本日も慰安婦問題について書きたいと思います。私は、社会部時代から10年以上もこの問題に関していろいろと書いてきたので、正直なところ、少々うんざりしている部分もあるのですが、やはり反論すべきところは反論しなければならないと思うので、しつこいですがこだわってみます。

 慰安婦問題をめぐる米下院の対日非難決議案は、「この『慰安婦』という日本政府により強制された軍の売春制度は、20世紀最大の人身売買事件のひとつで、その残虐性と規模において前例がない」としています。しかし、この短い文章の中にも、いくつもの誤りがありますね。間違った前提の上に、間違った事実認識と悪意を重ねてつくったかのような決議案といえます。

 米国という国は、自分達が常に正義であるかのように振舞いますが、実際にやっていることは違いますね。和平を求める日本の特使受け入れ要請を断った上で、落とす必要のない原爆を実験目的で2発も投下し、何の罪もない非戦闘員を大量虐殺して、いまだに謝罪ひとつしたことのない国ですから…。

  10数年前の話ですが、硫黄島協会の設立者である故・和智元陸軍大佐の娘さんを取材した際に聞いたところによると、米兵は硫黄島やパラオなどの戦場から、日本兵の頭蓋骨を持ち帰って灰皿にしたり、遺体から歯を抜き取って記念のペンダントにしたりと、「野蛮」なことをいくらでもしていたようです。和智氏のところに戦後何十年もたって「遺族に返還したい」と送ってきたそうでした。こうした問題について、日本人が優しいからあまり言わないだけだということを、彼らにもそろそろ気付いてもらいたいところですね(無理でしょうが)。

 話が脇にそれました。このブログでたびたび紹介している「史実を世界に発信する会」が、マイク・ホンダ下院議員に出した公開質問状に添えられた資料がよくまとまっているので、そこから世界各国の慰安婦事情を記した部分を引用します。ホンダ議員がこれをきちんと読んでいるのかどうかは分かりませんが…・。

 《■世界各国に存在した「慰安所」「慰安婦」
 そもそも、第2次大戦が行われていた1940年代には、軍隊用の売春施設は特に珍しいものではなく、世界各国に存在していた。なぜなら、「戦場におけるセックス」の問題は、どの国の軍隊にとっても重要かつ解決困難な課題だったからである。

 (1)ソ連
 世界難民問題研究会協会のドイツ課長であるライヒリンク博士によれば、ソ連赤軍がベルリンまで侵攻してくる間に、190万人の女性が強姦されたという。そのうち140万人は旧ドイツ東部領など、50万人は後のソ連占領地域において強姦されたとされる。ライヒリンク博士は、強姦の結果として生まれた子供の数をつかむことは不可能だとしつつ、その数を29万2000人と推定している。数値の相当性の問題はおくとしても、こうした戦場の現実が「慰安所」の存在を要求するのである。

 (2)アメリカ
 アメリカ軍は1945年5月8日時点で、160万人の兵士がドイツに駐留していた。ハイデルベルクの米軍司令部は、45年3月から4月の間に裁判所で487件の強姦が扱われたとしている。1943年のシシリー島占領後、米軍はドイツ・イタリア軍が運営していた慰安所をシステムと人員ぐるみ引継ぎ、軍医とMPが規制した。
 アメリカ軍が日本に進駐したとき、最初の1か月、それも神奈川県下だけで2900件の強姦事件が発生した。7年の占領期間中には2536件の殺人と3万件の強姦事件を起こした。事態を憂慮したGHQは、ついに東京都に慰安所の設置を要求した。これはうわさや誇張ではなくれっきとした事実である。

 (3)フランス
 フランス軍は45年4月21日にシュツッツガルトを占領した。福祉・保険関係の責任者になったガウブ教授はこう報告している。「女性住民はこの災難に十分な準備がなく、多くの場所で強姦事件が何百件となく起こった。60歳以上の女性も16歳以下の少女もこれを逃れることはできなかった」。

 (4)ドイツ
 ソ連に侵攻したドイツ軍は、ソ連ではスターリンが売春を禁じていたので、慰安所を新設せざるを得ず、慰安婦はしばしば強制徴用された。ドイツ本国への強制労働を拒否した若い女性は、代わりに慰安所で働かされた。ユダヤ人も同様であった。
 ノルウェー、デンマーク、ベルギー、オランダ、フランスではドイツ兵の子供が約20万人生まれたといわれる。

 (5)韓国
 ベトナム戦争に参加した韓国軍は、現地の慰安婦を米軍同様に利用し、ベトナム人との混血児がたくさん生まれている。そして韓国では、第2次大戦後も長期にわたり、米軍専用の売春施設が存在し、これを国家が管理していた。

 このように、戦場における性の問題は世界的な普遍現象である。日本軍は確かに慰安施設を戦地に誘致し利用していたが、これは専ら強姦事件の発生を最小限に抑えるための措置であった。

 日本の軍隊公娼システムにおいて、慰安所を運営したのは民間業者であり、軍の関与は生活物資の供給や衛生管理等にとどまる。こうした軍隊公娼システムは当時の世界各国に普通に存在していたものであり、日本だけがことさら非難をされる筋合いは全くない。》

 こうした事情をみるにつけ、どうして日本だけがこんなに批判されなければいけないのかと、改めて理不尽さに憤りを禁じえません。以前、ある元駐米大使にインタビューした際、彼は「歴史は勝者がつくるんだから仕方がない」と述べていましたが、戦争が終わって60年以上もたつのに、いつまで敗戦国民扱いに甘んじていろというのでしょうか。

 現代史家の秦郁彦氏の著書「戦場と性」によると、旧日本軍の慰安婦は合計2万人から2万数千人で、日本人が4割、現地人3割、朝鮮人2割、その他1割と推定されるそうです。北朝鮮やホンダ氏が根拠なく主張している「20万人の朝鮮女性を強制連行」なんて、南京で30万人が虐殺されたという虚構と同じぐらいにありえない話ですね(そのでたらめな話が世界に流布されている点でも同じか)。

 日本だけでなく、世界中の戦後レジームをなんとかしてほしいと、大声をあげたくなる気持ちです。でも、国際社会は力がすべてですから、 非力な日本が何を言っても、なかなか通じないのでしょうね。諦めるつもりは毛頭ありませんが、歯がゆくて仕方がありません。