政局はあれこれ動いていますが、あまり政治のことばかり考えていたくはないので、きょうは約1カ月ぶりに読書紹介エントリといたします。といっても、このところ多忙だったり、気力・体力が萎えていたりでそんなに読書がはかどったわけではないし、どちらかというとあっさり読めるものばかり選んだのですが。

 

 ともあれ、私はもともとSFというジャンルが好きで、若いころは集中的に読んだ方です。で、今回、全然知らない作家でしたが、面白そうだと手にしたのがバーナード・ベケット氏(ニュージーランド人)の「創世の島」(☆☆☆☆)という作品でした。世界大戦と疫病により、外界と途絶された「共和国」に住む少女が、「アカデミー」の入学試験として口頭試問を受け、知らないうちに世界の成り立ち、AI(人口知性)の謎を解き明かしていく…というストーリーです。

 

          

 

 細かいことは、これから読まれる方の邪魔になるので触れませんが、とても興味深く、知的刺激を受ける内容でした。まあ、SF好きとしては、「落ち」の部分は半分予想がつきましたし、もともとは児童書という扱いのようですが、お薦めです。

 

 次は、すでに今年1月に出版されていたのを、楽しみにとっておいた万城目学氏の「かのこちゃんとマドレーヌ夫人」(☆☆☆★)です。私はこの人の作品では何といっても疾風怒濤的雰囲気のある「鴨川ホルモー」が好きですが、この本はもっと落ち着いた味わいとなっています。

 

          

 

 主人公は小学校1年生の女の子とその飼い猫なのですが、その何気ないはずの日常が驚きと優しさに満ちて描かれています。主人公がせっかく仲良くなった同級生の女の子の転校で、「さらばでござる」となぜか武士言葉で別れのあいさつを交わすシーンがいいですね。また、はっきりとは書かれていませんが、作者の別の作品「鹿男あをによし」との関連もにおわせています。

 

 で、今度も初めて読む室積光氏の「達人山を下る」(☆☆☆)です。「抱腹感涙」という帯の宣伝文句にひかれ、何の達人だか分からない80歳の老人が、腐れ政治家に鉄槌を下すという場面を読んでみたくて買い求めたのですが…。

 

          

 

 …意味不明の言葉の羅列で「友愛」を説く畠山首相と、秘書の犠牲の上に私腹を肥やす野玉幹事長という「悪役」が出てきました(笑)。野玉幹事長は最後に、春の園遊会で重大の「粗相」をしでかすのですが、これも読んでのお楽しみということで。

 

 さて次は、おなじみの堂場瞬一氏の警視庁失踪課・高城賢吾シリーズの第5弾「裂壊」(☆☆☆★)ですが、何ですか、この帯の「阿比留が失踪」という文句は。主人公の上司、阿比留真弓室長のことなのですが、うーん。

  

          

 

 今巻では、今まで私生活を隠してきた阿比留室長の過去と現在が明らかにされ、そして同時に、主人公との間に大きな亀裂が入ります。これからどう展開するのか、気になります。あっ、そういえば、このシリーズはテレビドラマ化されていましたね。まだ観ていないのですが。

 

 なんとなくタイトルにひかれて読んでみたの西條奈加氏の「善人長屋」(☆☆★)でした。帯には「世を忍ぶ悪党の巣に、うぶなお人好しひとり」とありますが、つまりはそういうお話です。

 

          

 

  まあ、悪くはないのですが、ちょっと話がストンと腑に落ちないというか、物足りないというか。人情モノであるならば、もう少し、一つひとつのエピソードにひねりと深みを加えた方が…余計なお世話でしょうが。

 

 最後に、これまた「常連」の上田秀人氏の奥右筆秘帳シリーズ第6弾「秘闘」(☆☆☆)です。もういいや、と思いつつ、新刊が出たらつい買ってしまい、さらに面白く読んでしまう。プロの筆力を感じます。

 

          

 

 …話は飛びますが、岡田克也外相は昨日の記者会見で、仙谷由人官房長官の戦後個人補償再検討発言と、日韓基本条約締結当時は韓国は軍政下だった発言について、「もうすでに日韓で一つの答えに至ったことを覆す意味で言ったのではないと受け止めているが、事実関係を含めてよく確認したい」と述べました。

 

 岡田氏の現時点での受け止め通りならいいのですが、仙谷氏はあの、高木健一弁護士を「友人」と呼び、かつ「香港軍票と戦後補償」(明石書店)という本の共同執筆者の一人となっているある種「筋金入り」の人ですから、どうでしょうか。この問題は、細心の注意を払って今後もウオッチしていくつもりです。