通勤途上に桜並木を写したものです。花がほころび、つぼみもふくらんで満開も近いなと思いました。春爛漫という言葉がありますが、やはりこの季節はいいですね。学生だった随分昔は、春はクラス替えや卒業といった別れをイメージして何だか寂しさも感じたものですが、最近は純粋にいい季節だなと楽しんでいます。日本の政治状況はいま、まさに厳冬といった趣きですが、いつかは春が、そして灼熱の夏が到来することを祈りたいと思います。

 さて、今朝の産経新聞の第3社会面に、小さく「映画『靖国』に最優秀賞」という記事が出ていました。読むと、「靖国神社を題材にした映画『靖国 YASUKUNI』が、第32回香港国際映画祭で最優秀ドキュメンタリー賞を受賞した」とあります。おいおい、待ってくれよという気分です。これは、偏向・反日映画として話題になった作品のことですね。まったく中国のやることは…。

 実は25日、国家基本問題研究所の外国人参政権問題に関するシンポジウムを取材した後、会場にいた山谷えり子首相補佐官(教育再生担当)と立ち話した際に、山谷氏から「靖国の映画は観た?ひどいわよ、あれは」と聞いたばかりでした。でも、この反日映画に、政府は750万円もの助成金を出しているわけですから、中国のことばかり批判してはいられないなと思いました。日本人自身がしっかりしていないから、外部に付け入られるのだと。

 で、このとき山谷氏から、「きょうの参院文部科学委員会で水落さん(自民党)がこの映画のことを、義家さん(同)が北教組(北海道教職員組合)のことを取り上げるから、チェックしておいたら」とも勧められました。ただ、私は別の仕事があって難しかったので、政治部の原川貴郎記者、社会部の小田博士記者にそれぞれ連絡し、委員会の様子を見てもらいました。ありがとう。

 二人はあとで取材メモを送ってくれたのですが、水落氏と義家氏がそれぞれ文科省の答弁に「残念」「がっかり」と似たような感想を述べているのが興味深いと思ったので、そのメモに基づき国会でのやりとりを紹介します。一般のテレビで放映されない国会質疑で、議員がどんな質問をし、それに役所側がどんな回答をしているかは、あまり新聞やテレビにも出てこないでしょうし。もとより、文科省にはその権限に基づく限界があるのは分かっているのですが、確かに答弁にはやる気というか、前向きさが感じられないというか。これも福田内閣だからこうなっている、という部分も否定できないでしょう。以下、25日の参院文部科学委員会でのやりとりです。

 《水落敏栄氏 (「明日への遺言」を見て、岡田中将の態度に日本の武士道を観て感動したと話した上で)もう一つ観た「靖国」という映画、これはまことに不愉快、不快極まりない映画でありました。映画をどう感じるか、観た人の問題でさまざまですけれども、私はこの映画、反靖国の映画と見ました。それは国や靖国神社を相手取った、いわゆる靖国神社訴訟の原告である真宗の僧侶や台湾の高砂族を登場させて、かれらの主張を語らせていますけれども、靖国神社支持者のコメントは断片的で、映画に盛り込まれているさまざまな映像とか写真の中には、中国側による事実誤認やねつ造が指摘さされるものが多く含まれている。そして靖国神社、日本刀、軍国主義など、残虐なイメージをすり込もうとしておりまして、反靖国プロパガンダ映画と私は思っています。
 しかし、どう感じるかは観た人の問題ですから、反靖国がどうのこうのということはこの際、問題にはいたしません。しかし、この映画ですけども、極めて客観性に欠けることは否定できない。こうした客観性に欠けるものや、政治的なものを意図する映画に、われわれの税金が出ていることに問題があるわけです。すなわち、文化庁が指導する芸術文化振興基金からこの映画に750万円の助成金が出ていることはまことに大きな問題であると思っています。

 まず文化庁にお尋ねしますが、この映画は日本映画でしょうか?会社は日本で登記をしていると言っているが、監督の李纓は中国人であって、共同プロデューサーには日本人の名前もありますけども、共同製作は北京電影学院など中国で、しかも、タイトルは「YASUKUNI」と英語で示されております。スタッフ紹介等も8割方が中国名です。こうしたことから私は中国の映画と思っていますけれども、助成の対象となるのは日本映画ですから、まずこの点について文化庁の答弁を聞きたい。

 

 高塩至文化庁次長 独立行政法人の日本芸術文化振興会の芸術文化振興基金によります、映画の製作活動の助成対象者につきましては、映画の製作活動を行うことを主たる目的とする団体で、過去に国内で一般公開をされた日本映画を製作した実績を有する団体とされているところです。そして日本映画とは、我が国の法令により設立された法人により製作された映画です。また外国の製作者と共同製作された映画につきましても、日本芸術文化振興会がその著作権の帰属につきまして検討して、日本映画として認めているところです。ご指摘の映画「靖国」の製作者でございます有限会社「龍影」は、わが国の法令により設立された法人でして、また過去に日本映画を製作した実績もあることから、独立行政法人日本芸術文化振興会の審査会において、助成の対象になると判断されたものと承知いたしておるところです。

 

 水落氏 文化庁はそう言うんでしょうけども、映画の中では日本語で話していますから、錯覚するんですけども、私は日本の映画とは思えない。中国映画になぜ日本の芸術文化の金を出すのか、「問題ない」とお答えいただいても、私は到底納得いかない。そして商業的、政治的、政治的な宣伝意図を有するものには、助成金は出せないとあるが、小泉首相が総理就任以来、靖国神社参拝を続けていることを、中国は大きく問題視していた政治的背景がある。小泉さんの靖国参拝、こうしたことをこの李監督は、中国側の考え方を十分意識していたんじゃないかと私は思っているんです。反日的で客観性に欠ける、また政治的背景がある映画に助成金を出していいのか、この点をお尋ね致します。

 

 高塩次長 芸術文化振興基金の助成交付の基本方針として、基金による助成についきましては、ご指摘がございましたように、政治的宗教的宣伝意図を有するものではないということとされているところです。また本記録映画を審査いたします専門委員会の評価の観点として、活動の目的、内容が優れていること、また具体的であること、社会的に開かれていること、さらに過去の実績から推測して実現可能であること、さらに予算や経理が適正であること、などの評価の観点が備えられているところです。この「靖国」の審査を行いました平成18年度の記録映画専門委員会におきましては、ただいま申しあげた基本方針や評価の観点をもとに、6名の専門委員の合議の上、審査が行われ、助成が決定されたと承知しています。

 

 水落氏 いや、問題ありますよ、これね。この映画が記録映画の助成金対象活動に採択されて、助成金が出ている、こういうことですけど、そして一方記録映画の審査は、審査委員会の決定に委ねられて、特に台本が存在しないことが多い記録映画については、提出された企画書等を中心に審査審議して助成するということになっていますね。つまり完成された作品の内容審査は行われずに、映画が完成すれば助成を行うということですから、いい加減としていいようがない。750万円のも税金を出すのに審査もしないというのは、文化庁としても指導監督上責任があると私は思っています。今から1年前に審査会は試写会で映画を見ていると発表していますけども、そのときの委員の皆さんの意見はどうだったのか。議事録があれば、ぜひお聞かせいただきたいし、繰り返しますけれども、客観性に欠ける映画であって助成の対象にはならないんじゃないかと思いますよ。したがいまして、この助成金750万円は、この際返還すべきだと思っていますけれども、この点をお伺いいたします。

 

 高塩次長 芸術文化振興基金の映画製作支援に当たりましては専門委員会におきまして合議審査が行われ、助成を内定したのちに、完成試写会を実施いたしまして、映画の完成を確認してから助成金の支払いを行う手続きを執っているところです。映画「靖国」につきましても、平成18年の9月に専門委員会において合議審査が行われ、同年10月に助成が内定した後、平成19年3月に完成試写会が実施され、専門委員会として映画の内容を確認した上で、同年4月に助成金が支出されたところです。このように今回の件につきましては、独立行政法人日本芸術文化振興会におきまして、一つ一つ所定の手続きに従いまして審査が行われているものであると承知しております。独立行政法人に対しましては、定められました中期目標、中期計画にしたがいまして業務の運営が行われていることにつきまして、国として評価を行うという仕組みになっているところでして、所管の官庁として一般的な監督権限はない考えているところです。

 

 水落氏 まことに答弁については残念であります。委員長にお願いします。資料要求としてこの審査会の委員のメンバーをぜひご報告いただきたい。よろしくお願いします。やはりですね、そうしたこういう客観性に欠けるまた政治的な意味合いも含めたこうした映画はやはりあの、観る人によっていろいろ違いはあると思いますけれども、明らかにこれは中国の映画であって、客観性に欠ける映画だと思っております。これはぜひ、再検討いただいて、われわれの税金である750万円を返していただきたい、このようにお願いをして私の質問を終わらせていただきます。

 …文科省は、「監督権限はない」と逃げていますが、本当でしょうか。私は、教科書問題などをずっと取材してきて、文科省が自民党の保守系議員らにする説明や言い訳は信用できないという思いを持っているのです。文科省は、明らかに保守系議員や保守系論壇よりも左翼勢力を怖れ、その言うことに従っているという印象があります。日教組とも馴れ合っていますしね。この映画の件にしても、某自民党幹部は私に「文科省の某氏が説明に来たけど、彼は『文化庁が映画に協力しているかのように宣伝されて困っている』と言っていたよ」と話していました。でも、実際に750万円も助成金を払っているのですから、十分協力していることになると思います。

 もう一つ、今度は北教組のスト問題に関するやりとりです。北教組と言えば、国会前の座り込みの常連で、日教組の中でもアクティブな単組ですね。昨年、北海道教育委員会によるいじめ実態調査や、札幌市教組による学力調査に対し、「協力するな」とする指示を出していたのは記憶に新しいと思います。

 

  《義家弘介氏 1月に、メリハリある給与体系をめぐって、大きな問題があった。北教組が時限ストを行い、処分された。道内の4万5000人の教職員の3分の1にあたる約14000人が勤務中に校外に出て時限ストをしたが、この大問題についてどうか

 

 渡海文科相 今、ご指摘があった件については、極めて遺憾なことだと考えている。そういえば、私が子供のころも、「今日はストで学校は自習だということがあったなぁ」と思い出していた。我々は今、北海道教委および札幌市教委からも、文部科学省に(2月~3月にかけて)呼びまして、状況の報告を受けるとともに、スト参加者においては、任命権者としての権限と責任ということで、厳正に対処して頂きたいということを申し上げて要請したところです。文科省としては、北海度教委および札幌市教委に対し、教職員の服務規律の確保に厳正をきしていただくようにしていただきたいと。そのように考えているところです

 義家氏 私も北海道に12年いた。北教組は北海道の教育界には、かなり大きな影響力をもっているが、地方公務員法違反は明らかだと思う。教育基本法16条違反に該当するかどうか。大臣はいかがか

 

 渡海文科相 ……。(質問が理解できなかった様子)

 

 義家氏 すいません。説明が足りなかった。(16条の)教育は、不当な支配に服することなく、この法律に定めるところにより、という規定について

 

 渡海氏 職務命令違反なのですから不法行為だという認識だ。

 

 義家氏 子供達は失敗すると裁かれる。どんな行為だろうと。昔の私もそうだったが、責任をとるべきだ。教員は明らかな法律に抵触する行為を3分の1もが堂々と行えてしまう。この状況でメリハリある給与体系とは、大きな戦いになると思う。私の友人にも北教組加入者がいる。その先生は真面目で熱心な男だが参加して処分された。「何でお前が部活を放り出してこんなことをするのか」と連絡したところ、「自分だけ参加しないと大変なことになるんだ」と。大袈裟かと思ったが、そう言っていた。そういう縛りも存在する。この処分者のなかには、教頭昇進試験合格で登録された49人、試験受験者67人も含まれていて、教頭がいなくなる事態を避けて、登用するという方針がでている。そういう人も管理職になる。私の友人いわく、「そんなことしたら、公務分掌とか時間割とか大変なことになる。結果として、自分は部活をやりたかったけどできなかったんだ」という話だった。平然と時限ストをうってしまえる人が管理職になることについては渡海文科相はどう考えるか

 

 金森越哉初等中等教育局長 教頭登用者が参加したのは、極めて不適切であると言わざるをえないと考えている。過去に処分を受けた者を教頭として登用するかどうかについては、任命権者の北海道教委において、権限と責任に基づき判断されるべきだが、学校の責任ある管理運営態勢を確立するためには、管理職の登用を厳格に行い、適格者を任命することが重要だと考えております。いずれにしても、文科省としては、北海道教委に教職員の規律確保に厳正にするよう引き続き指導したいと存じます。

 

 義家氏 札幌は政令市。この処分は同一性がない。北海道は参加者の大半を処分した。99%を処分したが、札幌は授業を放棄した、授業をしなかった人間だけを処分し、他は文書訓告としたわけだが、この違いがある。同じ北海道でありながら、同じ組合活動で行われたのに、教委の対応が違う。このへんについては、どう考えるか

 

 金森局長 北海道において、教職員のストという法令上禁止されている違法行為により、約1000人の教職員が懲戒処分を受けたのは極めて遺憾だ。実際にどのような処分を行うかは、基本的には任命権者の裁量に委ねられている。今回の処分については、北海道教育委員会と札幌市教委での権限と責任に基づき、それぞれ判断したと考えている。いずれにしても、教職員の職務規律の確保を厳正に期していただくよう、北海道、札幌市に引き続き指導したい。

 

 義家氏 行為が同じでも、教委によって処分がバラバラだ。教育としてまったく説得がないと思うが

 

 金森局長 ご指摘のように、北海道教委と札幌市教委で、今回のストに対する処分の内容に違いがある。先ほど答弁したように、実際にどんな処分を行うかは、基本的に任命権者の裁量に委ねられていることから、こういった違いが生じたと考えている。

 

 義家氏 違いが生じたと考えるのはよいが、本当にこれでよいのか。同じ行為、同じ場所で、同じ目的だが、管轄者によって処分が異なる。これは良いというしかないというのが文科省の姿勢でしょうが、今後とも、こういうのは起こりうる。教育の説得力はまったくない。同じ行為で、ある子は無罪放免である子は処分。こういうところについて、文科省としてどんなガイドラインを出すのか。どんな要求をするのか。今後が問われる。北教組はいじめの再調査も、学校に対して拒否しろと指示していた。滝川事件も含めてイジメ自殺がおこったなかで、再調査さえ拒否しろと。かなり問題がある部分だと思う。これに対し、国も後押ししていかなければいかんと感じる。

 北教組は日教組に属する組織だが、中教審にも日教組関係がいる。本当にスピードを持った教育再生はできるのか心配だ。文科省は一足退いて対応している。中教審に日教組が入っていることについての資料は持ってきてくれなかったが

 

 加茂川幸夫生涯学習局長 委員構成と運営についてのおたずねだ。事実関係だと、委員には30人の学識経験者がいる。総会を構成している。この委員には含まれていない。臨時委員もいる。臨時委員としては、出身者の一人が1名(注:渡久山元日教組書記長のこと)おり、初中分科会に分属されている。議事は報道機関に公開されている。会議終了後には議事録を公開している。制約はない。

 

 義家氏 非常にガッカリする回答だ。議事に起こされる問題ではなく、裏側で思惑が交錯するのが行政の世界だ。私は心配している。》

 …教育委員会が行政処分を行っても、教職員組合が強い地域では、逆に処分を受けた人の勲章にしかならないという場合が存在します。以前、私が取材していた山梨県教職員組合の違法な政治活動問題でも、県教委から処分を受けた人物が、次の定期異動で平気で昇進していました。山梨の場合は、教委幹部に組み合い出身者が一定数入っていて、教職員人事自体、半ば組合が決めるので、熱心に選挙運動などをやった教員の方が出世するのです。ここでも文科省は無力というか、きちんとした影響力を行使できずにいます。渡海氏などは、どこか他人事と思っているような印象すら受けます。

 これは弊紙も含めてですが、新聞にはよく「政治家が官僚に圧力をかけてうんぬん」という記事が掲載されます。しかし、官僚に本当に言うことを聞かせることができる政治家など、よほどその省庁の利権に食い込み、人事にも影響力を持つようなほんの一握りの存在で、ふつうは「のらりくらり」と誤魔化され、あるいは役人答弁ではぐらかされて悔しい思いをしているのが政治家の実態だと感じています。
 
 一般に考えられているより、政治家と官僚の関係では官僚の立場は強く、政治家は、たとえ大臣であっても、官僚の更迭(配置換え)はできても、クビにすることはできません。公務員制度に守られた官僚は、開き直ればとても強く、選挙のたびにただの人になるかもしれない政治家より、むしろ強気に振る舞えるのだと思っています。どうせ1~2年で交替する大臣よりも、ずっと天下り後まで永続する官僚同士の上下関係とその指令の方が重要に思えるでしょうし。

 まあ、福田首相は、自分は民間出身のくせにその官僚が大好き(官僚の言いなり)ですからね。福田氏はいま、石破防衛相を信頼し、重用しているように見えますが、もともと小泉内閣で石破氏が防衛庁長官に登用されたときには、石破氏が拉致議連会長を務めていたことなどから、「右派」だと勘違いして警戒していました。ところがあるとき、石破氏が建設省の事務次官の息子であることを知ると、とたんに「君は次官の息子かあ」と親愛の情を示すようになったと聞いています。何かコンプレックスでも抱えているのでしょうね…。