きょうは例によって山梨県の知人の教員が資料(報告集)を送ってくれたので、ちょっと古いのですが昨年8月18、19両日に山梨県のホテルで開催された「第55回関東地区 母と女性教職員の会」について紹介します。この会は、日教組の女性部があまり日教組を前面に出さずに地域の児童・生徒の父兄を取り込もうと開催しているもので、さて、そこにはだれが出席し、どんな話をしているのか。資料提供者の教員によると、この会の性質はこんな感じです。

 

 「日教組とは表立っていわないが、一言でいえば、『日教組のコマーシャル』。現職の女性教員と、PTAの母親部の役員たちが動員される。問題は、PTAの人たちが、この会がどういう趣旨で、どんな団体か分からないうちに半強制的に加入されられ、日教組の洗脳を受けさせられていることだ」

 

 ちなみに、この日のテーマは「子どもたちに平和で平等な未来を! 護ろう憲法・活かそう子どもの権利条約」で、招かれた講師は漫画家の石坂啓氏でした。石坂氏と言えば、週刊金曜日の編集委員であるほか、テレビコメンテーターとしても有名ですね。個人的には、高校時代に読んだ「下北なあなあイズム」「茶番劇」などはけっこう好きだったのですが、思い出してみれば、当時から相当な左傾ぶりは作品に表れていたなあ。で、この会の講演でも教育上いかがという恐ろしいことを述べています。

 

 さて、まず会で祝辞を述べた来賓はと見ると、日教組のドン、輿石東民主党参院議員会長とずぶずぶの宮島雅展・甲府市長、池田啓子・全国母女事務局長、そしてそのままずばり坂野修一・山梨県教組委員長の3人でした。さもありなん、ですね。このほか司会に紹介された来賓は、山教組出身でその支援を受けている県議、進藤純世氏、甲府市教育委員会教育長、奥田理氏、連合山梨会長、渡辺一彦氏、県PTA協議会会長、天野一氏、県公立小中学校校長会会長、桜林俊一氏、県公立小中学校教頭会会長、高橋義美氏、県教職員互助組合理事長、幡野勝彦氏、全国退女教会長、古屋敏子氏…らで、いかに行政と組合、管理職が一体化しているかが分かります。

 

 来賓あいさつで、坂野山教組委員長はこう述べています。自分が山梨教育界の事実上のトップであると、堂々と言っていますね。

 

 《母と女性教職員の会と、私ども教職員組合は深いつながりがあります。また、先ほど紹介がありましたが、山梨の教育の四者、校長会、教頭会、PTA協議会、そして私たちの組合と。この四者が今日お招きをいただいておりますので、その四者を代表してごあいさつを申し上げます。(中略)

憲法改正の道筋が昨年できてしまいましたが、私たちは、我が子・教え子を再び戦場に送ることのないように、ここにお集まりの母親のみなさんが、そして、教職員の皆さんが平和について無関心であってはいけないのではないかと改めて心に強く思うのです。》

 

 …坂野氏が言う憲法改正の道筋とは、安倍政権下で成立した国民投票法のことでしょうね。まあ、坂野氏の話はそれでも大人しいものでしたが、記念講演「子どもの未来は大丈夫か」での石坂啓氏の訴えは、かなり激しい政治的な内容でした。というか、仮にも教育集会で語るような話かと。以下、石坂氏が話したことをいくつか抜粋します。

 

 《先ほど、今回の集会の要項冊子をいただいて、昔からいろいろな会があって、先生方もおいでで嬉しいなあと思って、内容が充実しているんだろうと思って拝見していました。ちょうど去年の2007年備考欄に「教育基本法改悪」と載っていました。「あーやってくれたなー。本当に汚点を残してくれたなあ」と思います。去年の今頃は、安倍さん、靖国をどうするか八月十五日をどうするかなんてでしたね。去年の七月の末の参議院選挙で数字を与えなくて良かったと思います》

 

 《あの時に、与党に数字をあげなくて良かったと思います。首の皮スレスレで、憲法の首がつながったと思います。予断はできませんが。あそこで簡単に三分の二をあけでいたらどうなっていたか。安倍さんに同情の余地なしです。あの方、1年しかやっていなかったけど、やりたい放題やってきました》

 

 《教育基本法を変えました。知らない間に防衛庁が防衛省となりました。私、許可した覚えがないんですが、国民投票法を作りました。うちの子どもが選挙権を持つようになる前に、もしかして憲法に着手してしまうかも知れない。どうしてくれるかという感じがあります。厭な言葉があります。「溺れかけた犬を撃て」という。私は、犬ちゃんが溺れかけていたら、助けます。犬ちゃんを撃てという言い方も嫌いです。しかし、安倍さんは、撃っておいて良かったなあ、もっと撃っておくべきだったのではないかと思います

 

 《今の憲法では我々が国に対して、ものすごく強気で縛りをかけている。絶対に私たちの自由と権利を保障しろ。国に対して縛りをかけています。今度は逆になります。国が認める、ここからここまでの範囲で自由と権利を与えてやる。江戸時代に逆戻りです。(中略)間違いなく、若者を徴用します。断言します。その時がきたら思い出してください。おそらくその時は、もう徴兵制という言葉は使わないと思います。もっと上手にそれらしいことを言ってくると思います。》

 

 《私、日の丸というのは、デザイン的には全然悪くないとは思いますが、さっき言ったみたいに、もっと日本的に情緒のある優しい潤いのある温かみのある旗があったら、別に振ってやらないではない。いろいろと提案してみました。あれはどうかなと。

「温泉マーク」。あれは、日本的ですごく良いです。あれだったら、一枚買って、お正月に家の前でハタハタやってみたいなあ。南極観測所に「温泉マーク」って良いよなあ。外国に行って、「温泉マーク」見て、ああ日本に帰りたいなあ、って思うよな。愛国心がすごくわくんじゃないかな。「温泉マーク」が国旗だったら、必然的に、国歌は「いい湯だな」になりますね。「ババンバ バンバンバ」あれもいいなあと思いました。日本でサッカーとゴールが決まる時とか、今だったらオリンピックの真ん中に、「温泉マーク」が良いなあと思います》

 

 …父兄に落ちた犬をたたくよう勧めている、というか扇動しているかのようですね。温泉マークが国旗ねえ…。最近、対人コミュニケーションの難しさと不可能性に悩むことが多いのですが、こういう人とは決して相容れないというか、分かり合えないだろうなと感じます。同じ、目、科、属、種にある生き物だろうかと思うぐらいの壁を感じます。少なくとも私だったら、こんな講演は決して聴いていたくありません。確実に途中退席します。

 

 このほか、このときの「母と女性教職員の会」では、分科会で横浜市教職員組合による運動「バイバイ『男らしさ、女らしさ』」が紹介、討議されたり、まあいろいろあったようです。日教組は学校現場で児童・生徒を対象にするだけでなく、PTAに対してもこうして魔の触手を伸ばしているわけです。やれやれ、です。