きょう、ふと気付くと、外務省の敷地内に植えられている桜が花を咲かせていました。まだつぼみだけの木もありますが、何本かは気が早く、もう6分~8分咲きといった感じです。やはり、日本の春には桜が欠かせませんね。あいにく曇天のため、花が青い空に映えるような写真は撮れませんでしたが、まずは白い花をつけた木から。

   

 次の写真は、ピンクの花びらをつけた桜です。桜といえば、真っ先に東京・井の頭公園で花見をしながら酒を飲み、麻雀をしたときのことを思い出します(十数年前のことです)。帰りにJR某駅の階段で麻雀牌をぶちまけてしまったのですが、通りがかった見知らぬ人たちがみんなで拾い集めてくれ、日本人は優しいなあ、と改めて感じ入ったのでした。愚かで間抜けな行為をしても、ちゃんと助けてくれる人たちがいるというのはありがたいものです。

   

 また、桜と言えば、昨年末に中国を訪問し、「桜の咲く頃」の胡錦涛国家主席の訪日で合意してきた福田首相をつい連想してしまいます。当初は4月半ばの予定だった胡氏の訪日は、中国製ギョーザ中毒事件の発生や、東シナ海のガス田問題が一向に決着しないため、5月6日ごろの訪日へと延びましたが、今度のチベット騒乱事件で、またどうなるか分からなくなりましたね。私は意地が悪いためか、外務省の桜は、胡氏が来るまでにさっさと咲いて早く散ってしまおうと考えたのかなと、そんなことを思い浮かべた次第です。

 胡氏にしてみれば、事件発生後、初めての外国訪問、外国首相との会談になりますから、当然、世界も注目するでしょう。「お友達外交」がモットーの福田首相は、本心ではチベット問題になど触れたくないかもしれませんが、会談で何も言及しなかったら、国内外で批判を集める結果となるでしょう。もちろん、ギョーザ事件も東シナ海の問題も当面、解決する見込みはありませんし、どうやったら会談は成功したと言えるのか、頭を悩ませているかもしれません。

 昨夜、少し話をする機会があった某元政府高官は「胡氏訪日は、また延期になるのでは」との見通しを示していました。ただ、胡氏訪日が無期限延期になった場合、ダメージを受けるのは中国側ではなく、福田政権だとも言われています。日銀総裁も決められず、諸物価の値上がりにも何の手も打てずにする福田氏としては、外交分野で何としても得点を上げたいところでしょうが、予定していた10年ぶりの中国元首訪日すら実現できないとなると、いよいよ自民党内からも「一体なんなんだ、この人は」という声が高くなっていくでしょうね。

 さて、その福田氏は、チベットの騒乱事件についてこれまで何も発信してきませんでしたが、昨晩のぶらさがりインタビューで、ようやく短いやりとりがあったので紹介します。実につまらない内容ですが、それが福田氏らしいというか。

 《記者 中国のチベット自治区の騒乱が拡大しているが、その受け止めと、五輪と国家主席の訪日を控えて、どう対処するか

 福田首相 これはですね。私ども大変憂慮しております。あの双方がね。冷静に適切な対応を取ってほしいなと思っております。以上です。》

 何が「以上です」なんでしょうね。世界が注目する大規模人権弾圧問題に対し、事件発生から何日もたってようやく口にした言葉がこの程度です。憂慮しているそうですが、何を憂慮しているのか。迫害を受けているチベットの人たちの身の上を案じてのことではきっとないのでしょうね。

 随分とまた前置きが長くなりましたが、ここからがエントリのタイトルに関連する部分です。昨日、外務省の某氏から、「こんなことがあったのを知っているか。中国では、国家権力が拉致を認めているよ」と、ダライ・ラマ法王日本代表部事務所のホームページから印字したものを手渡されました。

 タイトルは「ゲンドゥン・チューキ・ニマ少年の失踪」。ダライ・ラマ14世が1995年5月14日に、ニマ少年を「転生霊童」だとし、パンチェン・ラマ11世として公式に認めたところ、そのわずか三日後に少年は両親とともに中国警察に拘束されたという内容でした。

 チベット亡命政府をはじめ、諸外国の政府機関などが少年の居所を公表するように中国政府に繰り返し要請しても、中国政府はそれに応じず、失踪してから1年間も、少年の拘束すら認めなかったそうです。そして96年5月28日になって、中国はようやく国連こどもの権利委員会の調査への返答という形で拘束事実を認め、「少年は両親の要請に基づいて政府が保護している」「少年は分裂主義者によって連れ去られるおそれがあり、身の安全が脅かされている」などと説明したといいます。こんなバカな話に納得する人はいないでしょうに。

 …これは、外務省の某氏が言うように、拉致・監禁そのものですね。また、チベット仏教そのものを破壊し、崩壊させようという意図と、いかにダライ・ラマの影響力を怖れているかもうかがえます。中国という一党独裁の専制国家の本質がよく分かるエピソードだと思います。今回のチベット騒乱事件をきっかけに、こうした中国の実態が改めて注目され、周知されることを期待します。そうなれば、福田氏の「憂慮」はより深まるかもしれませんが、私は福田氏が首相であること自体を一番憂慮しているものですから、全く同情は感じません。