今朝の産経は、FNN(フジニュースネットワーク)との政治に関する合同世論調査の結果を掲載しています。予想通りというか残念というか何というか、安倍内閣の支持率は16.2ポイント降下して5割を切ってしまいました。

 政府はこの復党問題について、事前の世論調査を繰り返していたようですし、私も「内閣情報調査室は、復党は認めたら支持率は10ポイントは確実に下がると言っている」といった話は早くから聞いていました。織り込み済みの世論の反応ではあったのでしょうが、やはり痛いのも本当でしょうね。

 さて、今回の世論調査は緊急調査のため、回答者は1000人で、サンプル数としては少し不足気味かもしれません。でも、だいたいの世論の雰囲気のようなものは反映していると思うので、きょうはその内容を、紙面よりちょっと詳しく報告してみます。

 まず、いわゆる「造反組」の復党に賛成の人は17.3%で、反対は67.2%だったのですが、これを世代・男女別に見てみると、一つの傾向が浮かび上がってきました。

 それによると、最も反対が多かったのは50代男性の74.2%。次いで50代女性の73.1%で、逆に最も反対が少なかったのが20代女性の58.1%、次いで20代男性の58.4%とでした。50代と20代とでは、ほぼ15ポイントの差が出ていて、特徴的です。

 これだけて判断することができないのは当然ですが、傾向としては一番反発しているのは50代で、容認しているのは20代ということが言えそうです。昨年の郵政解散は、若い無党派層を取り込んで自民党を圧勝させたと言われていますが、今回の数字だけをみると「?」な部分がありますね。

 次に、同じように内閣支持率について見てみます。20代男性は51.9%、20代女性は50.0%とともになんとか5割を確保しているのに対し、50代男性は各世代・男女の中で最も低い43.0%、女性は47.3%と、やはり評価は低いとの結果が出ています。

 世代別に支持政党をみると、20代男性では自民党との回答が37.7%なのに対し、50代男性は33.3%。同じく20代女性は36.5%で50代女性は31.2%と、比較的20代に自民党支持が多いことが分かります。

 となると、当然予想がつく話ではありますが、民主党を支持するかについては20代男性で14.3%が50代男性では28.0%と倍近くに跳ね上がります。女性も20代の14.9%に対し、50代は16.1%と民主党支持がわずかながら上昇しています。

 私は過去に、こうした外部のリサーチ会社による世論調査を記事化する仕事を7、8回ほどやりました。その一つひとつを記録に残しているわけではありませんが、ある世代的な特徴があることには気付いています。

 それは、憲法改正や教育基本法改正など国家観がからむ問題や、安全保障関係などでは、だいたい50代か60代が一番、リベラル的な回答を寄せることが多いことです。造反組復党への反対がこの世代に多いことへの説明にはなりませんが…。

 また、造反組の復党について、安倍内閣を支持するかどうかで見てみると、「支持」の人は27.5%が賛成(反対60.0%)しているのに対し、「不支持」の人では賛成はわずか6.5%(反対81.2%)にすぎませんでした。

 さらに、支持政党別にみると、復党反対が最も多いのは公明党支持者の79.4%でした。次いで共産党支持者の79.3%、民主党支持者の75.9%で、自民党支持者では57.6%にとどまりました。

 サンプル数が限られているので明確ではありませんが、昨年の衆院選で自民党の新人候補を応援させられた公明党支持者が、反発している姿が想像できると言ったら、うがちすぎでしょうか。

 ちょっと興味深く感じたのが、造反組に対する復党条件についての見方です。例の誓約書を書かせるなどの条件について、「甘すぎる」と厳しい見方をした人が最も多かったのは50代女性の43.0%で、「甘すぎる」が最少だったのは20代女性の25.7%。その差は17.3ポイントも開きました。

 ところが男性では、50代の36.6%に対し20代は29.9%と6.7ポイント違うだけです。これまた安易に男女の発想の違いに結びつけるにはサンプル数が少なすぎるのですが…。

 そして、私がとても面白いなと感じたのが、自分自身を「無党派」だと思うかどうかについての回答でした。全体では54.9%の人が無党派だと答えたのですが、無党派だと自覚する人は20代男性では44.2%にとどまったのです。反対に、50代男性では59.1%に上りました。その差は14.9ポイントにも上ります。

 女性は男性に比べ、無党派との回答が多かったですが、やはり20代の59.5%を50代の60.2%が上回りました。少ないデータでは牽強付会のそしりを免れませんが、「若者=無党派」という構図は成り立たないということに意を強くした次第です。私が日頃、漠然と考えていたことと一致していました。

 今回は、特徴がわかりやすく表れていた20代と50代に着目して紹介したので、物事を少し単純化してしまった側面もあるかもしれません。ですが、周囲を見渡してなんとなく「そうだよなあ」と同感される人も多いのではないでしょうか。

 どうも、安倍首相は、同世代にいまひとつウケが悪いという結果でもありました。今回の世論調査は、60歳より年長の人については「60歳以上」という区分になっていたため、70代、80代という世代間の違いは把握できませんでした。

 ただ、私が永田町界隈で実感しているのは、「政治家は60代とそれ以下では考え方がかなり違う」「60代半ばの人はGHQの影響(戦後民主主義教育など)が強すぎる」ということです。

 ある政府関係者は、「全共闘世代、安保世代を飛び越えて52歳の首相が誕生したのは時代の要請だろう」と話していましたが、私もそう思っているのです。話がちょっとずれたかもしれませんが。