私は今月2日のエントリで某与党の参院選広報戦術についてちょっと触れました。某与党とは、中国で最も有名な日本人の一人として知られる名誉会長がいる裕福な宗教団体を支持母体に持ち、憲法の定める政教分離の原則が、いかにどうとでも解釈できるものかを示す実例となっている政党のことです。こんな少ないヒントでは、何党のことかちょっと分からないかもしれませんね。

 政治と宗教との関係を語るとき、公明党と創価学会(面倒なので実名にします)、そしてその支援を受ける自民党が取り上げられることが多いように思います。それも当然なのですが、実際には永田町をうろうろしていると、立正佼成会、仏所護念会、世界救世教…といろいろな宗教団体が政治や政党とかかわりを持っていることが実感できます。果たして票に結びつくものなのかは分かりませんが、統一協会の機関誌を議員会館で見かけることもあります。

 さて、このたびの参院選での宗教団体の動向を見るとき、注目されたのが浄土真宗本願寺派でした。今回、初めて民主党から僧侶の藤谷光信氏を「特別推薦」し、当選させたからです。それまでは自民党から出馬させて僧侶を国会に送り出すことはあったのですが、民主党は初めてのことでした。背景には、教育基本法や国民投票法などをめぐる自民党の政治路線との不協和音もありましたが、やはり大きいのは創価学会と自民党との結びつきでしょうね。創価学会VS伝統仏教という構図が顕在化し、それを民主党がうまく利用したと。

 そこで、本日は民主党が仙谷由人氏と平岡秀夫氏の名前で、6月27日付で所属議員などに送った文書「藤谷光信候補予定者との協働行動について(連絡)」を紹介します。ああ、政党は選挙の際に、こういう風に宗教団体に働きかけるのだなという一端が分かると思ったからです。

 《6月19日に行われました藤谷光信(ふじたに・こうしん)・国会議員選対会議につきましては、国会の混乱を受け、会議開始の時間等につき、大変ご迷惑をおかけ致しました。心からお詫び申し上げます。
 さて、藤谷光信氏は浄土真宗本願寺派(西本願寺)が、33年ぶりにただ一人「特別推薦」をしている候補予定者でありますが、ご案内の通り、約1万カ寺の一般寺院にいたるのでの浸透には、なかなか困難な面も見受けられます。かと思えば、藤谷光信氏は、東西本願寺をはじめ、曹洞宗、真言宗など伝統仏教教団の連合体である全日本仏教会の推薦も頂戴しておりまして、その推薦状や「民主」号外(教育基本法特集号)などを持参しながら面談をいたしますと、本願寺派(西本願寺)以外の伝統仏教教団からも、熱いご支援を頂けているところであります。
 つきましては、「都道府県における宗教法人事務主管部局一覧」をご送付申し上げますので、その部局にご連絡の上、各都道府県の宗教法人名簿を入手なさり、その名簿所蔵の伝統仏教団(各宗派の寺院)をご訪問の上、藤谷光信候補予定者との協働行動をぜひおとりくださいますよう、お願いをする次第です。
 なお、都道府県によっては、例えば、東京都宗教連盟、大阪府宗教連盟などが、有料にて名簿を頒布しているところもありますが、原則として無料の情報公開資料ですので、この機会に入手されておきますと何かと便利ではないかと存知ます。
 また、浄土真宗本願寺派(西本願寺)のほか、真宗大谷派(本山、東本願寺/約8600カ寺)、真宗高田派(約637カ寺)、真宗興正派(約600カ寺)、真宗仏光寺派(約360カ寺)、真宗出雲路派(約57カ寺)などで構成する「真宗10派連合」(事務局、西本願寺内)という組織があり、その各派からも推薦状を頂いておりますので、真宗各派の寺院を訪問する際には、推薦状をご持参いただくと、より効果的かと存じます。
 両推薦状のコピーは、本日、藤谷事務所から発送しますが、それをコピーして御利用ください。推薦状に関するお問い合わせは、藤谷選対事務所・○○事務局長までお願いします。
 お問い合わせ先:民主党宗教と政治を考える会》

 …まあ、実際は、藤谷氏の得票数は7万9656票で、当選順位は民主党の比例代表で17位ですので、創価学会が脅威を感じるほど、今のところ伝統仏教団体から票が集まったとはいえません(自治労など労組票に比べても、たいした数字ではありませんね)。しかし、今回の藤谷氏の当選で、今後、さらに選挙への関与を高める可能性はありますね。分かりませんが。

 話は飛びますが、民主党が6月2日の全国幹事長会議に提出した「2007年参議院選挙 確認団体政治活動用ポスター証紙 配分案」をみると、各都道府県選挙区にポスターが傾斜配分されていることが分かります。当然なのでしょうが、人口に比例させず、候補者が強いところは少なめにしたり、接戦となりそうなところは多めにくばったり。例えば、東北ブロックを見ると、青森、岩手が2600枚なのに対し、宮城1800、福島1500などと。いやあ、選挙って本当に大変なのだと思います。それにしても、民主党はやはり、用意周到に今回の選挙に臨んだのでしょうね。自民党の方が、「なんとかなるさ」という空気が充満し、準備不足だったように思います。

 昨日、かつて参院で権勢ふるった某元議員と話をしたところ、彼は今回の参院選についてこう言っていました。いわく「安倍首相もかわいそうだ。候補者はあらかじめ決められ、差し替えは許されなかった。参院選を仕切る人物も戦術も決められた上で負けると分かっていた選挙を戦い、責任だけとれと言われてもな」。まあ、立場によっていろいろな見方があるというお話でした。