今朝は通勤電車の中から、白く輝く富士山の雄大な姿がくっきりと見えました。冬は寒くて乾燥しているので嫌いなのですが、富士がきれいに見えるのはいいですね。それだけで、少し前向きな気持ちになれます。

 このところ、官邸は政府税調会長に香西泰氏が就任した件や、佐田行革担当相の進退問題などでばたばたしています。私は昨夜(というか未明)は午前1時半まで記者クラブにいて、それから雨の中帰途に就いたものの、タクシーがなかなか拾えずさんざんでした。

 忙しいのは各社も同じなのでしょう。昨日の夕方に、官邸クラブに投げ込まれた小さな資料に関する記事は、今朝のどの新聞にも見あたりませんでした(見落とした可能性もありますが)。私もぜひ書きたいと思いつつ、他の記事を優先せざるをえなくて放っておいたものです。

 それは、「インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙掲載記事に対するわが国政府による反論投稿について」という長い題の3枚紙で、内閣官房拉致問題対策本部事務局総合調整室というこれまた長い名前の部署が発信元でした。

 このヘラトリの記事とは、言わずと知れた超有名人であるニューヨーク・タイムズ東京支局長、ノリミツ・オオニシ記者が書いたものですね。ニューヨーク・タイムズはヘラトリと提携していることから、両紙に掲載されたものと思われます。私も知人から、「オオニシ記者の取材に応じたらデタラメ書かれた」との話を聞いたことがありますが、まさに「札付き」の人物です。

 記事は12月18日付のヘラトリに掲載されたもので、「Abductions energize Japan right」という題で、拉致問題対策本部は「拉致問題が日本の右翼の活力となる」との仮訳を当てていました。

 それで、政府が22日に中山恭子首相補佐官名で反論を同紙に送付したところ、26日付の7面「Letters to the Editor」(編集者への手紙)欄にほぼ同趣旨の反論記事が掲載されたとのことです。以下に中山氏の反論文を記します。

 《第一に、北朝鮮による日本人拉致問題が(政府によって)政治的な思惑のために利用されているという事実はない。この問題は、自国民の救出の問題である。

 日本人拉致被害者の多くは北朝鮮に30年近くも監禁され、全ての自由を奪われている。拉致被害者が自由と尊厳を取り戻すためにあらゆる支援を受けるのは当然である。拉致被害者の救出は日本政府の使命である。

 第二、拉致問題はまさに現在進行中の問題である。たった5名の拉致被害者が2002年に帰国しているだけであり、北朝鮮は、それ以外の拉致被害者が死亡あるいは入国していないとする自らの主張を裏付ける説得力ある証拠を示していない。

 最近、国連総会で北朝鮮の人権状況決議が採択されたことも、拉致問題を解決する必要性が国際的に認識されつつあることの表れである。   

内閣総理大臣補佐官(拉致問題担当)中山恭子》

 オオニシ記者のような確信犯にすれば、こうした抗議は痛くもかゆくもないかもしれませんが、日本政府の反論するという姿勢は評価したいと思います。拉致問題対策本部によると、官邸のホームページには掲載していないとのことだったので、ここで書いてみました。

 拉致問題対策本部は今後、今まで政府がばかばかしくて無視していた北朝鮮のトンデモ放送についても、きちんと反論していくことにしたそうです。これは、拉致被害者家族の要望と、中山氏の考えによるものだそうです。

 拉致問題の解決は、北朝鮮の体制が変わらない限り、実際にはなかなか困難でしょうが、日本としてもできることは何でもやるという姿勢が大切だと思います。

 中山氏はかつて小泉前首相時代、内閣官房参与として拉致問題に取り組んでいましたが、小泉氏が山崎拓氏を首相補佐官に起用した段階で辞任しました。当時、北朝鮮に融和的な山崎氏が官邸に入ったことで、強硬派の中山氏の居場所がなくなったとも言われましたが…。

 とにかく、拉致被害者と家族、そして日本のための取り組みを応援し、さらに頑張っていただきたいと思っています。