菅首相は本日、本気かどうかは分かりませんが一応辞意を伝えてきた千葉景子法相を慰留し、千葉氏はこれを受け入れました。菅氏としては、千葉氏に閣外に去られると、北朝鮮工作員のシン・ガンス元死刑囚の助命嘆願書にサインした議員は内閣で自分一人だけになってしまうので都合が悪かったのかもしれません。

 

 でも、神奈川選挙区で落選した人を、9月にどうせ党代表選と人事があるからと、党内事情で続投させるというセンスはいかがなものでしょうか。菅氏たちは3年前の参院選で勝って以降、「直近の民意」を繰り返し強調して政府・与党を揺さぶってきましたが、自分たちに示された民意には頓着しないようです。

 

 で、この菅政権と千葉氏のやり方について、本紙の杉本康士記者が本日の千葉法相記者会見で追及してくれたので紹介します。千葉氏は、杉本氏の厳しい(嫌味な)質問に声を荒げる場面もあったということで、いい仕事をしてくれました。以下、記者会見のやりとり(全部の質疑を掲載すると長いので約半分にしています)です。杉本記者は後半で出てきます。

 

記者 選挙終わって大臣の感想は?

 

千葉氏 本当に大変、結果としては厳しい結果が出ましたが、多くのみなさんに選挙を支えていただき、そしてまた多くのみなさんから頑張れという声も、それから、そういう意味ではたくさんの票をいただいたことについて、心から私も感謝をしたい気持ちでいっぱいでございます。ただ、そのみなさんにこたえきれなかったということが残念でございますし、私の責任の重さを感じているところでございます。ただ、大変意義のある選挙をさせて頂けたと思っております。

 

記者 選挙で落選されたが、今後大臣としての職務を続けるかどうかについて、菅とどういう話があったのか?

 

千葉氏 先ほど菅総理にご報告と御礼を申し上げてまいりました。で、私はやはり議員の1人として内閣に、閣僚に指名をいただいて職務を務めてきたわけですので、これは議員の任期というのが1つの区切りであろうというふうに私は思っております。ただ、総理から「内閣これまで一体として進めてきた。ここで内閣全体としてこれを維持しながらしっかりと1つの節目までやっていきたい。それについてはぜひその一員として継続をしてもらいたい」と、こういうご要請がございました。

まあ、私も内閣の一員として、この間、総理を支えてがんばってきたという、こういうこともありますので、私の気持ちとしてはいろいろございますけれども、総理のご要請ということについて、じゃあ私もその責任の一端はあるわけですので、ご要請に応えて、1つの節目というところまで内閣の一員としての役割だけは果たさせていただくということにさせていただくつもりでございます。

 

記者 大臣が進めてきた法務政策に問題があったか?取り調べの可視化とか、選択的夫婦別姓などマニフェストに謳ったもの(夫婦別姓はマニフェストには載っていない)が進んでこなかったり、死刑執行を執行していなかったことなど問題があったが故に落選したと思うか?

 

千葉氏 それはそうは考えておりません。やってきたこと自体については私は私なりの考え方、それからマニフェストでみなさんにもしっかりと示させていただいた。それにのっとって職務を、政策実現を図ってきたわけですので、これ自体に間違いがあったとかいうことはないと思っております。

ただ、それぞれの課題については非常にご意見が、ま、なんというか、分かれる課題であることは確かだろうというふうに思います。そういう意味ではそれをあまり是としない方にとっては、まあマイナスの評価になるでしょうし、逆に是とする人はまだできないかと、こういうことにもなるのかもしれませんが、進めてきたことについて間違いというか、それは私はないと思っておりますし、それが大きな原因だとは私は思っておりません。これ、私の、みなさんからの評価がこういう結果だったと思っております。

 

記者 閣僚が落選した後に長く務めた例はほとんどないようだが、一部批判の声もあると思いますが、どのようなつもりで、どのような考え方で職務をまっとうしていくのか?

 

千葉氏 私はこれまで内閣の政策というか、一体としての政策の1つとして法務行政、そして政策の実現に向けてまいりましたので、それをより前に進めてきちっと道筋をつけると。これが私のこれからの任務だというふうに思います。あとはそれを、きちっとその道筋にのっとって次へ引き継いでいくということだというふうに私は考えております。

 

記者 国会議員でない方が法務大臣を務めることについて今まで通り進めていくということだが、心理的な面でもまったく国民の代表として選ばれたわけじゃない方が死刑で人の命を奪ったり、指揮権を発動して人を拘束することは可能か?

 

千葉氏 これは基本的には憲法上でも認められているというか、憲法に反するということではありません。ただ、基本的な考え方自体は、常々これまでも申し上げてまいりました。新たに議員の立場ではないということの故を持って、それに大きく反することをやるべきではないというふうに思っております。

 

杉本記者 今後の大臣の進退だが、衆院、参院含めて国政選挙に再挑戦するつもりなのか?議員としての活動はないのか?

 

千葉氏 基本的には私はずっと参議院議員という立場でやってまいりました。それ以外のことをこれまで考えたことは基本的にはございません。で、参議院の議員としては1つの区切りであると思っております。

 

杉本記者 先ほど政策を進めて次の方に引き継ぎたいと発言した。これから大臣は具体的にどういった政策テーマを進めるのか?

 

千葉氏 これはもう、マニフェストに基づいて、これまで進めてきた、道半ばというか、あるいは一定の歩みを進めてきた、いるものがいくつかあるわけですので、それをよりきちっと道筋をつけて、次へお渡しをすることができるようにしておきたいということです。

 

杉本記者 先ほど大臣は政策テーマの中には賛否両論あるものがあって、それに反対する人は票を入れないだろうし…。

 

千葉氏 票を入れるかどうかはわかりませんけどね。

 

杉本記者 そういう趣旨の発言をしたが、たとえば夫婦別姓とか人権侵害救済機関設置法案などといった法案について大臣が推進してきたことは周知の事実だ。その事実について今回の参院選でNOを突きつけられた、あるいは支持が得られなかった。そうなると、残る任期の間にそうした政策を進める正統性はあるのか?

 

千葉氏 私の認識はそれ自体が否定されたというふうには思っておりません。それはそれに対してご批判というか、反対の意見をお持ちの方はいらっしゃると思いますが、しかも、これは私個人のということだけではなくて、マニフェスト、あるいは党として進めてきたということでもありますので、今、私がここで大きくここで変えるとか、変えないとかいうことはやるべき物ではないというふうに思っております。党としてやっぱりこれはマニフェストを変更しようとか、あるいは政策を変更しようと、こういう考え方になるのであれば、それはそれだとおもいますけれども、ただそれに従うということで、今、特段変更が加えられているということではございませんので、特段変わることはありません。

 

杉本記者 民主党は平成19年の参院選で勝利をして以降、安倍内閣、福田内閣、麻生内閣に対して直近の民意は自民党政権にNOを突きつけたのであるから解散総選挙なり信を問うべきだと議論してきた。現段階での直近の民意は、民主党が選挙で大敗し、大臣は落選した。にもかかわらず大臣の座にいる。最初から民間枠じゃなくて、議員として内閣の一員となり、そして落選したにもかかわらず大臣のままでいることは民主政治のあり方として適正なことだと考えるか?

 

千葉氏 先ほど申し上げました。私もそれは1つの区切りではないかというふうに思っております。総理にもそういうことを申しておりますが、内閣としての1つのけじめをつける。けじめというか、区切りまでという、総理からのご要請、これについて私も一員であったものとして、そのご要請を受けてまっとうさせていただくという、総理に返事をさせていただいたということでございます。

 

杉本記者 総理の要請があったことはわかるが、その前に民主政治のあり方としてそのまま大臣の座にいることは問題ないのか?

 

千葉氏 (声を荒げ)今、申し上げました、通りです。

 

記者 民間人になってもこれまで通りということであれば、これまで死刑執行のサインをしていないが、今後もサインはしないのか?

 

千葉氏 あの、私、サインをしないとは一度も申し上げたことはありません。

 

 …まあ、千葉氏の言う通り、受け取り方は各人各様でいろいろあるでしょう。でもねえ、やはり潔くないと感じてしまうのですが。千葉氏に限らず、党執行部もこういう選挙結果を受けても誰も責任をとろうとしていないし、なんだかなあ。