きょうは、例の柳沢厚生労働相の失言問題などで精神的に消耗し、ブログを書く元気があまりありません。柳沢氏には、なんて愚かなことを言い出すのだとげんなりさせられ、それに対して大はしゃぎで辞任だ、罷免だと騒ぎ、政権たたきに熱中しているメディア(弊紙も含め)や野党にもぐったりさせられて。ですので、わざわざ訪問してくれた方には申し訳ありませんが、さらっといきたいと思います。
弊紙の大先輩に、柴田穂さんという大物記者がいました。ソウル特派員、北京支局長、論説委員長などを歴任し、中国報道で菊池寛賞も受賞しています。で、この人が、昭和61年に出した「謎の北朝鮮」という本をきょうパラパラ読んでいて、ある記述がちょっと気になりました。
先代の金日成主席が1980年10月に、南北統一の方策として提案した「高麗民主連邦共和国制」の骨子が記述されていたのですが、その前提条件が現在のノム政権によって、十分満たされてきているのではないかと感じたからです。以下、引用すると
一、前提条件
①朝鮮半島の緊張緩和
②アメリカの干渉中止
③韓国の民主化実現
北朝鮮側がいう民主化とは、親北化のことだと理解してもいいでしょうから、この①、②、③はもうかなりの部分、実現しているような気がします。ノムさんは韓国の北朝鮮化を目指しているようですし。で、骨子によると、統一政府の10大施政方針は次の通りです。
①自主性の堅持
②民主主義と民族大団結指向
③南北経済交流と合作
④南北間の科学・文化・教育などの交流と統一的発展
⑤南北間の交通・郵便手段の利用保障
⑥全人民の生活安定と福祉増進
⑦軍事的対峙状態の解消、民族連合軍隊の組織、双方の軍隊の縮小
⑧海外同胞たちの民族的権利保障
⑨両地域政府の対外活動調節と共同歩調
⑩対外関係において全民族を代表、非同盟・中立路線の堅持、朝鮮半島の平和地帯化
20年以上前の提案ですから、いくつかは現在の状況と合わない点もありますが、何だか、お隣の国のノムさんは、これら方針に沿って政権を運営しているような気がしてきました。米国と距離を置き、北朝鮮への警戒を解き、とにかく融和路線を進め、財閥に北に投資させ、総連と民団を和解させようと働きかけ…。
核武装し、主体思想を奉じる高麗民主連邦共和国が隣国になる日も、あるいは遠くないのかもしれません。私が疲れて頭が働かなくなっているので、思考が短絡的になってそう思えるだけかもしれませんが。
とりあえず今は、言葉尻をとらえた魔女狩りが始まらないことを祈ります。いたずらに、もっと大事なことから目をそらす結果にならないかと心配です。