衆院選期間中でいろいろと面倒なのでエントリ更新をさぼっていたのですが、投開票日前日のきょう、このブログの累計アクセス数が3500万を突破しました。気まぐれで意固地な書き手による、およそものの役に立たない放言ブログであるにもかかわらず、今日まで温かく見守っていただいた訪問者の皆さんに心より感謝申し上げます。

 思えば社命でこのブログを始めた平成185月は、まだ小泉政権の時代でした。その後、安倍、福田、麻生、鳩山、菅、野田と来て、今また再び政権が変わろうとしています。その間、私自身も記者としても一個人としても、いろいろな経験をすることができました。たくさんの出会いと別れ、学びと失望がありましたが、そのときどきの感想を、こうして駄文にしたためることで、ごく限られた方であっても、思いを共有したり、何らかの共感を持ったりすることができたのは、望外の幸せだったと考えています。

 この6年半余の間に、日本を取り巻く国際環境は著しく厳しさを増し、中国をはじめ近隣諸国は今やその牙を隠そうとしていません。一方、わが日本は国力を蓄え、それに堂々と立ち向かうどころか、ひたすら混迷、混沌の歳月を過ごしてきたように感じます。

 あすの選挙結果で、すべてが一度によくなるなんてことはありえません。政党の離合集散を含め、混乱もまだまだ続くことでしょう。国を壊すのは簡単でも、立て直すためには、大いに時間も労力もかかることと思います。ですが、あすはここ数年のアレコレを総括し、仕切り直し、日本が新たな出発するためのこれ以上はないというチャンスであるのは間違いありません。

 個人的には、19年夏の参院選後、「日本は10年は時を失うだろう。この閉塞状況を打ち破るのは容易なことではない」と思い詰め、かなり悲観的になっていました。でも、私のそうしたくだらない感傷や思い込みとは別に、世の中動くときは動くものだと、今はそう思い知りました。人と人、集団と集団が生み出す化学反応は複雑すぎて、到底、私ごとき凡愚の者の想像、予想の及ぶところではありませんでした。

 一度脳に染みついてしまった「悲観癖」はなかなか払拭しようがなく、今も浮かれた気分とはほど遠いのですが、それでもここ数年、ずっと頭上を重たく覆っていた黒雲が割れ、一条の希望の光がさしてきたのは嬉しいものです。特にここ3年数カ月、ずっとつきまとい、悩まされてきたまるで異民族に支配されているような言葉の通じなさ、神経を逆なでし、苛立たせる強い違和感をあす以降、覚えないで済むことを期待しています。

 私は、坂口安吾の言う「政治による救いなどは上皮だけの愚にもつかない物である」(堕落論)はその通りだと思います。政治に本当に人を救うことなどできようはずもありません。でも、政治は人を苦しめ、国家を崩壊に導くことについては実によく効果を発揮するものではありますね。だからやはり、とてつもなく重要なのだと考えます。

 ともあれ、当落速報や選挙番組がこれほど楽しみなのは初めてです。あすは選挙結果を踏まえた原稿書きの仕事が待っているのですが、本当は仕事なんか忘れて実況中継や当落ドラマをじっくり味わいたいところなのです。まあ、そういうわけにはいきませんが。