さて、本来ならば6月の菅内閣発足直後に開かれているべきだった予算委員会が、昨日ようやく始まりましたね。菅直人首相のダメダメぶりがいやというほど伝わってきますが、ここのところ政権与党である民主党について書く機会が多かったので、本日は自民党に関して触れておこうと思います。
結論から言うと、予想通りというか予想以下というか、谷垣禎一総裁の質問は「あーあ、これじゃあなあ」と感じる腰の引けた追及でした。まあ、ねじれ国会での論戦で、いたずらに対決色を強く打ち出すと、かえって国民の反感を招くと考えたのかもしれません。でも、一発目からこれでは、さぞ菅首相はじめ民主党側は「ほっ」としたことでしょう。この点について、読売新聞と東京新聞は見出しを立ててこう報じていました。
読売 「谷垣氏 身内から『迫力不足』」…《党内からは「責任野党の立場を強調するあまりも迫力不足だ」との不満が出ている。自民党議員からは「もっと突っ込め」と谷垣氏にヤジが飛んだ》
東京 「和やか初対決なぜ 『建設的野党』アピール」…《甘いともいえる谷垣氏に対し「自分ならもっとガンガンやるのに」(自民党若手)、「つっこみが足りない」(公明党幹部)の声も出たほどだった》
谷垣氏としては、大人の対応を意識したのでしょうが、国会で自民党が主導権を握ってやるのだという意思、意欲はあまり感じられませんでした。最終的に話し合い路線を目指すにしても、過程の交渉では、はったりも含めて最初は高めの球を投げて牽制するぐらいすればいいのにと率直にそう思います。また、そういう政治家でないと、外交はできないだろうと、少し話がずれることも連想して考えた次第です。
で、この谷垣氏の質問について、公明党幹部はオフレコで、次のように語りました。私も、もしかすると…と思っていた点をずばり突いています。
「まったく与党の代表質問だ。批判しても、身内を叱っているようなトーンだ。午前中の民主党議員による質問の方がよほど言質をとろうとしていた。(谷垣氏の質問は)大連立狙いかね」
実は私も、質問を聞いていてあまりに菅政権に遠慮していて優しいので、谷垣氏は本当は大連立を模索していて、そうなった場合、自分を担いでもらえるとでも夢見ているんじゃないかと、そんな穿ちすぎたことも頭をよぎったのです。
なので、この公明党幹部の言葉には、やはり同じように感じる人がいるのだなと納得しました。同僚記者に「どう思うか」と意見を聞いたら、「谷垣さんは自分が総理になれるなんて思っているからああなんじゃなくて、ただナチュラルにダメなだけだと思います」とのことでした。これはこれで厳しい。
ついでに、読売と東京の記事にもありましたが、自民党議員はどう受け止めたかも記しておきます。谷垣氏をよく知る自民党元幹部はこう語りました。
「谷垣は夏バテか?自分で質問しているうちにどんどん話が変わっていったり、せっかく相手のボロが出かかっても追加のシュートがなかったり。彼は追い込まれるといい仕事をするが、気を抜くと甘える」
うーん、これを話した元幹部も、そう人のことを言えた義理か、という人物なのですが、それはともかくそういう甘い谷垣氏では、やはり政権奪回は難しそうな…。同様に、なぜかサッカーにたとえてこう述べた中堅議員もいます。
「谷垣さんは、本田に決定的なパスを送られても空振りする大久保のようだった」
…それにしても連日暑いですねえ。夜も寝苦しくて、私も夏バテ気味です。日本の夏は、つくづく仕事をする環境ではないと思います。私は以前は、「サマータイム」制度は実は残業時間を増やすだけではないかと反対だったのですが、最近は少し考えが変わりました。サマータイムに夏場の労働時間短縮を組み合わせれば、けっこういいのではないかと。ただの思いつきですが。
コメント
コメント一覧 (31)
小泉政権以降、5人の総理が登場しましたが、総理の資質という点ではやはり安倍さんが間違いなく一番だと思います。麻生さんが、それに続き、甘くみても貴重な総理の資質があるのはこの二人だけ。復活を願っています。
まあこの二人をひきづり下ろしたのは、われわれ国民であるのが悲しい所ですが。
地元の人ですが、昔からサポートに回った方が良い仕事が出来る方だと思っています。後進に道を譲るべきですね。
こないだ産経の正論欄で、美しい女史が、
「一部の政治家とメディアが世論調査の内容を恣意的に歪めて解釈し、政治の混乱を招いた」
旨、指摘していたが、じつに明快で正しかった。
政治についての話を深めたいので、今度くだんの女史を紹介してくれないか。
あれだ、正論を追求するためには、まず絆を深めないと...
毎日暑いですね~
私は、最初から谷垣氏では自民党の再生はありえない、と思っていました。
安倍元総理のように『戦う政治家』と言う気概と決意がなければ、政権与党に返り咲くことは出来ないでしょう。
尤も、安倍元総理もちょっと、甘っちょろいところがありますが……。
まだ、まだ、道は遠いようですね。
自民党も、人材不足で混迷を続けるのでしょうか?
ハッハッハ、誰のセリフかわかりますね。谷垣氏も「貴方にだけはいわれたくない」というところでしょう。
個人的に知っているので悪口を言う気になりませんが、魑魅魍魎、ルーピー族が跋扈する政界に棲息するにはぼんぼん気質が邪魔ですね。(もちろん、阿比留さんのご意見は言い得て妙です。)
「聖職の碑」という映画を見たのもこの年だったと思います。「聖職」ね~…
エントリーとあまり関係なくてすみません。
TBさせて頂きます。
参院選で自民党は全然勝っていませんね。ただ、民主党が自滅してくれただけで。まあしかし、それでも議席が増えたのは執行部の手柄になるので、「谷垣氏は意外と運がいいのか?」とも思ったのですが…あとが…。
時間がたてばどうにかなると云う状態ではない。
空き菅に桃垣
抱き合うしか先がないでしょう。
しかし
空き菅総理
夜のお勤めがそんなに厳しいんだったら奥様に少し遠慮してもらっては如何か。
昨日も今日もあの眠たいザマなんだろうか。
みっともないと云う言葉を知らん菅!!
さて、確かに私も聴いていて仰せの通りと思いますし、柴山昌彦議員に到っては書き物を読んでいるだけで千葉法務大臣が「死刑反対の考えを変えたのか」と言う質問にまともに答えていないのに次の質問をするなどバカじゃなかろかと思うところもありました。
石破議員の普天間問題では抑止力と負担軽減について懇切丁寧に総理と防衛大臣に説明したりして首を傾げた場面もありましたが、中に防衛力整備のあり方を巡って従来の基盤的防衛力指向から現実的な脅威対抗型に方針転換を迫り民主党がこれに同意すると言った重大な場面もありました。
これは陸自と海自の創設以来の対立の元であり蓋然性が低い敵の本土上陸がなければ陸自にとって存在意義が薄れ主導権を失いかねないことからマスコミを巻き込んだ政争の具でもあったわけで、私はよりベストな方向に向う可能性が出てきたことを敢えて善しとしています。
何故自民はもっと言わないのでしょうか?
一部転載
> 又市議員は、「日本社会に存在する差別の風潮、反朝鮮意識を作り出そうとする動きを
払拭しなければならない。今までみんなが運動を繰り広げ、大きな輪になった結果、
新しい局面がつくられた。もう『無償化』は実現間近。必ず勝ち取るという気持ちで、
心を一つにがんばろう」と呼びかけた。
ttp://www1.korea-np.co.jp/sinboj/j-2010/03/1003j0802-00002.htm
・朝鮮学校に対する「高校無償化」適用を求める運動が各地で持続的に行なわれており、
5月から繰り広げられてきた「50万人署名運動」はすでに目標を達成した。
署名活動には、同胞をはじめ、「日本教職員組合」「平和フォーラム」「JR総連」など
中央と地方の労働組合、日本の友好親善団体たちも積極的に参与した。
ttp://www1.korea-np.co.jp/sinboj/j-2010/03/1003j0802-00001.htm
自民党は3年前の参院選に負けた際、「元の自民党に戻ればまた強くなれるんだ」みたいなヘンテコで間違った総括を行い、ますます弱くなっていきました。正直、昨年の衆院選で大敗した際には、もっと早く空中分解すると思っていたのですが、民主党による「敵失」でなんとか格好がついているようです。その衆院選で民主が大勝したというのも「敵失」が大きかったという部分があり、どっちも「敵失」頼みというのが何だかな、です。
「選挙に表れる民意は冷静な目で直視すれば一貫していると思われるのに、一部の政治家があえてこれを曲解して行動することが多く、またそれを支える歪(ゆが)んだ解説が多すぎる。」→この部分でしょうか。いろいろ耳が痛い指摘も含む正論でした。ただ、私は面識がないので紹介しようにも…。
暑いですねえ。民主も自民も人材不足は目を覆うばかりですが、今は人材が育つ時間も環境もろくに与えられずに、ただ消費される傾向があるので、これは今後もそうそう変わらないのでしょうね。
あっ、分かっちゃいますか?うーん、当たっているかなあ。だとすると、ちょっとまずいか。まあ、いいか。
こんばんは。迫力不足の谷垣氏に比べ、石破氏の捨てぜりふ「そうだとすると、ただではおかない」は印象深かったです。あの表情と口調で言われると…。
そういえば今日の夕刊に、北海道教委による教職員の法令違反調査結果が載っていました。「カンパの要請4%が『ある』」(東京)、「教職員299人法令違反疑い」(読売)、「『選挙運動した』教職員54人回答」(朝日)と、みんな見出しを取ったところが違うのが興味深い。
確かに、谷垣氏は後から質問した石破氏の迫力と追求から比べると、そよ風のような質問でした。
今日は、平沢氏の「日の丸発言」でちょっとイラ菅が出ていましたが。
http://www35.atwiki.jp/kolia/pages/581.html
ワイドショーは、麻生・安倍両氏の時の1000分の1程度の揚げ足取りをしてあげれば、1ヶ月はネタに困らないだけの失言と暴言と言い間違いをしてる、迂闊なミスターブーメラン総理なんですが、
本当に9月まではみんな様子見モードなんですね。
上の私の書き込みの最後の>(もちろん、阿比留さんのご意見は言い得て妙です。)<は、
>実は私も、質問を聞いていてあまりに菅政権に遠慮していて優しいので、谷垣氏は本当は大連立を模索していて、そうなった場合、自分を担いでもらえるとでも夢見ているんじゃないかと、そんな穿ちすぎたことも頭をよぎったのです。<
を差しているのですが、谷垣氏は自分がそんな場面で担ぎ上げられる人間でないことは重々承知していますが、ひょっとしてという期待は持っていると思います。
それやこれやで言い得て妙と書いたのですが、解説しないと意味が不明な表現で失礼しました。
谷垣が大連立を狙っているとすればもってのほかです。誰も民主・自民の大連立こそ「民意」に背くものだとわたしは思います。谷垣に民主主導でゴチャゴチャになった国を我々の手で立て直してやるという気概に欠けていることありありです。
やはり谷垣では「保守」の期待に沿える人物ではないのは確かですね。
失礼ながら、私は当該意見には賛成しかねます。
最初に阿比留さんが、指摘されているように、あくまで谷垣氏は対決姿勢を見せるより、良識ある野党を演じる役回りに徹していたほうが得策だと判断した結果、”ぬるい質問”に終始したと思います。そして、彼にはそうした行動は似合っていると思います。大連立への秋波を送っているという御意見についても、彼の宥和的な意見がある一方、先日の石破氏、本日の平沢氏等自民各議員の質問内容をみれば、ありえないでしょう。つまり、緩急をつけた自民党側の戦術ではないかと。
もちろん、首相の器(特に非常事態のような現状を思えば、尚更)に彼は不適格かもしれませんし、私自身あまり好きな政治家でもありません。したがって、彼を擁護するつもりはまったくありません。
しかしながら、思うに、少なくとも昨日の彼の質問は、民主が本当に財政再建を真摯に行う決意があるなら、条件付でそれを応援する考えを自民党が持っているということを明らかにし、明確に国会をいたずらに混乱させることは自民党からはしないと国民に宣言し、後は民主次第ですよと、ボール(つまり責任)を民主側に投げたことであり、これは評価できることでしょう。
以上、駄文、失礼しました。
私も谷垣さんでは迫力に欠けると思いますが、自民党のキャッチフレーズの「まじめですから。」にはびったりだと思います。
ところで、GREEというサイトで日記を公開中の、自民党の参議院議員義家弘介氏のその日記に日教組教員がしつように誹謗中傷を書き込んでおります。北海道と神奈川県の教員のようです。
ご一読いただけたら幸いです。
谷垣は、売国民死党に擦り寄れば、自民党支持者の離反を招くとは考えないのでしょうか???
売国民死党を幕府になぞらえ、自民党自らを律して外国人と結託する売国民死党との差別化を示すのが、自民党の生命線でしょう。
やっぱ、加藤の弟子はこの程度なのでしょうか?
谷垣総裁の質問については今更失望感を受ける事自体がちょっと分かりません。元からでしょう?
谷垣総裁は常に「立場が逆転しても自分が困らないように」を前程に言葉を選んでいます。
そもそも論で言えば選んだ自民党に問題がありますから。
> 「谷垣は夏バテか?自分で質問しているうちにどんどん話が変
> わっていったり、せっかく相手のボロが出かかっても追加の
> シュートがなかったり。彼は追い込まれるといい仕事をするが、
> 気を抜くと甘える」
これはMさんですか?
大連立については、昨年までは全くだめだと思っていました。しかし、民主党政権の今までを見ていると、日本国の地位、力、名誉などがどんどん低下していくようで実に危ういですので、大連立もありのように思いました。
民主党が余りの素人集団、国益毀損をなんとも思わない(特に日米関係、温暖化)、反日施策(外国人参政権など悪法3法案)などですから、一度自民党と連立して真に政府運営とはどういう覚悟が必要かを実地訓練した方がいいのではないかという発想です。
大連立になれば少なくとも反日悪法案はできないでしょうし、ある程度保守側へのシフトも予想されます。
このためには自民党が本当に日本の国益を考える保守政党であるという条件が必要ですが、少なくとも長年の経験は持っています。
諸外国の例では、イギリスの労働党は元々相当な左翼政党でありましたが、マクドナルド党首の時、第1次大戦後自由党と大連立を組むようになり、首相となり国益重視から失業保険のカットなどで本体の労働党の反対も押し切るなどし、自らは労働党を離党し挙国一致内閣では首相を務めました。ただ、イギリスは経済は恐慌から回復し繁栄しましたが、世界のブロック経済化で日独などは苦しめられました。
そうした中で労働党も徐々に左翼色をなくしていったようです。今では左翼政党と言うよりは、社会民主主義系ではありますが、イギリスの伝統と国益を大切にする信頼政党となっています。
政治にはある程度の忍耐も必要と考えれば、民主党を鍛え、少なくとも反日色を脱却させるためにも訓練が必要かとも愚想しています。その中で反日、左翼議員の退出が起こればうまいのですが。
しかし、その前に政界再編の方が先に起こるかも知れませんが、少なくとも言えることは、国益を守り日本を守る信頼できる政党は複数必要だということです。一党だけでは権力の驕りと腐敗を避けることは、人間集団の性としてむずかしいのではないでしょうか。
どうして自民党には完璧のみを求めるのでしょうか。
不幸の中にも不幸を拾わなければならない人が必ず一定割合存在する。
これがマクロな物事の考え方で政治家はマクロな視点を持たなければ必ず自らの手法に嵌まる事になる。
何よりも完璧より程遠い政治を作ってしまったのは自分たち国民であることを理解した上で改めて自分たちの手で明るい国づくりを目指せる様な提言があるといいなと思います。
谷垣氏は「とっちゃん坊や」と呼びたいと思いました。
菅総理は「言葉が適切かどうかは別にして」とか「これが正しいかどうかは別にして」と「この別にして」という表現を多用するが非常に不愉快ですね。
まぁ、衰退する日本を代表する光景ではあります。
だから自民党が政権与党時代は、総裁候補とは言われても一度も「本命」にはなれなかったのですよね。
> そんな穿ちすぎたことも頭をよぎった...
旧宏池会系なら案外民主の連中とも協調しそうだし...まあ、谷垣総裁に関してはケレン味の無い真面目な実務家の印象だけはいっこうに払拭されませんね。
ところで、ここ三日程国会中継聞いてて印象深いのは、不規則発言が減ったなあ...という事...(首相は相変わらずですが♪)...議会秩序に漸く与党が目覚めたのか、はてまたレイムダック状態の現閣僚を野次で応援する必要が無いからなのか...