きょう、何気なく新聞各紙をチェックしていて東京新聞を手に取り、思わず目が点になりました。「移設現行案は『極めて良い』 北沢防衛相」という見出しの小さなベタ記事に驚愕したのでした。記事には、北沢俊美防衛相が29日に、長野市で開かれた会合で語った米軍普天間飛行場移設問題に関する発言がこう記されていました。

 

 「普天間飛行場を外に出し、さらに嘉手納基地から南の米軍基地を全部返還する。前政権のものは極めて良い内容になっている

 

 …これまで散々、現行案を批判、否定しておいて、今さらそれを言うか。我が目を疑い、何度か記事を読み返しましたが、やはりそう書いてあります。記事には「日米両政府は28日、名護市辺野古を移設先とした共同声明を発表したが、その基となった自民党政権時代の現行計画を高く評価した発言だ」とありました。やはり、私の目がloopyになったわけではないようです。

 

 なんだかなあ、ある意味、正直だとも言えますが、じゃあ、今まであなた方は何をやってきたのか。ホント、この政権と付き合うのは心の芯の方から疲れます。で、現在、主役の鳩山首相は済州島で何かやっているらしい(関心すらわきません)のですが、同行した船津寛記者によると、すこぶる元気で、記者との内政懇(映像なしのミニ記者会見みたいなもの)でも冗談を連発していたそうです。もはや人外の生き物としか…。

 

 というわけで本日は、今回の鳩山氏の普天間問題をめぐるドタバタ劇について、在京各紙がなんと総括しているか、記録の意味も込めて記しておこうと思います。紙面には、はっきりと鳩山氏に対する「軽蔑」が表れていて、日経には至っては「万死に値する」とまで踏み込みました。民主党内でも、「鳩山降ろし」の動きが出てきたようですが、新聞はしばらく前からはっきり「辞めろ」と書いていますしね。朝日だけは、明確に続投支持を打ち出していますが。

 

 ・日経 社説「取り返しのつかぬ鳩山首相の普天間失政

 《罪万死に値する失政である》《混乱を招いた大きな原因は、なぜ日米同盟が必要なのかという基本的な知識すら、首相が持ち合わせていなかったことだ》

 

毎日 社説「この首相に託せるのか

《私たちは、鳩山首相が政治の最高責任者の座に就き続けることに大きな疑念を抱かざるを得ない》《鳩山首相の言葉は、羽根よりも軽い

 

読売 社説「混乱の責任は鳩山首相にある

《「国民との約束」を簡単に破る。一応謝罪はするが、責任は取らない。これが鳩山首相の本質だろう》《首相に求められるのは、自己流の「思い」を語ったり、会談相手に迎合したりすることではない》

 

・産経 主張「国益損なう首相は退陣を 逃れられぬ迷走と失政の責任

《国益を損なう「愚かな首相」は、一刻も早く退陣すべきである》《結果が伴わないことの政治責任に向き合わず、自己の立場を正当化するのは開き直りである》

 

東京 社説「福島氏罷免は筋が違う

《鳩山首相は今後、地元の反対を押し切ってでも移設を推し進める愚を犯すつもりなのだろうか。それでは自民党政権以下だ。》《この際、国民の意思を参院選で示すほかあるまい》

 

朝日 社説「政権の態勢から立て直せ

鳩山首相が退いても事態が改善されるわけではないし、辞めて済む話でもない》《何より考えるべきなのは鳩山政権誕生の歴史的意義である。有権者が総選挙を通じ直接首相を代えたのは、日本近代政治史上初めてのことだ》

 

 …このほか東京は、1面の連載企画記事「普天間問題 迷走の深層(上)首相の資質」で、《政治の相場観が狂っている》《「常識」が分からない》と書いています。とうとう、いろいろな制約から新聞紙面では滅多に仕えない「狂う」という言葉すら出てきました。直接的に鳩山氏を指したものではありませんが。

 

 また、読売の村岡彰敏政治部長は解説記事「責任感欠如が迷走招いた」の中で《安保に対する認識の欠如。自民党と反対のことさえすればよしとする施政。根拠なき甘え。悪しき政治主導》と鳩山氏の傾向を指摘しています。どれも当てはまると考えますが、私はこの中で特に「自民党と反対のことされすればよし」の部分が気になるのです。鳩山氏が、政権発足から8カ月以上がたつのに、いまだに「自民が、自民が」と繰り返すのがとても見苦しいと感じてきたからです。

 

 鳩山氏は、23日に沖縄県を再訪した際に、自民党政権時代のことを引き合いに出して仲井真知事に対してこう述べています。

 

 「今回の政府方針は、(前政権が)米国と全く交渉してこなかったような点も含め、沖縄の負担軽減と危険性の除去を前進させる」

 

 さらに、28日の記者会見でもこう強調していました。

 

 「今回は、前政権の下では米国と交渉してこなかったものが含まれている」

 

 ボク頑張ったんだから、認めよ、褒めてよ、と言わんばかりですが、果たして実際のところどうでしょうね。今回の日米共同声明は、前政権下の平成18年5月に合意した日米ロードマップ(行程表)を「着実に実施する」としており、基本的に微修正にすぎないものだと思います。第一、北沢防衛相自身が、前政権のときに決まっていた内容に関して「極めて良い」と明言しているわけですから。

 

 つまり、鳩山氏は自分のプライドと虚栄心を満足させるためだけに、ことここに至っても前政権のやったことを否定したくてごまかしを続けているというわけでしょうね。なんと小さな人物かと哀れにもなりますが、その人が日本の首相である現実はいかんともし難い。どうしたものかと。そういえば、ミスターLはかつてこうつぶやいていました。

 

 「私も何度か辺野古に行ってきたが、あのような大変美しいジュゴンの住む海域に、一時的だったとせよ、米軍基地を持ってくることはとても理解できないなと、そのとき感じた。(中略)私どもも、あと数カ月で政権を取るという覚悟で戦っているわけだから、そうなった場合にオバマ新政権との間でこの問題が最も喫緊の大きな課題となってくる。沖縄県議会ともよく相談し、理想論と具体的な現実論との間を付き合わせながら、最適な『解』をもう一度見つめ直していくことが必要ではないか」(2009年1月30日の記者会見)

 

 …結論。すべて口先だけ。