本日は、昨夜になって急遽決まった自民党総裁である福田康夫首相と民主党の小沢一郎代表の党首会談があったため、政治部員は少しばたばたしました。まさかとは思いつつも、もし自民、民主の大連立の話や、衆院解散の時期などについて話し合われていたとしたら大変だからです。会談のメインのテーマはテロ対策だったようですが、結局のところ、この二人が他の何について協議したかは「藪の中」でした。ただ、この自民、民主両党の党首会談は、自民と連立する公明党には不審を、民主党との協力を強化していた共産党には怒りを与えたようです。

 というわけできょうは、各党関係者のインタビューやブリーフ、記者会見の様子を通じて党首会談を振り返ってみようと思います。各人の証言から、会談の真相は浮かび上がるやそれとも否や…。まずは小沢氏から。

民主党の小沢代表ぶらさがりインタビュー、30日昼前

記者 どんな会談だったか。

 

小沢氏 福田総理から話し合いをしたいと。ざっくばらんに2人でということだったので、総理の話なので、結構ですということで、今日は今まで本当にざっくばらんな話を総理と2人でやってまいった。

総理からは特措法について、いつも述べられているような、内外の理由から、何とか協力してほしいという旨の話があった。私は、一般的な一般論として協力できることは協力するのは当然だが、この特措法については私どもは認められないと。自衛隊の海外派遣はきちんとした原則、すなわち国連の活動の枠内でしか許されないと。そういう主張を私も繰り返し、議論は平行線のままです。

 そのほか、いろいろの問題について、これはどちらかというと四方山の話になるが、ざっくばらんに意見交換をした最終的に総理の方から週末をメドにしてぜひもう1度話し合いをしたいという要請があったので、総理の要請であれば、もちろん私は結構ですと。また連絡をいただくことになった。

 

記者 国会会期の話は。

 

小沢氏 そんな話ではない。もっと基本的な。国会運営の透明のどうのこうのという話ではなくて、様々な問題の基本的なことについて意見交換をした。それは年金もあれば、なんもあるが、いずれにせよテーマがどうと絞ってではなくて、お互いに意見を交換し合ったということだ。

 

記者 一致点をみたものは。

 

小沢氏 今日の総理の方の一番のテーマは特措法だったと思う。総理は。それについては私どもの主張を明確に申し上げ、総理は総理で総理の考えを述べられた。その点については平行線だった。あとのことについては、何かを結論を得るという話でやったわけではなくて、一般的にいろんな話を、意見交換をしたということだ。いろんな話をした

 

記者 解散総選挙についてやりとりは。

 

小沢氏 そういうたぐいのことはしていない。

 

記者 週末に再度というが、目的は。

 

小沢氏 総理からの要請なので、総理にお聞き下さい。

 

記者 小沢代表は密室の会談をやらないと言ってきたが、何で密室になったのか。

 

小沢氏 なんで密室での会談なの?総理から話し合いをしたいというから、それを2人で話し合いをするのは嫌だ、というわけ? 変でしょ。話し合いをしたいと言ったから話し合う。国会の論戦については、国会でやるべきことはちゃんとやるべきだという方針は何も変わらない。密室でと言ったって、あんた方、周りにいたじゃない。ちゃんと公開、って話し合いの場を公開というわけではないけれど、みなさんにちゃんとお知らせして、正式に党首会談、これを密室と呼ぶのなら、それは見解の相違だ

 

記者 安倍前首相が申し入れた時は議題をまとめろと再度検討させたが、今回は具体的な話す内容があったのか。

 

小沢氏 国対委員長同士では、特措法に関連して何か、とにかく話し合いをしたいということだったようだ。

 

記者 代表から解散総選挙を迫らなかったのか。

 

小沢氏 そういう話は一切、触れていない。

 

記者 明日の党首討論について話は。

小沢氏 していません。

 

記者 特措法への対案については。

小沢氏 われわれはわれわれの主張をしたということだ。だってもう、(国会会期は11月)10日までしかないんでしょ。

 

記者 ISAF参加について代表が説明したのか。

小沢氏 違うよ。われわれの主張は、軍隊の海外派兵については、きちんとした原則に則らないとだめだと。その場その場の必要性だ、なんだかんだと理屈をつけて海外に兵を出して、大変な失敗をした例が半世紀前にあるではないか。だからきちんとして原則に則らなければならない。その原則とは国連の平和活動。その枠内でわれわれはできるだけ可能なことをやっていけばいいと。そういうのがわれわれの主張だ。

 

記者 それに対して福田首相の言葉は。

 

小沢氏 われわれの主張はわれわれの主張として言ったということだ。福田総理は福田総理が委員会やその他で言っていることをおっしゃった、ということだ。

 

記者 党首討論を翌日に控えてなぜ会談を受けたのか。

 

小沢氏 応じなかったらどうするの?あんた方、なんて報道する?小沢一郎は話し合いをしたい、というのを断ったといって報道するんじゃないの。話し合いさえ断ったなんて多分、あなた方は報道するでしょうが。話し合いはいけないの。総理の要請なので、あとはなぜ、そういう要請したのか。それは総理に聞いてください。私は特措法関連という趣旨で、という話は国対委員長から聞いていたが、総理がどうしても話をしたいということ、私はあなたと話したくない、というわけにはいかないでしょ。

 

記者 次回は週末メドというが、長期的にやるのか。

 

小沢氏 分からない。総理がそう言うから、私は総理のそう言う呼びかけならばいつでも応じると言っただけ。

 

記者 長期的にも呼びかけられたら応じるということか

 

小沢氏 応じなきゃいけないでしょ。どうするの。断るの、ダメっていうの。そういうわけにはいかないでしょ。総理が話したいというのだ。一国の総理だもの。日本の。

 

記者 総理は週末の会談のテーマを言ったか。

 

小沢氏 言わなかったです。いずれにせよ、もう一度、ゆっくりとざっくばらんにお互いに話をしたいと。そういう週末、メドにしてということだった。だから私は連絡をいただければ、可能な限り日程を、可能な限り応じるように用意しておりますと答えた。

 

記者 民主党や小沢代表にとって進んだこと、プラスになったことは。

 

小沢氏 別にありません

 

記者 年金が話題になったというが。

 

小沢氏 個別の詳しい話に入ったわけではない。昔話を含めていろんな話をした。現在のことがもちろんメーンだが、だから個別の年金やなんやについて、細かい話をしたわけではない。

 

記者 年金制度論というような話か。

 

小沢氏 そうですね。年金だけじゃないですから。

 

記者 2人で話した時間は。

 

小沢氏 最後に幹事長が入ってきた。》

 続いて福田首相です。記者への対応も、まだまだ癇癖を我慢して抑えているようですが、徐々に怒りやすく皮肉屋の地が出てきたように感じます。それが飄々とした持ち味だと評価されているうちはいいのでしょうが…。

 

福田首相ぶらさがりインタビュー、30日昼前

記者 まず党首会談のご感想を。

 

福田氏 感想?感想はですね。1時間お話ししましたけどね、小沢代表とね。非常になんと言うんですか、お互いの立場もよく分かっておりますからね、なんとかこういう状況を打開したいと、そういう思いをお互いにもって会談しました。それはそれなりによかったと思います。
 なにしろねじれ現象でしょう。衆議院と参議院でね。意見が違ってしまうという、そういう風な状況の中でまあどうしたらいいのかという、これはあの私もいちばん頭を悩まさなくてはいけない問題ですけどもね。小沢代表も同じような立場にあるんじゃないかと思います。ですから二人でよく話し合うということはとても大事だなと、そういう風な感じを持ちました。

 

記者 今日の会談で距離が縮まったか

福田氏 もともと私は近いと思ってますけどね。民主党は協力政党、こう信じてますから。

 

記者 達成感はありますか

 

福田氏 ええ?

 

記者 達成感は

 

福田氏 達成感。難しい質問だなそれは。達成感ね。会談をやったという達成感。中身はともかくとしてね。

 

記者 小沢代表から協力政党だという印象は

 

福田氏 ああ、十分感じましたよ。

 

記者 例えばどういうところから

 

福田氏 どういうとこって、全身からね、全身から感じました

 

記者 テロ新法で妥協はありますか

 

福田氏 妥協ってのは、妥協っていう言葉は私好きじゃないけどね。

 

記者 その会談の中で総理としては具体的にどんなことを要望されたのでしょうか

 

福田氏 もちろんね、いまの国会のこともございましたけども、その中で比較的急いでね、処理しなくてはいけない問題は、テロ新法ですよね。この問題を協力願えないかということは事情をお話ししまして、お願いをしました。

 

記者 それに対して小沢党首からはどんなお話しがあったか

 

福田氏 やはり今までの考え方というのがありますのできょうのところはまとまらなかった。残念ながらまとまらなかった。

 

記者 党首会談が週末また行われるという話があるが

 

福田氏 ええ、ですからね、また、こういう会談はもっとすべきではないかと。で、今日お話したことをね、また引き続きやってみようじゃないかと、ま、こういう事なんですね。どっかでね、一致点を見いださなければいけないと思いますね。ですからその努力をしてみようと、ま、いうことで、あの、お会いすることにしました。

 

記者 定期的に開催するのか

 

福田氏 定期的という意味じゃありません。今のところはそこまで話は進んでいませんけども。しかしね、そのくらいの必要性があるんじゃないかと思いますね。

 

記者 国会の会期についての話は出ましたか

 

福田氏 全然してません。

 

記者 選挙関係の話は出ましたか。

 

福田氏 ええ、それもしていない。うん。まあねえ、いろいろな政治情勢とか一般的なことは話しましたよ。意見交換という形でね、いろんなお話を1時間ありますからね、大分話ができました。

 

記者 小沢代表が出て行ったときは表情が硬かったが、会談ではどのような様子だったのか

 

福田氏 だっていつもこわい顔してるじゃない

 

記者 本日まとまらなかった要因は

 

福田氏 それはね、それは立場が違いますから意見が違って当然なんですよね。全部、1日1時間話してまとまっちゃったら、じゃあ今まで何してたのって話になっちゃいますから、そんな簡単な話じゃない。だから何回かお会いしていいんじゃないかって思います。いいね、じゃあ終わり。》

 大連立の影にびくびくしているのが公明党ですね。完全に埋没し、不必要な存在になってしまいますから。公明党は小泉政権時代も、小泉氏が大連立に言及した際、「まさか」と思いつつも「いや、自分たちはいつか切られる」という心配を抑えきれず、いろいろと確かめていましたね。その公明党の漆原国対委員長の記者ブリーフからです。

 

公明党、漆原国対委員長ブリーフ(福田、小沢会談の内容を自民から説明を受けた後)

漆原氏 最初、総理と小沢党首に両党の国対、幹事長が入ったそうです。10分15分は、ワインの会とか一般的な話。4人が退席し、2人きりになった。(2人になってから)40、50分した段階で両幹事長が呼ばれた。
 総理からお二方の話の総括を報告された。その内容は、「ねじれ国会のあり方について小沢さんとよく今後とも話し合っていかなければいけないという趣旨のお話をしました。もう一つは、テロとの戦いについて、ご理解をいただきたいという2点について話し合いをしました」という報告が両幹事長にあった。その後、さらに、総理から、今後とも継続してこの党首会談をやっていきたいので、その取り計らいをお願いしたいという話が、両幹事長にあった。

小沢代表も了解ということで、早速両幹事長が2日を目標にして2回目の党首会談の手続きに入る。ついては、福田総理がおっしゃるには、「明日の党首討論、ここでお互い丁々発止やったのではしこりが残るもしれない。したがって明日の党首討論もジャンプする方向でおとりはからい願いたい」という話があったそうです。ということで、明日の党首討論はなくなるが、その代わり明日は官房長官を中心にテロ特を動かすということになる。そんな報告を受けた。

 

記者 明日の党首討論の関係のところは…

 

漆原氏 全部福田総理のお話だ。その際に、伊吹幹事長から、「小沢代表はもともと談合的なことはやらない。国民の見えるところでとおっしゃってきたはずだが、今のようなやり方で本来国民が一番期待をしている党首討論をジャンプして、見えないところで党首会談やるというのは国民の期待に応えられないのではないかと」いうふうな質問をされたそうだが、そのとき小沢代表は「俺は田舎もんだから、そんな器用なことはできない」と。
 器用なことというのは、一方で仲良く会談やり、一方でドンパチやるということを意味するんでしょうね。「だけども、自民党が明日やるというのであれば、俺はやってもかまわない」という言い方をされたということだ。そこで伊吹幹事長が、「明日の党首討論については自民党、民主党だけの問題ではない。参議院もからんでいるし、また、公明、共産、社民、民主、国民みんな関連していることです」と申し上げたら、総理から「円満にやるために一つよろしく頼む」と言われて、その手続きに入る、こうなります。
 
私の立場から言っても本来は、明日、総理と小沢さんの初の対決になるわけだ。民主党がなぜ対案を出さないのか、小沢代表の言っているような憲法論で国民は本当に満足するのか。また今小沢民主党は給油活動は憲法違反だといっているが、しかし、9・11の後に開かれた国会での承認手続きでは、自衛隊がインド洋に派遣されることについては民主党は衆参ともに賛成をした。その辺の矛盾は一体どうなるのか。本来この辺を総理が党首討論で聞きたいところだなあと期待をして待っていたんだだが、あれほど密室での談合に反対だと言っていた小沢党首が、なぜここに来て、オープンの党首討論を取りやめて、ある意味で小沢さんの言う密室談合の党首会談をさらに続けるのかなあという不審な気持ちを持っています
 ただ、重要な国益に関することですから、話がうまくいくのであれば、また福田総理が何としても世界から日本が笑いものにならないようにありとあらゆる努力をされているんだということを、深く受け止めているのが今我が党の状況です。

 

記者 不審な気持ちを持っているというのは先ほどの与党の二幹二国二政(幹事長、国対委員長、政調会長会談のこと)でも漆原さんはそんな発言をしたのか

 

漆原氏 そうですね

 

記者 ほかにどんな意見が出たか

 

漆原氏 何で小沢さん、(党首会談を)飲むのかね、今日だけじゃなくてね。今日は、結論的には内容はほとんど決まらないわけで、もう一回やろうというのは一体どんな成算があるのかなと今までの小沢さんの態度と全然スタンスは違うわけでしょ。一体どんなお考えなのかね、という気持ちはみんな共有していましたね

 

記者 総理がこう主張して、小沢代表はこう主張したという説明はなかったのか

 

漆原氏 それはないんです。伊吹幹事長もそういう報告は受けてないそうです。

 

記者 党首討論はジャンプの方向で合意したが、総理か小沢かどっちが言い出したのか

 

漆原氏 そこまで説明はないんです。伊吹さんもそこまではしらないんでしょう。これはたぶん、そこは政治家のトップの話ですから、明日党首討論を延ばすことは、総理から言っても大きな影響があるだろうし、ましては小沢代表からもうし入れがあって、総理が受けよといったら、もっと大きな意味があるだろうし。たぶんそこは曖昧にされているのではないか

 

記者 党首討論は延期か、中止か

 

漆原氏 延期でしょうね。

 

記者 総理から、国会の手続きや運び方以外に、テロ特を合意に導くための指示はないのか

 

漆原氏 今日のところはないんです。今私が聞いた段階では2回目の会談のセットと党首討論の中止延期の手続きを指示されたといってます

 

記者 会談が平行線に終わったことで、会期は一日一日なくなってくる。

 

漆原氏 だから、そういうふうに見るのか、一回で終わらなかった二回目という話があるということが何らかの妥結の感触を双方もったのかということだろう。そこのところは分からないが、双方とも模索の中で、何らかの感触を持ったのであれば、もう一回やろうという話になりますわね。

 

記者 何のためにもう一回会談するのかについて自民党から説明はあったか

 

漆原氏 いや、何のためにというのは、「総理からもう一回やりたいというご指示があった」というふうに報告を受けました。

 

記者 党首討論を延期することで明日テロ特を動かすというのはいつの段階で合意に達したのか

 

漆原氏 これは現場で両国対委員長がOKしたそうです。国会を空回しするわけにはいかない、やっぱりテロ特動かさないといけないねという双方の判断が一致したんでしょう。

 

記者 とりあえず明日までか

 

漆原氏 今のところは明日まで話がついたということだ。》

 最後は、すべての小選挙区に候補を立てるという長年の方針を転換するという婉曲な形で、しかし、同時にとても効果的な選挙協力を民主党との間で行うことにした共産党です。怒っています。裏切られたと感じたのでしょうか。

 

   共産党、市田書記局長記者会見、30日午後

市田氏 きょうの自民党と民主党の党首会談について日本共産党の見解を述べる。第一に、テロ新法の野党としての初めての質疑がきょう午前10時から6時間行われる予定になっていたのを、しかもこれはテレビ中継されることになっていた。ところが、うち2時間を、午前中、文字通り密室で自民党と民主党だけの2党の党首会談に時間を割いた。これは国会運営、議会制民主主義のあり方からいって、きわめて重大だ。

国民の前で堂々とテロ新法についてそれぞれの政党が何を考え、どういう意見を持っているか、ということを示して国民に判断してもらうのが民主主義のあり方なのに、しかもすでに決まっていたものを、2党の都合で、経過は福田総理のほうから党首会談を申し入れたと聞いているが、2党だけの都合で国会運営を、そういう形で強引に変更することは許されない

 二つめに、党首会談ということはありえる。我々も党首会談に出たことはある。わたしは書記局長になって7年になるが、いつも党首と同行して出ますが、7年間で何回か党首会談はあったが、自民と民主だけの党首会談はいちどもなかった。全野党と自民党の総裁・総理との会談だとか、二党間の個別会談の場合も、自民と民主だけでなく、自民と共産、自民と社民というのもやった。今回のように二党だけで党首会談をやるやり方は絶対に許されない。テロ新法についてそれぞれの党の考え方がある。いくら議席の多い党だからといって、その党とだけ重要問題を、しかも国民の前でなくて密室でやるというのは、容認できない。

 さらに、あすに予定されてすでに決まっていた国家基本政策委員会の審議、いわゆるクエスチョンタイム(党首討論)も、これから開かれる合同幹事会で中止が決まると。週末金曜にもう一度、自民民主の党首会談が行われると。テレビを通じて国民の前にクエスチョンタイムで考えを示しあって国民の審判を仰げばいいのに、国民の目から覆い隠されたところで両党だけで会談をやる。これを密室談合と言わずしてなんというか激しい憤りをもって私たちは抗議したい

 小沢さんの記者会見を聞きましたら、密室ではないと、党首会談をやると言って党首会談をしたから密室ではないと。これは、成り立たない議論で、党首会談をやると言っただけの話で、別に公開の場でやった会談ではない。会談の結論を皆さんに話されたが、どういう話し合いが行われたかは国民の前には明らかにされていない。こういうのを世間では密室というのであって、見解の相違ではなくて事実の問題だと思う。

 福田総理の記者会見をみると、再度会談するのかということを聞かれて、きょうのところはまとまらなかったので、引き続きやってみようということで一致したと。定期的にやってみるのかと聞かれ、それくらいの必要性はあると。

国会の会期や解散問題は出なかったが、いろんな政治情勢とか一般的な話はしたと。小沢氏との距離は縮まったかと聞かれ、もともと近い、民主党は協力政党だと信じますと。もともと考えの近い協力政党とだけ会談して、重要な物事を二党だけで決めていくというやり方は、正しくないとわれわれは感じている。堂々と国民の前で論議していく。党首会談をやるならすべての政党ときちんとやるべきだというのが我が党の考え方だ。

 

記者 民主党から説明はあったか。

 

市田氏 穀田国対委員長に話があり、やりたいというが、われわれは反対だと。われわれは認められないとはっきり申し上げた。昨日の午後六時くらいだ。僕の家に、携帯にあったのは7時くらい。

 もともと小沢さん自身が、党首会談を別に否定するわけではないが、オープンな場がいくらでもあるじゃないかと。国会の論議を通じてと。クエスチョンタイムという場もあると。そこでやろうじゃないかとずっと言ってこられた。自分の前言を否定するようなことをされて、どこがおかしいのか、密室でもなんでもないと。国会の論議とこれとは矛盾しないんだとおっしゃっているが、どう考えても密室協議と言われても仕方ない行いだ。

 各党全部集まった党首会談なら、どこの党がどう言ったか全部分かる。マスコミの方は中に入れないが、終わった後に全部各党ブリーフィングをやるので、ほぼ全容が明らかになる。(今回は)ほとんどどういう話し合いかわからないですよね。1時間くらいやらにれているが、新テロ特措法について協力願いたいと、協力できないと。それだけの話で、それは以前から分かっている話で、もっといわば公になったら困るような話しをするときに普通、オープンにしないでやる。そういうことは、国会の民主的運営、議会制民主主義の精神からといってよくないとわれわれは言い続けてきた。重大な問題だ。

 

記者 党首会談の結果の連絡は民主党からあったか。

 

市田氏 穀田委員長にあった。電話で。それは公にされている話だけです。

 

記者 今回の党首会談は、野党共闘に影響するか。

 

市田氏 もともと私たちは一致する点ではどういういきさつがあっても力を合わせてがんばろうと。新テロ特措法に反対の立場を民主党さんがとる限り、その点では一致して力を合わせてやっていく立場に変わりはない。

 しかし、例のISAFや国連決議さえあれば自衛隊を戦闘地域であるアフガンの陸上に出す考えはこれまで批判してきたし、これからもしていく。一致点では協力するが、意見の違う点は堂々とフェアに論争していく立場だ。

 本当に皆さんもひどいと思いませんか。あすの党首討論は決まっていたんでしょ。二党だけの都合で金曜もまたやるからあすはやめようと。こんなバカにした話はない。きょうはテレビが入って10時から6時間、昼の休憩をはさんでやることになったのに、2時間分は密室で国民はわからない。残り4時間を午後やる。与党質問だけ終わっていて、野党が本格質疑するのはきょう初めてだ。それを国民の前でやらずに、どうして。そのために質問時間が6時間が四時間に縮められた。ほんとに重大な問題だ。》

 …党首会談の中身と目的は、今のところ本当に「真相は藪の中」なので私には分かりません。しかしまあ、政治はいろいろなところで動いており、後で振り返るとあのときが分岐点だったなあ、ということがよくあります。今回の会談がそんな重たい意味を持つのか、それともそんなにたいしたものではないのかは、まだ判断できませんが。しかし、いずれにしろ国会はいよいよ何でもありの局面になってきた気がします。