《…ジャーナリストには特別に困難な内的要求が課せられる。世間の有力者のサロンで、一見対等に、しばしば皆からちやほやされて(というのは恐れられているからだが)交際するということ、しかも自分がドアの外に出た途端に、おそらく主人はお客の前で「新聞ゴロ」との交際について弁解これ努めるに違いない、と分かっていながらなおかつ連中とつき合うというのは、それこそ生やさしいことではない》(マックス・ヴェーバー「職業としての政治」)

 

 民主党の小沢一郎代表の資金管理団体「陸山会」の政治資金規正法違反事件では昨夜、かつて陸山会の事務担当だった小沢氏の元秘書、石川知裕衆院議員が東京地検に参考人として事情聴取を受けましたね。事件が小沢氏本人にまでいくのかどうかは分かりませんが、公設第1秘書が逮捕され、子分が事情聴取されている最中に、小沢氏は昨夜は居酒屋で民主党神奈川県連の関係者と一杯やっていました。まあ、誰だって息抜きぐらいしたいでしょうし、別にいいんですけどね。現場にいた記者の話では、小沢氏は店を出る際、にこにこしてかなり上機嫌だったとのことです。

 

 実は私は、昨日から一時的に外務省を離れ、野党記者クラブの応援に駆り出されています。何せ弊紙は人手が少ない(政治部も読売、朝日、共同の半分ぐらい)ので、何でもやらないといけないのです。というわけで、本日も小沢語録シリーズの続きを書いていきます。今回は小沢氏がとうとう民主党代表に就任したあたりです。

 

・ 平成17年6月3日、夕刊フジ「剛腕コラム」、民主党副代表、民主党の〝非民主的〟体質について

「民主党は基本政策について徹底的に議論して、党としての明確な主張を決めていない。これこそもいまの(岡田克也代表以下の)党執行部の下で支持率が急落している最大の原因といえる。(中略)民主党の議員総会などで議員が発言すると、党執行部は保身なのか、異論が出ることを恐れているのか、途中で『時間です』と打ち切ってしまう。こんな非民主的な党運営は見たことがない」

 

 =小沢氏が代表になって、一層、もの言えば唇寒しの傾向が強まったように感じているのは私だけでしょうか。

 

    平成17年10月21日、夕刊フジ「剛腕コラム」、民主党衆院議員、靖国神社のいわゆるA級戦犯合祀について

「靖国神社は『一度、合祀した御霊は分祀できない』と主張しているらしいが、霊璽簿に名前を記載するだけで祭神とされるのだから、単に抹消すればいい」

 

 =いかにも簡単なことのように言っていますが、ここにも小沢氏の不勉強ぶりが表れています。靖国神社の湯浅貞前宮司によると、合祀にあたっては、「厚生労働省からきた名簿をもとに招魂し、いったん御霊を霊璽簿に移し、それを本殿に運び、そこで御霊には本殿にお移りになってもらう。従って、霊璽簿はあくまで合祀のための道具であって、そこに御霊がいるわけではない。小沢氏の言うように霊璽簿から名前を抹消しても御霊は靖国に残り、小沢氏の主張は通用しない」とのことでした。

 

    平成18年1月25日、毎日夕刊、民主党衆院議員、インタビューで小泉首相について

「悪い言葉ですけど、小泉さんは冷血のペテン師です。政治家としてはそういう要素も必要で、僕なんか少し見習わないといけない(笑い)。でも、それだけというところが小泉さんの問題です」

 

 =この「(笑い)」の部分がなんかいやな感じです。

 

    平成18年4月6日、産経、民主党衆院議員、偽メール事件で退陣した前原誠司前代表の次を決める代表戦出馬の記者会見で

「私に対する毀誉褒貶、批判がいっぱいあることは承知しているが、「百術一誠に如かず」だ。一致結束が図れるようにしたい。わが党にも多くの人材がいる。適材適所で自分の得手とする分野で責任を持って力を発揮してもらう」

 

 =一応、自覚はあるのですね。なんとなく、福田康夫前首相の退任記者会見でのセリフ「私は自分自身は客観的に見ることができるんです」を思い出しました。

 

    平成18年4月8日、産経、民主党代表、就任記者会見で小泉首相について

「人間、社会は理と情の部分の二つの側面を持っている。小泉純一郎首相は情の部分が薄く、権力闘争に徹しきれる人物だ。なかなか手ごわいし、これだけ長い間国民的人気を博することができた。その意味ではとてもかなわない」

 

 =同じく権力闘争を最も重視する者として、小泉氏に一目置いているということでしょうか。

 

    平成18年4月8日、朝日、民主党代表、就任記者会見で「自ら変わる」として

「私は情に棹(さお)さして流される方なので、政治の決定に感情を挟んではいけないと自分に言い聞かせている。みなさん(マスコミ)に対する態度をよくするとか、ブスッとしていないで笑うとか、そういう意味の変身も心がけねばならないと肝に銘じる」

 

 =このときから丸3年。でも、その後もすぐ感情的になったり、ブスッとしたりで、別に変わっていないような気がします。

 

    平成18年4月10日、朝日夕刊、民主党代表、記者団に対し、靖国神社の合祀対象からA級戦犯を外す方法について

「政権を取ったらすぐやる、そのとき教える」

 

 =私はこの発言は、実はテキトーなことを言っただけで本当は何も考えていないのではないかと疑っています。ちなみに、この発言に対し、当時の安倍晋三官房長官は「靖国神社が自主的に決定することであり、政府が介入すべき事柄ではない。小沢さんらしい強引な考え方なのかなという気もする」と述べています。

 

    平成18年4月11日、朝日、民主党代表、インタビューでメディアによる「小泉劇場」報道について

「メディアは公正・中立の一線を越えた。自殺行為だ。片方だけを報道するから本当は選挙違反。私が国家公安委員長なら取り締まるところだ」

 

 =私も当時の報道は過熱しすぎていたと思います。特に「刺客」騒動や、当選してきた小泉チルドレンに対するちやほやぶりは、常軌を逸していると自分のマスコミの一員ながら感じていました。でも、それにしても「国家公安委員長なら取り締まる」ですか。やはり怖いなあ、この人は。

 

    平成18年4月14日、夕刊フジ「剛腕コラム」、民主党代表、自らの健康状態について

「健康不安説については、365日、大好きな酒は欠かしていないことだけは記しておきたい」

 

 =そんなこと言ってインドのシン首相との会談は体調不良でドタキャンしていますしね…。私もそうですが、酒飲みは、健康状態が悪くてもつい飲んでしまうものですから、あまりたいした健康の根拠にはならないような。

 

    平成18年4月19日、産経、民主党代表、記者会見で創価学会の秋谷栄之助会長との会談について聞かれ

「秋谷会長や、その関係者とは会っていない。(秋谷会長と会ったという報道は)マスコミの取材の範囲の問題だ」

 

 =そんなこと言ったって、公明党の神崎武法代表が「表敬訪問に過ぎないと受け止めているし、ほかの特別の意味はないと承知している」と会談の事実を認めているのに…。この人はいつもこうやって押し切ってきました。例えば、相手との約束などがあり、事実を公にできない場合などは「言えない」というのならまだ分かりますが、この人の場合はいきなりマスコミのせいにして全否定ですからね。信用できません。

 

 さて、本日の本題とは関係ありませんが、民主党の輿石東参院議員会長が昨日の記者会見で自民党による日教組批判についてコメントしていたので、ここに掲載しておきます。記事も書いたのですが、ネットには流れたものの、紙面からは落ちているようなので。

 

記者:森元総理が、輿石会長と日教組の批判をしているが

 

輿石氏:ああ、私のことですか。コメントに値しない、呆れかえっている。それ以上でも以下でもありませんが、昨日も昼間の(民主党参院の)会で「われわれのトップなんだから、会長を信頼しているので、こんなもの大人の対応だといってコメントに値しない、放っとけなんて言ってないで、きちんと反論してほしい」というお話もありましたが、4年前か5年前の3月3日だと私は記憶してます(※間違い)が、幹事長のときにこの問題を産経新聞で一面トップで書いていただいた。

それを受けて小泉総理に私の政治信条なり政治活動に疑義があったら、いつでもどこでも行くから、証人喚問なり参考人なりぜひ呼んでほしい、きちっと説明しますと言ったけど、総理は「これは国会で決めることです」とその後何も言っていただかなかった。で、今日に来ている、それがすべてだと思っていますし、そして日教組批判ね。日教組批判は、日教組もそんなに力があるのかあと僕はびっくりしています。改めて日教組を宣伝していただいているのかなと思います。》

 

 …余裕かましているように聞こえますが、実態はどうでしょうかね。某参院議員に聞いた話では、自民党が衆院側で輿石氏の問題を追及していたころ、輿石氏が何度も自民党の参院国対の部屋に飛び込んできて、「誰がやらせているんだ。こんなことをやっているのは森派だろ!?」と談判している姿を目撃したそうです。気にしていないわけがないと思います。

 

当時は、自民党の参院は青木幹雄氏が仕切っていて、青木氏は輿石氏ともその仲間である民主党の角田義一前参院副議長(引退)とも昵懇の間柄(特に青木氏と角田氏は本当の仲良し)でしたからね。いわゆる55年体制的与野党のなれ合いがまだ参院を支配していて、輿石氏の問題は衆院ではけっこう厳しく追及されたのに、参院ではほとんど取り上げられず、いつの間にか忘れ去られていった経緯があります。あのときも残念というか悔しい思いをしたものですが…。