今朝の新聞各紙は、秋篠宮さまが46歳の御誕生日にあたっての記者会見で、野田政権が検討を始めた女性宮家の創設など皇室の将来像をめぐる議論について原則として「制度論としては国会の議論に委ねる」としつつも、次のように率直に述べられたことを報じています。

 

 「今後の皇室のあり方を考えるときには、私もしくは皇太子殿下の意見を聞いてもらうことがあってよいと思っております」

 

 これは、逆にいうとこれまでは、皇室の将来にかかわる大事な問題についても、政府はほとんど何も当事者である皇族の方々に相談せず、勝手に決めようとしてきたことを示すご発言ですね。その意味することはとても重要だと考えます。このタイミングで、公の席で秋篠宮さまにこう言われてしまえば、政府もそうそう無視はできないはずです。

 

 そしてまた、私はこの秋篠宮さまのお言葉から、2005年11月に当時の政府の「皇室典範に関する有識者会議」の吉川弘之座長(ロボット工学)が言い放ったセリフを思い出しました。吉川氏は、皇位継承資格者である寛仁親王殿下が有識者会議の女性・女系天皇容認方針に疑問を呈したことについて「どうってことはない。(会議の議論への影響は)ない」と述べたのでした。

 

 吉川氏は後にこの発言を否定しましたが、これは首相官邸のエントランスホールで大勢の記者たちに取り囲まれて語ったことであり、取り消しようがありません。この有識者会議について、宮内庁長官経験者は私に「あんなのは無識者会議だ」と憤っていましたが、このときも政府は皇族方のお考えやご意見を聞くことなしに話を進めていました。

 

 実はこの当事者である皇族方のご意見を聞くというごく当たり前で常識的なプロセスについて、故橋本龍太郎元首相が有識者会議のメンバーで官僚の大ボス的存在である古川貞二郎元官房長官に勧めたところ、古川氏はこれを断ったのです。私のインタビューに対し、橋本氏は「皇室に対し無礼だ」と憤っていましたが、秋篠宮さまははっきりと「私たちにも聞くように」とおっしゃったわけです。

 

 この橋本氏と古川氏のエピソードに関しては、もう5年以上前となる2006年7月1日のエントリ「故橋本元首相が皇室典範有識者会議に言ったこと」(http://abirur.iza.ne.jp/blog/entry/9251/)に記していますので、興味を覚えた方はご参照ください。

 

 元宮内庁幹部の一人は、「将来、悠仁さまをお守りし、お助けするためにも一代限りの女性宮家をつくるべきだ」と語っていたそうです。「野田佳彦首相も非常に問題意識は持っている」(政府筋)とされ、この問題がこの先、野田政権内でどう協議されていくのかはわかりませんが、注視していこうと思います。

 

 ちなみに、藤村修官房長官はきょう午前の記者会見で「皇室の一員であられる秋篠宮殿下として、ご自分の考えがあり、それをお話しなるのは別に当然のこととして、個々のご発言について、その中身、内容について政府としてコメントすることは差し控えたい」と述べていました。