘れたんですかと言いたい。半世紀対立してきた政党。けちょん、けちょんにけなしていた政党じゃないか。

 それを権力を奪回するために利用したわけだ。私はそういうつもりはないが。正面から選挙に勝つということを目標に頑張りたいと思ってますけどね。》

 私も、自民党が社会党の村山富市氏をかついで政権に復帰したときには真底、失望しました。当時は社会部に所属していましたが、「これは自民党に投票した有権者への裏切りではないか」と思い、新聞の政治面を読むことすら避けたほどです。

 後に政治部に異動してからも、亀井静香氏や森喜朗氏から、うまく社会党を取り込んで政権に復帰したとの「自慢話」を聞くと、強烈に反発を覚えたものでした。

 ですが、小沢氏がそれを免罪符に何でもありだと主張するのはいかがなものでしょうか。小沢氏は本多氏のインタビューの中でも「私情はまったく抜きにして、僕で(政権を)獲れるなら多少無理をしてもやる」と述べています。

 「他に手はない」という小沢氏の気持ちは分からないでもありませんが、それでは小沢氏が批判した古い自民党のやり方そのものではありませんか。

 また、確信的な保守である安倍晋三首相ですら、自民党に多数のリベラル派を抱え、公明党が連立に参加している現状では主張を抑えて進まざるをえないようです。それを見るにつけ、小沢氏が政権をとったとしても、果たして何ができるのだろうと疑問に感じます。

 今回の野党共闘もそうでしたが、民主党内にはリベラルどころか極左や日教組までが存在します。そうした政党が社民党や共産党の協力を受けて政権の座についたとして、国民が望むような政治を実現できるのでしょうか。

 小沢氏は、本多氏から「まともな政治家」と評価されていましたが、私は本多氏が称賛し、反日・反米色の濃い知事候補を懸命に応援するような政治家に、この日本を託す気にはどうしてもなれないのです。