えー、本日は夕刊当番で会社で作業しております。また、本来は昨日が締め切りだったSANKEI EXPRESSのコラム「菅政権考」をすっかり失念していて、きょう慌てて書いている事情もこれあり、あっさりとした(?)エントリとしたいと思います。

 

 昨日の共産党の志位和夫委員長の記者会見メモを読んでいて、これは私自身や産経の主張と変わらないではないかと、思わず同僚記者と笑ってしまいました。例の中国漁船衝突事件の映像に関する志位氏の意見は、以下の通り弊紙の「正論路線」とかなり似ているのでご照会ください。

 

 志位氏:中国の漁船の衝突問題にかかわるビデオの問題です。このビデオがユーチューブで明らかになり、そしてそれを投稿したという人が名乗り出て、今、取り調べを受けているという事態になってます。この段階で私たちの態度を明らかにしておきたいと思います。

ユーチューブにアップされた、明らかになったビデオを見ますと本来、これは非公開にしておくべき内容のものではないと思います。そういうものではなかった。で、こういう内容のものだったら、政府は初めの段階で、早い段階で公開すべきだったと、これが私もインターネットでアップされたもの見ましたけれども、見ての私たちの判断です。こういう内容のものだったら、政府の責任でもっと早い段階で公表すべきだったと。これは一点です。

もう一点は、今問われている問題の焦点はどこかと。今問われるべき問題の焦点は、ビデオ流出問題じゃないと思う。そこに焦点があるんではない。どこに焦点があるといいますと、政府がビデオの扱いについて責任ある方針を持たず、早い段階で公開すべきものを公開してこなかったと。ここに問題の焦点があると思います。公開すべきものを公開してこなかったから、今回の流出問題につながったわけで、その責任こそ、責任というんだったら問われるべきだというのが私たちの立場です。

 3点目に、これが問題の本質だと思うんですけれども、政府が今、とっている立場っていうのは、今回の問題をもっぱら、ビデオの流出問題に矮小化しようとしている、と。そして公務員の守秘義務の罰則の強化だとか、果ては国家機密法の制定の検討だとか、こういうことを言い出しております。しかしこれはまったく筋違いの話であって、国民の知る権利を侵害し、表現、言論の自由を侵害するものであって、断固こういう方向は、我が党は認められないと。断じて容認できない動きだということも言っておきたいと思います。

 ですから、問題の焦点は私はビデオ流出問題、一番の中心点ですね、今問われる問題の焦点はビデオ流出問題ではないと、公開すべきものを公開してこなかった、そこにその政府の責任というところに問題の焦点があるということを重ねて言っておきたいと思います。

 

記者:共産党はビデオの公開は慎重であるべきだと言ってきたが、そことの整合性は

 

志位氏:それは私たちビデオそのものを私たち見ていない段階だったわけです。私たちがビデオを見ることができたのは、本格的にはユーチューブでアップしてからなんですよ。それまでは、1日に国会でごく一部分が公開されたことはありましたけれども、それまではわれわれビデオの内容を知る立場ではありませんでした。知る立場になかったわけで、ですから、私たち慎重に、とも言ってないんです。この公開の是非については政府の責任で判断してやるべきだと言うことをずっと言い続けてきました。

 しかし、明らかになったわけです。ビデオの内容が。明らかになったビデオを見ればね、これは非公開にすべき内容のものじゃなかったということです。こういう内容だったら早い段階で公開すべきであったと。それをしなかったからこういう事態を招いている。そこに責任があると思う。

 

記者:今回のビデオの問題で総理、官房長官は自らの責任を含め謝罪しているが、担当大臣を含め責任の取り方は

 

志位氏:こういう筋から言うと一番の責任は官邸でしょうね。官邸の問題だと思います。

 

記者:担当大臣の辞任も求めていく?

 

志位氏:担当大臣というよりも官邸の問題だと思います。私は。総理、官房長官。ですから、その責任が問われてくると。つまり早い段階でもっと判断して、隠しておくようなものじゃなかったものを、ずっと非公開にし続けてきたという無定見、無責任なやり方をとってきたのは官邸ですから。官邸の責任だ。

 

記者:仙谷官房長官が昨日、政治家の責任と役人の責任は違うという趣旨のことを言っているが

 

志位氏:結局、今の政府の姿勢はまさにそこに表れているわけで、要するに流出させたものが問題だと。ビデオ流出問題が焦点だと。だからその責任者はまず海保であって、そこに責任を持ってくるわけですよ。しかし、私はそこに焦点はないということを先ほど申し上げた。一番の焦点は、本来公開すべきものを公開してこなかったと。そこにあると。ですから、官房長官の言い分というのはまさに自らの責任を回避する、そして、ほおかむりしようというもので、これはそれ自体無責任だ。

 

記者:今取り調べを受けている海上保安官のやったことは犯罪なのか、あるいは内部告発なのか、どちらだと思いますか

 

志位氏:これ、にわかに守秘義務違反といえるかというと、私は疑問です。そもそも秘密に当たるのかということについても、両論出されていますけども、事の筋から言ってももうすでに国会では、国会議員には明らかになったわけで、かなり公知の事実だった。それからもう一つ、それが守秘義務違反の秘密に当たる場合は、それを公にすることによって公益に大きな損害を与えるということでしょ。守秘義務違反ってことになりますと。そういうものでもないと思いますね、私は。

 

記者:そうするとその本人を罪に問うべきではないという

 

志位氏:うん、そこは断定はね、なかなかちょっといま、そのプロセスですから、断定するつもりはないですけども、もう直ちに守秘義務違反でけしからんという根拠は私はないと思います。果たして秘密といえるのかと。で、守秘義務違反の対象といえるのかと。大いにそれは疑問です。(了)

 

 …いやあ、やっぱりどこぞのぐだぐだした社会党崩れの言い分より、共産党の方がしっくりくるなあ。「今回の問題をビデオ流出問題に矮小化してはいけない」という志位氏の指摘は、私が昨日の朝刊で書いたことと全く同じだし。

 

共産党の千島列島全島返還論も、私が中学時代から「本当はそれが筋だ」と考えてきたことだし。日ごろは意見が全く違うことの方が多いのですが、まだ、相手の主張の意味が分かるし。取材した後輩記者に聞くと、志位氏の方も、「産経は意見は違うけれど、読んで一番スカっとくるね」と言っているそうです。