亀井静香郵政改革・金融相が唱えている、中小企業向け融資や個人向け住宅ローンの返済を3年程度猶予する「モラトリアム法案」が閣内で不協和音を呼んでいますね。「更迭できっこない」といった亀井氏独特のキャッチーな言葉遣いもあって注目度も高いですし、政権の金融に対する考え方や姿勢をうかがう上でも興味深いところです。そこで本日は、鳩山首相をはじめとする関係者の関連発言を拾ってみました。何かの参考になれば幸いです。

 

亀井氏は、27日のテレビ朝日「サンデープロジェクト」でジャーナリストの田原総一朗氏から「平成の徳政令」と突っ込まれてこう語っていました。

 

田原氏 大塚副大臣は反対してる

 

亀井氏 反対しても・・私はこの間、話してる。反対だったら、副大臣になりませんよ。なるわけないじゃないですか。だったらさ、鳩山総理、私を更迭すればいいんだから。できっこないですよ。最初から合意してるんだから

 

田原氏 鳩山、(亀井更迭)できっこない

 

亀井氏 できない。選挙の前から合意している。中身については、金利どうするか、こうするか、いろんな問題については、後からよく協議して、実態に合う形でやりましょう、ということになってる。

 

 …この「選挙前からの合意」とは何を指すのでしょうか。9月9日の「三党連立政権合意」の該当部分と思われる箇所にはこうあります。

 

 《中小企業に対する「貸し渋り・貸しはがし防止法(仮称)」を成立させ、貸付け債務の返済期限の延長、貸付けの条件の変更を可能とする。個人の住宅ローンに関しても、返済期限の延長、貸付け条件の変更を可能とする

 

確かに、返済期限と条件の変更には触れていますが、返済猶予そのものは書かれていませんね。解釈の問題でしょうか。でも、亀井氏は、サンプロ出演後も意気盛んで、記者団にこう語りました。

 

記者 民主党との調整は

 

亀井氏 調整って。もともと鳩山総理が言っている米国で。選挙の前にこれをやりましょうということになっていた。最後どういうやり方になるかということでは三党間で相談しましょうとおおむね政権合意の中に入れてるでしょ。合意は成立している。具体的にどうするかは火曜日から大塚副大臣がトップになって、産業経済大臣からも一緒になって中小企業対策について、関係があるので一緒にやりましょう、ぜひやりましょうと政務官を出してくる。一緒になって中小零細企業が元気になっていくための法律を臨時国会に向けて出します。議員立法じゃなく閣法で出す準備を進める。その間、各層からいろんな意見要望を聞きたいと思っている。

 

記者 テレビで「総理が更迭したけりゃすればいい、できっこない」と

 

亀井氏 できっこないって。言葉を選びなさいよ。俺がやってることダメだというなら更迭すればいい。どの議員に対しても同じこと。自分が任命した大臣なんだから自分の政策と違うとなれば更迭すればいい。当たり前のこと。鳩山大臣は「亀井は友愛の精神を実行してくれている」というなら俺を更迭なんかできっこない。俺がけんかが強いからできっこないという話をしてるんじゃない。すぐそういう形で俺が鳩山に対していばってるみたいに書くから。気にくわないというなら更迭するしかないけど

 

記者 三党合意は出来てると?

 

亀井氏 だって書いてあるじゃない。読んでないの?選挙の前から鳩山総理と私の間で「やろうじゃないか」と。中身はあとで協議する。政権合意の中にも入っているから。私のもとで中身をきちっと詰めてやっていくということ。

 

記者 かえって金融機関貸し渋りに走って中小企業にマイナス、という意見も

 

亀井氏 そういう見方があるというのは金融庁がだらしないという前提に立っている。金融庁がそういうことはやらせません。私が大臣である以上そういう理不尽なことはやらせない。そのために金融庁がある。検査がある。

従来、ともすれば貸し付けについての検査を重点にしていたが、貸すべき所にきちっと貸さないというのも検査対象なの。新たな運転資金や投資資金、貸出姿勢にNOということがあれば金融庁が指導すればいい。そのために検査官が600名もいる。従来は「焦げ付きそうだから貸すな」と」逆のことやって整理してRCCにぶち込む。今度はちゃんとした貸出をしてるかどうかも検査対象になる。亀井静香が大臣である限りはそういうことをやらせない。そういうと強権振るうといわれる活字が目に見えてる。新自由主義の時代は終わった。民間に全部任せる、資本の論理に任せるという時代は終わった。国がきちっと役割果たすという時代に入ってる。そういう中で役員報酬まで制御しようと世界は言い出してる。ネオコンのような無制限な自由からも、そういうこと聞くこと自体古い頭で質問してる。特に産経新聞は。時代が変わった。政府が国民全体の幸せのために前に出て行くべき所はでていく。これが自公政権と違う鳩山政権。

鳩山さんとは価値観も共有している。いろんな意味で。聞いてみな。友愛を返済猶予という形の中で実現していくということだから。鳩山さんも喜んでいると思うよ。他の大臣が「ああだ、こおだ」言ってるって、権限のない人が言ったって、そのことをもって書いたって何の意味もない。必要なときには必要な大臣に相談する。中小企業に対し大きな問題なので、直嶋大臣にお伺いして知恵を。私の方から出かけていって。いろんな知恵や考えを聞こうと思っています。

 

 …「おおむね」ねえ。一方、藤井裕久財務相は28日に行った民主党のマニフェストへの疑問に答える講演とその後の質疑で、亀井氏の主張にやんわりと反論しています。

 

質問者 モラトリアムで利息の猶予の話も上がっているがどう考えるか

 

藤井氏 テレビで何度も言ったが、私は金融担当ではありませんから、部外の人間ですから、事実関係だけ申し上げます。こういうことをやったのは昭和の初期だけです。昭和2年に日本だけの金融恐慌がありました。そのときにモラトリアムを発動しましたが、このモラトリアムは支払い停止ですよね。預金は全部、封鎖したようなものです。今度の話は、貸し付けも全部そのままにしろという話ですから、今までにあんまりないですね。というのがひとついいました。

それと3党合意というのがあるんです。社民、国民新党と私どもと、その3党合意には貸し渋り、貸しはがし防止法を作るとうのが出ているわけです。それは、亀井さんの話には至っていないわけです。ひどい貸し渋り、貸しはがしに対して適切な対応をとろうよと。いうことで、それだけ、違うんですよと、いうことがだけが、所管ではないので、事実関係だけ申し上げておきます。

 

司会者 ありがとうございます

 

藤井氏 あのー、なかなか難しいと思いますよー。

 

 …藤井氏はわざわざ「難しい」という感想も付け加えています。本心では、もっと明確に否定したいのでしょう。で、肝心の鳩山首相はというと、28日夜のぶらさがりインタビューでこう述べました。

 

記者 亀井金融担当大臣がモラトリアム制度の導入に関して、「反対なら更迭すればいい。できっこない。合意している話だ」といっているが、モラトリアム制度を受け入れる考えはあるか

鳩山氏 当然、いわゆる3党の合意というものがあります。その3党の合意の線に沿って仕事を行う、予算を組む、政策をつくる、当然だと思います。で、モラトリアムということまで合意しているわけではありませんが、中小企業の多くの方々が今、大変資金繰り困っておられるっていうのは、これは実態として正しい見方だと思います。従って特にまた、きょうも為替がだいぶ円高にふれて、そのこと自体でね、中小企業の町工場の方々がたいへんお困りだと、そう思います。

従って、そういった方々のために何らかの手だてが必要だと、それは事実としてあると思います。亀井金融大臣を中心として、このような問題に対して、連立与党、連立政権として、積極的にやはり、問題解決に向けて、努力しているぞという姿を出すことは大事だと思います。まあ、亀井大臣はお得意のモラトリアムのような発想を、お出しになっておられるけども、これは特に担当大臣や担当の方々を中心にしっかりとした議論をして、政治主導で、いい答えを見いだすことができるんじゃないかと思ってます。

 

 …鳩山氏らしく各方面を慮ったあいまいな言い方ではありますが、亀井氏の独走にちょっと困っているのかもしれません。ここは一つ、リーダーシップ発揮を見守ろうと思います。