国会議員会館でもらった「国会タイムズ」(月3回発行)の8月5日号を見ていたら、北朝鮮のソン・イルホ対日国交正常化担当大使のインタビュー記事が載っていました。どうやら、国連安全保障理事会が北朝鮮非難決議採択前の会見だったようですが、興味深い内容があったので、紹介したいと思います。
ちなみに、国会タイムズの会長が理事長を務める民間海外支援団体は、たびたび北朝鮮に対する食料支援などを実施していて、北朝鮮ともパイプがあるそうです。
【米国の金融制裁】
ソン大使 「(米国は)これと言う正当な理由もなくマカオの『バンコ・デルタ・アジア』の預金まで、強権をもって凍結するなどの愚挙に出てきているが、世界の非難を浴びているのは、どっちか、ということを主張しておきたい」
=そりゃ北朝鮮の方でしょう。本気で言っているのか、国際情勢を理解しているのか疑いたくなるセリフですね。
【横田めぐみさんの偽遺骨】
ソン大使 「鑑定結果は、細田官房長官が『偽者』だと発表した時、我々はビックリした。その時、めぐみさんの夫であった金英男さんの怒りは大変なものであった。我々も鑑定書は見たが、専門家ではないので、よくは分からないので、遺伝子工学の専門家の意見だと『鑑定は理解できない』という結論が出ている」
=「よくは分からない」というところに、弱気がにじんでいると受け取るのはうがちすぎでしょうか。北朝鮮のミサイル専門家なら分かりますが、遺伝子工学の専門家って、どんなレベルなのか疑問です。
【日朝平壌宣言、ミサイル】
ソン大使 「朝日(日朝)関係は、最悪のレベルを超え、今や〝対決局面〟に入っている。朝米関係よりも、さらに悪化している。我々がミサイルを発射したことでは『朝日・平壌宣言』には違反していない。平壌宣言の精神は『両国の不幸な過去を清算するもの』というものだ」
=「朝日・平壌宣言」‥。つい「あさひ」と読んでしまいます。なんかぴったりくるし。しかし、「違反していない」といわれてもなぁ。向こうとしては、日本から1兆円以上ともいわれる経済支援を獲得するために必要なんでしょうが、早期の国交正常化なんてありえない今となっては、もう破棄した方がいいと思います。
【拉致事件】
ソン大使 「我が共和国は拉致の事実を我々自身が認め、我々自身が責任者を処罰したという事実は、これは我が共和国が国家の倫理と、綱紀を守っていることを意味しているにもかかわらず、日本は感情的に対応し、事態をより複雑にして悪化させている」
=拉致実行犯のシン・グァンスは北朝鮮で国家の英雄としてのうのうと暮らしているんじゃなかったでしたっけ。国家の倫理と言われても、到底、納得できませんね。
また、同紙によると、北朝鮮側は「強制連行被害者840万人」「虐殺された被害者100万人」「慰安婦徴用された朝鮮女性20万人」と主張し、それらに対する謝罪と賠償を求めているそうです。当時の朝鮮半島の人口は何人だよ、と突っ込みたくなる数字ですね。
私は、こんなわけの分からない国と、当時の小泉首相や福田康夫官房長官、田中均・外務省アジア大洋州局長はどうして国交正常化を急いで進めようとしたのか、さっぱり分かりません。
国交正常化というと、すぐ自由な行き来ができるようになると勘違いしている人もいますが、一党独裁の金王朝ではそんなことはありえません。現に、北朝鮮と国交を結んだ欧州諸国や豪州が、北の国民と自由に交流しているかといえば、そんなことは全くないし。
国交正常化すれば、朝鮮総連は今よりお金や物資を本国へ持ち出しやすくなるだろうし、北のスパイは日本に入りやすくなるでしょうが、日本にとってのメリットって果たしてあるのでしょうか。正常化したら、北は日本のお金を原資に、さらに核開発やミサイル開発のペースを上げただけではないでしょうか。
福田氏や田中氏のペースで国交正常化に突き進んでいたら、日本は危うかったと心から思います。拉致被害者家族や、その活動を強く支援し、福田、田中両氏と対決した安倍晋三官房副長官らの存在が政府になかったら、どうなっていたことか。想像するだに怖いところです。