ここ数日、ブログ更新が滞っていてすいません。いろいろと考えがまとまらないことがあり、また他にやらなければいけないことが多かったので、思い切って少しさぼらせてもらいました。私は不惑を過ぎてもいつもふらふら悩んでいるのですが、その間にも、ここにはたくさんの方が訪問してくれ感謝しています。まあ、それはさておき…。

 

 本日、自民党の大島理森国対委員長、山本幸三衆院法務委員長、塩崎恭久衆院法務委員会筆頭理事に対し、自民党有志議員が「国籍法改正について慎重審議の申し入れ」という要請文を提出しました。内容は以下の通りです(※太字は私)。

 

 《本年6月4日の最高裁判所大法廷判決が指摘した違憲状態を解消するために、国籍法改正案が本国会に提出されております。日本人の父親と外国人の母親の間に生まれた子供の日本国籍取得に関し、婚姻関係を条件としている現行法が「法の下の平等」を規程した憲法14条に違反するとの指摘を最高裁より受け、認知があれば日本国籍が取得できるようにした法改正であるのが本法案です。

しかしながら、全国各地の大勢の老若男女から、電話・FAX・電子メールを通じて、衆議院法務委員会委員の各事務所に意見が寄せられており、その内容はすべて反対の意見です。

反対理由は、①国籍取得届の虚偽届出について1年以下の懲役、または20万円以下の罰金という罰則を新設したわけであるが、違反した者への刑罰が軽すぎる。②偽装の認知を防止するためにDNA鑑定導入を必須とすべきではないか。③偽装結婚も横行しているといわれているなかで、偽装認知防止のための実効ある対策の検討などです。

これだけ大勢の国民から反対の声が上がっている中、それを検討する法務委員会は11月18日(火)午前中3時間だけの審議で採択し、その日の午後には衆議院本会議へ緊急上程、そして採決がなされようとしています。十分の審議は確保されていません。

今回国籍法が導入されるきっかけとなったのが、本年6月4日の最高裁判所大法廷判決で、最高裁の判決であるからすぐにでも法改正せざるを得ないという流れにあるのでしょう。しかしながら、最高裁の判決文によると、最高裁多数意見は、その違憲理由の根拠として社会的経済的環境の変化、夫婦の家族生活や親子関係の意識の多様化、非嫡出子の割合の増加など、社会通念、社会的状況の変化、国際化、諸外国の動向、国際規約や条約をあげており、一方で、3名の最高裁判事による小数の反対意見は、統計データをつかって国民一般の意識変化として大きな変化はしていないと証明しています。20年間で、日本における非嫡出子は1%から1.9%しか増加しておらず、10%が非嫡出子である西欧諸国とは状況が全く違うのです。

国民常識は、最高裁の多数意見よりも少数意見です。国籍という国家共同体の構成員を決める大事なルールが崩れつつあるのではないかという国民の懸念に十分応えるためにも、国会における審議は、慎重にも慎重を期し、国民の不安が払拭されるまで、徹底的な審議を求めます》

 

 この申し入れに署名した議員名を参考までに記しておきます。いつもの保守系議連の「常連」以外の意外な名前もけっこう出てきますね。それだけ問題意識が広まり、共有されているのかどうなのか。敬称略で《宮路和明、稲葉大和、並木正芳、赤池誠章、安次富修、新井悦二、井沢京子、稲田朋美、上野賢一郎、遠藤宣彦、近江屋信弘、鍵田忠兵衛、岡部英明、亀岡偉民、川条志嘉、木原誠二、木挽司、近藤三津枝、篠田陽介、杉田元司、薗浦健太郎、平将明、高鳥修一、永岡桂子、萩原誠司、林潤、牧原秀樹、松本洋平、馬渡龍治、矢野隆司、山本ともひろ、若宮健嗣》――の32人です。最近、私は諦観に傾きつつありましたが、なかなか見くびったものではない参集ぶりです。

 

 また、17日午後には、「『国籍法改正案』緊急対策会合及び記者会見」も開催されるようです。こちらは、超党派の「『国籍法改正案を検証する会合』に賛同する議員の会」という議連が急遽立ち上がり、主催するもので、メンバーは今のところ、《平沼赳夫、下村博文、馬渡龍治、西川京子、赤池誠章、戸井田とおる》(敬称略)で、今後も増える見込みだと聞きます。この議連は、案内文に国籍法改正によって「想定される偽装認知」について例示していますので、それもそのまま掲載します。

 

一、第三国の女性を、国内の犯罪組織に所属している男性が大量認知して、売春等犯罪に悪用。(国際的に「性奴隷」と批判される)

二、国際テロリスト及びその子孫を認知することも可能になる。仮に、正規の日本国籍を取得した「日本人」がテロ事件を起こした時に損なう国の名誉は甚大である。(国際的にテロ国家と批判される)

三、現在、日本の国籍が高額で売買されている現状では、日本国内に長期滞在することを目的として、犯罪組織の男性でなくても、経済的に困窮している男性に高額な報酬で「偽装認知犯罪」が一般的に行われるであろう。

四、第三国で生活している女性が、日本の「社会福祉制度」の悪用を意図して、「特別在留許可」等の目的で第三国で生まれ生活している第三国人の子供を、日本人男性に「認知」してもらい日本入国を果たす。「改正案」には扶養の義務がないので、入国後は「育児手当」「生活保護費」など税金が使われる。

五、扶養の義務が無いことで、国内に短期滞在している第三国人女性が「特別在留許可」取得を目的として、「大金」を支払って日本人男性の子供を妊娠する可能性もある。これは「偽装認知」としての犯罪ではないので、「DNA鑑定」しても防ぐことはできない。

 

 …いずれにしても、きょう14日に審議入りした法案を、土日をはさんで18日には衆院本会議に諮ろうというのは、あまりに性急だと思います。まして、これだけ重大な意味を持つ法案なのですから。ただ、少し遅きに失した感はあるものの、ネットを中心とした世論が国会議員たちを突き動かし、こうした運動が立ち上がってきたのは意義深いと思います(ネット社会の進展の中で、将来的にはこういう動きがどう位置づけられ、展開していくのか)。法案はすでに閣議決定され、自民、民主両党間でも30日までの国会会期内に成立させることで合意しているので、前途は必ずしも楽観できませんが…。

 

 産経も遅まきながら、明日の紙面ではこの問題を取り上げた記事が掲載される「予定」です。例によって、スペース(行数)制限は厳しいので不十分な内容かもしれませんが。で、関係ありませんがついでに私的な宣伝をしておくと、16日付産経の「日曜日に書く」欄は私の当番にあたったので、中山前国土交通相と田母神前空幕長の辞任、更迭についての感想を率直に記したコラム「正攻法だけでは勝てない」を書きました。自分は見方・意見が違うという人も多いと思いますが、よかったら読んでみてください。