福田首相は昨日、韓国新大統領就任式への出席を前に、韓国報道機関の共同インタビューを受けました。その中で、永住外国人への地方参政権付与法案への対応を聞かれ、とりあえずは慎重姿勢を示しました。産経政治面(最終版)も「首相、在日外国人の参政権慎重」と報じています。しかし、韓国記者とのQ&Aを読んでみると、福田氏が本心ではこの法案に賛成であることがうかがえます。そのやりとりは次の通りです。

 中央日報記者 外国人参政権問題について、前向きな考えを持っているのか。

 

 福田氏  在日韓国人への参政権付与の問題は、在日韓国人の方から強い要望があることは承知している。私も何度も相談を受けたことがある。しかし、このことは国の制度の基本に関わることなので、もう少し国民の間でよく議論させてもらいたい。軽々に引き受けられるとは申しあげられない。しかし、実行するときには実行したい

 この「実行したい」の部分を記事にしていたのは、私が見る限り読売だけ(見出しにはとっていませんが)でした。今朝の読売は社説でも「たとえ地方であっても、外国人に参政権を認めることはできない」と書いており、GJだと思います。

 私が何度も書いてきたように、福田氏は「波風立てるのを嫌う」政治家であり、かつ外国人参政権を推進すると党内外の保守派の反発を買うことを承知しているので、当面はやる気がないと述べています。でも、福田氏本人が「最低4年はやる」と言っているように、長期政権になれば、外国人参政権付与も実行したいという考えを持っているようです。

 この問題では、わざわざ福田氏の前に李明博次期大統領に会いに行った民主党の小沢代表が「実現したい」と李氏に明言しました。最大野党のトップで次期首相の可能性もある人物が、韓国の元首となる人物にこういうことを言ったことに関しては、外務省幹部も「国益を損ねる」と怒っていましたが…。

 ちなみに、昨日夜の福田氏と記者団のやりとりはこうでした。

 

 記者 小沢代表がイミョンバクと会談し、外国人地方参政権法案の早期成立が望ましいと発言。この問題についての総理の考えを

 

 福田氏 この問題は、私も何度も、なんとかなりませんかと相談を在日の韓国人から受けている。しかしながら、難しいのは、日本の制度の基本、根幹にかかわる問題なんですよ。ですから、よくね、今後も議論して、よい結論を求めていかなければならないと思いますが、ちょっとね、その議論が足りないと思ってます。

 

 記者 訪韓の際には言及する予定はあるか

 

 福田氏 これは、話として提示されればそういう趣旨の話をするしかないと思っております。軽々にね、じゃあお引き受けします、そういうふうにしましょう、っていうわけにはいかないと思いますよ。》

 ここでも慎重姿勢は崩していませんが、外国人参政権自体に否定的ではないことはうかがえます。おそらく、自民党内で議論されている人権擁護法案に対しても、反発を恐れて推進を明言しないだけで、本心は賛成なのだろうと見ています。それは、福田氏のこれまでの言動や政治姿勢から間違いないと思います。

 なんだかなあ、と世を憂いたくなる気持ちですが、昨日はもう一つ、うろんな動きがありました。私が今月15日のエントリ「民主党・『北朝鮮友好議連』(?!)が発足します」で紹介した「朝鮮半島問題研究会」が初会合を開いたのです。今朝の産経は、政治面4段で「対北『融和』議連が発足 民主有志ら 自民との連携視野」と報じています。

 私は昨日も忙しくて取材に行けませんでしたが、記事には「対話の一環として北朝鮮訪問を検討するほか自民党側で訪朝を模索している同党朝鮮問題小委員会の山崎拓最高顧問(元党副総裁)らと連携する方針」
「(会長の)岩国氏は、小沢一郎代表の訪朝の将来的な実現に期待感を表明」「岩国氏は来週にも山崎氏と会談し、自民党との超党派訪朝団も含め、連携について協議する考えだ」 などと書かれています。あーあ。やはりそうでした。

 安倍政権が倒れたら、こういうことになるのは分かり切っていましたが、もうなんとかならないものでしょうか。いまさら言っても無意味な話でしょうが、サヨクメディアのネガティブキャンペーンに乗せられて、安易に安倍政権を批判し、足を引っ張っていた保守系言論人の顔が次々に浮かびます。別にあの参院選の結果は、彼らのせいだとまでは言いませんが、なんだか八つ当たりしたい気分です…。ちなみに、明日放送のフジテレビ報道2001の調査では、福田内閣の支持率はとうとう2割台に落ち込んでいるようです。