国会の裏手には、衆院に二つ、参院に一つの計三棟の国会議員会館があります。ここには各議員の事務所が置かれているのですが、食道や理髪店、売店、会議室などもあります。この中小の会議室を議員が借りて、市民集会や勉強会が開かれているのですが、本日はその一例を紹介します。議員会館にわれわれ記者が入るには、国会の記者バッジと帯用証を提示しなければならず、記事を書く際には丸めてここも「国会内」と表記することもありますが、実はこうした「公」の場でも反日集会が開かれているのです。

 ちょっと以前の話ですが、2005年2月1日には、衆院第2議員会館で「女性国際戦犯法廷に対する冒涜と誹謗中傷を許さない日朝女性の緊急集会」という集会がありました。例の、朝日新聞が安倍晋三氏と中川昭一氏がNHKに圧力をかけて慰安婦番組の放送内容を変えさせたと報じたアレについてですね。

 この集会には、戦犯法廷を主宰したバウネット関係者のほか、民主党の石毛えい子前衆院議員、小林千代美前衆院議員、社民党の福島瑞穂党首、近藤正道参院議員、北朝鮮の国会議員(最高人民会議代議員)である金昭子氏、朝鮮新報記者らが集い、参加者は計200人にも上ったといいます。

 弊紙は残念ながら当日、会場にもぐりこめませんでしたが、当時、某所から参加者のあいさつ内容を入手していましたので、以下に記します。国会の一角では、白昼堂々とこんなことが語られているのだという参考にしてください。

 《石毛氏 私たち民主党、そして社会民主党、共産党の野党3党で、立法府議員の方から日本軍慰安婦の方たちに対する日本の国家としての謝罪と補償を実現するための「戦時性的強制被害者問題解決促進法案」という法案を、この3国会続けて出しております。
 国会の中でも、日本軍慰安婦は商業的にはあったかもしれないけれど、日本軍が関与していたというのは嘘ではないかという嘘が、いまだもって蒸し返されている状況があります。(中略)
 そして、NHKで放映された国際法廷の中身と、朝日新聞とNHKとを競わせて表現の自由を抑圧していこうという動きが重なって、私はとても今の状況を危惧しております。(後略)

 小林氏 最近になってNHKの職員の方の内部告発によりまして、この問題が大きくクローズアップされるようになりましたけれども、この問題はETVの番組が放送される前から議論になっていた問題です。
 実は私は当時は北海道の札幌選出の民主党所属の衆院議員なんですけれども、ちょうど2001年3月8日の国際女性デー札幌集会というのを、私も実行委員をやって開催いたしまして、この国際戦犯法廷に関する集会を行いました。
 そのときに松井やよりさん(※、バウネット代表、元朝日記者)に札幌に起こしをいただきまして、この問題について勉強会を当時行ったことをよく覚えております。その後に、松井やよりさんが亡くなられたことを残念に思っております。
 しかしながらこの問題、国会議員の介入により番組の改組がさせられた、それももちろん問題ですけれども、これだけ世界的にも大変評価を受けている国際法廷について、一部の議員の中にはまるで裁判ごっこではないか、そのような内容だったのではないかというように誹謗中傷されていることに対して、私も大変強い憤りを持っている。(後略)

 福島氏 (前略)この女性戦犯国際法廷につきましては、もともと私自身も、いわゆる従軍慰安婦とされた人たちの裁判を担当する弁護士で、この女性国際法廷にも、傍聴人として一般の市民として、あそこの会館のところに出席しておりました。今回、ものすごい危機感を持っております。ファシズムというのは、こういう形で起きていくのだということを痛感しております。(中略)
 今回のケースは、もちろんNHKもしっかりしてほしいとか一杯思いもあります。ただ、政治権力によるメディアへの介入の問題である、政治家によるパワハラだと思っております。こういう形で恫喝をし、メディアの問題を私物化していくこと、安倍晋三さんがこれで何も問題はなかったと居直ることを許してはいけないと。(後略)

 金氏 (前略)安倍、中川両議員と多くのマスコミは、報道に対する政治介入があったかなかったかに目を向けていますが、ことの本質は朝鮮をはじめ、多くの女性たちに強要した性奴隷という旧日本軍による国家犯罪を認めるかどうかにあると思います。
 安倍氏は女性国際戦犯法廷に対しても、とんでもない模擬裁判だったと中傷していますが、これは数十万の性奴隷被害者に対する許し難い冒涜であり、戦前の日本軍国主義の犯罪行為を公正に断罪しようとする世界の良心を踏みにじるものです。
 同じ戦犯国であるドイツは、ナチスの被害者に対して、現在も国家が補償を続けております。しかし、日本の場合は、最近、韓日条約締結のための会談記録が公開され話題になっていますが、半世紀に及ぶ植民地支配に対する公式謝罪も国家としての賠償、補償もなく、個人補償もまったく拒否されていることが外交文書として明らかになりました。(後略)

 近藤氏 去年の7月の参院選挙で新潟から選出をされました。女性国際戦犯法廷、私は、私たち日本国民の良心的な企画だというふうに思っておりました。新潟からもたくさんの女性たちが参加し、あるいは賛同の声をあげておりました。(中略)
 この問題をまた逆に契機に、歴史の真実を捻じ曲げる動きがどんどん出ているという風に、本当に危惧の念を深くしております。とりわけ安倍さんの発言などはですね、むしろ完全に居直って、この女性国際戦犯法廷そのものを真っ向から冒涜している。この法廷が拉致問題を覆い隠すものだと、こういったことを公然と言う。本当に私たちは引くわけにはいかない。(後略)

 朝鮮新報記者 (前略)先日、アウシュビッツの60周年でEUの首脳たちが集まったんですが、安倍だとか中川だとか、向こうで言えばナチスの戦犯の子孫というものがですね、普通の一般の生活とか一般の発言はできると思うんですが、政府の中枢、政治を司る中枢に入って過去の侵略戦争責任を否定するとか、植民地支配に対して肯定するとか、こういうことは絶対に許されないことであります。ドイツとかヨーロッパでは、こういうことに対しては刑事罰が、アウシュビッツは嘘であるなどというと民衆煽動罪で逮捕される、刑事罰が下る。(中略)
 私たち朝鮮民族として許し難いのは、もう一つは安倍だとか中川たちがテレビ、メディアを利用して北朝鮮というキーワードを使って戦争を起こそうとする、ことを構えようとしている。これが一番問われている問題だと思うんです。(後略)》

 この短い引用の中に、みなさんはいくつの嘘、事実誤認、すり替え、誇大表現、根拠不明の数字、決めつけ、偏見を見つけられたでしょうか。あまりにもたくさんありすぎて、一つひとつ指摘する根気がないので、一言、「でたらめ言うな!」と述べておきます。紹介した以外でも、参加者から安倍氏への批判は相次ぎ、「私は嘘をつきません。彼がどうして歴史を直視しないで戦争を賛美するのかというと、A級戦犯の孫だからです」という意見が出ると、「そうだ!」と賛同する声が上がったそうです。正しくは安倍氏はA級戦犯容疑者(不起訴)の孫ですが。

 でも、これを見ても、安倍、中川両氏がいかに北朝鮮やそのシンパから警戒され、嫌がられていたかがよく分かりますね。また、この集会で発言した石毛、小林両氏は次の選挙で落選しており、有権者の良識を見る思いがします。それにしても、こういう集会を、何も国会議員会館内でやらなくてもいいのに。ある意味、日本はどこでも何でも自由に発言できる素晴らしい国だということを表しているエピソードかもしれませんが、やはり納得できません。