今朝の毎日新聞は社説で「教研集会 改革は現場の実情の上に」と書いていました。内容はというと、日教組の教育研究全国集会が大分県で開かれたことの紹介から始まり、ゆとり教育の見直しを提言した安倍政権の教育再生会議を批判するものです。社説には、次のように書いてありました。

 《実際、現場の当事者が自ら具体的に問題点を明らかにして改革の先頭に立ち、実態を十分つかんだ国はその動きを支援する-。そんな形の方が、円滑に(安倍首相らのお気に入りの言葉なら「スピード感をもって」進むのだ)》

 前後の文脈上、毎日がいう現場の当事者とは、日教組の教師たちとも読めますが、彼らがいつ、自ら具体的に問題点を明らかにしたというのでしょうか。それどころか、北海道教職員組合にいたっては、北海道教育委員会が実施した「いじめ」に関するアンケート調査に協力しないよう組合員に指示していたことが明らかになっていますね。

 では、日教組中央はこの問題についてどう考えているかというと、中村書記長は今月9日の記者会見で、次のように北教組をかばい、その行為を「理解できる」と正当化しています。

 《北海道の委員長と話を持った際、北海道の委員長は「道教委と市町村教委と事前にいじめに関わるアンケート調査について話し合いをしていたと。組合サイドは『子供の人権やプライバシーに関わる質問内容等も含まれていて問題があるのではないか』と。で、了解なく教委サイドが押し切って現場にアンケート調査を出したと言うことで、北教組としては、『非協力』と。『協力はしない』という文章で指示を出したと。地元では北海道の書記長が会見したが、真意が伝わっていない。ブツブツ切られ、謝罪したところだけ伝わり、「誤った行為をした」という報道がされているが、「そこは違う」ということだ。ぜひ北海道の組合に直接取材して、真意を尋ねていただければ。私の日教組書記長としての立場としては、北教組と話した時は、「十分、経過も含めて理解できる」と思った。》

 私もいじめアンケートの内容に目を通しましたが、北教組がいうような子供の人権やプライバシーにかかわるようなものだとは感じませんでした。14日付読売新聞朝刊によると、北教組は文部科学省が4月に実施する「全国学力調査」についても、組合員に非協力を指示しています。毎日新聞はこうした行為について、現場の声だからと尊重すべきだと考えているのでしょうか。

 毎日の社説は、教育再生会議に対し、「『ゆとり』や『ダメ教師』が教育を後退させたときめつけ、ばっさりと排除することが改革という認識だけでは現場の共感は得られず、改革の歯車はかみ合わない」と批判しています。また、教育改革について「どの政策にもまして時間をかけた考察、検証、試行が必要だ」と指摘し、ゆとり教育の見直しについては「そこに求められる姿勢は『丁寧さ』であって、決して『性急さ』ではない」と主張しています。

 どれもこれまで日教組が言ってきたことにそっくりですね。しかし、教育のあり方を見直すことに関して、そんなに悠長に時間をかけていていいのでしょうか。学力低下、学級崩壊、いじめ、必修科目の未履修…と、教育改革派まさに待ったなしの必要に迫られているからこそ、安倍首相も教育再生会議の委員も必死になって力を入れているのではないでしょうか。毎日の現状認識を疑います。

 弊紙は11日付の朝刊社会面で、「いじめ解消報告わずか 日教組教研集会始まる」という記事を載せています。記事は、「現場から集まった約800の教育実践報告のうち、『いじめ』の見出しがついた内容はなかった」「全体集会で、来賓の梅田昭博日本PTA全国協議会会長が『一部(北海道教組)の教員が、いじめの実態調査に非協力的だった。誠に残念だ』とあいさつした際、会場からヤジが飛ぶ一幕もあった」と報じています。毎日は、こうした現状を肯定する気でしょうか。

 北教組問題をめぐっては、自民党の「北教組に関するプロジェクトチーム」(座長・宮路和明組織本部長)が14日に初会合を開いています。今月中に現地視察を行い、道教委から聞き取り調査をして、今国会中に調査報告をまとめる方針のようです。宮路氏は会合後、記者団への説明で「常軌を逸した北教組の歴史」という表現を使っていました。
 
 このチームが、しっかりと成果を上げ、東京にいてはなかなか分かりにくい北教組の実態を明らかにしてくれることを期待します。毎日の社説については、関係紙が日教組から広告の出稿を受けていることとは関係がないと信じたいものです。