相変わらず政局と関係のないことを書こうと思います。東京電力は昨日、福島第1原発事故を受けた社内事故調査委員会の最終報告書を公表しましたが、予想通り、新聞各紙の報道ぶりは厳しいものでした。見出しをざっと拾うと、以下のような感じです。
産経 東電 自己弁護に終始
朝日 東電、責任逃れに終始
毎日 責任逃れの姿勢露呈
読売 東電 自己弁護に終始
東京 東電 責任逃れ記述多く
見事に似たようなトーンの見出しが並びました。まあそれはそうでしょう。で、今回は、その上で私の関心事項である当時の首相官邸の対応についてどう書いてあるかに着目したいと思います。これまでの政府事故調、民間事故調、国会事故調の報告にはなく、ほとんど知られていなかっただろう興味深いものもありました。
例えばその点に関して一番詳しく書いた東京は、東電側に皮肉な視線を向けつつも、東電報告書の内容についてこう紹介しています。
《初期の対応の遅れが指摘される部分では、官邸からの介入が遅れに拍車をかけたと主張。その材料として、菅直人首相(当時)の「知人」(コンピューター工学が専門の大学教授)から福島第一原発にかけられた電話を取り上げた。
知人は米スリーマイル島原発事故の概要を教えるよう求め、現場の部長が説明した。すると、知人は「復水器に蒸気を送り、(水に戻して)原子炉を冷却する」ことを提案したという。
提案のようなことができないから、炉心溶融という重大事故が進行している。それは無理だと納得してもらうまでに「数十分費やした」という。
こんな無駄なやりとりがあったなら、現場から時間を奪ったのは確か。ただ、報告書は「この総理の知人は後日に内閣官房参与に任命されたとのことである」と、必要以上に皮肉を込めて記した》
《東電幹部に強い調子で話す管氏の様子は、本店と原発をつないだテレビ会議で偶然映っていたが、それを吉田所長が見ていた。報告書は、吉田氏の「極めて高圧的態度で、怒り狂ってわめき散らしている状況だった」との証言を引用し、「『誰が逃げたのか、事実として逃げた者がいるなら示してほしい』と憤慨していた」とも紹介した。》
《同15日に東電本店に来た菅氏を、テレビ会議システムを通して目にした吉田昌郎・前福島第1原発所長は「高圧的で怒り狂って、わめき散らしている」という印象を持ち、「(全員撤退と言われ)誰が逃げたのか、逃げた者がいるのなら示してほしい」と憤りを示した。》
官邸は無意味な問い合わせや指示で現場を混乱・疲弊させるばかりか、勝手に全面撤退と勘違いした菅氏が怒鳴りちらし、現場の士気を著しく低下させたという主張ですね。そのこと自体はこれまでも各方面から指摘されてきたことですが、この吉田氏の証言は初めてみました。また、この間の経緯について、読売は次のように書いています。
《事故発生翌日の昨年3月12日、菅氏は同原発の吉田昌郎所長(当時)に電話した。菅氏と、途中で電話を引き継いだ知人は数十分間にわたり、米スリーマイル島原発事故(1979年)を参考にした原子炉の冷却方法を提案。だが報告書は「実態と乖離した指導だった」と批判した。》
菅氏が自分の東工大人脈などのセカンド・オピニオンばかり重用し、海水注入問題でも誰かに再臨界の恐れを吹き込まれて混乱を引き起こしたことはこれまでも言われてきましたが、このスリーマイル島の話は初めて知りました。朝日は、このエピソードそのものは記事で取り上げていませんが、報告書がこう指摘していることは紹介しています。
《事故時の首相官邸の対応については「現場実態からかけ離れた具体的な要求が官邸の政府首脳らから直接・間接になされるようになった」とし、「現地対応にあたる発電所の所長を板挟みにするばかりで事故収束の結果を改善するものではなかった」と批判。》
こういう問題点に対する東電側の指摘は一応、理解できるのですが、とはいえ《東電本店と福島第1原発を結んだテレビ会議の映像は「プライバシーの問題が生じる」として公表しなかった》(日経)のはやはり納得がいきません。これを出さないから国会事故調の参考人聴取で菅氏が「怒鳴った気持ちはない。夫婦げんかより小さな声で話した」などと、ふざけた言いぐさで自己正当化をするわけですから。産経はその点についてこう書いています。
《東電は「ビデオは社内資料で公開しない」としている。社内資料すべてを公開することにつながる危惧からだろうが、ビデオは、報告書の信憑性を検証する材料であり、証拠でもある。「自己弁護」と言われぬよう、出せるものは公開すべきだ。》
以前のエントリでも書きましたが、東電は3月15日未明に菅氏が本店に乗りこんできた際のビデオをぜひ公開すべきです。こんな大事な問題がいつまでも「藪の中」であっていいとは思えません。
「卑怯者は、安全な時だけ、居丈高になる」(ゲーテ)という言葉がありますが、これ以上、今日のことを異常発達した生存本能で察知したのか議事録を一切残さなかったアレが、安全地帯から偉そうなことを言い続けるのを許しておいてはいけないと思います。いっそ、匿名ででも産経新聞にビデオを送りつけませんか?
コメント
コメント一覧 (21)
いったい何故、この人たちが「自己弁護」や「責任転嫁」をする必要があるのか、正直言ってそこがすでに理解出来ないのです、ホントーに。
もはや組織としても個人としても、失うものがあるのでしょうか。
菅氏のように「失うものがある、と勘違いしている」人が居るという例は認めますが。
やはり、被災された福島県民の方々の為にも真相を明らかにする必要があると思います。
真相を完全に明らかにするためには、刑事・民事両方で東電と当時の総理・官房長官・経済産業相・総理補佐官・内閣参与等を訴えることだと思います。
無用の混乱を引き起こし情報を隠蔽し多くの福島県民を故意により被曝させたことは極悪非道としか思えません。
市中引き回しの上、打ち首獄門が適正な処分でしょう。
毎日相当大声で喧嘩しているらしい。
近所の人は騒音レベルを測ってもらいたい。
(あと犬を飼っているのかどうかも)
東電には海保の保安官クラスの勇気ある人材は居ないということは分かりきった?ことなのでしょうが、アレを永久に葬り去ることはまだ意義あること。
懸賞金1億でどうでしょう。
世界各国のお笑いニュースへの配信で回収!?
お疲れさんです。《東電本店と福島第1原発を結んだテレビ会議の映像》是非
公開して貰いたいですね。
少し日が経ってからだったと思いますが、当時の吉田所長が、民放のテレビ
インタービューで話されてたのを観ましたが、中々腹の据わった人だと思いましたよ。
誰其れ云わず、只一重に全ての責任を一人で被った様な、話し方をされていた様に見受けましたが、政権末期だったイラ管が最後のアガキか?又はあの事故で、
余命が延びたと勘違いし、神経麻痺を起し、講釈垂れて権力の悪弊をバラマイタだけだった様に思えますよ。
国民不在の国家って、やはり左巻集団の悪弊以外無いでしょうね。
「魑魅魍魎共が跋扈する」政権って、何なんでしょうかね?
身に余裕が有れば、国外逃亡図りたい気分になります。
無理をなさらず、滅入らず諸説の発信をお願いします。
東電は電気料金値上げを言う前に、国民に誠意を尽くせ!
社員の給料アップとかふざけるな!!と言いたい。
国会事故調の委員、あの島津製作所の田中耕一さんの真摯な追及に答えて、
>夫婦げんかより小さな声..... と薄笑いを浮かべてアレは答えをはぐらかしました。
本当に不真面目な男です。
> 今日のことを異常発達した生存本能で察知したのか議事録を
> 一切残さなかったアレ
左翼系の「セル(細胞)システム」は、元々現場実行者のミスから"前衛的指導者"を保護するのが主眼と聞きますが、国家運営を革命ごっこのノリでしか考えられない連中の事ですから、記録を書面で残すなどと言う歴史的に有用であった手法なぞ"反動的"なのでしょうね。 ですから、仮に福一が炉心溶融に到らなくても、菅のアホが当時の首相で無くても民主党中心の内閣である限り議事録は残さなかったでしょう。
昨年アレが「いずれ歴史が私を評価してくれる」とほざいた際「まさか証拠隠滅した上で独裁体制を確立し、曲学阿世の徒に自らの功績を記させる気か?」と冗談で想像したものですが、あながち冗談でもなかったという事ですかね♪
東電は電気事業者の責任として、政府は国民の安全を守る責任上真摯に事故の究明をしなくてはならないでしょう。
東電は総てをさらけ出して、事故の正確ないきさつを公表して欲しい。
政府は国民主権をうたい文句にしている政党である、正直に総てを披歴しろ。
国民が一番見たいのは、民主歌舞伎「カン手本中心ぐらぐら電ちゅうでござるの場」である。
<いっそ、匿名ででも産経新聞にビデオを送りつけませんか?>
グッドアイディア、ほんとうにそのとおりです。
関連映像や録音など何でもよいから提供してくれる、憂国の士がはやく現れてほしいものです。
事実上の国有化された東電に、まだ秘匿しなければならない資料などがあるものでしょうか。あるとは思えないし、むしろ公表によって、東電側にさらに有利な事実が発見されることだってあるでしょう。
さて、そこで。
国、民間、企業など各立場から出された事故調報告書を足がかりに、アレを国会の証人喚問に引きずり出しましょう。
自己弁護、言い逃れ、責任逃れでは、東電どころか、アレこそ権化、アレの右に出るものはいません。化けの皮をはいで、犯罪行為を明確にしたいものです。
sengoku38の一色氏につづく、日本国、日本人の将来を見据え、日本国を崩壊させるのが党の綱領である民主党を叩き潰す志士がでる事を望みます。
まずは、左翼崩れの低能、無能、責任逃れのプロの菅から菅。
今でもこっちにふりむいて!と下らんコメントをする、馬鹿鳩。
奥さんからも見捨てられ、それでも権力欲、金銭欲の為に国の将来を惑わす元代表。
この3悪を、まず引きずり降ろしましょう!
外国人参政権反対、人権擁護法案反対、夫婦別姓制度反対。
継続は力なり!
直接記事とは関係ありませんが、無策の日本国の一例です。
「米ニューヨークに第2の慰安婦碑」
http://japanese.yonhapnews.co.kr/headline/2012/06/17/0200000000AJP20120617000500882.HTML
産經新聞はフォローされるのでしょうか?是非とも記事として取り上げて頂きたいと思います。
なぜ女川原発は福島第一の様な事にならなかったのか。被災の規模の違いか、その後の対応の違いか、施設の違いなのか。
東電はアレに借りがあります。
アレは「撤退したら東電はつぶれる。」とわめきちらし、その言葉を受けて東電は原発を放棄せずに残りました。そこで、多額の税金が投入されて東電は倒産を回避しました。だから、東電はビデオの公表を拒絶するのでしょう。
一つはあの日の深夜東電の社長が交通手段がなくなったと言う事で自衛隊のヘリを使って東京まで帰ろうとしたら防衛大臣がこんな時に自衛隊のヘリを使ったら被災者に説明が付かないと言う理由で中途まで来ていたにも拘わらず名古屋に引き返させてまった事、何と言う大局観のない防衛大臣である事か。東電の社長を名古屋に留め置かしておきながら一方では菅首相が現場までヘリを飛ばしたという事。東電の社長をさしおいて菅首相自らが指揮を取りたかったのかと穿った見方をその時はしてしまいました。同じケースが再び起こったら東電の最高指揮官を地方に留め置くのでしょうか。
二つ目はNHKの報道です。二人の解説委員が交互に原発はコントロール下にある、と繰り返し述べていた事です。解説とは逆に徐々に悪化しつつある状況にも拘わらずにそのように述べていました。爆発が起こってもあれは原爆の水爆と違うのだ、と言うような解説で最後まで矮小化しようとしていた事です。報道のあり方もキッチリ検証して欲しく思います。
次期総選挙で落選を!
民主党分裂
クロスケ新党
クロスケチルドレン落選必至
民主党壊滅
万歳‼
貴重な情報有難うございます。
アレ(カン)の異常さは度を超えていますね。
馬鹿に権限。国を滅ぶす。
「また報告書では、清水社長との会談の直後、東電本店で私が話したことについても、批判的な表現で、詳しく触れている。 この場面はテレビ会議システムで各サイトにも送られ、記録されていたということだ。事故発生からの記録を全部公開すべきだ。 私の話の部分だけ音声が記録されていなかったという東電の主張は余りにも不自然だ。」
と書いてあるますので公表すればいいのになぁと思います。
全てを他人のせいにして生きてきた人でしょうから、きちんとした証拠で言い逃れできないようにしてほしいものですね。
6/23の署名記事読みました。
「希望はトロイカ体制の終焉」、まさにそのとおりです。
この際、100人ほど引き連れて分裂して欲しいですね。
それだけが後世小沢氏が唯一評価されるでしょう。
そうなれば、総選挙も1年待たずにすみますし、選挙となれば
民主&小沢新党ともに全滅ですから。
ならないように願っています。
何をどう書くのかは各記者の自由なのでしょうが、せめて産経くらいは他紙と違う視点で記事を書いて欲しいと願っています。
阿比留記者をはじめ数多くの骨のある記者を擁する産経新聞ですから、他紙に迎合するような事は止めて欲しいですね。