国会では、相変わらず与野党ともじめじめとしたごたごたが続き、晴れ間の見えない梅雨らしい空模様が鬱陶しい限りです。麻生首相も人事権を封じられた挙げ句、今さらほとんど無意味に思える内閣の補充人事をしてかえって無力さを印象づけ、じゃあ民主党の鳩山由紀夫代表はというと、例の「故人献金」問題で就任早々、苦境に陥っています。政治はこの2年余り、全く停滞しきっているように映ります。まあ、2年前の参院選時に予想した通りの展開ではありますが…。

 

 さて、今朝の産経は政治面3段の記事で鳩山氏について「議員献金も故人資産? 鳩山代表あて 法令違反の疑い」という見出しの記事を載せていました。内容は、《民主党の鳩山由紀夫代表が支部代表を務める「民主党北海道第9区総支部」に、平成15年から19年までの5年間、選挙区内の道市町議会議員42人(元職を含む)から、総額約1650万円の個人献金があったことが1日、鳩山氏の献金問題を追及する与党プロジェクトチーム(PT)の調査で分かった》というものでした。

 

 実はこれ、私も先々週あたりに、気になったので16年から19年までの4年間分について政治資金収支報告書を情報公開請求で取り寄せ、調べていた問題でした。例外はあるにしても、ふつうは道議や市議や町議が、国会議員に対して継続的にまとまったお金を献金するということは考えにくかったからです。下の表は、私が取材用につくった便宜的なものですが、政治資金収支報告書に記載された献金者の名前は、鳩山氏の母と姉を除けば、みんな地方議員で、どうしてそうなっているの?という疑問を抱いたというわけです。別に議員の名前は実名でもいいのでしょうが、すでに亡くなっている人(故人献金ではありません)もいるし、特に個々人を追及する意図もないので匿名としました。

 

            19年分   18年分    17年分    16年分

鳩山安子氏(母)           150万    150万   150万

井上和子氏(姉)           150万    150万   150万

O氏(道議)      26万4千   26万4千   26万4千  26万4千

K氏(苫小牧市議)    8万8千   26万4千   26万4千  26万4千

A氏(同)        8万8千   26万4千   26万4千  26万4千

N氏(同)       26万4千   26万4千   26万4千  26万4千

O氏(同)       26万4千   26万4千   26万4千  26万4千

K氏(同)       26万4千   26万4千   26万4千  26万4千

K2氏(同)      26万4千   26万4千   26万4千  26万4千

M氏(同)       17万6千

G氏(同)       17万6千

Y氏(同)       17万6千

I氏(道議)       6万     44万     44万    44万

K氏(登別市議)     5万6千   16万8千   16万8千  16万8千

K2氏(同)       5万6千   16万8千   16万8千  16万8千

T氏(同)       16万8千   16万8千   16万8千  16万8千

A氏(同)       11万2千

K氏(伊達市議)     3万              3万4千

I氏(同)                3万      3万4千   3万

T氏(同)                3万             3万

T2氏(同)               3万

W氏(同)                        4万

A氏(室蘭市議)             8万4千           4万2千

O氏(壮瞥町議)     3万6千    1万8千           1万8千

T氏(厚真町議)     1万8千            1万8千

N氏(むかわ町議)    1万8千            3万6千

H氏(浦河町議)     2万4千    2万4千           2万4千

I氏(同)                        2万4千   2万4千

N氏(白老町議)     2万4千    3万6千           1万8千

I氏(新ひだか町議)   2万4千    2万4千    2万4千   2万4千

I2氏(同)       2万4千    2万4千    2万4千   2万4千

M氏(同)        2万4千    2万4千    2万4千   2万4千

S氏(同)        2万4千    2万4千

M2氏(同)                       1万2千   2万4千

M氏(日高町議)     1万8千    1万8千    2万2千   2万2千

S氏(同)                        1万8千   1万8千

W氏(追分町議)                     1万8千   1万8千

N氏(同)                        1万8千   1万8千

K氏(平取町議)                     1万8千   1万8千

 

計          274万    615万8千  616万8千 616万8千

 

 鳩山氏は6月30日に「故人献金」問題の釈明記者会見を開いた際に、秘書が虚偽記載を行った理由について「必ずしも理由は判然としない。たぶん、私に対して個人献金があまりに少ないものだから、そのことが分かったら大変だ、という思いが一部にあったのではないかと推察している」と述べています。鳩山氏は小沢前代表の秘書逮捕以降、企業献金の廃止と個人献金への切り替えを主唱している立場でもありますからね。

 

 また、産経の記事によると、与党PTは「(道市町議からの)献金は鳩山氏個人の資産を原資とした可能性があり、政治資金規正法違反や詐欺の疑いもある」と指摘しているようですが、私も当初、同様の疑問を感じたのです。私が調べた過去4年間で、鳩山氏側に計100万円以上も寄付している地方議員が6人もいること(最高額138万円)や、苫小牧市在住の道議、市議5人の献金額がそろって計105万6000円となるのは不思議だなと。鳩山氏の資金管理団体「友愛政経懇話会」をめぐっては、実際には献金していない人の名前がずらずら載っていたわけですから、あるいはこっちでもやっているのではないかと、まあそのように考えた次第です。

 

 そこで、政治資金収支報告書に載っている住所をもとにNTTの104番号案内で電話銀号を調べ、後輩の今村記者に手伝ってもらって片っ端から献金議員たちに電話取材をかけたのですが、結論から言うと、これは不発でした。20数人に当たったうち、「うーん、献金したかなあ。党費は払ったと思うけど、はっきりした記憶がない」という人が1人いたものの、他はほとんど「党側にお願いされたので払った」という答えで、献金の実態はあったようでした。

 

 鳩山氏自身はかつて、「資金管理団体、政党支部の代表者は政治家本人」と強調していましたが、献金した議員らは「鳩山氏に対する献金というより、民主党員なので党道本部への寄付という意識」であるとか、「支部からお願いされて、地域の割り当てに従って払っている。そりゃ鳩山さんはお金持ちなのでホントは払いたくないが…」などと答えました。そのように言われると、こちらもそうなんだろうと引き下がるしかありません。言い訳ですが、他の仕事もたくさんあるので、こればかりにかかずらわっているわけにはいきませんし。

 

 そういうことで、調べはしたものの記事化はできずに放置していたところ、今朝の記事を目にしたという経緯でした。与党PTが今後、私たちが取材したこととは違う「真相」なり「実態」に迫れるのかどうか、お手並みを拝見したいと思います。正直な話、北海道に取材基盤を持たない産経としては、電話で否定されたらそれ以上のことはなかなか追及できませんし、口裏を合わされたらどうしようもありません。一方で、道市町議らの言う通りであり、与党PT側が先走っているだけだということも十分ありえるわけですから。

 

 ただ、今まで与党がPTをつくっていろいろな問題を取り上げてきた事例を思い出しても、だいたいかけ声だけでたいした結果は出してこなかったように思います。次期首相の最有力候補の問題だけに、きちんとシロクロつけた方がいいと思う半面、またいつのまにかうやむやになるのかなあ、という気もします。

 

 余談ですが、この鳩山氏の政治資金問題に関する反応を見ようと、さまざまなブログをのぞいてたところ、「捜査当局とマスコミにまた不信を抱いた」というものがありました。読んでみると、どうも今回の故人献金問題について、捜査当局が調べてリークしたと考えているような内容でした。マスコミと捜査当局に関する誤解がここにもあると感じたので一言記すと、「忙しい」捜査当局はこんなこと、正式な刑事告発でもない限りいちいち調べませんし、また、詳細にリークなどしません。今回の私の事例のように、いつも記事化されるわけではありませんが、こういう問題を何とか発掘(大げさ)しようとするマスコミ側が自分で調べているわけです。

 

 もちろん、こうした政治資金問題に関する報道のあり方自体への批判もあるだろうとは思いますが、「マスコミ=記者クラブで発表文を垂れ流すだけ」というステレオタイプの批判があまりにも浸透してしまった結果、こんな誤解を生むのかなあと感じた次第です。何回も繰り返している通り、私自身、マスコミの現状についてはたくさん批判してきましたし、おかしいとも思っていますが、やはり的外れなものは残念だと率直に思います。

 

 …といいつつ、先日あるテレビドラマを見ていたら、事件が解決して一斉に歩いて建物の外に出ようとする刑事や警察幹部らに記者たちがマイクをつきつけ、バカみたいに何かを聞き出そうとしているシーンが出てきたのを思い出しました。実際には、ああいうことはまずありえないのに、それを百も承知のテレビ局側が、視聴者側にあると(勝手に)想定しているステレオタイプに迎合してそれに合わせた演出をするというわけですね。このありさまじゃあ、誤解は残念だなんて言うことはできないのかもしれません。何やら悲しくなってきました。

 

 ※追記 エントリ本文とは直接関係ありませんが、備忘録代わりに一言。民主党の輿石東参院議員会長は昨日の党参院議員総会で、5日投開票の静岡県知事選に関して「私ははきょう、本会議の後に静岡に赴いて(静岡)県教組にもお願いしてまいりたいと思っている」とあいさつしていました。今ですらこのあからさまな態度ですから、政権交代後はどこまで露骨になるのやら…。