さて、本日は7週間ぶりに読書エントリとします。この間、政界はドタバタ劇を繰り返し、ルーピーとペテン師による三文芝居などをいやいや見させられたわけですが、口直しにしっかり読書は続けていました。今回は、割と「収穫」があり、ささやかながら楽しい読書時間を過ごすことができました。

 

 まず、久しぶりに万城目学氏の新刊「偉大なるしゅららぼん」(集英社、☆☆☆★)が出版されたので、早速読みました。この人の作品の舞台は京都、奈良、大阪ときて今回は滋賀であります。このあたりが好きなのだろうなあ。

 

 読後感は、一言でいうと「なんなんだ、これは」。相変わらずぶっ飛んだキャラが活躍(?)する万城目ワールドそのものですね。ストーリーを紹介する意味などないと思うのでそれはしませんが、続編の刊行を予感させる終わり方になっています。楽しみです。

 

     

 

 で、次に紹介する樋口毅宏氏は初めて読んだのですが、この「民宿雪国」(祥伝社、☆☆☆★)はいい意味で期待を裏切られました。この本も読みながら何度か「なんなんだ、これは」と驚かされました。実はこの作品の主人公の正体は恐ろしい…。

 

 なんか地味なタイトルで、始まりも、ある画家の伝記風なので、しっとりと読ませる作品なのかと思うととんでもない。いやはや、作者は本当に好き勝手書いています。ド派手というか陰惨というか…面白い。

 

     

 

 高野和明氏の「ジェノサイド」(角川書店、☆☆☆☆)は、SF好きにはたまりません。うーん、久しぶりに素敵なSF小説を読ませてもらったという感があります。題名が表す通り、けっこう残虐な場面が多く、ストーリーも決して希望に満ちたものではありませんが、これはいい。

 

 人類の「次に来る者」の設定、描写、扱いがよく練れているなあと感心させられました。かなり没頭して読めたので、その間は官邸に巣くう「大ナマズ」の不景気で殺伐とした面を忘れることができました。感謝です。

 

     

 

 小路幸也氏の「東京バンドワゴン」シリーズ第6段となる「オブ・ラ・ディ・オブ・ラ・ダ」(☆☆☆)は、ホームドラマの王道を行き、安心して楽しめます。こういう家族がいたら…という憧憬を誘う内容で、ちょっとテレビドラマ風すぎる気がしないでもないですが。

 

     

 

 山伏、陰陽師、忍者…その他が入り乱れて出てくる独特の世界を描く荻原規子氏の「レットデータガール」シリーズも4作目の「世界遺産の少女」(角川書店、☆☆☆)が発売されました。だんだん物語の謎が解き明かされてきました。主人公も成長し、これからどうなるのか早く続きが読みたいところですが、5巻が出るのは1年後かなあ…。

 

     

 

 こちらは有名な夢枕獏氏の陰陽師シリーズの第11作「醍醐ノ巻」(文藝春秋、☆☆☆★)です。シリーズ累計500万部を超したそうですが、相変わらず2人の主人公の掛け合いというか、友情がいい味を出しています。これも、ストーりーの解説は無用ですね。

 

     

 

 大沢在昌氏の新宿鮫シリーズの第10弾「絆回廊」(光文社、☆☆☆★)が5年ぶりに出たのはうれしい驚きで、かつ、帯に最高傑作と銘打ってあるだけあって、かなり面白い内容でした。

 

 詳しくはかけませんが、主人公をめぐる人間関係を含む環境に大きな変化が訪れます。次回作がイヤが応でも楽しみです。今回、作中に出てくるしつこい記者が、主人公のまきぞえを食らって銃弾を受け、重傷となるのですが、ざまを見ろという気にすらなりました。

 

     

 

 毎度紹介している佐藤雅美氏の物書同心居眠り紋蔵シリーズもこの「ちよの負けん気、実の父親」(講談社、☆☆☆)で第11弾だそうで、相変わらずしみじみ楽しめます。わが家の本が増えるはずです。読み返さないと判断したら古書店に売りにいくのですが、佐藤氏の作品はいつか読み返すだろうと思うし…。

 

     

 

 さて、この銀行小説の名手、池井戸潤氏の文庫版書き下ろし短編集「かばん屋の相続」(文春文庫、☆☆☆)は、前回の読書エントリの時点ですでに読了していたのですが、紹介し忘れていました。帯の「いろいろあるさ、でも、それが人生だ」というコピーがいいですね。

 

 表題作の短編には、こんなに類型的なイヤな奴がいるだろうかという人物が出てきますが、やっぱり現実にもいるのだろうなあ。わが国の宰相がそもそも人の心を持たない人モドキだし。

 

     

 

 最後に、浜田文人氏の「若頭補佐 白岩光義 東へ、西へ」(幻冬舎文庫、☆☆☆)です。これは、同じ著者の以前紹介した「捌き屋」シリーズの特別(兄弟)編といえるかもしれません。義理堅く、女好きで、それでいてストイックなインテリ極道の活躍が痛快です。

 

     

 

 …政界の権力争い、足の引っ張り合い、醜いエゴ、結局は「俺が俺が」ばかりの打算的な人間関係を日常的に見ていると、つくづく読書の時間は貴重です。本を読むことで心の平衡感覚を取り戻さないと、すぐに頭が煮詰まってしまいそうです。

 

 まあ、こんな小理屈をこねるまでもなく、ただ読書が好きなだけですが。今夜は何を読みながらビールを飲もうかと、今からその時間を待ちわびているのでした。