本日は29日に開催された人権擁護法案の成立を目指す自民党人権問題調査会(太田誠一会長)の第12回会合の模様を、例によって原川記者のメモをもとに報告します。できれば今朝の産経政治面の記事「賛否両論派なお溝」をご参照いただきたいと思います。イザブログの字数制限(1万字)に引っかかるため、一部を省略したことをお断りします。やはり字数の関係で私の感想は入れないこととし、メモをそのまま提供します。

 太田誠一氏:久しぶりに開会する。空白の時間に何をしていたかというと過去11回調査会で講師を呼び、活発なご意見の開陳をいただいた。なるべく事柄の本質を失わないように、われわれの案をつくらないといけないということでその案をつくる時間をいただいたわけです。だいたい方向が固まってまいりましたので、先週から個別に私どもの案を示してご意見をいただいてきたが、意見を聞いていない同僚議員もいるので、フェアでないので、今日ぜひ説明をさせていただきたい。(中略)


 【目的】法律の目的は「人権侵害を行ったとされる側との話し合いによる解決」等の救済制度を導入し、人権問題を法の支配の下に置く。旧法案は、人権尊重社会の実現を目的としていたが、大変大上段に振りかぶった目的だったが、淡々とやっていくんだということだ。

【人権救済対象の限定】現在の制度で行っている援助とか説教など任意の人権救済の対象を、今は大変広いが、それを憲法14条が定める人種等による差別や障害疾病による差別、名誉毀損、プライバシー侵害に限定する。従来の人権救済制度から何が除かれたかといえば、隣近所の紛争。対等な人の間のもめ事は対象にしないということをはっきりさせた。(中略)

言論の自由を脅かすことになるのではないかという差別的言動は、反復して行われるものに限定した。

【制度濫用の防止】どうやったら、逆差別とかがされないかということにも注意を注いだ。その結果、(中略)勧告に対しては不服申し立てができるとした。また特定の歴史観にもとづく被害申し立てといったものについては救済の対象から除外する類型をはっきりさせて、法律に盛り込む。申し立てられる側の保護ということで、対抗措置をとれる制度を創設し、同一の救済手続きの中で処理するものとする。例えば申し立てを受けた、それは自分を陥れるために申し立てているんだと申し立てられた側が思ったときには、申し立てに続いて即自分の保護申し立てをする。そうすると同じ委員会でこれが取り上げられて、例えば申し立てられた側に理があるということになれば、それがはっきりする。

【その他】 差別的言動については、微妙な取りか使いが必要だということで過料の制裁を除くことにした。報道機関について特別扱いせず、法の支配の下に平等な扱いとし、将来検討課題とする。報道機関のためにわざわざ条項をつくって、メディアスクラムといって集中豪雨的な取材をしてはいけないとわざわざ言うのではない。普通の国民と同じようにメディアも同じルールのもとでやってもらうということだ。特別扱いはしない。人権侵害があれば、厳しく普通の人とおなじように取り扱う。(中略)

人権擁護委員については現行制度を維持する。外国人は除外される。なぜならば今の人権擁護委員は地方参政権を持っていないといけない。地方参政権を持っている制度をそのまま継続することで、外国人は排除される。


 塩崎恭久氏:11回の勉強会の中で、われわれが学んできたことを要約して先生方の議論の前提にしていただいた上で、太田私案を検討いただきたい。そもそも今の人権擁護機関といっているが、地方法務局でやっている人権擁護の仕事の法的根拠はなにかといえば実は法務省の設置法しかないということが勉強会で分かった。人権擁護局の局長次第でやり方がどうにでも変わってしまうという法律立てになってしまうのが大前提で、それがゆえに今回のような提案があり得るということだ。(中略)

簡易な救済と積極救済。すなわちこの答申は一般的な救済制度として新たな人権救済制度を設けて簡易な救済と積極的な救済を設けなさいということになっている。勉強会で、日大の百地章先生も、基本的には答申を踏まえて議論したらいいのではないかと、おっしゃっている。(中略)

学校裏サイトみたいなのに書き込みをされていじめられ自殺するとか、学校を辞めざる得なくなるようなケースのときに、現状でどういう手だてがあるのか。A子死ねばいいとか、いろいろサイトに書かれて、A子はどう思うかというと書き込みを消してくれ、学校にも行きたい友達とも仲良くしたいと思っている。しかし、警察にいっても脅迫罪に当たるけれど、軽微だということでまったく相手にされないし、民民だということでやられてしまう。学校に行って相談しても学校がまともに受け止めなかった場合は泣き寝入りするが、裁判しかない。(中略)書き込みをやめるとか退学をとめてくれとか、まったく関係のないレベルでの裁判をやらざるをえないということで人権救済制度をつくったらどうかということだ。


 【主な議員の意見】

 

吉田博美氏:私は山口県の柳井市に生まれた。小学校4年のときに父の会社が倒産し、夜逃げ同然で山梨の方に両親が出稼ぎに行き、祖母のもとに預けられた。もちろん近所の人たちは大事にしてくれたが、かなりのみなさん方から「あれは夜逃げしたんだ。借金だらけだ」と言われ本当に嫌な思いをしながら学校に行った。そして最大のショックは同級生から「お前のおやじは夜逃げしたんだろう」。こんな嫌な思いを経験し、山梨に転校した。そしたら今度、「お前の言葉は山口県の言葉で全然分からない。外国人のような言葉だ」と言われ、また嫌な気持ちになってまた転校しなければならない。そうした嫌な気持ちを少年時代に持ったのが、いまだに50年たっても、気持ちから抜けさらない。
 そうした中で、人権侵害はいつどこで、誰に起きるか分からないわけです。そうしたときに、もちろん道徳教育等で人権侵害をなくすのは望ましいが、決してそうではない、今現実に人権で被害を受けている人がいる、そうした人をいかに救済するかが今私たちの果たす役目じゃないか。私は太田私案に賛成でございます。

 

近江屋信広氏:私も初めて発言させていただく。前回の調査会に出てみた。ある意味非常にびっくりした。そこで前回出された資料が行政救済制度の現状とか、あるいは行政的な解決手段がそれぞれの個別法であるのかどうなのかという資料で勉強したと思う。その際、資料として示されたのが5点か6点の論点整理だった。それに対し皆さんいろんな反対論もあり、結局太田会長がとりまとめて論点について検討していくとまとめられたので、てっきり今日はその論点について一つずつ検討がはじまるのかなあと思ったんですが、会長私案なるものが出てきて、この私案をここに出すことがみんなで決めたのかどうなのか。さっぱりよく分かりませんが。そのいずれにしても、この前出された4つか5つの論点整理、あれは内容がおかしいんだと思う。
 前回の議論を聞いていても論点は二つじゃないかと思う。まさに人権擁護法案か、今回の、実態は同じだが、名前を変えた法律が必要かという論点。もう一つは、個別の救済制度がなかったり不十分だったら、一つ一つ手だてを補填していけばいいのであって、そういう個別法の改善で十分対処できるのではないかという論点。二つの論点しかないと思う。この二つの論点のうち、今後どう取り扱っていくかというと、やはり新法は必要でなくて、現行法の対処で足りるということの方を先に論議すべきだ。それを、そういう論点整理の問題点。太田先生のこの前の最後のとりまとめとまったく違う進め方をしているというその進め方についての異論もある。前回の会議で、大前先生の意見非常にショッキングだったんですが…。

 

鶴保庸介氏:手短に。先生方発言はたくさんありますから。

 

稲田朋美氏:都合の悪い発言だけ遮るのはおかしいじゃない。

 

鶴保氏:(キレて)そうではありません!公平にやるために発言を簡潔にお願いをします!

 

近江屋氏:大前先生が前回、かつて同和の方から、地域改善の法律があって、あれは逆差別であり、新しい新法はこれを拡充し、固定化するものではないかという意見を聞き、私は大変ショックを受けました。こんな大変なことをこのまま看過できないと思った。その点も含めて、私もよく議論に参加させていただいて。人権確保ということは大切ですから、十分議論をしていきたいと思います。

 

鶴保氏:先生、ちょっと短めにお願いします。

 

岩屋毅氏:事前に私案についてお話ししていただいたものの一人だが、大事な問題なので勉強させていただきたいと答えたが、どうもすっきり府に落ちない。というのは法律万能主義的な気がしてならない。できるだけ弊害を生まないように、対象を限定する考え方でつくられているが、およそ人間関係のやりとり、特にメンタルな面での作用は、数学的機械的に場合分けできるものではないのではないか。やっぱり人権問題についてはふわっとした大網をかける基本法というのはつくっていいんだと思うが、いよいよ人権侵害行為について具体的な救済方法を考えるというときには、問題の所在が明らかで、当該侵害行為が形式的にも明確に判断できるものについて、個別具体的にピンポイントで対応するアプローチが正しいのではないか。(後略)

 

長崎幸太郎氏:私は弱者の視点、被害を受けた人の視点は重要だと思う。被害を受けるということは社会的にも弱い立場の人。いじめられているんですけど、どこにいったら今の窮状を救ってくれるんですか、というところを設ける必要がある。判例の枠を出ないということなので、不必要に広がる恐れはないんじゃないか。弱い立場から見れば、裁判起こすのはしんどいから、できるだけ穏便にやっていきたいという中で自らの立場にたってお手伝いいただけるところがあるというのは政治として重要だと思う。個別法の議論ですが、話し合いの手段で解決出来ないような問題かつ上乗せでやらないといけないようなときに、個別法をつくるべきだ。上乗せ処分が必要であれば、そこは個別法で上乗せするべきで、まず一般的な話し合いの入り口というのは、弱い人たちのために政治として手をさしのべるべきだと思う。

 

矢野隆司氏:一般法の存在意義、まったく同感。一つだけ例を申しあげるが、拘置所、刑務所に入ると、身分帳という囚人ファイルをつくられる。現在の犯罪者囚人ファイル。それぞれの犯罪者にあるのはかまわないが、例えば富山の冤罪事件。法務省に囚人ファイルはあるのかと聞くと、個別具体的なことはいえないが、あります、と言われた。なぜ犯罪事実がない人の囚人ファイルがなぜあるのかと聞くと、刑務所に入っていたことは事実だから行政文書として30年間保存しないといけない。なぜ保存する必要があるのか聞いたら、刑務所に入ったときに免許書が切れたときに、更新するときの書類が必要。免許証を更新するのに囚人ファイルがなぜ必要か。囚人ファイルの中身は、囚人の目つき、態度、言葉遣い、なまっているのか、どもっているのか、指があるのかないのか、入れ墨があるのか。犯罪事実のない一般人の囚人ファイルを30年も残すのは人権問題じゃないかといった。こういう人たちを救うのは、やはりこういう人権の救済機関、少なくとも太田私案にある公務員の行う差別的取扱に当てはまると思う。ぜひ、こういう法律をつくる必要があるという立場から発言させていただいた。

 

大前繁雄氏:包括法に対する批判が厳しいのでそれに対応する案としてつくられたと思う。ブラックリスト方式というか、問題があるものを列挙して、なんとかこの法案を通したいという意思はよくわかる。一点聞きたいが、人権救済法で、国際基準を満たすのかどうか。

 

西田昌司氏:太田先生ならびに塩崎先生のご説明をいただき、われわれがついてきたところ、かなり改善していただこうという気持ちは分かる。敬意を表したいと思う。ただやはりかなり無理がある。何度も言っているが、人権侵害というのはTPOによって、人権侵害だったか、しつけだったか、友達とのコミュニケーションであったかどうかは、全部変わる。これを法律で決めてしまうとぎすぎすしてしまうし、本来の人間の生活に支障が出てくる。

例えば私案の中でも、反復して行う差別的言動と書いてある。公衆浴場に行くと入れ墨の方お断りとなっているが、これも人権侵害になってくると思う。そういう入れ墨をどんどん若者が最近はしているが、それを放置していていいのか。そういう方々が、人権侵害だといって、いわゆる常識が通らない社会をつくっていいのかといことを私は恐れる。そうならないためにも法が社会を支配するのでなくて、モラルがあっての法なんだ。モラルが法によって犯されてしまっては、立ち直りできませんよ、日本は。そこは私は強く、皆様方に分かっていただきたいと思う。

塩崎先生がおっしゃった、例えばの案で、(学校裏サイト)メールで書き込みがあって、今まではできなかったが、新しい制度ではこれができるとおっしゃった。確かにそうかもしれないが、しかし、これでこの子の問題は解決できるんでしょうか。できないと思う。結局は自分で乗り越えないといけない。私の子供も中学のときにいじめに遭っていた。たまたま知って、それはその当事者を呼んできて、対決させて、お前何やっているんだ、お前も言うことないのか?と自分の子供にも言って、対決させない限り、それは乗り越えられませんよ。人権委員会に訴えて、消してもらえました、で気持ちが落ち着いて、次また友達と仲良くできるかといってもできない。
 結局、これは頭の中で考えたもので、現実の日本人の社会の常識というものが欠けてしまっている。本当に子供たちを救おうと思えば、乗り越えていかないといけない。ですから、法律でなくてモラルが社会を支配する、道義を大切にしていく、と。この法律をつくることによって逆に道義がなくなってしまい、モラルが法の支配のもとで消されてしまうことが一番問題だと思う。私はこの法律の問題はそこにあると思う。

 

早川忠孝氏:人権救済法という名称を変えたらどうか。社会的な弱者といわれるような権利救済を実現するような施策を根拠づける基本法みたいなものをつくっておいて、それで、それぞれの分野で個別にまだ現在の制度では裁判にはいきづらい、行政でも対応できない中間的なところについて智恵を出していく基本的な考えは、私は正しいと思うが、ただ、太田私案という形で調査会長が自ら案を出されてしまうと、これが一人歩きしてしまうので、むしろ、いくつかの案をみんなで出し合いながら、いいものをつくりあげていくという基本的な概念の中で、鍵的なものをあまり一律に厳しくやるという従来の政府が提出していた人権擁護法案は、これで完全に消えた思うので、新しいものをつくるためには、もう少し柔軟な対応をしないといけない。(後略)

 

稲田氏:12回参加しており、太田先生の熱意には感動しているが、私はやはり、調査会がこの法律を、とにかく人権に関する包括的な法律をつくるんだという前提でこうやって動いていることに私は反対なんです。法律は立法事実があるためにつくるかというと立法事実があるためにつくるのだが、何のために法律をつくるかいまだ分からないし、国民がこの法律をなんで臨んでいるかも分からない。

今回、この私案の中に、人権問題を法の支配の下に置くと書かれているが、人権擁護局長も、専門家だったら、日本は法治国家なんですよ、人権問題は法の支配の下に今も割る訳なんです。私はずっと12回議論を聞いてきて、だんだんと私たちの意見を細かく入れていただいたんだと思うが、私は、白紙で、昨日、私案を主人、弁護士20年以上やっている、私より優秀ですけど、見せましたら、「何が書いてあるか分からない」と言ったんですよ。「一体何がこの法律で書いてあって、何のためにつくるのか、はっきりって申し訳ないけど分からない」って言ったんですよ。私がそれが現実だと思う。
 一体何のために、法律をつくるのか。そして法律をつくったことによる弊害が大きい。不法行為を除くからいいだと言うが、そんな簡単なものですか人権擁護局長。不法行為がなんであるかを争って専門家が判例に基づいて最高裁まで争っている。不法行為を除くということはそんな簡単なものではない。また、セクハラ等の調停がある。話し合いなら民事調停がって、裁判に行く必要はないし、損害賠償だけでなく、保全処分があるのに、なぜ人権擁護局長は専門家だったら、ひな壇の先生方にきちんと説明されないのか不思議だ。私は、こういった法律をつくる余裕が一体わが党にあるのか。こんな問題はどんどん議論していく余裕が一体あるのか。そうすることによって、わが党が国民の民意からどんどん離れていくことを非常に危惧いたします。

 

太田氏:論点整理して、その通りにやっていないのは、その通りでございます。議論をしているなかで、論点整理しようとすると、論点整理の仕方そのものについて異論が多く出てくる。そうするといつまで経っても、旧人権擁護法に対するやりとりでまた終わってしまうので、大変申し訳ないけれども、そこはカットさせていただいた。(後略)

 

桜田義孝氏:多くの批判の中で、現在の人権問題が存在するのか、しないのか。存在するものに対する解決策が、批判の中では全然ないように思う。日本の社会は支え合い、助け合いが必要、法律以前の問題として解決する。アメリカ型の訴訟社会に日本を持ち込むが適当かどうかには大きな疑問を持っている人間だ。訴訟社会に持ち込むべきではない、話し合いの中で解決するのが日本人的な価値観。私はぜひこのようなことで太田私案を中心に進めていただければありがたい

 

中谷元氏:人権が法の支配の下にはあると思うが、国連の活動も国際法があって戦争防止ということなっているが、やはり紛争は起こるので、そのために予防とか防止をする。そのために話し合い。カウンセリング、悩みとかを聞いてもらうだけでもかなり落ち着く。やはり制度としてこのような相談の場を設けて問題を処理するということにおいては、法でカバー出来ない部分を吸収できるということで必要ではないかと思う。論点整理の答がないという話だが、かなり論点を吸収して改善した点では評価できる。世の中自由も必要だが、自由平等博愛。平等をいかに実現するかも政治に求められていると思うので評価したいと思う。

 加藤紘一氏:私は太田私案はこれから手直しする部分がこれからあるのかもしれませんが基本的に賛成です。人権は守られる制度はできています。しかし、それが完璧に細かなところまで本当に行き渡っているかというと危ないところもある。私自身も自分が守られないと思うときがある。でも私は裁判に訴えません。そういうケースはいろいろあると思う。それを従来ぎすぎすしないようにしたのは、コミュニティです、家族です、親戚縁者です。その中で「おいお前、そんなこと言うもんじゃないよ」と、斜めの関係があった。隣のおじさんがうちの息子を怒ったり、どこかの町内会の野球を教えることが非常にしっかりしていたお兄ちゃんに怒られて、ですから、尊敬していたあの人に怒られたかといって、ちっちゃな子が、自分は悪いことしたんだと、そういうコミュニティがマーケットメカニズム世界、グローバライゼイション世界の中で崩れてきたからこういうことが起きているんで、そこはちゃんと認識して、裁判に至らない前のメカニズムを考えることは絶対必要だと思ってる。
 それから今日はじめて出席させていただいて、意見言って失礼したんですが、この会どうしたんですか。どうしてこんなに怒鳴り合うんですか、自民党の中で。33年自民党の議員してますけどね、そうですね、日中航空協定のときも、こんなに怒鳴り合いませんでしたよ。しっかりとした議論、冷静にしていただきたいと思います。
 
 赤池誠章氏:私も12回参加させていただいたが、やはりこの法案が、今、加藤先生、自民党らしくないというご指摘があったんですが、この法案自体が自民党らしくないから、こういう議論になるのかな、と感じております。
 それは保守政党というのはまず法の支配というのがまず大前提が、西田先生がおっしゃったように、慣習、いわゆる実態法の前に慣習法を尊重するのが大前提ですし、改革の仕方も、やはり漸進的にできるだけ現状を踏まえながらゆっくりとやっていくことが有るべき姿だと思う。そもそも論から言えば、今回の法案もそうだが、現実立法事実が残念ながら12回参加しても、新法をつくる現実の理由が見当たらない。(中略)
 人権侵害はあると思うが、例えば、吉田先生、山梨県で嫌な思いをされたということで、お詫びしたいが、これはひとえに学校長、学校の先生、ご承知の山梨県教組に支配されておりまして、学校の先生がきちっと対処しなかったことが、今50年経っても傷が除くということ、ひとえに学校長、先生が差別が絶対いかんという対処ができていないところが、いろんな問題になってくる。そうしたところをまず徹底的にやったところで、それでもまだまだできないというところは何かというところで初めて新法の必要性が出てくるのではないか。まだまだ現行法でやれることはある。それを一つ一つこの調査会で検討をお願いします。

 土屋正忠氏包括的な法律をつくったから救済できるか、という実効性は難しい。人権救済行政はできるかもしれないが、(いじめを受けた)その人間の救済になるのか、非常に難しいと思う。

 佐田玄一郎氏:この法案は、傘は小さく広げている。今までの12回のみなさん方の議論を踏まえて、こういう意見をつくられたわけだかが、この原案を含めて一つ一つをクリアするために議論すべき、またまとめる方向で努力していかないといけない

 衛藤晟一氏:司会についても言いますが、加藤先生からいろいろお話しありましたが、失礼ですよ。近江屋先生がしゃべっている途中に、そんなに長くやったわけじゃない。で、執行部の方は、今日は最初から告示は一時間でしょ。1時間のうち43分しゃべったんだから。それでしゃべったらいきなり今度はやめろとか。しかも、僕みたいに毎回しゃべっているのは遠慮して最後の方しかしゃべらないんですよ。そのくらいの気を遣っているんですよ。で、初めて手を挙げられたのに、いきなりお前短くしろとか、それはやっぱりちょっと運営そのものがあまりにも横着だよ、こんなこと言うと悪いけど。
 百地先生の件も部分的にとらえてその通りですと言われたら困る。勧告(答申)のなかに、抑制的でなければならないということをはっきり言って、だから、理念法でやるのか、あるいは3条委員会で30万という過料を課すというのは人間社会においては罰金刑ですよね。そういうようなところまで行くのは問題でないですか。立法事実として個別法で対応できるのではないですかと、彼は言ったわけで、その途中のところだけとって、この部分だけ引用するのは善意に欠けている。
 

会合後、鶴保事務局長(途中退席)の司会ぶりについて、近江屋氏が太田、塩崎両氏に詰め寄って抗議。塩崎氏「しっかり指導しますから」と平謝り。()》

 …今回の会合は、動員されたのか人権擁護法案推進派の発言が目立ちました。この結果について、反対派の重鎮議員は「それならば、次の会合ではこっち側の議員を動員するか」と話していました。まだまだ行方から目が離せません。