2007年01月


 きょうは、例の柳沢厚生労働相の失言問題などで精神的に消耗し、ブログを書く元気があまりありません。柳沢氏には、なんて愚かなことを言い出すのだとげんなりさせられ、それに対して大はしゃぎで辞任だ、罷免だと騒ぎ、政権たたきに熱中しているメディア(弊紙も含め)や野党にもぐったりさせられて。ですので、わざわざ訪問してくれた方には申し訳ありませんが、さらっといきたいと思います。

 弊紙の大先輩に、柴田穂さんという大物記者がいました。ソウル特派員、北京支局長、論説委員長などを歴任し、中国報道で菊池寛賞も受賞しています。で、この人が、昭和61年に出した「謎の北朝鮮」という本をきょうパラパラ読んでいて、ある記述がちょっと気になりました。

 先代の金日成主席が1980年10月に、南北統一の方策として提案した「高麗民主連邦共和国制」の骨子が記述されていたのですが、その前提条件が現在のノム政権によって、十分満たされてきているのではないかと感じたからです。以下、引用すると

 一、前提条件
   ①朝鮮半島の緊張緩和
   ②アメリカの干渉中止
   ③韓国の民主化実現

 北朝鮮側がいう民主化とは、親北化のことだと理解してもいいでしょうから、この①、②、③はもうかなりの部分、実現しているような気がします。ノムさんは韓国の北朝鮮化を目指しているようですし。で、骨子によると、統一政府の10大施政方針は次の通りです。

   ①自主性の堅持
   ②民主主義と民族大団結指向
   ③南北経済交流と合作
   ④南北間の科学・文化・教育などの交流と統一的発展
   ⑤南北間の交通・郵便手段の利用保障
   ⑥全人民の生活安定と福祉増進
   ⑦軍事的対峙状態の解消、民族連合軍隊の組織、双方の軍隊の縮小
   ⑧海外同胞たちの民族的権利保障
   ⑨両地域政府の対外活動調節と共同歩調
   ⑩対外関係において全民族を代表、非同盟・中立路線の堅持、朝鮮半島の平和地帯化

 20年以上前の提案ですから、いくつかは現在の状況と合わない点もありますが、何だか、お隣の国のノムさんは、これら方針に沿って政権を運営しているような気がしてきました。米国と距離を置き、北朝鮮への警戒を解き、とにかく融和路線を進め、財閥に北に投資させ、総連と民団を和解させようと働きかけ…。

 核武装し、主体思想を奉じる高麗民主連邦共和国が隣国になる日も、あるいは遠くないのかもしれません。私が疲れて頭が働かなくなっているので、思考が短絡的になってそう思えるだけかもしれませんが。

 とりあえず今は、言葉尻をとらえた魔女狩りが始まらないことを祈ります。いたずらに、もっと大事なことから目をそらす結果にならないかと心配です。



 今朝は夕刊当番で、朝7時すぎから会社に来ています。で、さっきは与党の某有力議員から「昼飯一緒に食べないω」とせっかくお誘いがあったのに、「2時までデスクにはりつけなんです」と断らざるを得ませんでした。貴重な取材(というか楽しい雑談)の機会だったのに残念です。

 それはともかく、昨夜の安倍晋三首相のぶらさがりインタビューは、首相がけっこう飛ばしていて面白いものでした。代表質問質疑の余韻からでしょうか、安倍氏の周囲は「だんだん安倍さんの地が出てきた」と話していました。

記者 民主党の小沢一郎代表は事務所費の詳細を公表することについて提案された。自民党総裁として総理の考えはいかがか?


 首相 小沢さんは数億円にのぼる事務所費がご自身の名義(の不動産)になっていますから、それは当然説明するということになるのではないでしょうか。事務所費の一般論については党に指示をして、国民の信頼を我々得ていかなければ政治はできませんから、そういう観点から検討するように指示をしています。》


 昨日の代表質問で、トップバッターに立った小沢氏は、自身の資金管理団体による自分名義の不動産取得問題について触れませんでした。安倍氏の答えは明らかに皮肉でしょうね。

 また、NHKの慰安婦番組をめぐる高裁判決については、次のようなやりとりがありました。朝日の報道を「でっちあげ」だと批判しています。時の首相にここまで言われると、その場にいた朝日の記者も居たたまれなかったでしょうね。

 《記者
 NHKに賠償命令が出た。政治介入は認めなかったが、総理の発言が影響を及ぼしたという指摘している。これについてどう思うか。

  首相 この判決ではっきりしたんじゃないですか?政治家が介入していないということが判決で明確に下されました。これは私は極めて明確になったと思います。

 

  記者 番組の内容はともかく、放送の前に番組の報道者と会って話しをするということは適切か?

  首相 会って話をするといっても、向こう側が会いたいと言ってきて、私はいつ放送するかも知らないんですよ。それで最初から会う、会わないなんて言えないじゃないですか。ましてや中川さんは、あの日に会ってもいないのに会ったと言われていたと。根本的な認識が全くでっちあげであったということではないか思います。

 

  記者 総理は公共放送と政治家の関係についてどのように考えるか?

  首相 一般論ですか?

 

  記者 そうです。

  首相 それは当然、報道の自由の観点からですね、われわれ政治家は常にそのことを頭に入れておかなければいけないと思います。しかし、この問題については判決で極めて明確になったということではないでしょうか。むしろそのことについては、私が圧力をかけたということについては、逆にですね、間違っていたのですから、間違ったことは間違ったと認めるのが私は報道機関ではないか思いますね。》

 …さて、前振りがずいぶんと長くなりましたが、今朝の新聞各紙は昨日の小沢氏の代表質問と高額の不動産取得について取り上げていますが、トーンはさまざまでした。各社の考え方が出ていて興味深かったので報告します。

 きょうはまず弊紙から。「政治とカネ是正は不十分」という見出しで、次のように書いています。比較的、小沢氏に割と厳しい見方をしていますね。

 《小沢氏も自身の資金管理団体が10億円を超す不動産を保有していることには言及しなかった。角田義一氏の参院副議長辞任に「敬意を表したい」としたが、その前に事実関係を究明すべきではないのか。》

 読売新聞の社説の見出しは「民主党は説得力ある対案を示せ」。政治とカネの問題よりも、「山積する重要な政策課題の解決を巡る論議」が大切だという視点を示し、やはり小沢氏の姿勢に疑問を投げかけています。他紙とは切り口が違いますね。

 《小沢代表は、政治とカネの問題に言及し、事務所費の問題が解決されなければ「まともな論戦を始めることができない」と述べたが、どういうことか。》

 一方、「政策の争点明確にして説明責任果たせ」という少し長いタイトルをつけた日経新聞の社説は小沢氏に質問をかなり好意的に受け止めたようで、こう記しています。ちょっとほめすぎじゃないかと。

 《小沢代表は政治資金、特に事務所費問題について「与野党の責任ある立場の政治家はすべて事務所費の詳細を公表したらどうか。私はいつでも詳細を公表する用意がある」と提案した。小沢氏自身、4億円余の事務所費計上が問題視されていることを意識し、自らの火の粉を振り払い、閣僚の事務所費問題に切り込む意欲をうかがわせた。》

 毎日新聞の見出しは「今後の論点は明確になった」というものです。小沢氏の姿勢に一定の評価を与えつつ、さらに民主党の尻をたたいているのかしらん。小沢氏が提案した事務所費の詳細公開について、さっさとやれと言っています。はい、それもそうですね。

 《これは与野党の申し合わせを待つことはない。民主党が率先して公表し、小沢氏の資金管理団体が秘書の宿舎として不動産を取得している問題も含め丁寧に説明すればいい話だ。》

 さて、東京新聞はというと、やはり安倍氏が嫌いで仕方ないのでしょうね。社説の見出しは「首相の答弁ではだめだ」と露骨というか、明快というか。小沢氏の質問については、「よくわからないがまあいいか」という態度のようです。

 《常識を超えた4億円という額や政治資金で不動産を購入したことへの疑念は残るが、差し当たりは、一歩前進だろう。》

 私には、小沢氏の件でどう疑念が晴れ、何が一歩前へ進んだのかよく分かりませんが…。ふと、日本は多様な報道が許されているいい国だなあと、関係ないかもしれませんがそう思いました。

  あっ、朝日新聞を見るのを忘れていた。見出しは「率先垂範で与党に迫れ」か。毎日と少し似ていますが、より切々と訴えていますね。

 《ここは小沢氏に、もう一段の覚悟と行動を求めたい。それは、小沢氏ひとりでも率先して領収書や帳簿を国民に開示することだ。
 その決断が、結果として小沢氏や民主党に得か損かは分からない。小沢氏は、政治資金から秘書寮の建設などに4億円以上を支出し、事務所費に計上したことが問題にされている。
 領収書や帳簿を明らかにすれば、経理処理にとどまらず、政治資金でそんなものまで賄うことの妥当性が改めて論議を呼ぶ可能性もある
 だが、政治に少しでも信頼を取り戻そうというなら、決断すべきだ。》

 「そんなものまで」という表現に朝日の考え方が出ているような気もしますが、私も異存はありません。大いに論議になればいいなと思います。

 


 本日は民主党の小沢一郎代表による代表質問について取り上げようかと思っていたのですが、行方が気になっていた例のNHKの常軌を逸した慰安婦番組をめぐる訴訟の東京高裁判決が出たので、そちらを先に書きたいと思います。(小沢氏の事務所費問題への釈明・主張が正直、期待はずれというかつまらなかったこともあり…)

 すでに報道されているように、東京高裁の南敏文裁判長は「NHKは、番組制作担当者の制作方針を離れてまで、国会議員などの発言を必要以上に忖度し、あたりさわりのないように番組を改編した」と指摘し、NHKに対し、主催者側に200万円を賠償するよう命じました。

 はあ、そうですか。でも何だか論点がずれているよなあと思っていたら、早速、記者が一方の当事者である自民党の中川昭一政調会長に見解を聞いたメモが回ってきました。中川氏も裁判自体にはあまり関心が湧かない様子ですね。

 《記者 NHKの従軍慰安婦を扱った番組で、民間団体がNHKに対し番組改編について損害賠償を求めた裁判で、東京高裁判決が出た。NHKには200万円の賠償を求めるが、政治家からの直接指示があったかどうかについては面談の際に一般論以上のものはなかったとして認定していない。受け止めは。


 中川氏 あの番組自体、あるいはあの活動自体、私は興味も全くありません。良識を持ってやっているのかどうかも含めて私はまったく興味はありません。

 ただ、私はある意味で被害者であって、あたかも私があの番組の放送あるいは内容について圧力をかけたかのように朝日新聞等からしつこく非難をされ、私はきちっとした証拠を持って放送の前にNHK関係者とは一切、会っていない、従って話し会いも圧力のかけようもないということ、これについてははっきりしてもらわないと。

 被害者である私、あるいは安倍総理にとってはNHKと女性戦犯法廷ですか?との関係ではなくて、私自身が大変な損害を被っていますから、これについてきちっとしていない、依然として朝日新聞は我々の要求、あるいは面会要求に一切応えていない。これについてうやむやにされているということは大変、心外なことで、私にとってはその問題は直接、関係ありません。

 私が圧力を掛けたとでもいうような裁判の判決でも出ればですね、話しは別ですけれども、私にとってはこれは全く事実無根に基づく報道によって大変迷惑を掛けている被害者だということは、我々は忘れることのできない事実であり、未だに戦っております。》

 中川氏としては、NHKと法廷主催者の係争などはどうでもよくて、自分達について中傷記事を書いて謝罪しようともしない朝日新聞のけじめこそが関心事項だということのようです。まあ、そりゃそうでしょうね。

 で、この中川氏の言葉をメモで読みながら、手提げカバンを探ると、2年前の2月4日、朝日新聞の報道に対して真相追究を求める公開討論会が都内のホテルで開かれた際の中川氏のあいさつ文が出てきました(中川氏は公務で欠席のため代読で、朝日側もだれも出席しませんでしたが)。いい機会なので紹介しますが、中川氏の言い分は理路整然としています。

 《そもそも朝日新聞が1月12日に報じた記事には、事実関係について多くの間違いがあることを指摘したいと思います。この問題をめぐっては、衆院予算委員会などで答弁しました通り、①私がNHK職員を呼びつけのではなく、先方から事業計画などの説明に来られた②議員会館の面会証などが示すようにNHK側との面会日は朝日新聞が報じた1月29日ではなく、1月30日(放送日)の後の2月2日である③面会者の中に、朝日新聞が取材したNHK幹部である松尾氏は含まれていなかった④政治的圧力はかけていないというのが事実であります。私に関した部分だけでも、これほど多くの事実誤認がある記事に信憑性があるとは到底いえないはずです。

 また、以上の事実誤認に基づく記事の内容については、朝日新聞の本田雅和記者の「初めに結論ありき」の強引かつ誘導的な異常な取材の仕方をみても、私と安倍幹事長代理を狙い撃ちして貶めようとする政治的意図を強く感じます。もし、そのような意図がなくてこの有様だとしたら、極めて杜撰でいい加減な取材手法、記事内容であると断じざるを得ません。

 そもそも、政治と報道・放送との間には適度な緊張関係が必要であり、本件ではまさにこの点を直視すべきですが、私も安倍幹事長代理もすでに公の場に出て、自らの責任においてはっきりと事実関係について発表したにもかかわらず、一方の当事者は一切表に出てきません。これでは政治と報道・放送の関係はうやむやのまま忘れ去られてしまうおそれがあります。政治と報道・放送との間の健全な関係の構築のためには、その一部の当事者も公の場に出てきて、事実関係についてきちんと説明することが是非とも必要なのです。

 他方で、このことろ、本件の事実関係を無視して、問題の焦点を単に「政治とNHKの関係」という一点に矮小化しようとする動きも見受けられます。しかし、心ある多くの国民は、責任あるはずの朝日新聞の報道が、伝聞と推測と偏見によって形作られているのか否かに注目しています。この本質からも目をさらせてはなりません。

 いずれにせよ、朝日新聞が失った信頼を回復するためには、たとえそれが辛くとも事実と向き合い、われわれ関係者と国民に誠意ある謝罪を行い、今回のような間違った報道の再発防止を誓う必要があるはずです。今、朝日新聞の自浄能力が問われているのです。》

 最近、テレビでやたらと「ジャーナリスト宣言」のコマーシャルが目につくのですが、何だか暗くて好きになれません。また、私は自分を新聞記者であるとは思ってきましたが、「ジャーナリスト」とカタカナで呼ぶような職業に就こうと思った覚えもなかったので、他社のこととは言え、とても気恥ずかしく感じるのです。

 民主党の例を持ち出すまでもなく、あまり他社を批判するとブーメランが返ってくるかもしれませんし、弊社のコマーシャルもいいとは言いませんが、あの朝日のコマーシャルはちょっとなあ。大上段から「ジャーナリスト」はこうじゃなきゃ、みたいに心に負荷をかけられ、重苦しい気持ちにさせられます。

 あくまで勝手な想像ですが、中川氏があのコマーシャルを見て「けっ、何言っているんだか」とつぶやいている姿が思い浮かぶのです。


   今朝の産経には、民主党の小沢一郎代表の資金管理団体による不動産取得に関するまとめ記事が載っています(ちなみに社会部の原稿です)。見出しが「小沢氏資金団体 資産10億円超」「献金を不動産に 国民感覚とズレ」「解散時 どう処理」と3本つくかなり大きな扱いです。拙ブログでも何度か指摘してきたように、いずれ資金管理団体が解散した際には、小沢氏名義となっている不動産はやはり小沢氏のものになるのか、という点について法務検察当局や国税の見解と疑問を紹介しています。

 いま、フジテレビの報道2001を見ていたら、ちょうどこの問題が取り上げられていましたが、民主党の鳩山由紀夫幹事長は「法的には問題ない」を繰り返して歯切れが悪い印象を受けました。自民党の中川秀直幹事長は「わが党幹部にはそういう例はない」という趣旨の発言をしていましたね。さて…。

 というわけで、私は昨日、せっかくの休日をつぶしてずっと「官報」とにらめっこし、総務省に資金管理団体を届け出ている衆参両院議員562人全員(引退議員、落選中議員らも含む)の資産をチェックしてみました。いやあ、けっこう大変な作業でした。政治家名ではなく団体名の50音順に並んでいますし、地方議員のものも混じっているし…。

 で、結論からいうと、資金管理団体が「建物」を取得している現役国会議員は5人(小沢氏含む)いましたが、「土地」を買っていたのは小沢氏だけでした。これは、あくまで官報に準拠してのことで、他に抜け道だか何だかがあるかどうかは現時点では私は分かりません。

 まず、無所属の江田憲司氏は平成15年に横浜市に105平方メートルの建物を840万円で取得しています。次に見つけたのは自民党の遠藤利明氏で、17年に山形県上山市に99平方メートルの建物を30万円で取得しています。随分と安い物件ですね(※29日午後2時追記 事務所によると、プレハブ建物の寄付を受けたので30万円相当と記したのであって、購入したのではないとのこと)。

 また、自民党の町村信孝元外相は13年に北海道江別市に153平方メートルの建物を1000万円で購入。杉浦正健前法相は5年と9年に、それぞれ愛知県岡崎市と西尾氏に2つの建物(215平方メートル1191万円と198平方メートル535万円)を取得しています。計1726万円相当となりますか。みなさん、地元事務所という扱いでしょうか。

 さて、ここで真打登場です。小沢氏は上の4人の例(建物だけ)と異なり、都心に土地をたくさん買っている点が特徴的です。順番に記します。

 ・6年5月      東京都港区      1億1300万円
 ・同年6月      同              1800万円
 ・同年11月     東京都千代田区   1億1000万円
 ・同年12月     東京都港区         1376万円
 ・同年同月     同               1650万円
 ・7年1月      同            1億7000万円
 ・11年1月     同               2410万円
 ・同年11月     岩手県水沢市       4200万円
 ・13年1月      東京都港区        1561万円
 ・同年12月     同               3320万円
 ・15年3月      宮城県仙台市       3000万円
 ・同年同月     岩手県盛岡市        2650万円
 ・17年1月      東京都世田谷区   3億4264万円

 しめて9億5531万円ですね。建物代は別途計上されています(官報上の計算では、建物代は計5億円以上になります。実際は土地・建物で計10億2000万円弱の計算)。ふぅ、打ち込むだけで大変です。最後の物件が例の秘書の宿舎だか寮だかというやつですね。

 ここまで見てきて、どうしても小沢氏の突出ぶりを感じてしまうのとともに、どうしてこんなに不動産を買い増ししていく必要があったのかと改めて不思議に思います。ちなみに、動産として自動車を資産計上している資金管理団体も20ちょっとあったのですが、他はみんな1、2台なのに対し、小沢氏だけは7台計上していました。

 こうした突出ぶりは、小沢氏の申告が単に正直だということなのか、それともやはり他の議員に比べ特別なやり方をしているということなのか。あすの衆院代表質問に登板して自ら説明すという小沢氏の説明に、耳を澄ませたいと思います。少なくとも、民主党は「格差是正国会」を主張し、小沢氏は「政治は生活だ」と訴えているわけですから。

 また、角田義一参院副議長は副議長辞任で十分だと考えているようですが、朝鮮総連からの献金が事実であるならば、これは犯罪であり、日本国民に対する裏切り行為であることも忘れてはならないと考えます。国会での本格論戦と事実究明に期待します。


 昨日召集された通常国会では、「政治とカネ」がクローズアップされることになりそうです。閣僚や民主党の小沢一郎代表の事務所費処理の仕方をどうみるか。また、角田義一参院副議長の政治資金収支報告書不記載の疑惑はどうなるか。今朝の在京各紙は、扱い方は異なるものの、みなこの問題を取り上げています。見出しを拾ってみると

 ・朝日 「民主困惑 角田氏『副議長辞めぬ』」
 ・読売 「民主執行部 角田副議長に辞任促す」
 ・毎日 「角田副議長、辞任に難色 民主 進退問題調整つかず」
 ・日経 「角田副議長辞任論強まる 民主、国会論戦へ影響懸念」
 ・東京 「角田副議長、辞任不可避 きょうにも決断」
 ・産経 「通常国会召集与野党攻防 事務所費、角田氏問題影落とす」

 東京新聞が角田氏の辞任は避けられないとして、一歩踏み込んだ形ですね。この中で、私が個人的に興味を覚えたのは日経の記事でした。小見出しには「執行部 小沢氏にも波及 危惧も」とあったからです。記事にはこう書いてありました。

 《執行部は対応に苦慮しそうだ。仮に角田氏が辞任すれば、内容は異なるが同じ「政治とカネ」の問題を抱えている小沢一郎代表に飛び火する懸念があるからだ。小沢氏は自らの政治資金管理団体が事務所の土地・建物取得費として高額の支出を計上。党内の一部には「道義的な責任はある」との声も漏れる。
 小沢氏自身は角田氏の問題について周囲に「幹事長らに任せている」と多くを語っていない。》

 日経の見方は、他紙の「民主党執行部は角田氏の辞任を求めている」というトーンと明らかに違いますね。私は野党担当ではないので、民主党議員に直接、あまり意見を聴いておらず、どちらの視点が正しいのか判断はつきかねますが…。29日には、衆院の代表質問に小沢氏が立って、自らの考えを表明するということなので、注目したいと思います。

 それできょうは、拙ブログを訪問してくれた方の参考になればと、総務省の資料から、「政治団体の資産・借入金(2000万円)の状況」を使用会したいと思います。この政党・団体fはこういう資産状況にあるのかということが、ランキングで示されています。

 【土地】
 1位 公明党                   23億9710万円
 2位 日本共産党中央委員会         22億5641万円
 3位 陸山会(小沢氏の資金管理団体)    9億5531万円
 4位 政治結社公道社総本部            5372万円
 5位 新政経グループ                 4800万円

 【建物】
 1位 日本共産党中央委員会        111億1894万円
 2位 自由民主党本部              15億5230万円
 3位 公明党                     7億5440万円
 4位 陸山会                     5億3418万円
 5位 社会民主党                  4億5000万円

 【預金等】
 1位 日本共産党中央委員会           5億9031万円
 2位 公明党                      5億円
 3位 東京政経研究会                3億5万円
 4位 陸山会                      2億5650万円
 5位 中国電力労働組合政治連盟        1億6200万円

 いやあ、共産党ってお金持ちだったのですねぇ。政党助成金をもらわずに、これだけの資産を蓄えるのはなかなか大変だと思います。公明党もたいしたものですが、創価学会の資産を合わせるとどれだけ膨らむことか、空恐ろしい気もします。そして、何といってもさすがは陸山会ですね。一政治家の資金管理団体なのに、政党に比べても全く遜色がありません。ちなみに、借入金については、自民党が1位で80億円、共産党は3位で14億8244万円、陸山会は10位で3億580万円でした。

 この国会について、民主党は「格差是正国会」、安倍首相は「教育再生国会」と位置づけ、それぞれ正々堂々と議論しようと言っています。私もスキャンダルの暴露合戦などは望みませんが、「政治とカネ」についても与野党とも納得できる説明が必要だろうとも思います。渦中の一人である伊吹文明文部科学相は昨日の派閥総会で次のようにあいさつしています。

 《皆さんにお詫び方々お話すると、事務所費ですが、非常に残念なことですが、私にこれっぽっちも取材をしていないで、この記事を書いています。きょうも当人に確認しなかった勘違いの誤報を出した新聞もありますが、新聞記者、報道記者の常道として人の名前をあげて報道するときは本人に取材するのが原点だと思います。

 私の場合は京都に200平方メートル近くの事務所が、東京で言えば銀座、丸の内といった所にあります。東京は平河町にあります。この秘書7人の軽自動車の駐車場だけで2000万円ぐらいかかる。残り2000万、これで、11万人の後援会員、京都で300、東京で450の資金協力者に年に2回11万部の新聞を出して、毎月3万5000の国会報告を出しているから、これが多いか少ないかは早く国会で質問していただければ、しっかりとお答えしたい。
 
 そもそも資金管理団体ができたのは、資金の流入を資金管理団体に統一して、後援会活動、地元、東京での政治活動を含めて(カネの)出入りを集中するということでできた。地元の団体、東京の団体別にして、資金管理団体をつくれば事務所費は分散される。

 民主党の大幹部の方々も持っている事務所費を合算して、トータルで多いか少ないか、議論を行ってもらわないとね、こういうことも国会で公平に議論し、公平に報道してもらいたい。インターネットのウインドウ開きますと、5つも6つも立派な後援会の事務所と内部まで公開している民主党の大幹部もおられます。どこでこのお金の整理をしているのか。

 主たる事務所を国会においてるから、事務所費が多いという共産党のキャンペーンから始まっていることなんだけど、事務所費は領収書はいらないから、どういうお金が入っているか議論したらいいんです。私の場合、法律で禁止されているカネを計上してるとか、架空の経費を計上していることは、私の性格をご存知だと思いますが、一切ありませんから、国会での質問を心待ちにしています。ですから、どうぞ、会長がああいう記事が載ったからと地元で心配がありましたら、そういうことをおっしゃっていただいて結構です。》

 伊吹氏は、国会での質疑を待ち遠しく思っているということです。私も国会の場で、いろいろな事実が明確になればいいと考えていますので、伊吹氏の発言を歓迎し、注目したいと思います。

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