きょうは参院内閣委員会が開かれていたのですが、NHKでテレビ中継され、議員もたくさん出席してヤジが飛び交う予算委員会と違い、やはりいまひとつ盛り上がりにかけました。その中でも、もちろん重要な質疑はあったわけですが、例の中国漁船衝突事件のビデオ映像について、仙谷由人官房長官が述べた言葉がとてもひっかかりました。

 

 要は、仙谷氏はビデオ映像は永久に公開したくないのだということが、改めてよく分かるシーンでした。裁判証拠だというのであれば、船長の処分が確定した後には公開するのだなという趣旨の質問をした自民党の岡田広氏に対し、仙谷氏は不起訴となることを前提にこう述べたのです。

 

 「公判請求に至らない事件記録はむしろ、むしろ、これは、一般的には公開してはならない記録ということになって、検察庁か、あるいは所轄の警察の倉庫に眠るというのが、刑事訴訟法47条の規定でございます」

 

 あくまで国民の目に触れさせたくない、いっそなかったことにしたいという強い思いが表現ぶりに表れているなと感じた次第です。この人はかつて行政刷新担当相時代、繰り返し政治や行政の「透明さ」「オープンさ」を進めようと強調していたのに、今では国民の目に事実が映るのをひたすら恐れて遠ざけようとしています。

 

 で、ここでいったん話が飛ぶのですが、この仙谷氏についてきょう、衆院第二議員会館の前にこんな看板が立てかけられていました。

 

     

 

 

 そこで、ここで何より政治と行政の透明さを尊ぶ「柳腰さん」に登場いただこうと思います。道に迷ったとき、ブレない彼の言葉は私を支え、正しい場所へと導いてくれるのです。

 

  仙谷氏は対中配慮で頭がいっぱいで、国民の知る権利などどうでもいいようだ。尖閣諸島をめぐる対中外交も正規のルートを通さず裏であれこれやってばかりで、透明性がない。あなたはどう思うか。

 

 柳腰さん ああいうオープンな場で、パンドラの箱を開けたような形になった。ここまで世の中の関心を呼ぶのかと。アンダーテーブルのあれやこれやがかなり出てきている。政治の文化大革命が始まったのではないか。(2009年11月12日のシンポジウムで)

 

  えっ、これはあの最悪の文化大革命だったのですか。それがもう始まっていると…。これは何の比喩、逆説なのでしょうか。愚昧な私にも分かるようにもう少し分かりやすく教えていただけませんか。

 

 柳腰さん 政治全体が国民の目によって洗われる意味で、文化大革命が始まると僕は認識している。おおいにいいことだ。(09年12月9日のテレビ朝日の番組で)

 

 …残念ながら本日の柳腰さんの話は高尚すぎて、私にはよく意味がくみ取れませんでした。ただ、どうしてか底知れぬ深淵、うかつに見てはならない何かを覗いたような心持ちがしたのです。この国民の目をしっかりと意識した姿勢は、仙谷氏にも是非見習ってほしいものです。

 

 しかしまあ、こんな風な肯定的文脈で文化大革命を語る人は珍しいでしょうね。独特の言語感覚と語彙、そしてよく分からない文革へのこだわり…とますます彼に深く傾倒していく自分をもう止められません。

 

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