昨日の産経正論欄で、政府が現在進めている「女性宮家」創設に向けた皇室典範見直しの動きに関連して、日大の百地章教授が次のように書いているのを読み、「わが意を得たり」の思いがしました。

 

《女系推進派はいろいろ口実を設けて、これらの方々(※旧皇族)をあくまで排除しようとしている。しかし、一般民間人なら誰でも良いが、皇統に繋がる由緒正しき方々が皇族となられることは認めないなどといった主張がいかに異常か、なぜ気が付かないのだろうか。》

 

 連合国軍総司令部(GHQ)が皇室弱体化の意図を持って戦後、11宮家を皇籍離脱させたのは明白です。これら旧皇族の方々の復帰については、天皇陛下のお考えもあろうし、旧皇族自身の事情もあるでしょうから、ここで結論めいたことを言うつもりはありませんが、私にはずっと不思議だったことがあります。

 

 それは、小泉内閣の皇室典範有識者会議の議論もそうでしたが、現在の野田内閣でも、政府(官僚)側がどうしてこんな「屁理屈」を弄してまで旧皇族の復帰を否定しようとするかについてです。たとえば、1日付の読売新聞は旧皇族復帰についてこう書いています。

 

 《政府は「(現在の旧皇族は)一般人として生まれており、多くの国民の理解が得られない」として否定的だ。》

 

 そうなのですよね。これは小泉内閣のときから同じ見解ですが、これを現在の政府高官もたびたび口にしています。でも、一体何の根拠があるのか不明なのです。だって政府(官僚)は、新設する女性宮家の配偶者も皇族とする案を胸にあたためているわけです。純然たる民間人は皇族になれるが、旧皇族は世間が許さないという理屈にならない理屈は、どこから出てくるのか。

 

 私も百地氏と同様、この主張の異常さについて、16日付の産経紙面でこう書きました。

 

《また、政府は、戦後皇籍離脱した旧皇族の復帰については「現天皇陛下との共通の祖先は約600年前までさかのぼる」とする17年の報告書を踏まえ、検討対象から外した。

 女性宮家の配偶者となる民間男性が皇族となるのに旧皇族は無理とするのは不合理ではないか。しかも旧皇族のうち竹田、北白川、朝香、東久邇の4宮家には明治天皇の皇女が嫁ぎ、東久邇宮家には昭和天皇の皇女も嫁いでいる。母方の系統とはいえ血縁は近い。》

 

 この点については、229日に首相官邸で行われた有識者ヒアリングで、かつて「僕は、今まで(皇位継承権を)男系の男性に限ってきた一番大きな理由は、女性蔑視だと思いますよ」と語っていた(平成17年の週刊現代での対談)、あのジャーナリストの田原総一朗氏ですら、こう述べています。

 

 《GHQがこの旧宮家を廃止したわけでして、むしろこれはGHQの思惑でございまして、日本の国民の思惑ではない。だから、私は旧宮家の復活に反対ではありません》

 

 ……さすがに最近は、野田佳彦首相もこのままではおかしくなると考えたのか、国会で検討内容に旧皇族の復帰も含めることを表明したのは、以前のエントリで紹介した通りです。まだまだ予断は許しませんが。

 

しかしまあ、今回のテーマに限らず、政府の事務方が用意し、政治家や関係者に吹き込む旧皇族排除の論理や女系(雑系)容認の根拠は、やたらと穴の多い粗雑なものばかりだと以前から感じています。よほど国民をバカにしているのか、相当無理をしてでもそっちに持って行きたい理由があるのか。これまた不思議でなりません。

 

 そもそも、第一回ヒアリングの対象者が、皇室問題に見識があるとは思えない田原氏という時点で、私も同僚記者たちも「???」と首をかしげざるを得ませんでしたが、これ、どういう選考基準なんでしょうね。世の中分からないことばかりです。