今朝は、通勤電車内で、旧知のT弁護士とたまたま会ったので(利用路線の関係でたまに一緒になるのです)、「明日からの福田首相訪中はどうせニコニコして握手を交わしてくるだけだろう。ガス田問題も進展などするわけがない」などと雑談していたところ、そのままT氏の事務所にお邪魔することになりました。すると、T氏が「いいものを見せてあげる」と言い出し、案内してもらったのができたばかりの保守系シンクタンク、「国家基本問題研究所」の真新しい事務所でした。ジャーナリストの桜井よしこ氏と、田久保忠衛・杏林大客員教授らが中心となって呼びかけたものだそうです。

 T氏によると、このシンクタンクは18日に約40人が参加して事務所開きをしたばかりだとのこと。予定では、来年1月に米国による北朝鮮のテロ支援指定国家指定解除に反対する声明を出し、その後、記者会見やパーティーを開いて活動を本格化させるそうです。将来的には、米国にあるようなときの政権の政策・方針にも影響を与えるような大きなシンクタンクにしていきたいという話でした。現在のメンバーは以下の通りです(50音順、敬称略)。

 理事=石原慎太郎、伊藤隆、稲田朋美、遠藤浩一、小倉義人、城内実、斎藤禎、桜井よしこ、高池勝彦、田久保忠衛、塚本三郎、中條高徳、中西輝政、長島昭久、西修、平河祐弘、平沼赳夫、松原仁、屋山太郎、渡辺周
 評議員=荒木和博、井尻千男、上田愛彦、潮匡人、梅澤昇平、工藤美代子、佐藤守、すぎやまこういち、芹澤ゆう、立林昭彦、西岡力、春山満、平松茂雄、渕辺美紀
 企画委員=桜井よしこ、田久保忠衛、高池勝彦、潮匡人、遠藤浩一、大岩雄次郎、城内実、島田洋一、冨山泰、西岡力

 民主党の若手議員が3人メンバーに入っていて、平沼氏も参加しているのが目につきますね。これがどういう意味を持つのか。官僚はあえて入れなかったそうです。既得権益保護に走ることを警戒したということでしょうか。すでに支援者も集まりつつあるというこどした。桜井氏恐るべしです。「趣意書」にはこうあります。

 《私たちは現在の日本に言い知れぬ危機感を抱いております。緊張感と不安定の度を増す国際情勢とは裏腹に、戦後体制から脱却しようという志は揺らぎ、国民の関心はもっぱら当面の問題に偏っているように見受けられます。平成19年夏の参議院選挙では、憲法改正等、国の基本的な問題が置き去りにされ、その結果は国家としての重大な欠陥を露呈するものとなりました。
 日本国憲法に象徴される戦後体制はもはや国際社会の変化に対応できず、ようやく憲法改正問題が日程に上がってきました。しかし、敗戦の後遺症はあまりに深刻で、その克服には、今なお、時間がかかると思われます。「歴史認識」問題は近隣諸国だけでなく、同盟国の米国との間にも存在します。教育は、学力低下や徳育の喪失もさることながら、その根底となるべき国家意識の欠如こそ重大な問題であります。国防を担う自衛隊は「普通の民主主義国」の軍隊と程遠いのが現状です。
 「普通の民主主義国」としての条件を欠落させたまま我が国が現在に至っている原因は、政治家が見識を欠き、官僚機構が常に問題解決を先送りする陋習を変えず、その場凌ぎに終始してきたことにあります。加えて国民の意識にも問題があったものと考えられます。
 私たちは、連綿と続く日本文明を誇りとし、かつ、広い国際的視野に立って、日本の在り方を再考しようとするものです。同時に、国際情勢の大変化に対応するため、社会の各分野で機能不全に陥りつつある日本を再生していきたいと思います。そこで国家基本問題研究所(国基研・JINF)を設立いたしました。
 私たちは、あらゆる点で自由な純民間の研究所として、独立自尊の国家の構築に一役買いたいと念じております。私たちはまた、日本の真のあるべき姿を取り戻し、21世紀の国際社会に大きく貢献したいという気概をもつものであります。
 この趣旨に御賛同いただき、御理解をいただければ幸いに存じます。御協力を賜りますようお願い申し上げます。》

 ここに書かれている問題意識は、私も完全に共有します。日本がこのままで溶けていってしまう、しかし、現在の政治情勢、国会の構成では政治にもなかなか期待できないというときに、こうしたシンクタンクの活動が始まるのは有意義なことだと考えます。ある程度の規模と広がりを持たないと、社会に意見を十分に発信していくことは難しいでしょうが、その点でもメンバーはまだまだ増えそうですし、将来性に期待が持てる気がします。

 犬も歩けば何とやらとはちょっと異なりますが、いつもと違う時間に電車に乗ったおかげで、来年に向けて楽しみが一つ生まれました。今年は参院選以降、どうしても日本の将来にとっていい材料が思い浮かばず、煩悶することが多かったのですが、一筋の光明を見た思いです(少しおおげさですが)。こうした保守系の活動が本格化し、その提言が政権・与党や国民各層の耳に届き、一定の影響力を持つようになればと心から願います。

 鬼に笑われたくはありませんが、来年のことを考えると、支持率下落傾向にある福田政権がいつまでもつかが一つのポイントですね。福田首相の求心力が低下すれば、自民党議員の大半は思想・信条の優先順位は低く、ただ選挙に勝てるリーダーの下につきたいだけですから、衆院選前の内閣総辞職、そして麻生政権誕生へといっきに流れるかもしれません。民主党の小沢代表は、福田首相のままで戦いたいでしょうが。

 平沼新党構想に期待をかける人も多いようです。ただ、これもタイミングと状況次第だと思うのですが、新党結成にはリスクも考えられます。例えば、自民、民主両党の保守派がある程度平沼新党に結集した後、保守派がほとんどいなくなった自民、民主両党が大連立し、公明党もついていった…なんてパターンも想定できます。となると、完全なサヨク・リベラル政権ができ、保守派はそれにほとんど影響力も発言権も持たなくなるという事態も生じかねません。逆に、平沼新党がキャスティングボードを握るような展開になれば面白いのですが、どうでしょうね。

 まあ、先のことは分かりませんから、今はこつこつとやれることをやるだけですね。私自身も年が改まるのをきっかけに、心機一転したいと思っています。政治はまだまだ、来年もドタバタ劇や離合集散、悲喜こもごもの愛憎劇に脱力してしまうような愚かな現象…といろいろありそうです。