今朝の産経は1面トップで、米軍普天間飛行場の移設問題をめぐり昨日、滝野欣弥官房副長官から平野博文官房長官に会ってくれと電話で頼まれた徳之島の3町長が、みな、平野氏との会談を拒否したことを伝えています。その上で、この滝野氏の電話について、鳩山首相が記者団に

 

 「それは滝野副長官にお聞きください。私が存じあげる話ではありません」

 

 と突き放したことを報じ、五嶋清副編集長が「今の鳩山政権が抱える問題の縮図がある。政権内部の意思疎通の欠如と信頼関係の希薄化は、この内閣が崩壊過程にあることを物語っているようだ」と書いています。この点については私も、似たような感想を覚えたのですが、ちょっと付け加えます。

 

 私は昨夜の鳩山氏の記者団へのぶらさがりインタビューを見て、ああこの人は二重にダメだなと改めて実感しました。この人は直属の部下である滝野氏の電話に関して、「私はどのような思いで瀧野副長官が電話をされたか分かりません」と話しましたが、これが意味することは何でしょうか。

 

 まず、鳩山氏が本当にこれを把握していなかったとしたら、普天間の移設先選定という政権の最重要課題について、部下の意向も動向も何も掌握しておらず、また適切な指示も出せておらず、しかも事後報告も受けていない無能の人だということになります。少なくとも、記者団に威張って「滝野さんの電話というものが何だかよく分からないのですが…」と言っていい話ではありません。

 

 次に、本当は滝野氏の電話は鳩山氏の意向を受けたものだったか、あるいは鳩山氏も承知の上でのことだったらどうでしょうか。上司である鳩山氏は全く自らは責任をとろうとせず、「部下のせい」を決め込んだ卑怯者ということになります。こんな上司の下で働きたくはありませんね。

 

 つまり、今回の件は、鳩山氏の無能さか卑怯さか、あるいはその両方をわかりやすく示した事例なのではないかと考えたのでした。その上で、鳩山政権の「不実さ」をしみじみ感じる場面もありました。産経が滝野氏による電話後、徳之島・伊仙町の大久保明町長に電話取材したところ、大久保氏はこう憤っていました。

 

 「前に平野官房長官にお会いしたとき、反対意見書を持って行ったときに、平野氏は『それ(徳之島移設)は単なるマスコミの噂ですよ』と言っていた。あれほどマスコミが騒いでいる中で『噂ですよ』と言われたので、私は(今さら会いたいというのを)理解できない。何のために会うんですか?徳之島移設以外の話があると思いますか?なんか幼稚園生みたいな言葉遊びをやっているだけです。もっとはっきりおっしゃればいいわけですよ。島の人を何と思っているんですかね、振り回して」

 

 平野氏だけではなく、鳩山氏自身も、産経が以前、1面トップで「鳩山首相が徳之島案検討を指示している」と報じた際に「単なる憶測だ」と断じていました。政治家、特に政府首脳には、ときとして言いたくても本当のことが言えない場合や、真意を説明することが難しい事情があることは私も理解していますし、そうした場面を実際見てきました。しかし、この政権はそういうのではなくて、単に世間と国民をなめきっているようにしか見えないのです。

 

 鳩山氏は、口では「命を守りたい」だの、「(普天間問題で米国に)命がけでぶつかる」だの、「(擬装献金を)天地神明に誓って知らなかった」だの大仰なことを言いますが、人と会ったときにあまり相手の目をまっすぐに見ることのできない人でもあります。真剣さだとか、真っ当さなどをとうとう一度も理解しないまま、恵まれた家庭をバックに、小才と、ふわふわとした世渡りだけでここまで来てしまったんじゃないかと、そんな風に思えます。

 

 対米関係においては、鳩山氏は野党時代から繰り返し「対等な関係」「従属的でない関係」を築くと強調してきました。なるほど、そのこと自体は私も賛成です。ですが、真に対等になるためには口先だけで「対等」と唱えれば済むというものではありません。

 

 普天間問題にしても、米国との一種の条約である日米合意を一方的に破棄すると宣言し、それなのに代替案も示さず、ただ「トラスト・ミー」と言っては不誠実な先延ばしの連続でした。しかも、その間、米国をはじめ国際社会が「継続してほしい」と要請していたインド洋での補給活動は中止し、かといってそれに代わるようなテロ対策もアフガン支援策も打ち出していないわけです。

 

 相手との約束を破り、その上、相手が望まないことばかりをやりながら、しかも安全保障面で間違いなく依存的立場にあるにもかかわらず、「今までは従属的だったがこれからは対等だ。なぜなら、政権交代したからだ」と言っているわけです。こんな甘えた子供のような言い分を、どこの誰が聞くでしょうか。これでは当事国だけでなく、はたから見ている他の国も、日本は約束も守れないし「ギブ・アンド・テイク」も理解できない支離滅裂で自分勝手なダメな子なんだなと思うことでしょう。

 

 しかし、何度もこの点を強調しますが、これは民主的な選挙を通じてわれわれ国民が選択したことですね。やはり、民主党に投票しなかった人も含めて一定の責任を負わざるを得ません。鳩山氏がこういう人であることは、少し政治に関心を持って、これまでの彼の言動を見てきた人ならば予想がついたことです。もちろん、メディアの責任もあるでしょうが、産経は連載記事その他を通じ、民主党とその幹部らがどういう人たちで、どういう考え方を持っているかは報じてきたつもりです。それで免責されるとは思いませんが、今となっては「予想できた範囲内で悪い方向に進んだな」という感想を覚えるだけです。

 

 ちょっと朝から気が滅入ってきたので、ここらで我が師、宇宙的スケールですべてを俯瞰し、いつも深遠なる言葉を贈ってくれるミスターLに再び登場を願います。彼のすべてを包み込む大きな心と、誠実で嘘偽りのない魂に触れると、私はいつも「生まれてすみません」と自らの半生を反省したくなるのです。それでは早速…

 

 私 閣内崩壊といっていい鳩山内閣の支持率低下が続いています。現在、調査によっては20%台前半まできていますが、このままいくと10%台前半にまで落ちることも想定されます。鳩山氏の命運はどうなるのでしょう。

 

 ミスターL もし、総理が正常な神経をお持ちだったら、もう耐えられない。というか、国民から早期退陣を求められているということは、それは民主主義ですから、ご自身の進退はもう極まったなと。ならば潔く自分としては思い残すことはあるけれども、総理の職を辞するべきだと、こう判断するはずですね。

 しかし、なかなか総理をなさる方は正常な視野というものを失ってしまいがちで、名誉心とか、自己顕示欲とか、そういうものが先に立って、結果として個利個略、私利私欲におぼれて、国民の皆様方に多大な迷惑をかけてしまう。(中略)潔く職を辞することが、日本を救う唯一の道だということを改めて総理に対して申し上げたい。(2009年2月20日の記者会見)

 

  そうですね。一方で、野党側は民主党が鳩山氏のクビをすげ替えて新たな総理を選び、参院選を行うことを警戒しているようです。

 

 ミスターL 警戒していませんよ。それをやったらおしまいですよ。国民は、麻生さんのもとでどんなに支持率が低くったって選挙しなさいよと、そう言っている。まさに、常套手段のように、疑似政権交代を自民党の中で演出をし、その実、何も代わらなかったと、中身がますます悪くなってきたのが自民党政権ですよ。

 自民党政権自体もうおやめなさいよというのが国民の声で、それを総理のクビをすげ替えて済むというのは許しませんというのが世論調査の結果ですから。(2009年2月23日、記者団に)

 

 …本日も、ミスターLから快刀乱麻を断つ明快な言葉をいただきました。オバマ大統領が就任した際、記者団に「麻生さんとの類似点、または相違点は?」と質問されて、「似ているのは漢字が読めないところ。オバマは読めなくても仕方がないが」と答えて自分一人でウケていた鳩山氏に爪のあかを煎じて飲ましたいぐらいです。これらの言葉を肝に銘じろと。