このところ、鳩山首相のことばかり取り上げてきた気がするので、本日は目先を変えて民主党の小林千代美衆院議員と北海道教職員組合(北教組)の件を書いてみたいと思います。小林氏は来月、今国会終了後に、議員辞職する(自分で辞めなくても、いずれ連座制で失職する)ようですから、今のうちに触れておこうかな、と。

 

 この人をめぐっては昨年、選対委員長代行で元連合札幌会長の山本広和被告が公職選挙法違反(買収の約束、事前運動)で逮捕され、のちに懲役2年、執行猶予5年の有罪判決(現在控訴中で6月1日に判決)を受けたことで注目を集めましたが、それまでは全国的には無名に近い議員ではなかったかと思います。この事件を端緒に、北教組による違法献金事件が明るみに出て、大きなニュースになりました。ただ、私は別件で小林氏の名前を記憶の片隅にとどめていました。こんな場面があったからです。

 

 

 

 平成17年2月1日のことでした。衆議院第二議員会館では、NHKが制作し、当時その偏向性が問題になっていた慰安婦番組をめぐり、「日本軍性奴隷制を裁いた『女性国際戦犯法廷』に対する冒涜と誹謗中傷を許さない日朝女性の緊急集会」という、いかにもその筋の集会が開かれていました。

 

 番組が特集した「法廷」では、北朝鮮の工作員と指摘される人物も、判事席に座っていましたね。議員会館の狭い会議場に約200人が詰めかけた集会には、北朝鮮の国会議員(最高人民会議代議員)の資格も持つ金昭子氏の姿もありました。

 

「この問題、国会議員の介入により番組の改ざんがさせられた。これだけ世界的にも大変評価を受けている国際法廷について、一部の議員が、まるで裁判ごっこではないかと誹謗中傷することに対し、強い憤りを持つ」

 

 集会で、こうあいさつしたのが当時も民主党衆院議員だった小林氏でした。一部の国会議員とは、当時、朝日新聞に攻撃されていた安倍晋三官房副長官(後に首相)や中川昭一元農水相(故人)らを指すのでしょうね。小林氏はもともと日教組出身ではありませんが、日教組や自治労の強い支援を受けた背景には、こうした思想傾向の共通性があるとみられます。

 

 

 

 北教組の違法献金事件をめぐっては最近、いくつか大きな展開が見られ、それが小林氏の議員辞職へとつながっています。少し整理してみます。

 

 5月18日 北教組の違法献金事件で、政治資金規正法違反(企業・団体献金の禁止)で起訴された「小林ちよみ合同選挙対策委員会」の資金管理統括で、自治労北海道財政局長の木村美智留被告の初公判が開かれ、即日結審。木村被告が北教組側から提供された資金について「表に出してはいけないお金と認識していた」と起訴事実を全面的に認め、検察側は禁固6月を求刑。判決は6月9日

 

→小林氏は「まだ裁判が動いているので、判決が確定した時点で話したい」と語る。

 

 5月19日 北教組委員長代理、長田秀樹被告の初公判が開かれ、即日結審。検察側は長田被告に禁固4月、北教組に罰金50万円を求刑。判決は6月14日。長田被告は起訴事実を全面的に認めた。長田被告の逮捕後、北教組は「法に違反する事実は一切なく、不当な組織弾圧」との声明を発表していたが、長田被告は公判で「(声明の)内容は誤りだった」とこれを否定した。長田被告は公判終了後、報道陣に「教育に対する信頼を損ねたことを深く反省している」と述べる。検察側は論告で、「計3回捜索したが、直近6年分の会計簿はなかった。資金源を隠すため、会計帳簿を移動するなどしたことは明らか。組織的な証拠隠滅を行い、長田被告が関与しているとみられる」と北教組を非難。

 

 →小林氏は「私の選挙にかかわる一連の事件につき、社会的・道義的責任を重く受けとめている。議員の身分については、今の時点で申し上げるべきではない。今後の司法の判断を尊重したい」との談話を発表。

 

 

 

 5月20日 小林氏、記者団に「一連の事件におきまして、私の政治家としての、また道義的責任を強く実感しているところでございます。(進退は)昨日結審しましたけれど、司法の判断はまだ下されておりませんので、議員の身分という大変重要な問題につきましては、今の時点では申し上げるときではないなというふうに考えておりますけれど、今後の司法の判断というものを尊重してまいりたいと考えております」と語る。

 

 →輿石東参院議員会長は記者会見で「これはご本人が出処進退は決めることですから、私の立場で軽々にコメントする問題ではない」と人ごとのような顔をする。

 

 …20日付の朝日は、「小林氏が議員辞職すれば、鳩山氏や小沢氏らの責任論が再燃する可能性がある」と書いていました。まあそうなんでしょうが、「小沢氏ら」の「ら」って誰でしょうね。過去に似たような問題を起こした議員っていましたっけ?さっぱり、分からない。思いつかないなあ。

 

 

 

 (※写真は28日発売の「決定版 民主党と日教組」の目次であり、本文とは何ら関係はありません)

 

 前回エントリで、23日上映の映画を紹介しましたが、私自身は鳩山首相が一体何をしに行くのか沖縄を再訪するらしいので、残念ですが、観に行くことがてきません。