えー、というわけで18、19両日、野田佳彦首相の同行取材で韓国へと行ってまいりました。そして本日(20日)午前、自民党の外交部会・外交・経済連携調査会・領土に関する特命委員会が開かれ、この野田首相と李明博大統領との首脳会談について自民党議員から意見と質問が出て、外務省の石兼公博アジア大洋州局審議官が答えていましたので、その内容を報告します。テープ起こしではないので必ずしも文言は正確ではありませんが、大意は外していないはずです。

 

 

     

     18日夕、羽田空港で政府専用機に乗り込む記者たち。ソウルに着いたら気温は8度でした。

 

 

 平沢勝栄氏 野田首相は大統領に、韓国に残る日本の古文書について「アクセスの改善を期待する」と述べたというが、このアクセスの意味は何なのか。また、それに対して大統領の返事はどうだったのか。それと、竹島については一切、話が出なかったのか。外国人地方参政権も出なかったのか。

 

     

     日の丸が掲げられた青瓦台(大統領府)。入る際には1人ひとり、厳重なボディーチェックと持ち物チェックを受けました。

 

 石兼氏 韓国には対馬宗家文書などがあるが、マイクロフィルムだけの公開で原本は公開されていない。そのほかにもある文書へのアクセスを改善してくれというような意味だ。その首相の発言に対し、大統領から明示的な発言はなかった。しっかり聞いていたということだ。

 竹島については、明示的にこちらから話したことはない。参政権に関しては今回、向こうから提起はなかった。

 

 

     

     共同記者会見が始まる前の記者会見場。記者会見といっても、質問は日本側2問、韓国側2問と決められていて、質問者に選ばれなければテレビで見ていた方が回答もよく分かるかもしれません。

 

 稲田朋美氏 今回、野田首相から何か国益に合致するような発言はあったか。竹島の件では、私たちは入国拒否された。いろいろな意見はあったが、世界に対し、日韓に領土問題があることを発信したと思う。それについて、(野田首相が)国際司法裁判所へ進めるなどの話をしないのであれば、何のために外交をやっているのか。

 なぜ儀軌を引き渡してくるのか。これは慰安婦の問題とかかわってくる。いったん、日韓基本条約で解決したことを蒸し返して儀軌を引き渡すのは、解決済みの慰安婦問題が出てくるのと同じ構図だ。

 

 

     

     野田首相が持参した朝鮮王室儀軌など古文書。思いの外でかいと感じました。

 

 西野あきら氏 野田首相は今回、二国間外交で実質的なデビューだ。日韓首脳会談で「基本的価値を共有していることを確認した」などというが、こんなのは閣僚とかがメッセージを出していればいい話。現実には領土問題でも韓国の方が先行し、わが国は後手後手だ。我が国の主張がないように感じる。首相は我が国の主張をしてくるべきではないか。

 

 中谷元氏 スワップ(通貨交換)などによる韓国への資金支援枠を現行の130億ドルから700億ドルにしたが、これはウォンが下がっていることを助けるという意味か

 

     

     日本へ出発前、ソウル空軍基地に2機並んだ政府専用機とその予備機。よくマスコミはタダだと誤解されますが、民間旅客機と同様の運賃は(会社が)払っています。

 

 石兼氏 もちろん、竹島の入国拒否の話は、これは閣僚も私どもも常にやっているし、今後もやっていく。そういう前提の上で野田首相は取り上げなかった。稲田先生から国益としてどうかというお尋ねだったが、日米韓の立ち位置をどうしていこうか、日韓の首脳で腹を合わせてしっかりやってもらうことは間違いなくこの先の基礎となる。

 西野先生からは「そんなわかりきったことを」というご指摘があったが、新しい首相が先方のトップと少人数会合で確認するのは意味がある。

 儀軌の引き渡し慰安婦問題とかかわるという話があったが、慰安婦問題に関するわれわれの立場は一貫している。儀軌引き渡しが慰安婦問題でわれわれの立場に何か予断を与えるということはないと思う。

 スワップは現時点でのウォン安をどうするという話ではない。何か起こったときに韓国を中心として何らかの不安定化が起きないように抑止力として、制度としてつくるものだ。現時点でのウォン安をどうするというものではないと財務当局から聞いている(※阿比留注 韓国政府は、自国経済の表面上の調子のよさとは裏腹に実はかなり危機感を持っていると聞きます)

 

     

     帰国途上、政府専用機の窓から見えた日の丸と韓国の大地。やはり日本の山々、緑の方が優しいように思えました。

 

 今津寛氏 外務省のホームページでも竹島について「不法占拠」と記しているのに、松本剛明前外相も藤村修官房長官も「不法占拠」という言葉を絶対に使わない(※阿比留注 枝野幸男前官房長官も岡田克也元外相もそうでした)。その点をいくら国会で聞いても「竹島は法的根拠のない形で~」という言い方に終始する。ソウルの日本大使館の真ん前に慰安婦の記念碑が建てられるという問題もある。首相が入国拒否問題について一言も触れないというのはあり得ない。何をそんなにへりくだっているのか。

 

     

     和紙の繊維をたたいて敷き詰めたような雲。今回はたまたま窓際を割り振られたので、わずか2時間弱のフライトながら「翼に日の丸」の風景を堪能しました。

 

 小野寺五典外交部会長 おそらくこれらのことをいくら外務省に言っても仕方がない。われわれはみんな同じ思いなので、国会でぜひ政府を追及しましょう。

 

     

     機内食はプルコギと韓国風海苔巻き。ここでも韓流!とめくじら立てることなくおいしくいただきました。何せ、19日は昼食を取る時間などとてもなかったもので。

 

 新藤氏 外務省には、もう少しきちんと分析して回答してほしい。以前の外交部会で自民党からの宿題として、官邸に①儀軌を持っていくのは反対だが、もし持っていくなら韓国に残る日本文書の引き渡しの交渉を申し入れるべきだ②竹島の(ヘリポートなどの)工事中止を要求すべきだ③入国拒否の理由と今後の対応についてきちんと問いただすべきだ④慰安婦の記念碑建設をやめるよう申し入れろ……の四つを出した。回答ゼロのようだ。

 野田首相は国内でこれだけ反対がある中で儀軌をこれだけの思いをしてもっていったが、大統領は何か感謝したのか。フランスがかつて強奪した儀軌の韓国への期限付き貸与を実施した際には、韓国大統領はわざわざ見に行って、歓迎式典までやったのにだ。

 外務省の説明にはないが、今回の会談について韓国の連合ニュースは、日本からの大統領の来日招請に関し、懸案、つまり歴史問題が解決されなければ難しい部分があると大統領が述べたと報じている(※阿比留注 李大統領は共同記者会見でそうとれる発言をしています)。

 

 平沢氏 結局、野田首相はやっかいな問題は全部先送りして表向き仲がいいと演出しようということなんだろう。韓国にある日本文書へのアクセスの件だが、国民はアクセスを求めているのではないんで、日本に引き渡せというのが当たり前だ。屈辱外交、土下座外交というか、なぜ引き渡しと言わないのか。

 

     

まるで南極の雪原の上を飛んでいるかのような錯覚にとらわれました。実際は名古屋か三重のあたりなのですが……絶景でした。毎度のことですが、さまざまな形の雲がながれゆくさまを眺めるのは飽きません。

 

 石兼氏 大統領は訪日について、条件はつけていません。韓国報道は違うかもしれないが、われわれはそうではない。

 

 小野寺氏 外務省当局にいくら聞いても、最終的には政治判断なので、国会論戦でやりましょう。予算委員会で直接、野田首相に確認していくことが大事だ。

 

 高村正彦氏 (野田政権は)「政治主導」でやっているんでしょうから、国会で十分問いただしてほしい。

 

     

     19日夕、羽田空港に戻ってきたときの夕焼け空。左手は「赤富士」なのですが、何せ揺れるのと暗いのとでブレブレですみません。肉眼では空はもっと真っ赤に見えたのですが……。

 

 いよいよ本日、臨時国会が始まりました。ですが、政府・民主党のこのていたらくにもかかわらず、どうも自民党にもあまり期待感が持てません。自民党新執行部の顔ぶれとそれが決まる経緯をみても、国会対応の腰の定まらなさをみても、なんとなく野田政権がこのままズルズルいくような。

 

 あるいは全然そうではなく、例のTPP問題をはじめ大荒れに荒れるのか。まあ淡々と、でもしっかりと見ていこうと思います。