今朝の新聞各紙は、総務省が11月30日付の官報で公表した平成22年分の政治資金収支報告書(同省所管の中央分)に関する記事をあれこれ載せています。まあそれは、新聞を手にとってもらえば(ウェブニュースでも)分かるので、関連して私が気になったことを記しておきます。

 

 それによると、「民主党の小沢一郎元代表が幹事長だった1月から5月にかけて、使途を明らかにする法的義務がない『組織対策費』として計8億9700万円を党本部から幹部4人に支出していたことが判明した」とあります。

 

 内訳は、佐藤泰介財務委員長に8億6700万円

 

     輿石東参院議員会長に2000万円

 

     山岡賢次国対委員長に500万円

 

     石井一選対委員長に500万円

 

 となっています。この数字を見てピンときた人がいるかどうか分かりませんが、実はこれは昨年9月7日の私のエントリ「夕刊フジに届いた『怪文書』と組織対策費」(http://abirur.iza.ne.jp/blog/entry/1784440/)の中で、「怪文書」として取り上げた資料に記されていた数字とぴたり一致します。資料は写真も掲載していますので、関心のある方はご参照ください。

 

 ちなみに、佐藤氏は元愛知県教職員組合委員長であり、山梨県教職員組合委員長出身の輿石氏とはツーと言えばカーの間柄ですね。

 

 当時は菅直人前首相と小沢氏が争った民主党代表戦の最中でした。夕刊フジに届いた差出人不明の「怪文書」は19年~22年分の民主党の組織対策費の支出一覧で、党の経理帳簿からのコピーとみられましたが、真贋は分からないので「怪文書」として掲載しました。

 

 それが、未公表だった22年分の数字まで符合したわけです。先のエントリをアップした際には「『怪文書』の域を出ないトンでも資料でしょうが…」とのコメントもいただきましたが、これでかなり信憑性は高まったと言えるでしょう。まあこれは、当時の菅陣営によるよくいえば内部告発、ありていに言えば小沢陣営へのネガティブキャンペーンということでしょうね。

 

 でも、この政党の官房機密費ともいわれる組織対策費については、菅政権時代の財務委員長だった小宮山洋子現厚生労働相もまともに情報公開しませんでした。実態が表に出ると、小沢陣営だけでなく、党全体がダメージを受けることを心配したのだろうと推測しています。

 

 新生党、新進党、自由党、民主党……と、小沢氏が党のカネを握って支出した計100億円もの組織対策費が、報告書上は受け取ったことになっている政治家当人も身に覚えもなく、何に使われたか分からないまま闇に消えていることはこれまで何度も書いてきました。

 

 もちろん、この組織対策費は民主党だけでなく、自民党も支出しているわけです。ここらで、こんな不透明な政治資金の使い方はやめるよう、与野党で合意し、政治資金規正法改正につなげてほしいものです。

 

 ちなみに、見通しのないただの空想ではありますが、私は国会議員の歳費と公設秘書数は倍増し、その代わりに議員定数の大幅削減(議員を減らせば国会の衛視などの定員も減らせます)と政治資金規正法の規定・罰則の強化、厳罰化を図るべきだとの考えです。

 

 小沢氏自身もかつて「政治にはカネがかかるものだ」と強調していましたが、現行の歳費・手当だけでは私設秘書を何人か雇って地元などに事務所を置き、後援会報を発行するような余裕はありません。

 

 政治家が、ヘンな誘惑にかられたり、金策に走り回ったりせずに国政に専念できるような制度整備も必要だと思います。まあ、実際はなかなか理解の得られる話ではないし、実現困難なことはよく分かっていますが。