本日は朝からヒル米国務次官補が外務省に来て幹部と会談したり、中国の唐国務委員が福田首相や高村外相らと会談したりで、けっこう忙しく過ごしています。おかげで夕食も、外に食べにいくこともままならず、記者クラブでパン食(私はご飯党なのですが)で済ませました。まあ、仕方ありませんけどね。

 このヒル氏に関しては、昨年12月10日のエントリ「ヒル米国務次官補の『非礼』と日本の存在感」でも、当時の佐々江アジア大洋州局長をトランジット先の成田空港まで呼びつけたエピソードを紹介しましたが、北朝鮮にやたらと融和的な一方、日本にとってあまり好ましくない人物であるように思います。某外務省幹部は「失礼な奴だから、ここ2、3回は向こうが『会談したい』と言ってきても会わなかった」と話していましたが…。

 ともあれ、きょうヒル氏はまず、外務省の西宮伸一北米局長と会談し、沖縄の女子中学生暴行事件に遺憾の意を表明しました。この会談では、西宮氏も遺憾の意を表明したので、双方が遺憾だと言い合っている形になりました。写真は会談後、記者団のインタビューに答える二人の姿です。

 

 ヒル氏は次に、1月に現職に就任したばかりの斎木昭隆アジア大洋州局長とも会談しました。ヒル氏は斎木氏に、19日に北京で行った北朝鮮の金桂冠外務次官との会談内容を説明し、北朝鮮が昨年10月の約束を履行して「完全かつ正確な核計画申告」を実施しない限り、6カ国協議の首席代表会議は当面開かれないだろうとの見通しを語っていました。斎木氏も「まだまだ道は遠いという印象を持った」と話していました。次の写真右側は斎木氏です。

 

 外務省幹部によると、ヒル氏は昨年11月ごろまでは、北朝鮮との融和的姿勢が強く、妥協も辞さずという様子だったのが、その後、ブッシュ大統領から強い指示があったということで、簡単には妥協しないという態度に転じたと言います。まあ、この言葉がどこまで実態通りなのかは分かりませんが、確かに、一時期は今にも実行されそうで、日本政府もあきらめムードだった米国による北朝鮮のテロ支援国家指定解除も少し遠のいた雰囲気はあります。

 この後、ヒル氏はトヨタの青いハイエースに乗って外務省を離れたのですが、それからさらに、与野党の議員団と会談しました。私はこれについては取材していませんが、同僚記者によるとメンバーは自民党の山崎拓氏、加藤紘一氏、衛藤征士郎氏、民主党の仙谷由人氏、枝野幸男氏、公明党の東順二氏らだったそうです。

 で、同僚記者のメモによると、山崎氏や加藤氏ら北朝鮮融和派という共通項のある「仲間」との会談で気が緩んだのか、ヒル氏は山崎氏らに、次のように本音を語ったようです。

 「核、ミサイル、拉致すべてが解決しなければ日本が国交正常化に至らないことは承知しているが、核問題が解決しないと拉致問題もミサイル問題も解決しない。核問題が先行して解決するのが大前提だという認識をもってほしい拉致問題の真相は分からない。見るべき進展というなら、再調査が重要だ。北朝鮮は拉致は解決済みと言っているから、再調査となれば局面は大転換する。再調査させることが重要だ」

 これは、自ら「ワシのはクリエイティブ・ブリーフィングやから」と公言してはばからない山崎氏のブリーフ(山崎氏の記者に対する説明のいいかげんさも、一昨年12月8日のエントリ「テキトー発言で東京新聞に皮肉を書かれた山崎拓氏」で書きました)に基づくので、これまたこれが正確な事実であるかどうか疑問は残るのですが、ほかの議員たちも聞いている話でもあるので、たぶんその通りなのだろうと思います。

 もっとも、このヒル氏の発言は、今まで彼が言ってきたことと基本的に同じ趣旨であり、驚く必要はないのかもしれませんが、やはり日本側の拉致問題への思いとは遠いところにいるようです。また、北朝鮮に拉致問題の再調査といっても、北はすべてを知っていてあえてあえてとぼけているのですから、ほとんど意味はなさそうに思います。要は北のトップとその周囲が決断するかどうかでしょう。繰り返しますが、山崎氏のブリーフなので細かいニュアンスがどうだったかは怪しい点もあるのですが、それでもヒル氏の拉致問題に対する認識に、改めてがっかりした次第です。

 話は飛びますが、きょうは、こんな人たちも外務省に来ました。日米地位協定の見直しなどを高村外相に訴えるためです。写真は、高村氏に出迎えられて大臣室に入るところです。

   

 さて、本日、民主党の小沢代表は韓国の李明博次期大統領に対し、外国人地方参政権付与法案について「実現できるよう努力したい」と述べました。党内には、反対派・慎重派も少なくないわけですが、小沢氏はどうするつもりでしょうか。自分の威光でまとめられると思っているのか、何も考えていないのか。写真の鳩山幹事長は、党議拘束を外して自由投票にする考えも示していますが、この問題について小沢氏と鳩山氏がまともに話し合ったとは考えにくいと思います。

 民主党の外国人参政権反対派議員に、この小沢氏の発言について電話で伝えて感想を求めたところ、「バカだねえ、何でそんなことを。まいっちゃうな、本当にひどいなあ」と嘆息していました。反対派の勉強会は、党内に対立を生むことを恐れてこれまで控えめに活動してきましたが、小沢氏の発言で推進派議連側が勢いづくのは間違いなく、それに対する対応も必要となってくるでしょう。

 自民党の人権擁護法案と民主党の外国人参政権付与法案、それぞれの動きから、やはり当分は目を離すわけにはいかないようです。参院選の行方がまだ見えていなかった去年の今頃は、一年後にはまさかここまで日本がボロボロになっているとはあまり考えなかったのですが…。