きょうは、国会議員会館をうろうろしてさきほど仕入れてきたばかりの情報を報告します。なぜ、これほど多くの識者がとんでもない悪法だと指摘し、今朝の読売新聞社説も「当然、断念すべきだ」とまで書いている人権擁護法案について、自民党内に熱心な推進派がいるかの一つの解答となっている内容でした。不透明だった部分がすっきり見えてきたというか。ありていに言えば、部落解放同盟と当時の政府・自民党との取り引き・密約があったということです。

 人権擁護法案反対派の某議員によると、それは2004年秋ごろの話でした。当時、YKK時代からの小泉首相の盟友(飲み友達)、山崎拓首相補佐官は女性スキャンダルによって落選中で、05年4月の衆院福岡2区の補欠選挙に立候補する意向を固めていましたが、選挙の見通しは楽観できるものではありませんでした。

 そういうときに、小泉首相の飯島勲秘書官や自民党幹部のもとに、部落解放同盟の組坂委員長が訪れ、「補選ではうちから2000票を山崎氏に出す。その代わりに、小泉首相の施政方針演説か所信表明演説に、人権擁護法案の件を入れてくれないか」と申し出てきたそうです。解放同盟は基本的に民主党を支持していますが、あえて山崎氏に投票させるから、というのです。そして、政府・自民党側はこれを受けたというわけです。

 小泉氏自身は、施政方針演説に人権擁護法案を盛り込むことに「どっちでもいい」という無関心な態度だったそうですが、結局、05年1月の施政方針演説には「引き続き人権救済に関する制度については、検討を進めます」という一行が入りました。このとき、唐突なこの一文に、人権擁護法案反対派の議員たちは当惑し、慌てていたのを思い出します。そうして山崎氏は4月の補選で民主党候補に1万7千票余りの差をつけて当選し、国会に返り咲いていま、膨張した山崎派の会長として大きな顔をしているわけです。

 小泉氏は、この年9月の参院本会議では、民社党の神本美恵子氏(日教組出身)の質問に答え、人権擁護法案について「政府・与党内でさらに検討を進め、できるだけ早期に提出できるように努めたい」とも答弁しました。山崎氏の選挙でのお礼のつもりだったのか、本当にそうすべきだと考えていたのかは分かりません。ただ、この法案は小泉氏の興味・関心をひく種類のものではないような気がします。

 ともあれ、反対派の某議員によると、この「解放同盟が山崎氏に2000票上乗せ」という話は永田町ではけっこう知られている話だそうで、某議員自身、飯島氏本人から直接この話を聞いているほか、過去に推進派の古賀誠氏(現選挙対策委員長)らから翻意を促された際にも、「これこれこういう事情もある」と説明を受けたこともあるそうです。そういえば山崎氏自身、党人権問題調査会の「顧問」に就任し、人権擁護法案を推進する立場ですね。

 …まあ法案推進派の動機はこの件だけではないでしょうが、正直な感想を記せば、また山崎氏か!というところです。こんなところでも山崎氏の存在が陰を落としているのか、一体なんなんだこの人は、と。現在、推進派の中心人物である古賀氏も二階俊博総務も「道路」の件で頭がいっぱいで、人権擁護法案まで手が回らないという観測もありますし、解放同盟自体が、あまりこの法案にこだわってもかえってイメージが悪くなると思い始めたのではないかという人もいますが、やはり油断は禁物ですね。…本来ならば、国会議員にはこんな非生産的なことに労力を費やすよりも、日本を少しでも良くするために働いてもらいたいものですが、いやはやなんとも。