本日昼、東京・帝国ホテルで在日本大韓民国民団(民団)中央本部の新年会が開かれ、たくさんの国会議員が出席し、あるいはあいさつに立ちました。その模様を坂井広志記者がメモ起こししてくれたので、報告します。まるで外国人地方参政権獲得の事前祝勝会のような雰囲気が伝わってきます。そして、民主党も公明党も社民党も共産党も、一体どこの国の政党なのかと、今さらのように頭がクラクラしました。

 

 私があれこれ述べるよりも、以下のあいさつ文のそれぞれを読んでやってください。それで余すところなく事態が伝わると思います。これがこの国の現状です。しっかし、生活習慣、言語やメンタリティーの面で日本人と変わらなくなっているとはいえ、現時点では明確に他国人である人たちに選挙支援(政治介入)を頼み、それを隠しもせずに堂々とそのお返しをしたいと表明するこの政治家たちの頭の構造はどうなっているのか。韓国では、外国人の選挙運動が法律で禁止(3年以下の懲役または600万ウォン以下の罰金)されているというのに、日本では…。 

 

鄭進団長 「(略)韓日双方の一部に過激なナショナリズムや狭小な自国中心主義にとらわれる人々がいるのは事実です。歴史認識をめぐる葛藤など、軋轢の種は今も少なくありません。私は韓日100年の節目に際し、強く訴えたいことがあります。(略)今や私たちは過去については冷静かつ慎重に論じあい、未来について熱く大胆に語り合う時点に立っています。私たち民団は今日、新たな100年へ、襟を正して歩み出します。その初年である2010年が明るい未来への象徴として、永住外国人への地方参政権付与の年となれば、これに優る喜びはありません。私たちの16年の宿願が、この度の通常国会において、日本世論の祝福のもとに実現されることを節に願うものです。地方参政権の付与は私たちが地域社会の発展にこれまで以上に貢献する活力源になるでしょう(※拍手起きる、以下略)」

 

権哲賢駐日韓国大使 「(略)韓日併合100年の年であり、韓日両国で憂慮の声があることもよく分かっています。私は韓日両国がさらに協力し、今年は韓日関係の転機となる年にできると考えています。そのためには解放65年が過ぎた今なお未解決の多くの過去の問題について進展があることを期待します。特に在日同胞社会の長年の念願である地方参政権獲得が必ず実現できますよう、この場にお集まりいただいた日本の指導者のみなさまのご関心とご協力をお願い申し上げます。(以下略)」

(※この後、権氏は李明博大統領の新年メッセージ―国政演説―を読み上げる)

 

民主党・山岡賢次国対委員長 「みなさま明けましておめでとうございます。今年はすばらしい年になることを一緒にご祈念申し上げます。きょうは本来でしたら小沢幹事長がごあいさつにおいでになる予定でした。私はその代理として民主党を代表してごあいさつをさせていただきます。中井大臣、赤松大臣もおいでですが、党の立場でごあいさつをさせていたきます。まず、今年は振り返れば政権交代を果たさせていただいた年でした。ここにおいでのみなさまには大変お世話になったことを心から感謝申し上げます。(拍手、中略)

特にこのアジアのみなさま、韓国のみなさまとは昔から長い長いおつきあいでございましたが、この2010年を契機に本当にそういう方向で新たな日韓関係、新たなアジアとの関係、新たな世界との関係を作っていきたいなあと思っているところでございます。そういう考えのもと、昨日、政府と党の首脳会談が行われました。そこでそういう政策を具体的に進める予算の説明が政府側からあったんでございますが、その中に率直に申し上げますと参政権の問題は正式にはご提示はなかったんでございますが、検討事項の中にそれを入っていたわけでございます。(軽い拍手)私は「正式には入ってないじゃないですか」と言ったら、「検討事項です」と。そこから小沢幹事長が新聞にありますように、「これは政府としてきちっと対応すべきである。これからの日韓関係を考えると。また友好状況を明快にしていくためにも政府がこれを法案として出すことがあるべき姿だと思う。大統領ともそういう話をしてきたので、これを実現していかないといけない」というご提起があったわけであります(拍手)。

先般、私どもは中国を訪問しました。小沢名誉団長、私が団長で行ったんですが、1日いただけで韓国に行かれました。お招きがあったわけですが、そこで、韓国に行って、中国では国家主席と会談して、李明博大統領との会談も行うべきだということがありました。政府がやることで党は前に出たくないというのが一貫した幹事長のお考えですが、それじゃあ特別に夕飯にごちそうになると私が提案して受けていただいて、その会談が実現したわけですが、そのときにもそういう話がかなり出たとうかがっています。そのことを「この国会でなんとしても実現しよう」というご提起を率先して幹事長が言われて、政府側もこれを積極的に進めますということで、昨日は終わったわけでございます。

この法案が1日も早く国会に出てくるように、私も側面的にバックアップしますが、出てきてからは主には私の仕事でございます。ここにいらっしゃいます、前にいらっしゃいます民主党の理解あるみなさんとともに、この法案が1日も早く今国会で必ず実現するように全力を挙げて取り組んでまいりたいと思っております。2010年、これからの100年を、これからの日韓関係100年を、そのスタートとして参政権の成立について全力で錦の御旗として取り組んでいきすばらしい新年とすばらしい将来をともに築いていきたいと思います。頑張ります。ありがとうございます」

 

社民党・福島瑞穂党首 「民団のみなさん、本当に今年をいい年にしようではありませんか(拍手)。今年は本当に日本と韓国にとって節目の年です。日韓併合100周年。でもこれからの100周年は私たちは共生と協調とそして一緒にともに手を携えていく。とりわけそんな100年にしたいと考えております。まずひとつめ、先ほどからもお話がありました。何としてもできるだけ早く地方参政権の法律を国会に提出して、社民党も先頭に立って一緒に成立させたいと考えております。お力を貸してください(拍手)。お願いします(拍手)。2つめは共生の政策です。私自身は内閣府のなかで定住外国人の共生政策も担当しております。なんとしても子供たちの教育の問題、雇用の問題、とりわけ教育の問題や人権の問題などについて、私が担当しているときに大きな一歩を踏み出したいと考えております。韓国のみなさんから多くのことを学び韓国と日本の新しい1世紀を社民党はともに作っていきたいと思います。平和や人権、共生は、これは平和が一番、人権が一番、男女平等が一番という点で頑張っていきたい(以下略)」

 

中井洽国家公安委員長・拉致問題担当相(日韓議員連盟を代表してのあいさつ) 「鳩山内閣で国家公安委員会委員長、警察の監督でございます。パチンコ業界もこの中に入っております(場内爆笑)。中井洽です。同時に日韓議連のメンバーで、今、森会長のもとで副会長をしています。きょうは森さんがご出席できないということで急遽私が代理をしていいかよく分かりませんが、一言お祝いを申し上げます。(中略)今年1年の一層のご発展をお祈り申し上げると同時に、鳩山内閣におきまして、この5日の閣議で総理から法案に取り組む、参政権の法案に内閣として取り組む、原口総務大臣が担当で法案つくりを言われたわけでございます。いよいよスタートします。立派な法案を作って今国会で成立をさせてさらに韓日、日韓友好親善を増進させていきたい。そんな思いであります。みなさんのご理解、ご協力をお願いを申し上げます。鳩山総理は就任後、一番最初に韓国を訪れて李明博大統領と会談をいたしました。ご歓迎いただいたことを閣僚の一人としてお礼申し上げる。私は拉致担当大臣として韓国との情報交換ということでお国を訪ねいたしました。大変お世話になったことをお礼を申し上げます。鳩山さんは韓国へいろんな政治的な判断で行かれると同時に、★昨日か一昨日も韓国の俳優と夫婦でご飯を食べてました。奥さんの趣味か御当人の趣味かよく分かりませんが、大変な韓国びいき、韓国好きでございます」

 

自民党・西野あきら副幹事長(参政権の話題はなし、略)

 

公明党・浜四津敏子代表代行 公明党は日韓の間で一番の問題になってまいりました参政権の問題につきまして当初から10年来取り組ませていただいてまいりました。(拍手)それは私たち日本にとって韓国は文化の大恩の国である。兄弟、お兄さん、お姉さんの関係である。公明党の議員はその思いを共通にして力強く地道に必ずこの参政権の問題、解決してみせる。そういう覚悟で10年間取り組んでまいりました。これからもあともう少し、問題が残されているようでございますけれども、私どもは決してあきらめず、ほんのひとつ、ふたつの問題を一生懸命、真剣に解決して、本当の意味での新しい100年、新しい出発ができますよう全力を尽くしてまいります(拍手、以下略)。本年が特別にすばらしい年になりますよう一生懸命、ご祈念してごあいさつにさせていただきます」

 

共産党・穀田恵二国対委員長 「(略)永住外国人の参政権の問題です。地方自治体の運営を永住外国人を含むすべての住民の参加によってすることは日本国憲法の保障する地方自治の原則からいって当然のことであります(拍手)。永住外国人を地方自治の担い手として迎えることはわが国の民主主義の発展と成熟の観点からいって、極めて重要な課題であります。外国人住民を尊重する日本社会を築くことは日本が真の国際化を図る上で不可欠の課題でもあります。私どもは1998年に投票権だけでなく被選挙権、住民投票権を含む法案を提出し、以来、みなさんとともに実現を目指してきた。(略)今年こそ新しい100年のスタートとして永住外国人の地方参政権を実現するために奮闘する決意であります」

 

赤松広隆農水相 「鄭進団長をはじめ民団のみなさまには昨年、特にお世話になりました。今農水大臣ですが、その前は選対委員長やってたもんですから、全国各地で、直接皆さん方、投票いただけませんが、いろんな形でご支援をいただいたそれが308議席、政権交代につながったと確信いたしております。そのときのみなさんの思いは政権交代ができれば、民主党中心の政権ができれば、必ずこの15年間、16年間取り組んできた地方参政権の問題が解決するんだ。その思いで、全国で私どもを応援していただいたんだと思っております。心から感謝申し上げます。その意味で公約を守るのは政党として議員として当たり前のことですから、この政権のなかで鳩山総理の決意のもとで、あるいは小沢幹事長、民主党の与党の強い要請のもとでこの通常国会、必ずこの法案を成立をさせ、皆さん方の期待に応えていきたいと思います(拍手)。やっとここまでやってきたなあ。本当にあと一歩だなあと感激でいっぱいでございます。まさにこの問題は本当に日本の民主主義がほんものなのかどうか、本当に共生社会に向かって日本がいくのか、いかないのかが問われている課題だと思ってます。日本の国民の良識、議会の良識を信じながらその先頭にたって頑張ることをお誓いします」

 

權寧建・在外同胞財団理事長 「みなさんの宿願である地方参政権を獲得し、日本国民とさらに助け合い、愛され、親しまれる韓国人として韓日協力関係への架け橋となってくれることをお願い申し上げます。(以下略)」

 

李時香・東京地方団長 「念願の地方参政権獲得が目前に迫ってきております。2010年の今年は必ず地方参政権が実現され、民団と在日同胞にとって歴史的な悲願の年となるよう祈願するとともに本日ご臨席いただいたご来賓のみなさんのご健勝とご多幸を祈念して乾杯の音頭をとらせていただきます。乾杯(こんぺ)!」

 

 …ついでだから一つだけ書いておくと、韓国では昨年2月の公職選挙法などの改正で、在外の韓国人にも大統領選や国会議員選挙などの国政投票権(限定的には地方選挙権も)が認められ、いわゆる韓国籍の在日の人たちは、2012年の選挙から投票できるようになっています。その上、日本でも地方参政権を得るとしたら、これはもはや通常の権利というより「特権」の部類に入るものだと思います。また、韓国の金大中元大統領は1998年の就任演説の中で、在外同胞に対して帰化を勧める次のような呼びかけを行っていました。

 

 「われわれは海外同胞達が、居住国市民(国民)としての権利と義務を果たしながら、韓国系として安定と誇りを持つことが出来るよう、積極的に支援します」

 

 なんだかなあ…。