昨日投開票が行われた東京都議会議員選挙は、大方の予想通り民主党が勝利し、与党は過半数割れとなりましたね。7月12日といえば、11年前の1998年に自民党が参院選で大敗し、当時の橋本龍太郎首相が退陣を表明した日であり、その日は私が社会部から政治部に異動した当日でもありました。その間、いろいろありすぎて、なんかもう、遠い遠いはるか昔のことであるような気がします。

 

 私が政治部員となってしばらくは、選挙を前にした世論調査などである党にあまり有利な突出した数字が出ると、その揺り戻しというか、バランスが働いて選挙当日には意外と常識的なところに落ち着くというのがふつうでした。それが、4年前の郵政選挙のときからその傾向が変わり、有権者の投票行動は一層有利な陣営へと一気に傾くようになった気がします。国民性が微妙に変わったんだか時代なんだか。

 

 都議選は、1人区もあるものの、一つの選挙区で複数人(多いところでは8人)が当選するいわば中選挙区制での戦いであり、結果として表れた数字は民主54議席、自民38議席、公明23議席…とそれほど極端なものにはなりませんでしたが、小選挙区制の下で戦う衆院選ではどうでしょうね。僅差だろうと何だろうと1人しか当選できませんから、相当はっきりした勝敗となるのではないかと思います。もう何がどうあろうととにかく自民党政権だけはうんざりだ、もうイヤだという国民が、それだけ多く、民主党に多少の問題やスキャンダルが出ようと大勢は変わらないのでしょう。

 

 で、その都議選投開票日に私が何をしていたかというと、選挙とは関係なく、自民党本部で開かれた民間の教育団体、全国教育問題協議会の第29回教育研究大会の取材をしていました。「日本の教育の選択、あなたが選ぶのはどっち?」というテーマで、ありていに言えば日教組を批判する集会です(上司には「あんたの趣味だろ」と嫌味を言われつつ)。

 

 こんなことをいちいち書きたくないのですが、私が日教組問題を取り上げたり、批判したりすると、毎度のように「民主党をたたいて自民党を擁護するのはやめろ」「日教組をたたくことで民主党を貶めようとしてもムダだ」という趣旨のピント外れのコメントをいただきます。その度に、私は中学生のころから日教組を批判してきたこと、現実に民主党と日教組とが強く結びついているのは事実なので、日教組批判が同時に民主党批判になる場合もあるけれど、私は日教組自体につておかしい、危ないと言っているのであって、民主党など二の次であること…などを蛇足と思いつつ説明してきました。ブログを始めて改めて分かったことの一つが、世の中には党派性の強い人、何事も党派的にしか考えられない人が意外と多いのだということです。野球やサッカーで特定チームを応援するようなものなのでしょうか、とても不思議です。

 

 ともあれ、昨日の取材内容については、今朝の産経政治面にも小さく載っていますが、紙面では収容できなかった部分でも、なかなか面白いこと、興味深いことが語られていたので本日はそれを紹介したいと思います。

 

 まずは、基調講演を行った自民党の日教組問題究明議連会長で元文相の森山真弓氏のスピーチからです。この人は、当たり障りのないことしか言わないという印象があったのですが、この日は日教組出身の民主党の輿石東参院議員会長について、かなり踏み込んで語っていました。それが当たっているかどうかはともかく、公の場でここまで言うというのは、相当、危機感を募らせているのかなと感じました。

 

   

 

 

 《森山氏 輿石氏は「教育の政治的中立などありえない」とおっしゃっている。私は教育の政治的中立は非常に大事だと思うが、輿石氏の考えは違う。もし万一、政権交代が実際に現実のものとなれば、輿石氏が文科相となる話がありうる。そうしたら、どうしたらいいのでしょうか。教育の政治的中立はないという人だから、「みんな民主党に(票を)いれなさい」「日教組を尊重しなさい」「日教組が弱い県には(文科省の)予算をやらない」ということがあるかもしれない。私は教育こそ、政権選択の最大のものだと思う》

 

 次に、元東京都国立市教育長で教育評論家の石井昌浩氏の話です。石井氏はこの日の集会のため自宅を出る際に、奥さんから「日教組について話をするそうだけど、日教組ってもう影が薄くなっているんでしょ?」と言われて明確に返答できず、会場までずっと考えていたそうです。以下はその結論でもあります。

 

 《石井氏 日教組は果たして野に放たれたトラなのか、それともペットなのか。結論を言うと、もはや猛獣ではないが、ペットとして飼い慣らされたものでもない。野生化したヤマネコのようなもので、必要以上に怖れる必要はないが、油断すると大変なことになる。ただ、絶滅危惧種のイリオモテヤマネコではない。全国100万人の教員の中で40万人は日教組と全教の組合員なんです。この20年間、新規教員の日教組加入率は20%を超えている。あなどれない組織だ》

 

   

 

 また、高崎経済大教授の八木秀次氏は、「自分は別に自民党支持ではない」と断った上で、次のように熱弁をふるいました。

 

 《八木氏 自民党も右から左までいるし、民主党もそうだ。また、民主党には自民党以上に期待できる議員もいるが、ただ、決定的な違いは、それぞれが抱える「左」の体質だ。自民党の左は、「なんとなくリベラル」だが、民主党には「本物の左翼」「職業左翼」を抱えている。15年前の自社さ政権の再来だ。保守と左翼が野合して、実権は左翼に握られる。村山政権はわずか1年半だったが、その後も効力を発揮し続けているさまざまな政策がある。ゆとり教育の強化がそうだし、男女共同参画基本法の考え方を確立した審議会が発足したのもそうだ。教科書検定では、このときにすべての教科書に慰安婦の強制連行が記述されたし、村山談話もそうだ。本物の左翼を政権に抱え込むとそういうことになる。メディアは民主党が本物の左翼を抱えているということを、なぜはっきりと報道しないのか。

日教組は本物の左翼、マルクス・レーニン主義です。本来、自民党との違いを訴え、教育における体制選択選挙だともっと前面に打ち出すべきだったとずっと言ってきた。日教組が与党側になれば、安倍内閣の教育再生をゼロベースに戻すだろう。私たちの子供や孫がダメにされる。民主党は早速、日教組の政策に乗って全国学力テストの廃止や、道徳教育である「心のノート」の廃止を打ち出している。(与党側となって)日教組がもっと影響力を持ち始めると、組織に入っていなかった人もそちらの方に流れていくとの懸念を持っている。

日教組は昭和27年に教師の倫理綱領をつくった。この中に、「教師は科学的真理に立って行動する」とある。これは科学的社会主義、マルクス・レーニン主義のことだ。また、「教師は正しい政治をもとめる」「教師は労働者である」という。これが日教組のDNAであり、この倫理綱領はいまだに撤回されていない。これらのものは、ソビエトの教育政策からきている。日教組が言っていることは、破綻したソビエトの教育理論だ》

 

 …このほか、自民党の下村博文国対副委員長も出席し、私がこのブログで再三、必要性を訴えている教育公務員特例法改正(教員の政治的行為に国家公務員同様の罰則規定を盛り込む)について、「ぜひ今国会で出して衆院で可決させたい。終盤国会でそれを争点として対応していきたい」と述べていました。

 

 ただ、麻生首相はさきほど、会期末の28日を待たず、21日にも衆院を解散することを決めたそうですから、それも無理でしょうね。先のことを予想する能力などありませんが、ふつうの見方では、衆院選は民主党が勝ち、政権交代は実現するのでしょう。それが国民の意思ならば受け止めるしかないでしょう。この法律もそうですが、自民党は後手後手に回って打っておくべき手、布石を打たず、ただずるずるとここまできてしまった感があります。後は野となれ山となれと開き直って、もういったん壊滅してからやり直すしか道はないような気がします。