私は今回の菅直人首相による「退陣詐欺」を受けて、昨日のエントリで「各紙の社説・論調もこれから菅首相の退陣を求める方向に大きく舵を切っていくことでしょう」と書いたのですが、きょう、朝日新聞の朝刊を読むと早速、朝日が菅首相に厳しく矢を放っていました。ははは。笑ってしまいます。

 

 1面では、もともと菅首相の指南役だとも目されていた若宮啓文主筆が「首相は潔くあれ」という論文を書いていました。そこにはこうありました。

 

 《こうなった以上は潔く早期退陣を鮮明にし、政治の局面転換を急ぐよりあるまい。》《ここで居座っても思いは遂げられまい》《6月末には復興構想会議の第1次提言も出される。それも首相が退陣の目安とする復興への「一定のメド」と考えてはどうか》

 

 また、社説は「菅さん、それはない」という題で、次のように書いています。

 

 《与野党議員を欺いた発言に、「菅さん、それはないでしょう」というしかない》《いったん辞意を口にした首相が、退任時期を示さないまま地位にとどまり続けるのは無理がある。政治不信をさらに膨らませるだけだ》

 

 …菅首相の応援団の主要な一角が崩れました。はい、弊履のごとく捨てられました。これも自業自得としかいいようがありませんね。菅氏は今後、政治的にのたれ死にしていくのでしょうが、もう骨を拾おうという人も出てこないのではないでしょうか。

 

 今朝の産経にも書きましたが、私はもともと、メディアが「いまこの時期に首相を代えている場合ではない」と主張することに強い疑問を覚えていました。だって、それは裏返せば「首相なんて誰がやっても変わらない」という政治的ニヒリズムの表明でしかないわけですから。そして、少なくとも政治の現場を知る者であれば、首相が代われば政治は大きく変化することをよく知っているはずだからです。

 

 ただ、これだけ露骨なペテンを働いたにもかかわらず、共同通信が2、3日両日に実施した世論調査では、菅首相が「辞めるのは当然」(48.1%)と、「辞める必要はない」(45.1%)が拮抗していました。

 

 その原因は、私が考えるに一つには、2日の時点では、菅首相のペテンの裏舞台が国民に十分に周知されていなかったことがあると思います。不信任決議案が否決されたのだから、続投は当然だと素直に受け取った人も少なくなかったことでしょうし。

 

 そしてまた、それ以上に重要な要因が二つあると思うのです。

 

 それはまず、菅首相の前任者がルーピーこと鳩山由紀夫前首相なので、どれだけ愚かで卑しい振る舞いをしても、ついついみんな「ルーピーよりましだろ」と思いがちだということがあります。菅首相の無意味で有害な言動も手伝って収束が遅れている原発事故にしろ、「もし首相がルーピーだったら…」と考えると、空恐ろしくなって菅首相でいいかも、と考える人もいるでしょう。私は必ずしもそうは思いませんが。

 

 また、次に考えられるのは、今回の民主党内のゴタゴタにしても、菅首相が対立しているのが主に「小沢一郎氏とその取り巻き」と見られていることが大きいのではないでしょうか。そしてそれにルーピーズが加わっていると。菅内閣の閣僚の一人は、昨年九月の代表選で菅首相に投票した理由についてこう述べています。

 

 「決して菅がいいと思ったわけではない。どっちの悪魔を選ぶかの選択だった。究極の選択だった」

 

 この代表選は当時、「赤(菅首相)と黒(小沢氏)」の戦いといわれましたが、鳩山氏と小沢氏のペアはいわば「バカと黒」です。これでは相対的に菅首相でもいいや、という結論になるのも無理はありません。

 

 民主党はここ何年も、この鳩山、小沢、菅各氏の「トロイカ」体制で党を運営し、これに輿石東参院議員会長を加えて「トロイカプラスワン」などと呼ばれてきたわけです。いかに最低か、今こそ万人の目にも明らかになったことでしょう。ちょっと遅すぎた、いや大いに遅すぎた点は否めませんが。