今朝の読売新聞は1面トップ記事で、「『厚労相指示に納得』1%」「職員アンケート 『おごり感じる』48%」という記事を掲載していました。記事の短いリード部分には「厚生労働省の職員が、長妻厚生労働相ら同省に常駐する政治家の対応に不満を抱いていることが28日、二つの調査で明らかになった」とありました。記事の体裁から言って、これはあらかじめ予定していた入念に準備された記事ではなくて、内容が面白いので急遽トップに据えたというもののようです。

 

 これに関しては、産経も政治面で「若手官僚〝本音〟 厚労相ら沈黙、逆ギレ」という記事を載せていますが、1面トップのような大きな扱いはしていません。ここらへんが各紙による価値判断だとか編集方針の違いの表れですね。同じことを書いた記事でも、扱いによってインパクトも異なります。

 

 それにしても、「指示に納得」が1%って…。私は厚労省を担当したことはないし、厚労職員の味方でも何でもないのですが、この極端な数字は何を意味しているのかと、しばし考えました。そしてまあ、ただ考えても何も分かるわけがないので、とりあえずこのアンケートを取り寄せてみました。

 

 それによると、調査は長妻氏の肝いりで5月に発足した「若手プロジェクトチーム」が厚労省職員約3200人を対象に実施したもので、約750人の職員から回答があったそうです。無記名による全職員対象のアンケート実施は、厚労省では初の試みだということでした。

 

 で、問題の部分は、「現在仕えている上司について、当てはまると思うものはどれか」という問い(複数回答)でした。対象の上司は「課室長・企画官」「部局長以上」「政務三役」の3つに分かれていて、それぞれについての評価が記されていました。厚労省に問い合わせたところ、いずれホームページに掲載する予定だが、いつになるか分からないということなので紹介します。以下の通りです。

 

 【問】事実関係や政策的整合性の観点から、納得のいく指示がなされている

 課室長・企画官41.4% 部局長以上37.4% 政務三役2.9%

 

 【問】現実的なスケジュール感の観点から、納得のいく指示が示されている

 課室長・企画官37.6% 部局長以上28.6% 政務三役1.0%

 

 【問】対応が急がれる際、速やかに相談することができる

 課室長・企画官43.3% 部局長以上31.3% 政務三役1.2%

 

 【問】驕りを感じる

 課室長・企画官6.0%  部局長以上6.0%  政務三役48.0%

 

 もう一問、厚生労働行政に対する想いやビジョンが伝わってくる、という設問があるのですが、送ってもらったファクスの文字がつぶれていて、パーセンテージがはっきり読めないので省きます。自由記載部分には「政治主導を進めるあまり、政務三役と、職員との連携がうまく取れていないように感じる」「大臣とのコミュニケーションを緊密にして、チームワークを作ってほしい。互いの不信感が著しい」などという意見が載っていました。

 

 …繰り返しますが、私は旧社会保険庁の年金事業をめぐるサボタージュ問題をはじめ、厚労省には決していい感情は持っていません。また、担当の政治家が責任を持って決断を行う「政治主導」自体には賛成の立場です。ですが、それにしてもこれだけ明確な数字が出てくると、さすがにどうかと思いますね。これじゃあ、面従腹背を招くばかりで本当の意味での仕事にはならないだろうと。

 

 産経の記事によると、この調査の報告会に出席していた長浜博行副大臣は「『驕っている』の意味が一体何を指しているのか。政治家は国民意識から離れている場合は選挙で負けるが、公務員にはそういった機能がない」とかみついたそうですが、どうなんでしょうね。

 

 よく「官僚の抵抗」と言いますが、これの実態はだいたいの場合、やるべきこと、指示されたことをきちんとやらず、事態を遅滞させてどうしようもなくしていくサボタージュなのだろうと思います。これを集団でやられると、大臣や担当の政治家がいきりたっても、物事はなかなか前に進みません。結果として、政治家の方が無能の烙印を押されることになるでしょう。

 

 だからといって、政務三役に官僚と馴れ合ってうまくやれ、という気はないのですが、ここまで不信感を高められる前に、この10カ月間にもう少し何とかできなかったものかと率直に感じた次第でした。これは、政治主導への反発うんぬんより、現在の政務三役の属人的な問題なのではないかと。それとも、私がこんな感想を持ったこと自体、官僚にうまく丸め込まれ、誘導されたことになるのでしょうか?

 

 ただ、この「驕り」については、実は私は民主党政権を表すキーワードの一つだと鳩山政権時代からずっと感じてきたことでもあります。昨年9月の政権発足早々から、高飛車に威張り散らす人たちを見てきて、官僚も記者も、政府・与党様にはすぐひれ伏すものだぐらいに思っているのだろうなという印象を受けてきました。なので、今回の調査にも「そうだろう、そうだろう」と得心したのでした。

 

 菅政権は参院選後は、ねじれ国会を何とか動かすために「丁寧」と「謙虚」を合い言葉のように使っていますが、それも背中が透けて見えるようなやり方であり、本心でないのは明々白々です。まあ、おごれる人は久しからず、ですからどうでもいいのですが。