本日は仕事が休みなので、家で本棚の整理をすることにしました。私は次々に本を買う方なので、本はあっという間に増えていきます。その上、作者別に並べる手間を惜しむものぐさな性格のため、自分でもどの本がどこにあるのか、あまり把握できていません。
でも、これは学生時代の試験の前日もそうでしたが、本を手に取るとつい、また読みふけったり、内容を確かめたくなったりで、実際はあまり整理が進んだとは言えません。その非能率的な作業の中で、つまらないことに気づきました。
私がとても好きな作家の一人に、内海隆一郎氏がいます。どこにでもいそうな市井の人々の哀歓を描いた「人びとシリーズ」で有名ですね…といいつつ、周囲に私以外の愛読者を知らないというメジャーなのかマイナーなのかよく分からない作家さん(大変失礼)です。
で、出版事情に詳しい人には別に珍しくもない話なのかもしれませんが、内海氏の本を出している出版社がとても多岐にわたっているのに驚いた次第です。私の家にあった内海氏の小説・エッセイは計36冊でしたが、その内訳はというと次のようでした。
■河出書房新社
「島の少年」「山からの手紙」「大づち小づち」「だれもが子供だったころ」(河出文庫)…計4冊
■筑摩書房
「人ひどの岸辺」「丹塗りのぽっくり」「遅咲きの梅」「木に挨拶する」「人びとの忘れもの」(ちくま文庫)…計5冊
■PHP
「木々にさす光」「懐かしい人びと」「狐の嫁入り」「父から娘に贈る『幸福論』」(PHP文庫)…計4冊
■講談社
「家族ホテル」「描かれた風景への旅」「帰郷ツアー」(講談社文庫)「欅通りの人びと」(同)…計4冊
■光文社
「郷愁 サウダーデ」「風のかたみ」「鰻の寝床」「鰻のたたき」(光文社文庫)…計4冊
■集英社
「北のジム」「波多町」(集英社文庫)「湖畔亭」(同)…計3冊
■徳間書店
「大樹の下に」「北の駅」(徳間文庫)…計2冊
■文藝春秋
「街の眺め」(文春文庫)「一杯の歌」(同)…計2冊
■小学館
「居酒屋志願」「風の渡る町」(小学館文庫)…計2冊
■エー・ジー出版
「街の中の円景」…1冊
■毎日新聞社
「早春の故郷を離れて」…1冊
■実業之日本社
「義兄弟エレジー」…1冊
■朝日新聞社
「朝の音」…1冊
■弥生書房
「人びとの坂道」…1冊
■メディアパル
「蟹の町」…1冊
これだけよくいろんな出版社に書き分けているなあ、と感心しました。それとも、これが普通なのでしょうか。私はその方面に疎く、ちょっと分かりません。最近はなかなか新刊を見つけられず(書いていらっしゃるのかどうかも知りませんが)、残念なのです。
青字にしたのは、私のお薦めです。といっても、かなり大きな本屋に行くか、取り寄せないとなかなか手に入らないと思います。私は気に入った本は繰り返し読み返す方なので、内海氏の作品も何度も読みました。文章は平易で、それでいて味わい深いと思います。
本屋で見つけることができなかり、どこかに紛失したりで、いま手元にはないのですが、内海氏はこのほか、「人びとの光景」(新潮社)、「人びとの旅路」(同)、「人びとの季節」(PHP)、「人びとの情景」(同)などの本も出版されています。
また、内海氏の作品を谷口ジロー氏が漫画化した「欅の木」という本も、原作の雰囲気を非常によく伝えた傑作です。特にこの中に収録された「白い木馬」「彼の故郷」などは、何度読んでも泣いてしまいます(涙腺はゆるい方で)。
そういえば、きょうはさきほど、古本・古CDなどを取り扱うチェーン店に最近読んだ漫画を売りに行ってきたのですが、システムに少々、納得がいきません。
その店は、新刊であれば定価のほぼ半額で買い取ってくれるので重宝しているのですが、ときどき、店側の入力ミスだか何だかで人気作品が価格リストに載っていないことがあるのです。
きょうも先月末に発売されたばかりの「蒼太の包丁」(12巻)が、たった10円と査定されました。本来は250円のはずです。アルバイト店員に文句を言ってもどうしようもないので泣き寝入りしましたが、以前も似たようなことがありました。
どうでもいい話に最後までお付き合いくださり、どうもありがとうございました。ちょっと仕事のことは考えたくない気分だったもので。
コメント
コメント一覧 (20)
内海隆一郎氏は初めて知った方です。どれから読み出そうか迷ってしまいますね。
私も本は手当たり次第に買ってしまうのですが、何かの切っ掛けがないと手に取らない本はたくさんあります。
先日の「逝きし世の面影」も感激した本の一冊でした。今回も期待感がむくむくとわき上がってきています。
本の整理は人生の大きな課題です。
学生時代に読んだ渡部昇一先生の「知的生活の方法」で描かれていた書斎を持つのが夢です。
こんばんは。書斎はほしいのですが、狭いマンション住まいで実現しそうにありません。内海氏の著作は、「逝きし世」に比べてささやかな小品、掌編小説が主ですが、しみじみといいなあと思います。
芥川龍之介が、婚約者の文さんに宛てた手紙の一文が、今も好きです。・・40年ぐらい前に接した文章です。
《貰いたい理由は たった一つあるきりです。さうして その理由は僕は 文ちゃんが好きだと云う事です。勿論昔から 好きでした。今でも好きです。その外には何も理由はありません》
今、結婚する男女が減少していると聞きますが、上記にあるような気持に何故ならないのか不思議です。
小生、やり直しの利かない年齢になってしまったので、軽いものばかり読んでいます。
こんばんは。芥川龍之介については、大学時代の一時期、けっこうのめり込んで集中的に読んだのですが、上の一文は知りません(もしくは全く覚えていません)でした。結婚する男女が減少する理由については…。最も苦手分野であり、私は意見を述べる資格すらないような。
当方、偏った読書をするので、内海隆一郎氏は全く知りませんでした。
刺激的なストーリーよりも人を描いた作品を読みたいと思っております。
中学1年生の息子と一緒に内海隆一郎氏の作品を読むとしたら、どれがお薦めでしょうか。
「欅通りの人びと」はNHKでドラマ化されたとのことで、気になっております。
「欅通りの人びと」はNHKでドラマ化されているようですが、ドラマの方は見ていません。でも、原作もお薦めです。特に中学1年生の息子さんと一緒に読むということでしたら、「大づち小づち」「だれもが子供だったころ」「木々にさす光」あたりがいいかもしれません。内海氏の文章はとても平易で子供にもわかりやすいと思いますが、「人びとシリーズ」など淡々とした日常を描いた話が多いので、子供が好むかどうかはちょっと分かりません。
あたしもこの作家は知りませんでした。ご紹介ありがとうございます。NHKも全然見れませんので、見たくもありませんが、そのドラマも知りませんでした。
ああ、日暮れて道遠し。永遠に続く読書への道、とほほ。とぼとぼ歩いていきます。
久しぶりにお邪魔します。
おや、おなじみの面々が顔を揃えていらっしゃる。
私のこの一冊、中谷孝雄:わが陶淵明、絶対支持
好きだった作家(過去形)、太宰治、破れかぶれなところ
同じく過去形、井伏鱒二、とぼんとしたところ
この数十年、小説、文学系はほとんど読みません。
この場をお借りして自己紹介させていただきます。
おはようございます。いわゆる純文学・世界の名作の類は、私もあまり読まなくなりました。好きな作家といえば、半村良氏も亡くなったなあ。宮沢賢治は今でもたまに読み返します。学生時代は坂口安吾に凝ったこともありました。
>永遠に続く読書への道。
永遠に続いてくれないと、楽しみがなくなって困ります。内海氏は短編の名手で、上に挙げた「街の中の円景」には、24編の短編が入っています。
okinawapapaはきょうも補講です。
年内はあと1日しか休めません。
入試が終わるまではいつもこうです。
読書は生活の一部ですが内海氏は読んでいません。
さっそく明日買ってきます。
okinawapapaはこれまでに2度蔵書を整理しました。
2万冊くらいを古書店に引き取ってもらいましたが
金額はなきたくなるほどでした。
売りたくはありませんが、貧乏人には大きな書庫は望めませんからね。
こんちには。大変忙しそうなご様子ですね。私は今はまだ子供が小さいので本をおけるのですが、数年後には大量に処分しなくてはならない見込みです。手放したくない本がたくさんあるのですが…。書斎、書庫は本当に憧れです。
ピックアップありがとうございます。
「大づち小づち」は宮大工を志す少年のお話のようですね。
まずこのあたりから読んでみようと思いました。
私は最近、宗教に興味を持ち始めたので、井沢氏の「ユダヤ・イスラム・キリスト集中講座」を読み始めました。
宗教の涵養という観念から興味を持ったもので。
処分期限まで数年あるのでしたら、電子化してみてはいかがですか?
DVD等に、スキャニングした情報を入れることで、省スペース化と
検索の快適化の一石二鳥が図れます。
教育基本法改正案の原案にあった宗教心の涵養とは、食事の際に手を合わせて「いただきます」と言うだとか、修学旅行の行き先として神社仏閣を排除しないとか、そういうことかなと理解しています。
私は実は機会音痴でして、DVDに本をスキャニングするなどできそうもありません。
経験者の先生も何%かはいた)が、給食の時間は必ず手を合わ
せて「いただきます」はみんなで復唱、修学旅行先は伊勢神宮。
「大阪府下の平凡な公立の小学校」でした。
当たり前のことが当たり前に行われているうちはいいのですが。世の中おかしくなっていますから。
そういえば給食のときに「いただきます」を言わない児童の話もありましたね。
給食費を払わなかったり、給食を食べる前に手を合わさなかったり、奇妙な現象が起こる今の学校現場の実態を知らされると、将来を危惧してしまいます。
感謝の気持も自然とわいてこないのでしょうか?
親の姿を見て子どもは育ちます。
家庭での教育に意義を持たせることは大切ですね。
私自身もそうですが、今は親、祖父母の世代までが日教組教育をたたきこまれていますから…。教育改革は3代かかるとも言われているそうですね。