麻生内閣の支持率下落が止まりません。今朝の毎日新聞の世論調査記事によると、麻生内閣を支持する人は「11%」で不支持は「73%」、同じく日経新聞の世論調査記事では支持が15%で不支持が80%と、今後の回復はまず望めないところまで来ました。さらに、明日朝刊に掲載されるフジテレビと産経の調査でも、支持は11.4%で不支持は80.2%と、この傾向は各紙ともほぼ一致しているようです。

 

ここまで支持率が落ちた理由はいろいろあるでしょうし、このブログのコメントでもマスコミ報道のあり方を問題にする指摘がたくさんありますが、いずれにしろ不支持率8割というのは、やはり重く受け止めざるをえません。特に日経の調査では、自民党の支持率は1月の前回調査から5ポイント上がって34%にのぼっていることを考えると、この内閣支持率は麻生首相個人の資質がかなりの部分問われているのは確かだと思われます。

 

それは、ご本人自身に責任がある場合も、必ずしもそうではない場合もあったでしょう。本来、首相を支えるべき立場にある自民党幹部も、自民党という政党自体もぼろぼろとなり、あらゆることが取り繕いようもなくほつれ、ほころび、破れ、裂けてダメになっていったという印象があります。もうこういう大きな流れができてしまった以上、その一つひとつを切り分けてみても詮なきことだろろうと思います。

 

 といって、いまから自民党総裁選をまた繰り返して、首相のクビをすげ替えても、もうたいした効果はないだろうと思います。総選挙で国民の信を問わないままで自民党内で政権をたらい回ししていると批判されますすし、何より、自民党にはもう「タマ」がいないでしょう。与謝野、小池、石原、舛添…と名前を思い浮かべても、とてもこの追いつめられた情勢をひっくり返せるとは考えられません。自民党若手の中には、それでも麻生氏で選挙を戦うよりはマシという見方もあるようですが。

 

 自民党はもうどうあがいても、いかに野党の問題点を指摘し、批判してみても、勝てないでしょう。こんな当然のことを何をいまさら、と言われるかもしれませんが、私がどう見ているかこの際、一度表明しておいた方がいいと考えました。これはある意味、一昨年の参院選で自民党が大敗したしたときにもうすでに方向付けられていたことだとも思っています。

 

 自民党は参院選後、小手先の路線転換や先祖返りで昔の支持者の気を引こうと試みましたが、いったん心が離れてしまった支持者を振り返らせるには至りませんでした。また、その一方で新しい支持者を獲得する努力はほとんど何も見られませんでした。特定業種・団体への利益の再分配システムとしての自民党は、右肩上がりの経済構造の中でしか支持を維持・拡大できないし、むしろ不利益の分配を国民に納得させなければならない低成長・マイナス成長の少子高齢化社会にあっては、自身が大きく変わるしか生き残る道はなかったはずです。しかし、自民党はその逆を向いてしまったし、国会のねじれがネジのゆるみや油ぎれ、構造的欠陥を顕在化させたように思います。

 

 ですから、発足後5カ月でここまで支持率が下落したのは麻生氏に責任があるにしても、麻生氏以外の人が首相でも、程度の差こそあれ、似たような経過をたどっていたかもしれません。自民党はもともと、今の麻生氏と同じような支持率となった森政権末期に一度死にかかっていたのですしね。それを小泉元首相が延命させたわけですが、その結果、今ではゾンビ化してしまったと。

 

だからといって、民主党が政権をとったら、何か国民に将来に希望を抱かせるような政策が実行できるとか、日本がいい方向に変わるかと言えば、私には決してそうは思えません。あるいは、国家公務員改革はある程度進むかもしれませんが、自治労・日教組に支えられた民主党は、地方公務員には絶対に手を出せませんから、公務員全体のあり方を問い直すことは不可能でしょう。農業政策は社会主義的計画経済をうたっていますし、外交・安保、教育政策に至ってはどうなることやら。いずれにしろ、数年間は混沌と停滞と混乱は覚悟しておかないといけないと思います。

 

 ともあれ、そういうせっぱ詰まった状況の中で麻生氏は昨日、青森市での講演で、次のように述べました。これはとても重要な発言でしたし、まさに私の関心事項でありましたが、いかにもタイミングとして遅すぎると感じもしました。

 

「相手(民主党)はご存じ日教組、それに支えられている。そういったところと、私どもは断固戦っていく。こういったものをきちんとやりきれる政党。これが自由民主党なんだ」

 

 実は、私の知る限り、現職の首相で日教組を名指しにして、それと戦うと表明したのは麻生氏が初めてです。首相は公人の中の公人なので、たとえ問題があっても、特定の労組の名前を挙げて批判するということは、これまでありませんでした。教育再生会議をつくり、日教組の嫌がる「ゆとり教育の見直し」「教員免許更新制」などの施策を実行した安倍元首相も、在任当時は日教組それ自体を取り上げて問題にすることはしませんでした。

 

 ですので、本来であれば私はこの麻生氏の発言に期待をしたいところですが、麻生氏に対し、国民だけでなく、党内の信すら揺らいでいる今、果たしてどこまでやれるのか、また本気なのかまだ疑問が残っています。20日に開催された自民党の有志でつくる「日教組問題究明議連」には、初めて北川知己副幹事長と坂本剛二組織本部長が出席し、「党としてもしっかり取り組む姿勢」(森山真弓元文相)を見せていました。でも、それまではこの議連は、党執行部からはちょっと遠ざけられている感がありました。

 

 麻生氏の今回の日教組発言が、こうした党側の新しい動きとリンクしているのであれば、その点はきちんとフォローしたいと思います。たとえ、衆院選後に野党になろうとも、日教組問題は厳しく追及してもらわなければなりません。いや、新政権が日教組の政策方針をそのまま取り入れて実行してくるだろうことを考えれば、遅きに失したように見えても、これからが戦いの本番であるかもしれません。

 

 しばらく前、自民党のある有力議員は日教組究明議連についてこう言っていました。自民党が社会の推進力として国民の将来を担う力をもはや持っていないとしたら、そういうのもいいかと私も賛意を示した次第です。

 

 「自民党は次の選挙を機に贅肉をそぎ落として、こういうところ(日教組究明議連とその活動)を核に、戦う野党となってもう生まれ変わった方がいいのかもしれないね」

 

 ※訂正(坂本氏の出席は初めてではありませんでした。お詫びして訂正します)