2006年11月


  安倍晋三首相と小泉純一郎前首相ら新旧首相、新旧自民党幹事長は29日夜、自民党の1回生議員でつくる「83会」との懇親会に出席し、郵政造反議員11人の復党について理解を求めました。

 特に、頼みの綱の小泉氏から、「(造反組は)白旗を上げたのだから」と説かれたことには、新人たちの心境も複雑だったようです。そりゃそうでしょうね。「83会」のうち、井脇ノブ子氏、近藤三津枝氏、杉村太蔵氏ら18人は、議員連盟「復党問題を考える会」を立ち上げて復党に反対していましたし。

 「考える会」の設立趣意書には、「国民の納得や理解なしに復党させることは、自民党、ひいては政治そのものに対する信頼を失わせる結果となりかねない」と書いてあります。悲愴感が伝わってきます。

 それで、本日は、昨晩の夜回りで彼らの話を聞いた後輩記者のメモを紹介します。メモからは、「政治の世界」とは何なのだろうかと、翻弄され、揺れる新人議員の心境が伝わってくるようです。

 まずは、京都3区で民主党の泉健太氏に惜敗した「考える会」の一員である清水氏から。

 《■清水鴻一郎氏(比例代表・近畿、60歳)
 

 記者:小泉さんはあいさつで新人議員にどんな話をしたのか

 
清水氏
:使い捨てという風にこのあいだ(小泉氏が)言ってましたよね。あれは「使い捨てというのは国民が君たちを使い捨てにするかどうかの勝負だから、使い捨てというのは関係ない」と。「自分たちが今度生き残れる方法は、今度復党した人たちをどれだけ味方につけられるかということだから、それだけウイングが広がったんだから、そういう考え方をしろ」、というようなことを言ってました。

 

 記者:土下座という言葉が出ていたそうだが


 清水氏
:それは要するにですね、「郵政に反対して信念を貫いた人が、それを降ろし郵政に賛成するということは、もう白旗を揚げたんだ」と。「その人たちに対して、それをもだめだといいうような自民党であってはならないじゃないか」、そういう風な言い方でしたね。

 

 記者:新人議員の中には復党に反対の方もいるが、小泉さん、安倍さんにそういう思いを伝えた人はいましたか


 清水氏
:まあ、武部前幹事長があいさつで、「今からいうことはちょっと酔っぱらっているかも知れないから、アイムソーリーだ」と先に断った上で、「復党に関してやっぱり筋を通さないと自民党が安倍総理を選んでるんじゃないんだ」と。「国民が選んでるんだから、国民に対するちゃんとしたメッセージを届けなければ、国民に対して説明がつかなければだめだ」ということもおっしゃってましたね。

 

 記者:新人議員から小泉さん、安倍さんに直接言った人は?

 清水氏:僕は、小泉前総理には「本当にあれでいいんですか」ということはちょっと言いました。そしたら、「それはあいさつで言う」と言っていましたけど、それはあいさつの中で「安倍親衛隊になって安倍さんを支えることが改革を進めることなんだから、ぜひ頼む」という言い方でしたね。

 

 記者:安倍総理に対して新人から、意見をいうことは


 清水氏
:スピーチする場面はなかったので、そういうことはなかったですけども、特に造反議員と同じ選挙区の人たちはこれで、いわば「国民から自民党が見捨てられるのではないか、こういう筋の通らないことでいいのか」ということは雑談、話の中で出ていましたね。

 

 記者:それに対して安倍総理は


 
清水氏
:安倍総理に直接言った人はいないんじゃないかな。安倍総理はそのこと気にされてるようですけども、要するに「今、開かれた自民党というのはいつまでも政治課題が一つじゃないんだ、たくさんある中で、いい日本、美しい日本をつくっていくためには、一つのことを乗り越えていかないといけない。今が転換期だと。戦後60年、人生で言えば還暦を過ぎたこのときに新しい日本をつくっていくために、もっと広い心を持って一緒にやりましょうと。ぜひ、協力してください」と。そんな感じでしたね。》

 次は、故橋本龍太郎元首相の地盤を引き継ぐも、岡山4区で民主党の柚木道義氏に敗れた橋本岳氏です。

 《■橋本岳氏(比例代表・中国、32歳)

 橋本氏復党問題に関し、中川幹事長が「多少支持率が下がっても最終的に国民のためになる議論、判断をしたんだ」という趣旨の発言をした。小泉さんは、「道路特定財源の問題を通じて自民党は改革政党であり続けるし、安倍政権もがんばるから83会のみんなで支えてほしい」という話。

 

 記者新人で復党にふれた人は


 橋本氏
みんなの前では土屋会長が代表して、4人にお礼を言っただけ。特段復党には触れていなかった。83会分裂のような話もあったが、きょうはみんな集まって新旧首相、幹事長が集まって補選のお礼とかだった。》

 次の篠田陽介氏も「考える会」に名を連ねています。愛知1区で民主党の河村たかし氏に破れた篠田氏は、どうも納得がいかない様子でした。

 

 《■篠田陽介(比例代表・東海、33歳)


 記者
小泉総理は復党に理解を求める発言をしたそうだが


 篠田氏
小泉前総理は「それぞれが持ち味を発揮してやればいい。安倍総理がトップとして決めたことだから、安倍さん自身が支持率が低下するとかを踏まえての安倍さんの考え方だから、君たちがどうこういうことではない」と。

 

 記者早期の復党に反対してきたが、復党を認めた安倍さんに思いを伝えられたか


 篠田氏
私は個人的に話をしていない。話を聞いていて、前幹事長、前総理、現総理、現幹事長の話を聞いて・・・。私が青臭いのか、まだ理解できないところが正直いってある。ただ、それが政治なのかなあと・・・。若い考え方としたら正直理解できない。しかし、理解しろというのであれば、逆にどうやって説得できるかも考えていかなければいけないし、政治はそういったものかなあということであれば、それについて私は屈することなく、自分の言うことはこれからも言っていきたいと思う

 

 記者新旧2人の総理が理解を求めたが、まだ理解できないところがあるのか


 篠田氏
ある。やはり手続きが本当にオープンだったのか。マスコミに状況を流したというが、我々に対して特に何も言わないまま、マスコミにあれを流したのか。そこが完全にオープンだったのか疑問が残る。

 

 記者:今日の会合は反対している議員のガス抜きではないかとの指摘もあるが


 篠田氏
執行部の考え方を聞いたのかなあ・・・。ギリギリの線だったのかなあと思うが、やはり私はちょっと違う思いを持っている。それは世代の考え方の違いではないかなあと思っているので。世代の違いを言っていくことも我々の仕事だと思う。我々若い議員の仕事は、世代間の考え方の違いも上に伝えていくのが私の仕事だと思っているから、そういった思いでこれからもやっていく。

 

 記者安倍総理は復党について、具体的にどういっていたか


 篠田氏
(しばし沈黙)「新しい時代に向かって新しい日本をつくっていくために、それは今まではいろいろ考え方が違ったかもしれないが、そういった人たちもこれから一緒にやっていこう。私も一緒にやっていきたい。その時々に政権運営の中で協力したい人については、それは受け入れてやっていきたい。今回の問題についても、いったん終止符を打って、新しい枠組みで取り組んでいきたい」と言っていた。

 

 記者小泉さんの言葉でほかに心に残ったことは


 篠田氏
「今回復党問題がなくても、違った問題が出てきたかもしれない。支持率はその時々のものだから、別にあまり我々が一喜一憂することはない」と。》

 最後は、埼玉5区で民主党の枝野幸男氏に破れた牧原秀樹氏です。この人も「考える会」に入っています。

 

 《■牧原秀樹氏(比例代表・北関東、35歳)


 記者:小泉氏が、土下座したんだから許してやれと言ったようだが


 牧原氏:土下座? というか、「政治家としては極めて重いことをしたから、とにかく安倍総理を自分たちで投票したということをもって支えるというのが大事だ」という話はしていた。

 

 記者:それについてどう感じたか


 牧原氏
復党問題がどうあろうと、安倍総理に我々は支持をして、投票して支えなければならないという思い、そこは共有しているので、そこは「今後美しい国造りに向けて協力してほしい」という言葉もあったので・・・。》

 また、オフレコなので名前は出せませんが、出席者の一人は「新人にとってもいい経験だよ、今回は。これは権力闘争だから。でも第一幕は終わり。第二幕はもう始まっている」とも述べていました。確かに、ね。

 私もまだ、8年4か月ほどしか、政治の世界を見てきていないので、あまり大きなことは言えません。ですが、政治の世界は死屍累々、言葉の本当の意味で「一寸先は闇」だと感じています。その中で長年生き残ってきた人は、とてつもない生命力と強運に恵まれた人だけだとも。

 政治家にとっては、まさに権力闘争に勝ち抜いて権力を得ることこそが、自分の政策を実現することなので、仕方がないのかもしれません。政治家とは、落選したら何の保障も受けられない人たちでもあります。

 私のような安楽に流れる人間には、心身ともにとても務まらない職業だと心から思います。まあ、弊社の将来にも何の保障もありませんが…。


 《「われわれはわれわれの椅子を中間に置いた」-彼らのほくそ笑みはわたしにそう言う-「瀕死の剣士たちからも、満足したブタからも、同様に遠く離して。」 だが、これは-凡庸というものだ、たとえそれが中庸と呼ばれているにもせよ》(ニーチェ著「このようにツァラトゥストラは語った」)

 本日は風邪でお休みをいただきました。同僚たちが忙しく働いている中で、申し訳ないのですが、どうにも頭がくらくらして体に力が入りません。さきほどまで寝て、いま起きだしてぼーっとしながらこのエントリを書いています。

 さて、このところ自民党の中川秀直幹事長による「左に懐を深く」「保守中道」発言について考えるたびに、脳裏に上の言葉が浮かびます。特に政策的な問題については、中庸・中道をきどる「足して2で割る」式の半端な施策は、左右両方から評価されるどころか軽くみられるだけで、実効性も担保されないことが多かったなあ、とか。

  一方で、自民党の旧来の支持組織・団体はかつてのように票を集められなくなりました。だから、国民各層にアピールし、無党派層を取り込むしかこれからの国政選挙に勝つ手段はないというのは本当でしょう。中川氏の危機感も分かりますが、私はそもそも自民党がしっかりと保守層を固めてこなかったことの方が問題だと思うのです。

 昨年の郵政解散では、小泉前首相の鬼気迫る訴えと、国民に直接信を問うた妥協を許さないある意味、極端な主張で、従来は民主党に流れた無党派層を取り込み、自民党に圧勝をもたらしました。それもとても有効な手法だと思います。

 ただ、それは小泉氏という特異なキャラクターにしかできない一代限りの博打的なやり方(計算は周到にされていましたが)だとも考えています
。他の人に同じことを求めるのは無理だろうと。あるいは国民も二番煎じだとそっぽを向きかねません。

 では、小泉氏が刺客を放って「クビ」にした造反組が復党すると、自民党は昔の自民党に戻り、いったん自民党を支持した無党派層は再び自民党を見限るのが順当なのでしょうか。私は、昔の自民党には戻りたくても、もう戻るための基盤が壊れているので戻りようがないとみています。

 また、今回復党を認めた安倍首相について、やはり古いタイプの政治家だったかとの見方も出ているようです。森喜朗元首相や青木幹雄参院議員会長らに逆らえないのだろうという論評も読みました。なるほどそのように見ることもできるのだろうな、とそういう見解も理解できます。

 でも、どうしても違和感を覚えるのは、昨年、自民党に一票を投じた無党派層も含め、みんな本当に「郵政民営化」をすべての基準に据えられるほどの大事業だと思っているのか、ということです。小泉氏が別のテーマで同じように訴えていたら、やはり同じ結果になったのではないかと思うのです。

 確かに、小泉氏自身は「郵政民営化をやるために首相になった」と側近からも言われていましたから、彼の主観的には郵政が一番重要だったというのは、それはそうなのでしょうが…。


 ですが、その郵政問題はもう決着がついていて、小泉氏自身も以前の私のエントリで書いた通り、9月にフィンランドで、こうはっきり述べているのです

  《郵政民営化は決まったことだから。一つの政策課題として。それをまた、郵政民営化反対などと言って復党してくることはないでしょう。私が間違っていた、大きな時代の流れを見損なったこれから郵政民営化一段落してあとのいろんな施策がある自民の方針についていきたいと、戻りたいという人が戻るのは不思議でない

 
この小泉氏の言葉は、今回、中川氏が復党希望者に突きつけた条件と符合しているように思います。郵政は日本が直面している何百、何千という諸課題のうちの一つだったはずです。そのワンマターで自民党の旧体質の象徴のように決めつけ、悪役にするというのは私の趣味には合いません。

 また、安倍首相の周囲からは、オフレコベースで次のような意見も聞こえてきます。これは中川氏の主張とはまた違う情勢判断のようです。

 「自民党は左にウイングを広げるのではなく、保守層をきちんと固めなければならない。今までの自民党が本当の保守主義だったかというと半分以上は違うと思う。だから安倍政権は今までの政策の延長線上ではなく、今までとの違いを明確にすることが重要なテーマになる」

 この言葉からはうかがえる発想は、保守政党を名乗りつつも実態は保守とはいえなかった今までの自民党から、明確に保守主義に拠って立つ自民党へと脱皮を図りたいという考え方です。

 もっといえば、自民党に根を張っていた古い、サヨク・リベラル的な体質を少しずつ改善し、今は自民党から離れている保守無党派層を何とか固めたいという意向があるのでしょう。小泉氏とは志向する方向が違いますが、自民党を変えていくという一点では共通していますね。

 まあ、一言に保守といっても定義はあいまいだし、保守という言葉から受ける印象はそれぞれ千差万別かもしれません。私個人は、ある政党職員から聞いた「保守とは、家族を守ろうという心だ」という言葉が印象に残っています。

 復党問題をめぐり、イザでもさまざまな意見・主張が出ているのをみて、何か書きたくなったのですが、どうにもまとまりません。いずれ、また体調がいいときに改めて書こうと思います。

 ■おまけ
 
 昨日、国会前でまた全国労組交流センターのビラが配られていたので、内容をちょっと紹介します。国会前の座り込みに激励にこなかった日教組の森越委員長を非難する言葉が踊っています。ああいう組織のトップになるのも大変だな、と変に同情してしまいました。

 ビラによると、11月25日に行われた「教育基本法改悪ストップ実行委員会」主催の全国集会では、森越委員長に組合員から次のような怒りのヤジが飛んだそうです。

 「委員長は国会前に来い!」「国会前に座り込め!」「行動提起はないのか!」

 繰り返し書いてきましたが、どうしてそんなに座りたがるのかが不思議で仕方ありません。また、ビラには「森越発言に怒りの声」という特集があり、こんな組合員の発言が載っていました。

 「委員長ならば、自分が先頭に立って座り込みをして、スト指令を出すべき。こんな重大事態なのに粛々と授業が行われている方がおかしい」(大阪教組Tさん・女性)

 「日教組は何万という数を動員して闘うべき。本部は組織の力を生かそうとしていない。怒りを感じます」(同Sさん・女性)

 「私は貧乏で育ったけれど、今の教育基本法があるからみんなと一緒に教育を受けられた。改悪されたら、お金のある人たちだけの教育になってしまう」(神奈川県教組Sさん・女性)

 …粛々と授業が行われていることがおかしいのだそうです。この人たちは、自分たちの仕事は政治運動だと思っているのでしょうね。また、改正基本法でどうしてお金持ちのためだけの教育になるのか、条文を読んでもさっぱり分かりません。

 日教組のみなさん、もう少し私たち一般国民にも通じる言葉と論理で主張してくれないと、いくら座り込んでも無意味ですよ。余計なお世話でしょうが。


 昨日はいろいろと忙しかったのと、風邪で頭が朦朧としていたこともあってブログ更新をさぼってしまいました。今も頭が重く体に力が入らないのですが、きょうは夕刊当番のため、仕方なく早起きして会社に来ています。

 で、今朝の朝刊各紙をみると、予想通り、郵政造反組の復党受け入れをめぐり、安倍政権を批判しています。社説をみると、東京は「一体だれが納得するか」、朝日は「刺客』は使い捨てか」、毎日は『踏み絵』でも筋は通らない」、日経は「自民復党は有権者の理解を得られない」と見出しをつけています。

 世論調査をみると、復党反対の方が多いとはいえ、賛成の人も数割いるのに、東京の見出しは強烈です。社説の出だしも「不快で、あっけない復党劇だ」とのっけから不快感を示していますが、東京さんはそんなに熱心に小泉前首相の郵政解散を支持していたかな…。

 弊紙はというと、「幅広い支持獲得が肝要だ」とちょっとあいまいっぽいですね。読売は「これで一応の区切りはついた」としています。ただ、社説の中身を読むと、産経、読売ともいろいろと復党のやり方や今後について注文をつけています。

 また、一般記事の中でも、朝日が「『小泉路線』と訣別鮮明」、毎日が「小泉路線』を修正」と見出しをつけているのが印象的でした。私の感想は、これは半分あたっていて、半分は間違っているというものです。

 安倍首相は両紙が書いているように、参院選のために今回の復党を急いだのではなく、むしろ、イメージや支持率の低下を覚悟して、長期的な視野から復党受け入れを決めたのだと考えるからです。もちろん、それが参院側の思惑と一致したのはそうでしょうし、小泉路線とは異なるともいえますが。

  例えば昨日、復党願いを出した一人である古屋圭司氏が早速、「安倍新総理と政治信条とか思想とか共通点が多いので、しっかり安倍政権を支える力となって憲法改正とか国家的な仕事に挑戦をしていきたい」と語っていることに注目しています。

 さて、また前置きが長くなってしまいましたが、紙面では全文掲載ができなかった安倍首相の昨晩の記者インタビューの全文を紹介します。首相は、昨日はいつもより長い時間、熱心に語っていました。

 《記者:今日、郵政造反組12名から復党願が出されたが、総理は復党を認めるのか?

 安倍首相:先ほど開かれました役員会において、12名の方々から復党願が出され、そして11名の議員からは昨年の総選挙において政権公約2005、これは郵政の民営化を含んでいるわけですが、この政権公約2005に全面的に同意する、そしてさらに私の所信表明を支持をし、新しい国づくりについて全力を傾けて協力をしていく。また、昨年の総選挙においての反党的な行為について反省する旨について書面で提出されました。

 これは中川幹事長が示していた条件をすべて満たすものであり、私はこの11名について入党に向けて手続きを始めるように指示をいたしました。平沼議員については残念ながら、私どもが示した条件について書面において提出されませんでした。残念ながら今回復党を認めることはできない。こう判断をしました。

 今回の復党問題については、自由民主党は決して古い自民党に戻ることはありません。また戻してはならないと思います。今回の復党の件につきましても、国民の皆さまの前でどういう条件であれば復党を認めるということについて申し上げ、議論し、そしてまた幹事長と平沼議員との間で話し合いを持ってきたということです。

 その結果、今回こういう形で国民の皆さまの前でお示しをした条件を了解したということで、私は総裁として復党を認め、そして復党された後には皆さんに一緒に美しい国づくりに向けて汗を流してもらいたい、このように考えています。

 記者:総理は国民に対する説明は十分これでできたと考えるか

 安倍首相:この問題、一番大きな課題は、昨年の総選挙において、郵政民営化、是か非かが問われた選挙でありました。ですから、この是か非かということについては曖昧にしてはならない、このように考えました。

 昨年の総選挙の結果を真摯に受け止め、そしてこの民営化の方向に向けて賛同していただかなければならない。そして、これから私が始めようとしている新しい国づくりに向けて一緒に汗を流す、その決意を示していただかなければならない。

 この2点について私は確認を取りたいと、このように考えました。その上で賛同される方々については、復党を認める。私の考えについては国民の皆さまに説明をしていかなければならないと考えています。

 記者:報道機関の世論調査では復党に反対する意見が強いが、復党は国民の理解が得られないのではないか?

 安倍首相:世論調査については十分に承知をしております。その上で、私の責任において今後、皆さんにしっかりと力を発揮をしていただいて、国民の皆さまのご理解をいただきたい。また、この復党をめぐるやりとりにおいても、できるだけ国民の皆さまに条件等についてオープンにしてきたつもりです。

 どういう条件をのんでいただければ私が復党を認める、このことについては説明をしてきた。その上で了解をしていただいたということで、今回、総裁として責任を持って決断をしました。

 記者:中川幹事長が「総理の本心は院内会派の結成だ」と発言しているが、改めて総理の本心を教えてほしい。

 安倍首相:今回こういう形で皆さんが了解をされました。これをもってこの問題に決着をつけたいと思っています。

 記者:結果として郵政民営化に賛成する票、反対する票の両方を取ったという意味で票の二重取りではないかという指摘があるが。

 安倍首相:いずれにせよ、こうした政治の場における決断というのはわれわれ政治家である以上、それぞれ選挙で審判を受けるということになります。

 記者:平沼議員に関しては郵政民営化に賛成しない限りは復党は認められないということか?

 安倍首相:先ほど私が申し上げましたように、今回の決断においてそれを条件といたしました。残念ながらこの条件に対して、平沼さんはですね、それはおそらくのめないということだったんだろうと、このように思います。

 記者:総理は以前、小泉前総理の手法は酷薄だと表現されたが、今回の決断は小泉前総理の手法を否定したということか?

 安倍首相:それはそういうことではありませんね。昨年の総選挙の結果を受けて、その結果を受けての判断でなければこうした条件をつけることはありません。

 記者:小泉前総理とは別の判断をしたということではないのか?

 安倍首相:この条件をつけるというのは議員にとって、自分の選挙区、支持をしていただいている支持者との関係で、これはなかなか厳しい私はハードルであったと思います。敢えてこのハードルを越えていただいたということです。

 記者:平沼議員は入党しないで、それ以外の協力の方法をこれからとっていくのか?

 安倍首相:現在のところまったく今後のことについては考えていません。

 記者:参議院の1人区に関して、都市部に近い山梨などでは復党は認められないという声が強いのに対し、都市部から遠い九州などでは復党とはかかわりなく自民党を支持するという声も出ているが。

 安倍首相:参議院の選挙とはまったく関わりなく今回こうした判断をいたしました。

 記者:党内には郵政造反議員の復党に反対の議員も多いと思うが、こうした議員に対してどのように説明するのか?

 安倍首相:今日、党改革本部が開かれたと聞いています。今後、執行部においてですね、よく説明をしてもらいたいと思います。

 記者:落選中の造反議員に関しても先ほどの条件をのめば復党を認めるということか?

 安倍首相:落選中の議員について言えばですね、これはまだ私ども検討をしていません。今後それぞれ事情がだいぶ異なるでしょうから、執行部においてまずどうするか根本的にですね、こういうことを考えていくことになる。

 記者:総理は参議院の選挙はまったく関係ないとおっしゃったが、復党がこの時期になった理由は何か?

 安倍首相:復党がですか?

 記者:復党を認めたのがこの時期になったのは?

 安倍首相:復党についてはずっと議論してきたわけであって、その中で、やり取りの中でですね、今日に至ったということですね。

 記者:総理、今の考えでは・・・。

 安倍首相:参議院はまだ来年の7月ですから。今やらなければいけないということではまったくないと思いますよ。

 記者:総理の真意を問うために国会を解散することは?

 安倍首相:衆議院をですか? 私はまだ政権をスタートしたばかりです。まずはこの国会において実績を上げ、来年度の予算を組んで、そして通常国会でですね、議論をしていく。まずは実績を上げていくことが大切ではないでしょうか。

 記者:参院選は関係ないとすると、改めて何のための復党なのか?

 安倍首相:これは復党を望んでいる議員がいて、また私の国づくりにぜひ力を出したい、汗を流したい、そういう議員がいる。で、かつて自由民主党の議員として一緒に活動してきた。

 そしてまた今のこの国会において、ほとんどのわれわれの政策について、すべてと言ってもいいと思いますが、賛同しているわけです。その中で党としても、1人でも多くこの国づくりに向かって力を発揮をしてくれる人がほしいと。そう考えるのは政党としてはそうなんだろうと思います。

 記者:誰のための復党なのか?

 安倍首相:私が今目指している国づくりについて、私は正しい方向に進めていきたいと思っています。より多くの方々に、力を発揮をしていくことによって成果を上げていくことになる。国民の皆さまにもそれはご理解をいただけるのではないか。そのためにも成果を出していきたいと考えています。

 記者:小泉前総理には報告したのか?

 安倍首相:小泉総理には説明いたしました。

 記者:小泉前総理は何とおっしゃっていたか?

 安倍首相:小泉総理には口頭で話をいたしました。

 記者:総理、小泉前総理は何とおっしゃっていたか?

 安倍首相:小泉総理は私の方針はわかったと、このようにおっしゃっていました。

 記者:情が筋かということが言われたが、総理自身も随分悩まれた場面があったのか?

 安倍首相:その情でいえば、情でということをおっしゃる方々は、条件を付けること自体が間違っているという、そういうご批判もあります。その中でやはり国民の皆さまの前で、われわれの考え方を明らかにしながら、この復党問題を進める必要があると考えました。

 記者:前回の選挙で出た刺客候補を、復党を認めることで切り捨てることにはならないか?

 安倍首相:それはそうではないと思います。当然この後、選挙区においての調整の問題等々について執行部で話をしていくことになります。》

 感想はいろいろでしょうが、私は安倍首相は率直な気持ちを述べたのだろうなと思います。言葉をそのまま理解すればいいのかなと。


 昨日に引き続き、本日も名目上は休みなのですが、家でいろいろと仕事をしています。昨日も自宅から原稿2本を出稿し、本日も後輩記者の原稿3本を自宅でチェックするはめになりました。

 このほか、明日締め切りの「SANKEI EXPRESS」の「安倍政権考」の下書きをし、買い物に行ったり夕飯をつくったり(趣味)もしています。ぼーっとする暇なんて全くありません。

 というわけで、今日もまた、このブログは手抜きで後輩記者の仕事(テープ起こし)におんぶに抱っこといこうと決めました。復党問題をめぐり、いま話題の中川秀直・自民党幹事長のあいさつが興味深かったからでもあります。

 あいさつは、ちょっと古いですが、沖縄県知事選の投開票があった11月19日夕のものです。場所は広島市内のホテルで、中川氏自身のパーティーでのものです。それがなぜ興味深いかというと、拙ブログでも何度か取り上げてきた中川氏のスタンスがうかがえる内容だったからです。
  
  私は15日のエントリ「自民党・中川秀直幹事長がが何を言い出すか心配です」と、17日のエントリ「安倍首相と中川幹事長の『左右』すれ違い」で、やたらと左にウイングを広げがちな中川氏への危惧を表明しました。

 また、18日付の弊紙は3面に「首相、幹事長と溝広がる」という記事を載せています(私が書いたものではありません)。記事は「『保守』にこだわる首相と、リベラル色の濃い中川幹事長の政治手法の違いが目立ち始めた」と書いています。

 また、「首相は『かつての自民党は軸足がしっかりしていたので左を取り込む意義もあったが、今それをやったら根無し草になる』と周囲に漏らしたとされる」とも報じています。

 

 さて、話はようやく元に戻って19日の中川氏のあいさつに戻りますが、氏はあいかわらず「左に懐を深く」というフレーズは使ったものの、25分間に「保守」という言葉を「保守中道」を含めて12回も使用しています。

 中川氏が産経の報道と、首相の反応を気にしたのは間違いないと思います。以下、全文を紹介します(「保守」の部分には赤色をつけてあります)。

 

 《思い起こすと途中、初当選までに約3年半、そして当選してから2年半経ったら今度は落選して、しばらくこれも勉強だと思ったら7カ月で解散総選挙になって、頬をつねったが、大した運動もしないのに、3万票も余計にご支援をいただいて、最高点で返り咲きさせて頂いた。無所属で返り咲きさせて頂いた。

 それから5期目の挑戦のときに、「頭一つリード」と書かれて落選した。本当に9回の選挙いずれもが大変な選挙だった。わずか1000票差で負けたこともあるし、勝ったこともあるし、先輩たちのご指導のおかげだが、本当に多くの方々に心からのご支援、ご声援をいただいた選挙だった。

 一番厳しいときは安芸郡が大票田であるということで、そこに集中して朝から晩まで土下座しながら声をからしながら戦わなければならないことが随分あったような気がする。そういう上で今日がある。ひとえに、本当にひとえに皆様のご理解のたまものである。中川、衷心から感謝申し上げております。ありがとうございました。ありがとうございます。

 幹事長就任の報告といことをさせて頂こうと思うが、昭和51年初当選以来、ちょうど30年になる。いま、幹事長という活躍の場をいただいたのは、ひとえいにみなさんのおかげだが、振り返ると、私の先代は生粋の党人派だった。

 おれは大臣なんていうのは魅力を感じない。大臣という、総理大臣からもらう辞令よりも、多くの庶民、有権者、選挙民からもらう当選証書のほうがはるかに貴重なんだということを口癖のように言っていた。

 そして、与党議員にもかかわらず、反官僚というか、常に官僚制に反発して、私は、親分であった福田先生が随分苦労していたようなことも新聞記者時代に聞かされたこともあります。

 ときの吉田総理に、あんた総理を辞めろって言って辞職勧告を突きつけたり、飛ぶ鳥を落とす勢いだった田中元総理にも敢然と厳しいことを言ったり、遺族年金扶助令と言って、なかなか財政当局がうんと言わないことに腹を立てて、佐藤総務会長に茶碗をぶつけたり、まあいろんなことをしたと、記者になったころ先輩たちから教えられました。天下りなんてけしからんと言い続けていた。

 しかし、私も本当にこの国が民主主義であるかぎり主人公は国民である。日本が廃墟の中から立ち上がっていかなければならないときに、国民のみんなの願いが富の創造・拡大であった。豊かになりたいということであった。

 したがって、どうしても廃墟の中からでありますから、官僚中心に、官僚内閣制でも上からの近代化、改革をしなければならなかったんだろうと思います。しかし経済第二位になった。そして少子高齢社会も迎えた。経済の豊かさだけではない心の豊かさが大事だ。地方ばかりでない、地方もそれぞれ相当の力をつけたぞ。そういう今でございます。本当に時代は大きく変わった。

 今まさに、新たな成長国家、新たな分権国家、そして民意の政治、国民の心こそがすべてのものを決していく一番の判断なんだ。判断基準なんだという政治の時代がきたような気がする。

 そういうときに、私自身も官僚内閣制の政治ではもうだめだと。当然のことながら議会を中心に、みなさんが選ぶ、そうしたいい政治、政治活動を衷心とした、国民、県民が主人公の政治にしていかなければならないと思う。

 あの最初、新自由クラブで出たときは小さな政府なんて言ったが、全然拍手がならないような時代だった。絶望した思いもあった。しかし、今、自民党が結党50年にあたりまして、小さな政府という綱領を定め、それを旗印に掲げて、昨年9月11日の選挙をやった。

 いま、もう一度、あの原点に帰って、党人政治家として、大臣になる、そんなことよりも、みなさんの代表として、次の子供たちの時代の代表として、正しい政策をやっていくという決意をもう一度、しっかりと持たなければならないと思っているところだ。

 そういう折りに幹事長という重責を与えていただいたのは、まさに党人政治家として本懐だ。そして、先代が言ったことも含めて、天下りの問題も含め、本当に根本から変えていかなければならないと思う。また、相手がどなたであれ、常に正論を貫いていくという気迫を持っていかなければならないと自らに言い聞かせているところだ。

 私は保守政治というものは、今申し上げたとおり、本に書いてある理想論をやるものではない、上からやるものではない。保守政治こそが下から、大衆から、庶民の常識をもってやっていくことである。それが保守政治の神髄である。

 その意味での民意の政治こそが保守政治の本当の形であると思っている。そして、民意とは、やはりマニフェスト時代に言われているが、明確に選挙にあたって、それぞれの政党や候補者が私はこれをやりますと言って、公約をして、その公約で判断してもらって、それを必ず実行していく。どこまでできたかによって、次にまた、ご審判をいただいく、こういう政治であろうと思う。

 そういう政治をやることこそが保守政治の大前提。民意の政治の大前提だと思う。したがって、昨年の政権公約2005は郵政民営化を入り口とした、小さな政府を作り、そして公務員天国、重い税金の国家、重税国家、そういうものになることを阻止するという民意をこの前の秋の選挙はいただいたと思っている。

 私はそういう観点から政調会長として1年間、予算の中に含まれている無駄や非効率、これを最大限カットするという歳出改革、歳入改革のいわゆる経済財政一体改革案、骨太の方針という案を党主導でまとめた。そのときのつらい経験、つらい作業のことを、『上げ潮の時代』という本の中に詳細に書かせて頂きました。もしお目にとまれば、ぜひお目通しを賜りたいと思います。

 そしていま幹事長として、まさに重い税金の国家を阻止する。次世代のためにも国民負担を最少にする。そのための公務員天国を変えていく。そういうものを前面に押し出していきたいいろいろなことを申し上げている。

 公務員の皆さんの労働組合である自治労あるいは日教組を支持基盤とする民主党にこういうことはできない。必ず真の意味での常識を、民意の政治をしっかりやっていく、私どもが国民の代表としてそういうものをやっていかなければならないんだということを我々の使命とするということを申し上げている。

 これからの統一地方選挙、来年の天下分け目の参院選挙においては、こういう観点から社会保険庁の解体、あるいは公務員の民間並みの合理化、さらには教壇に立てないような、1000人ぐらい、一説には3000人以上いると言われているが、そういう研修という名で給料が払われている先生には、もう一定の免許更新時期に去っていただくような、そういう教員免許更新制。こういうものを軸にした教育改革。こういうことをしっかりと三本の矢としてお訴えして、立ち向かっていきたい。

 先代からの遺訓である、あのような仕事をもって行政から民間会社に行く、民間会社も今、株主代理訴訟の話ですから、役に立たないような人を受け入れれば、耐えられない時代だ。

 そうではなくて、優秀な人は優秀な人、それ自身の能力をもって第二の人生、第三の人生がある。そういう形にしていかなければいけない。そういう意味での天下りといわれるものはなくし、そして本当に、公務員であっても60歳、65歳まで働けるような時代を作っていく。そういうふうにしなければならないと思う。

 過激な、本当に社会保険庁の45分働いて、15分休むなんていう契約書、確認書を交わすような、そういうことは二度とこの世の中のものでないものにしなければいけない。国民の大事な年金は、その年金制度を守るために改革するのであって、よりよくするのであって、組織を守るためのものではないと申し上げながら、かなり厳しい改革案を常日頃申し上げております。

 それに対して、誰が私の首に鈴をつけるのかと、この前新聞に書いてあった。誰も私の首に鈴をつけることはできないと思っている。また、私が本当に国民の代理人として、改革をしっかりしていく進軍ラッパがほしいというのが今の時代の幹事長の役割ではないかと思っている。

 自民党の幹事長として、安倍総理の美しい国づくり、誇りの持てる国作り。この路線を推進していくことが大事な使命だが、その立ち位置というものは保守中道路線であろうと思っている。実は二大政党の時代は保守中道という立ち位置が必ず勝利するのであります。

 アメリカの今回の中間選挙においても、アメリカの民主党はそういう路線をとった。そして勝利した。そしてアメリカでは共和党も民主党も超党派協力ということで、いま歩み寄ってよりよい政策をやろうとしているのであります。

 私も幹事長としていつも野党、民主党のみなさんいは、門戸はいつでも開けておきます。教育基本法にしても、国民投票法にしても、重要法案あらゆるものについて、いつでも修正協議をする門戸は開けておきます。年金法案もそのようなことで、三党合意ということで国会で議論しましょうという合意までしたではありませんか。

 日本とアメリカの、あるいは欧米の主要政党はすべてこういうことで超党派協力ということをやっている。サッチャーさんが始めたことを労働党のブレアが教育改革をしているのであります。しかし、それに対して日本では残念ながら、この超党派協力を無視して、どちらかというと左派、抵抗路線に傾倒しているのが唯一日本の民主党だけではないかと、そんな感じさえ持っている。

 上げ潮の時代という本は、これまた保守中道路線の気質を示しているものであると、我ながらそう思っている。

 経済政策の理論的な支柱は実は、ノーベル経済学賞をとったローレス・クライン教授という、この前わざわざアメリカから訪ねてきてくださいましたが、この教授を中心とするグループに私は政調会長時代に研究をお願いしまして、日本の経済も実質で3%、名目4%成長する力が十二分にあるんだ。政策をしっかりやればそうなるんだという答えをいただいて、そういうような政策を進めさせていただいたのでございます。

 このクライン教授が11年前、アメリカにおいて米国版上げ潮政策とも言うべき、ライジングタイドという本を29人の学者さんたちとともに出した中心人物だ。その政策で民主党、共和党の超党派の学者委員、29人でそういう政策を呼びかけた。90年代の結果的にはアメリカ経済の繁栄に大変大きな影響を与えた。

 その保守中道路線の経済学をもって、日本の経済を名目4%で今の500兆円から、18年で1000兆円にする。ちょうど二倍にする。それによって地域の格差も個人の格差もすべて乗り越えていく。次世代に膨大な借金を残さず、本当に平和な国家、成長の国家、分権の国家として、正しい民意の政治を実現する。そういうふうに書き込ませていただいたのが上げ潮の時代という本だ。

 安倍自民党もこの保守中道路線をとっていることは間違いございません。これを私は左に懐を深くと言っている。これは実は安倍さんのおじいさんの岸元総理が最初に言われた言葉だった。岸さんは国民年金法、最低賃金法という、安保の時代、左に懐の深い政策をとった総理大臣だった。

 まさに上げ潮の政策は、この保守中道路線の経済政策の中軸をなすものであると思っている。安倍自民党は上げ潮の旗を掲げて、保守中道の軸を置かせて頂いたと言っても言い過ぎではないと思う。

 先日クライン教授がわざわざ訪ねていただきまして、4%成長の恩恵を低所得者の所得にも少しでもあげる方法で、政策を展開するということで意気投合した。それが結果的に日本経済の六十数%をしめる個人消費を大きなものにしていく道だ。そうした上げ潮政策を推進して、誰1人置いてけぼりにしない、国民みんなで上げ潮に乗るようにしていく。それがこれからの政治のだいじなことで、みんなで18年後、日本の所得を二倍にしていく。そういう時代を作っていかなければいけないと思う。

 前の前の選挙で私は自立、成長、共感というスローガンを選挙事務所に掲げた。このネーミングがまさに上げ潮という原点だったと思いますし、上げ潮という言葉は今年1月スイスのダボス会議で最初に申し述べたことなので、去年の今頃はこんな言葉はなかった。ある人は流行語大賞になるんじゃないかと、たった1人ではあるが言ってくれた人がいる。まだそんな声がかかってもいないので、1人でも多くの皆様に家庭でも職場でも上げ潮という言葉を使っていただければありがたいと思っている。

 きょうは本当に、育ての親、育ての兄弟、そして家族のようなみなさんに来ていただいた。そのご厚意に甘えて、幹事長というのは大変な仕事だ。おめでとうございますと言っていただいて、ありがとうございますと言っているが、実は毎日四時間ぐらいしか寝られませんで、もう沖縄知事選で胃が痛い思いばっかりだ。補欠2連勝して、よーっしと思ったら福島で負けた。きょうの沖縄はハラハラドキドキ胃が痛い、今、まさにその中にございます。

 その意味では本当に、なるのは簡単だが、するのは大変なことばかりだ。あらゆることがある。民意の政治を実現していくのはそれぐらい、我が身をろうそくのようにして、燃え尽きていくぐらいの仕事だと思っている。私には私利私欲はまったくない。

 次世代のために、次の時代の命のために、より輝ける広島や日本を作るために、本当にろうそくのように、もうギリギリ、最後は消えてなくなるぐらい、そんな思いでご期待に応えなければならんと思っている。

しかし、悩みもいっぱいある。若干の悩みを披露すれば、復党問題なんて悩みの大変な事柄でもある。週明けからオープンに今問題に対応していかなければならない時期になってきたと思っている。

 来年の統一選も参院選も、私は信念の安倍自民党、さらには勝てる候補者をしっかり擁立する、そして、復党問題でも筋論をしっかり通して、党の筋論を堅持して三位一体で臨んでいかなければならないと思っております。その上で筋論が立っているかどうかそれはやはり、国民の理解を得られるかということがポイントだ。

 場合によっては、本当に国民の代表である自民党議員の意見というものも党機関を通して、何らかの形で国民の理解がえられるかということについてご意見を聞き、最終的にはもちろん総理総裁、安倍総裁にご判断いただきながら、適切な判断をしていかなければならないんだろうと思います。

長い話をしてしまったが、本当にこうした話ができて、そしてみなさまにいろいろなことを考えていただき、お力添えいただくのも、きょうの皆様方がいらっしゃる方だ。その思いを常にこの身いっぱい、蓄積をしながら、必ず答えを出す、先送りなどはしない、そういう幹事長として精一杯、真正面からぶつかりながら、次世代にすばらしい、日本を残せるよう、広島を残せるよう頑張っていきたい。

 それをお誓いしまして、きょうのご報告とお礼の言葉に代えさせて頂きます。本当にみなさん、ありがとうございました。
(了)》

 政治家の地方講演の類は、ネットでも全文公開されることは珍しいと思うので、何かの参考になれば幸いです。中川氏の自治労・日教組に対する視点は私も同意するのですが、安倍政権が保守中道だと勝手に決めつけるのはどうでしょうか。

 地位のある政治家はみな忙しいので、こういう発言は一般の人が思うであろうこととは違って、全くすり合わせをしていないことが多いのです。私は少なくとも、安倍首相が「中道」などという言葉を使うのを見聞きしたことがありません。

 中川氏は、わざわざ岸元首相の名前を出して、「左に懐を広く」という言葉を使ったことについて弁明していましたが、安倍首相は時代が違うと考えているようですし。やはり、首相と中川氏の目指す日本は微妙に違うと思います。

 まあ、安倍首相と中川氏は、互いがどんな思想信条の持ち主かを知りつつ発言しているのでしょうけど。政治家同士の関係は、なかなか難しいものです。

 政治部記者をやっていてつくづく感じるのは、政治家は本当に一人ひとりが一国一城の主であるということです。その意味で、戦国大名に似て、職階上の親分はいても、心底服従はしていません。

 政治家同士の関係も、しょっちゅう、宴席でもともにしない限り、なかなか意思疎通はできないのが普通です。極端な話、首相と女房役の官房長官ですら、そんなに話す機会は多くないものなのです。

 同じ派閥に属していても、驚くほど互いのことを知らない政治家をよく見ます。ましてや、党単位でみればもっとそうです。だからこそ、私は安倍首相の気心が知れた同志の復党を望んでいるのですが…。

 ※追伸 さきほど(午後10時台)このブログの累計アクセスが60万を突破しました。いろいろと至らない当ブログですが、今後ともよろしくお願いします。また、訪問された方に改めてお礼を申し上げます。


 本日は仕事が休みなので、家で本棚の整理をすることにしました。私は次々に本を買う方なので、本はあっという間に増えていきます。その上、作者別に並べる手間を惜しむものぐさな性格のため、自分でもどの本がどこにあるのか、あまり把握できていません。

 でも、これは学生時代の試験の前日もそうでしたが、本を手に取るとつい、また読みふけったり、内容を確かめたくなったりで、実際はあまり整理が進んだとは言えません。その非能率的な作業の中で、つまらないことに気づきました。

 私がとても好きな作家の一人に、内海隆一郎氏がいます。どこにでもいそうな市井の人々の哀歓を描いた「人びとシリーズ」で有名ですね…といいつつ、周囲に私以外の愛読者を知らないというメジャーなのかマイナーなのかよく分からない作家さん(大変失礼)です。

 で、出版事情に詳しい人には別に珍しくもない話なのかもしれませんが、内海氏の本を出している出版社がとても多岐にわたっているのに驚いた次第です。私の家にあった内海氏の小説・エッセイは計36冊でしたが、その内訳はというと次のようでした。

 ■河出書房新社
  「島の少年」「山からの手紙」「大づち小づち」「だれもが子供だったころ」(河出文庫)…計4冊
 
 ■筑摩書房
  「人ひどの岸辺」「丹塗りのぽっくり」「遅咲きの梅」「木に挨拶する」「人びとの忘れもの」(ちくま文庫)…計5冊

 ■PHP
  「木々にさす光」「懐かしい人びと」「狐の嫁入り」「父から娘に贈る『幸福論』」(PHP文庫)…計4冊

 ■講談社
  「家族ホテル」「描かれた風景への旅」「帰郷ツアー」(講談社文庫)「欅通りの人びと」(同)…計4冊

 ■光文社
  「郷愁 サウダーデ」「風のかたみ」「鰻の寝床」「鰻のたたき」(光文社文庫)…計4冊

 ■集英社
  「北のジム」「波多町」(集英社文庫)「湖畔亭」(同)…計3冊

 ■徳間書店
  「大樹の下に」「北の駅」(徳間文庫)…計2冊

 ■文藝春秋
  「街の眺め」(文春文庫)「一杯の歌」(同)…計2冊

 ■小学館
  「居酒屋志願」「風の渡る町」(小学館文庫)…計2冊

 ■エー・ジー出版
  「街の中の円景」…1冊

 ■毎日新聞社
  「早春の故郷を離れて」…1冊

 ■実業之日本社
  「義兄弟エレジー」…1冊

 ■朝日新聞社
  「朝の音」…1冊

 ■弥生書房
  「人びとの坂道」…1冊

 ■メディアパル
  「蟹の町」…1冊

 これだけよくいろんな出版社に書き分けているなあ、と感心しました。それとも、これが普通なのでしょうか。私はその方面に疎く、ちょっと分かりません。最近はなかなか新刊を見つけられず(書いていらっしゃるのかどうかも知りませんが)、残念なのです。

 青字にしたのは、私のお薦めです。といっても、かなり大きな本屋に行くか、取り寄せないとなかなか手に入らないと思います。私は気に入った本は繰り返し読み返す方なので、内海氏の作品も何度も読みました。文章は平易で、それでいて味わい深いと思います。

 本屋で見つけることができなかり、どこかに紛失したりで、いま手元にはないのですが、内海氏はこのほか、「人びとの光景」(新潮社)、「人びとの旅路」(同)、「人びとの季節」(PHP)、「人びとの情景」(同)などの本も出版されています。

 また、内海氏の作品を谷口ジロー氏が漫画化した「欅の木」という本も、原作の雰囲気を非常によく伝えた傑作です。特にこの中に収録された「白い木馬」「彼の故郷」などは、何度読んでも泣いてしまいます(涙腺はゆるい方で)。

 そういえば、きょうはさきほど、古本・古CDなどを取り扱うチェーン店に最近読んだ漫画を売りに行ってきたのですが、システムに少々、納得がいきません。

 その店は、新刊であれば定価のほぼ半額で買い取ってくれるので重宝しているのですが、ときどき、店側の入力ミスだか何だかで人気作品が価格リストに載っていないことがあるのです。

 きょうも先月末に発売されたばかりの「蒼太の包丁」(12巻)が、たった10円と査定されました。本来は250円のはずです。アルバイト店員に文句を言ってもどうしようもないので泣き寝入りしましたが、以前も似たようなことがありました。

 どうでもいい話に最後までお付き合いくださり、どうもありがとうございました。ちょっと仕事のことは考えたくない気分だったもので。

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