2007年05月


  感謝します

 えー、いきなりで何ですが、さきほど外出先から首相官邸記者クラブに戻り、イザを開いて自分の集計欄をチェックしたところ、この「国を憂い、われとわが身を甘やかすの記」の累計アクセス数が200万を突破していました。正確に言うと、午後10時40分過ぎの時点で200万965アクセス、1万5516コメントでした。このブログを始めてほぼ1年間で延べ200万の方が訪問してくれたことになります。身に余る光栄としかいいようがありません。

 そこで、1年前の同じ日はどうしていただろうかと確かめると、私は3本目のエントリ「5月30日の教育基本法特別委員会」を投稿していました。このときのアクセス数は全く記憶にありませんが、多くて200程度だったと思います。コメントはゼロでした。何ごとも積み重ねが大事だといいますが、これは本当ですね。毎日のように(月に3、4度はさぼりました)投稿を続けてきた結果、これだけ沢山の方がここを訪れてくれるようになったわけですから。皆様のご厚情にひたすら感謝あるのみです。

 そこで、単に200万アクセスのご報告だけでは何なので、一つ報告したいと思います。まだ随分先の話なのでこの先どうなるかは分かりませんが、先日、産経新聞出版から「来年の2月をめどに、本の第二弾を出そう。今度は装丁も変えて、縦書きにしようか。エントリごとのコメントも一部掲載したらどうだろうか」という話がありました。繰り返しますが、まだ半年以上も先のことなので、その通りになるかどうかは分かりませんが、有り難い話でした。1冊目はたいして売れなかったようなのに、よくぞ決断してくれたものだとついでに感謝します。

 本当のところ、このブログを書いていて、素直な気持ちで書いたつもりが思わぬ反発を招いたり、自分が全く意識していなかった政治的思惑を指摘されたり、知らないところで批判を浴びたりで、精神的に負担に感じたこともあります(実は同業者に読んでいるよ、と言われたときが一番プレッシャーを感じます)。でも、ついそうした後ろ向きな気分に陥ったときも、批判に数倍するお励ましの言葉をいただくので、「とりあえずこれでいいんだ」と頑張ることができます。

 また、こういう開き直ったブログが本業に有利に働くかというとそうでもないのでしょうが、ブログをやっていなければ分からなかっただろう様々なこと、意識しなかっただろうことが、半端ながらも理解できるようになりました。記者としてどうこうではなく、一人の社会人としてわずかでも成長させていただいたと考えています。ものを書く、何かを人に伝えるということの難しさと楽しさを改めて実感させてもらいました。

 というわけで、全くいたらない、人によっては不愉快に感じることもあるだろうブログではありますが、次は300万アクセスを目指して頑張りたいと思いますので、これからもよろしくお願いします。

 ありがとうございました心から御礼申し上げます。

 本日は、昨日の党首討論を現場で見た同僚記者のメモをもとに報告したいと思います(メモを書いた記者の了解は得ました)。秀逸なメモで、読みながら笑ってしまうほどでしたので、このまま眠らせるのはもったいないと考えました。私も党首討論はテレビで見ていましたが、現場にいたからこそ伝わる雰囲気や実情といったものがやはりあるようです。ヤジの中身は聞き取れませんでしたし。メモを見て初めて、ああそうだったのかと納得した次第です。以下、メモに書かれた内容を再構成して紹介します。

 

  《党首討論が行われた参院第一委員会室での雑感。安倍首相は一切笑顔は見せず、全体を通して神妙な面持ち。野党のヤジは品がなく、現場では安倍首相の声が聴取困難になることが何度もあった。途中、安倍首相が逆質問し、小沢代表がとまどう場面もみられた。

まず安倍首相が入室し、少し遅れて小沢代表が入る。ちなみに与党で最初に入室したのは二階国対委員長。開会直前の安倍首相は誰とも話さず、厳しい表情のまま。冒頭の小沢代表の松岡農水相へのお悔やみ、及び、その後の安倍首相の松岡氏の話の際は、ヤジは一切なしで静かなままだった。

 

それが、開会7分後ぐらいから、安倍首相が年金記録不備の対策を説明し始めると、野党のヤジが盛んになってきた。与党側からも応戦があった。

 

野党議員 「審議の時間が足りないぞ」

与党議員 「社保庁なんかつぶせ」「いつまでも審議したってエンドレスだ」

 

小沢代表の「単なる引き延ばしで言っているのではなく…」との発言に対し、与党議員から「だれも引き延ばしなんて言っていないぞ。引き延ばしなのか?」というヤジが飛んだ。

 

以下、ヤジの応酬を抄録する。

 

野党議員 「年金が消えたんだよ」

与党議員 「消えてないよ」

野党議員 「国民をバカにするな」「(年金もらえないなんて)詐欺だ」「(安倍首相の説明に対し)ごまかすな、年金返せ」「謝れ」「本当に1年で凸合できるのか」「法案審議やり直せ」

 

与党側では、武部勤自民党前幹事長がヒートアップし、 「黙って聞け」「おまえは誰だ」「出て行け」「行儀が悪すぎる」「説明しているんだから静かに聞け」と叫ぶ。(→隣にいた二階国対委員長になだめられたのか、後半はおとなしくなる…。※与党で盛んに叫んでいたのは中川秀直幹事長と武部氏)

 

野党議員 「質問に答えろ」

野党議員 「年金が消えたのは誰のせいだ

与党議員 「自治労だ!!」

野党議員 「(安倍首相の説明に対し)ここは言い訳を聞くところなのか? 質問に答えろ」

 

そして、平成9年の基礎年金番号システム導入時の責任を小沢代表が持ち出したところ…

 

与党議員 「そのシステムを導入したのは菅大臣(厚相)のときだ

菅直人民主党代表代行 「違うよ!小泉だ(呼び捨て)」

中川自民党幹事長 「設計したのは君だ!制度設計した人がおわびしろ!」

 

全体に与党側はベテラン議員が多く、ヤジも控えめ。野党は若手が「質問に答えろ」「謝罪しろ」と一方的に糾弾し、断続的にヤジを飛ばす。

 

残り3分というところで小沢代表が「ありがとうございます」と質問をやめてしまう。安倍首相が挙手して話しているとき、菅代表代行が「5000万件をどうするか答えろ」と、まるで自分が党首みたいに安倍首相にヤジを飛ばす。討論を終えた小沢代表は安倍首相と軽く一礼しあいながら、なぜか満面の笑みで早足で退室。安倍首相は淡々と退室した。》

 昨日は党首討論では、安倍首相がヤジを気にして神経質になっているようにも見えたのですが、実際、ヤジで声がかき消されるほどだったとのことなので、それも仕方がなかったのでしょう。私は国会での少々のヤジは今まで「まあいいか」とある程度許容していたのですが、昨日は特にひどく、さすがに国会議員としての品位を自ら落としているように感じました。野党側のヤジには何だか、安倍内閣の支持率が低下したのをかさにきて、首相の説明を嘲笑するかのような嫌な雰囲気がありましたし。それにしても、ヤジの応酬にもドラマがあるのですねぇ。

 この年金記録紛失問題について、公明党の北側幹事長は昨日の記者会見で、次のように述べてヤジと同じく菅氏の責任に言及していました。菅氏は「責任は小泉前首相にある」と主張していますから、これも泥仕合と言われるのでしょうか。それとも民主党お得意のブーメランとなるのでしょうか。

 「基礎年金番号統合の政策決定をしたのは平成8年の閣議決定だ。様々な省令を作り制度設計をしている。その時にきちんと統合問題をどうしてくのか、システムとしてやっていく制度を作らなければいけなったが、それが十分になされていなかったことが今回の未統合問題の一番大きな問題だ。当時の厚生労働大臣(厚生相の間違い)は菅氏だ。統合自体は正しい選択だと思うが、菅直人氏がこの年金番号の統合する際に、様々な問題が出てくる、その1つがこの年金記録の統合の問題であり、それをいかにスムーズに、早く、被保険者の方々の協力を得ながら進めていくかということが大事であり、それが十分でなかった」
 「統合をいかにスムーズに円滑に国民の協力を得ながら進めていくかという問題意識を持っていなかった。ここに一番の大きな問題がある。そういう意味で、当時の厚生大臣の菅氏の責任はあると思う。一番、大きいと思う

 
 話は飛びますが、今度の土日には、フジテレビと産経の合同世論調査があります。新聞に掲載されるのは火曜日になる見込みですが、どういう結果が出るでしょうか。安倍首相は「世論調査に一喜一憂はしない」と述べていますが、毎日、日経、朝日と支持率急落を報じているだけに、その一週間後となる今度の調査結果は注目されるところです。まあ、何にしろ、もう政治の世界は参院選一色で、何をやっても何を言っても参院選に結び付けられるし、事実その対策でもあるという状態になっています。


 本日の新聞各紙は、政治とカネの問題をめぐり、松岡利勝農水相の自殺で弱みがなくなった(減った?)自民党側が、民主党の小沢一郎代表の資金管理団体による10億円余の不動産購入問題に対する追及を強めていると書いています。もちろん、松岡氏が死去したとしても、疑惑そのものがなくなるわけではありませんが、死者に説明責任を説いたところでどうにもなりませんし。私も、本当のところどうなのかは知りたいところですが…。

 民主党側は一応、「政治とカネの問題は議論していく」(高木義明国対委員長)としています。ただ、すでに伊吹文明文部科学相の事務所費問題に関しては伊吹氏の説明に納得(※2月17日の私のエントリ「事務所費・民主党は伊吹氏の説明に納得!?」を参照)しているようですし、あと残っているのは、小沢不動産問題や、朝鮮総連傘下団体から裏献金を受けていたとされる角田義一前参院副議長の件など、自民党ではなくて民主党側の問題が主ですね。

 で、自民党はきょう、党の最高意思決定機関である総務会を開き、今国会に提出する政治資金規正法改正案を了承しました。資金管理団体による新たな不動産取得を禁止し、現に保有している不動産については、政治資金収支報告書に、これまで必要とされた地番や面積だけでなく、利用状況や使用者も詳細に記載するというものです。ひらたく言えば、政治資金で買ったものの利用していない土地・建物などを持つ小沢氏一人を狙い撃ちした改正案ですね。

 さて、それでここからが本題です。丹羽雄哉総務会長のブリーフによると、本日の総務会で井上喜一衆院議員から、とても興味深い提案がありました。それは次のようなものです。私は、とうとう公の席でこの話をする人が出てきたか、と驚きのようなものを感じました。

 《井上さんから、「この問題と言うよりも、自由党が(保守党と)分かれたときの政治資金の使い道、これが(小沢氏の)不動産のほうに利用されているのではないか。党のほうで調べてほしい」ということなので、執行部で対応してほしいと言った。》

 井上氏は現在は自民党ですが、以前は自由党に所属していたベテラン議員です。2000年4月に、自由党が保守党とに分裂した際に保守党側に入り、保守新党を経て自民党に復党しています。私はこの分裂時の自由党・保守党を担当していました。そしてこのとき、保守党に行った政治家たちが異口同音に悔しがっていたのが、「自由党から政党助成金の分与がない。人数に応じて分けるべきだ。なのに小沢氏は一銭も渡さない」というものでした。自由党に残った側は、「勝手に出ていく者に金を分ける義理はない」という姿勢でした。

 その後、紆余曲折を経て自由党は2003年7月に民主党と合併しましたが、永田町では、「そのときに自由党が持っていた13億円とも言われるお金(預貯金)はどこへ行ったのか?」とずっとささやかれていたのです。こういう噂話は、なかなか裏がとれるものではないので、私も関心を覚えつつも手が出せないでいたのですが、井上氏の指摘は、まさにこの点を突いたものではないかと。これは数週間前のことですが、ある自民党幹部は「小沢氏の政治団体の収入と購入した不動産の金額が符合しない」とも話していました。

 まあ、私は国会議員会館をうろうろしながらこうした話を仕入れては、「そうは言ってもこういう点はなかなか難しいし、追及はできないだろうな」と思っていたのです。本日も、井上氏が総務会で話したというだけで、これで即、党として取り上げるというものでもないでしょうが、こういう話が非公式な情報交換の場ではなく、表の席で出てきたのが意外でした。そして、自民党はもしかすると「本丸」に攻め込むつもりなのか、と感じた次第です。松岡氏の自殺と、社会保険庁の年金記録紛失問題で、かえって開き直ったのかと。ただの妄想かもしれませんし、これ以上、伝聞で憶測を重ねるのは控えますが…。

 きょうはこれから安倍首相と小沢氏の党首討論が行われます。本日、熊本で執り行われる松岡氏の密葬に出たいという安倍氏の要請に対し、民主党側が「党首討論が先約だ」と蹴って実現したわけですが、これまで小沢氏は地方回りだなんだと党首討論に応じようとしなかったのですから、この姿勢はどうかと思います。昨夜、深夜帰宅で乗った車の運転手さんも「どんな人であれ、葬儀は人の生き死にの問題だから、何より大事なはずだ」と民主党を批判していました。

 関連して、おまけに最近のボツ原稿(執筆者は後輩記者)の一つを紹介します。前回5月16日の党首討論で小沢氏が安倍氏に「こんな問題がある」と指摘し、対応の必要を主張した問題について、安倍氏が反論したもので、5月23日に出稿したものの、紙面からはみ出てしまったものです。

 《無駄遣い補助金は小沢氏の指導? 首相が責任指摘

 「小沢さんが出した例は、海部内閣のときに交付措置をしたもので、当時は小沢さんが(自民党)幹事長を務めていた」

 安倍晋三首相は23日、日本経団連の定時総会であいさつし、16日の党首討論で民主党の小沢一郎代表から「無駄遣い」と批判された補助金制度創設の経緯を説明、小沢氏を痛烈に皮肉った。


 小沢氏は党首討論で、国の補助金で建設されながら12年間利用されずに閉鎖された福井市内のスキー場を紹介。融雪装置の設置とスキー場建設のセットでなければ政府の補助金を受けられなかったため、地元負担との合計で1億円以上の公費が無駄になったと批判していた。

 首相は「(当時の小沢氏は)党の指導者。私は議員にすらなっていなかった」と述べ、暗に小沢氏の責任を指摘。さらに「私の内閣では絶対にしない」と強調した。》

 ついでに、そのときの小沢氏の主張も掲載します。これも、軽いジャブ級のブーメランと言えるでしょうか。

 《小沢氏 福井県の美山町というところ、今、合併して福井市になっております。これはテレビやメディアでも報道されましたけれども、雪国なものですから冬場に道路の通行が非常に困難になる。この雪を除去する、融雪っちゅーんですか、その装置をつけたいと国に対してお願いをした。そしたら、たまたま国土省に雪国快適環境整備事業とかいうのがあり、そこにその道路の雪を溶かす、除去する補助金の項目があると。
 それをお願いしたところ、役所からそれだけじゃ補助金出せない、スキー場も一緒につくれ。こういうことがあって、そこで地元は、何もスキー場欲しいと言っているわけじゃないんですと、冬場の道路の雪を除去できればいいんですと、こう言ったんですけれども、両方つくんなきゃだめだ、ということで泣く泣くその事業を受け入れて町で事業として行った。
 その補助金の額は本来の道路の雪を消す事業に、3800万か3900万の補助金が国から出ました。スキー場設備の方には、4000万円ちょっと。合計8000万円ほどの、補助金出たんですけれども、そのスキー場は本来、要らないと言っているやつですから、12年間、今日まで1人も使用しないで、そのまんま野ざらしになっております。福井市でも、スキー場はもうやめちゃおうという決定をしたんですけれども、そうすると補助金を返せと言われるんじゃないかと今、頭を悩ましているという事例があります。
 本来の住民の必要となるもの、それだけでならば半分以下の補助金、国の補助金でよかったわけですよ。それからさらに裏負担、地方の負担ちゅうのは、スキー場に1億円、それはほとんど借金ですね、それをかけて誰もずっと使わないスキー場を造らせられちゃった事例がある。私はそういった類のことはですね、ほかのいろいろな事業、ハードの面もソフトの面も含め、あると思うんです。
 まずは総理が、こういうような無駄遣いがたくさんあると、まず洗いざらい調査してそしてその仕組みを変えるなり、なんなりするのが、まずは政府としてとるべき役目ではないでしょうか。》

 小沢氏の言っていること自体はよく分かるのですが、何だか今回の社会保険庁の問題と構図が重なって感じられて…。これも気のせいかもしれませんが。


 今朝の新聞各紙をチェックしていたら、毎日新聞と日経新聞に、安倍内閣支持率に関するなかなかショッキングな世論調査の結果が載っていました。毎日の調査(5月26、27両日)では、支持率は4月の前回調査から11ポイントも下がって政権発足以来最低の32%になり、日経の調査(5月25-27日)でも同じく4月の前回調査から12ポイント急落して最低の41%となったそうです。野党側は勢いづくでしょうが、正直なところ、少々、意外な気もする結果でした。

 毎日と日経とで9ポイントも違う点が、調査の誤差としても大きすぎる気はしますが、それはともかく安倍内閣が急速にある程度、国民の支持を失ったのは事実のようです。ちなみに、24日調査のフジテレビ報道2001の世論調査(首都圏対象)では、内閣支持率は47%に上りますから、単純比較はできませんが、その後の2、3日で安倍政権が大きな失望をかったということになりますね。

 じゃあ、それは一体何なのかというと、毎日は「年金保険料納付記録5095万件が不明になっている問題に有権者が厳しい目を向けていることをうかがわせた」と書いています。日経は「今回の急低下の背景には、公的年金保険料の納付記録漏れが参院選の争点に浮上してきたことや『政治とカネ』の問題を巡る対応への不満などが影響しているとみられる」と分析していました。ともに、やはり「年金」が原因だと見ているようです。

 確かに、私も今回の年金不祥事には呆れ果てましたし、社会保険庁は想像を絶するダメダメ役所だなとの思いを新たにしました。でも、私が支持率下落を「少々意外」と書いたのは、ここまで批判の矛先がストレートに政府・与党に向けられるとは思っていなかったからです。もちろん、今回の件を民主党などが参院選に向けた政府・与党追及の材料にしようとしていたことは鳩山由紀夫幹事長の言動などから明確でしたが、かといってそれは民主党にとっても諸刃の刃ではないか、下手するとまたブーメランが飛んでくるぞと思っていたのです。

 というのは、そもそも社会保険庁がここまでろくに仕事もせずに、のうのうと胡坐をかいてやってこれたのは、この役所が公務員労組である自治労にしっかりと守られてきたからだからです。だって自治労は日教組と並んで民主党の支援団体ですし、昨年から政府・与党はその社会保険庁=自治労の公務員天国体質をずっと批判し、改めさせようとしてきたわけでもあるし。安倍首相は就任以来、繰り返し社会保険庁の現状を批判し、その解体・廃止・分割をまさに進めようとしているところだし。

 ちなみに、私は昨年12月25日のエントリ「自民党のミニパンフ『あきれた社会保険庁の実態』…。」でも、この問題についてちょっと触れています。この問題では、無為無策を続けてきた歴代政権が批判されるのは当然だと思いますが、それと同時に選挙での票目当てに自治労と馴れ合ってきた野党側も同じかそれ以上に悪質なのではないかと感じているのです。それとも私の認識が間違っているのか…。

 あるいは、民主党の支持基盤が労組、中でも自治労、日教組などの官公労であり、その官公労がこれまで何をしてきて、どんな特権的立場に安住しているのかが、国民にあまり広く知られていないためかもしれないな、とも思います。今回の参院選は、明確な争点が見当たらないと言われてきましたが、この消えた年金記録についてどう評価し、対応するかが焦点になってくるのかもしれません。

 ちょうど、自民党の中川秀直幹事長が昨日、徳島市であいさつした際に、この問題に言及しているので紹介します。まさに、労組の問題を指摘しているのですが、こうした訴えは今のところ、国民の耳に届いていないようです。新聞やテレビではなかなかあいさつの関連部分全文を伝えることは難しいのですが、その点、ネットは便利ですね。

 《昨日の新聞を拝見したら、日本の国政史上一大事件となる、その現場が写し出されていた。野党議員らが、わが党の桜田義孝厚労委長の口を封じる、襲いかかっているような写真が掲載されていた。国会は言論の府だ。どんなことがあろうと口を封ずる、そのようなことをすることがあってはならない。戦前の議会でもあのような光景はなかった。言論の府である国会の危機といっても言い過ぎでない。

学歴も高いはずの野党議員が何故あんなことをするのか。所属政党の問題だ。どんなに優秀で世の中をよくしたいと思った議員も、民主党に入ると委員長の口を封ずるなどというおかしなこと、普通の感覚、庶民の感覚をなくしてしまうのでないか。口封じで世の中を変えられる国でない。そんなことは断じてあってはならない。

彼らは何を守ろうとしているのか。彼らは年金記録紛失問題、これが解決されない限り社保庁問題は解決しないと言っている。法案を潰し労働組合を守ることが目的といっていささかの過言もない

社保庁は言語道断の不祥事をずっと続けてきた。年金の不正免除問題、のぞき見。社保庁の大多数を占める自治労、国費評議会の諸君が45分働いたら15分休むなど、ありとあらゆる要求を当局に突きつけ、100を超える確認書を得た。国民にとって迷惑至極の職場をずっと続けてきた。国民無視の業務怠慢のための闘争が起こした現象だ

社保庁を根本から解体し、職員は一度すべて首を切る。まともな人だけ再雇用する。それも非公務員型とする。抜本改革案に与党は責任を持って年金への信頼を回復するために国会に法案を提出し、衆院段階で採決した。

彼らの狙いは改革を先送りし、国家公務員としての職員身分を守る。首切りから守ろうとしているここ徳島でも、自治労・国費評議会は民主党候補の支持母体だ

年金の記録は2億5000万件くらいある。そのうち2880万件くらいが、年金記録に統合されていない。これをできれば15月以内にやろう、時効も撤廃して年金者の権限を守る。これを政府与党は決定をし、首相自ら国会の採決にあたって方針を明確化した。年金は政争のたぐいでなく、与野党協力して、50年でもしっかり収支計算して守っていく制度だ。我々は責任を持って対応している。

社保庁を解体して民間業務にする。ミスがあればきちんと責任を取らせる。これが我々の改革案だ。民主党はミスがあっても責任を取らない、国家公務員の身分を自治労国費評議会に保障しようとしている。このような政党は、今回の選挙で何としても解体に追い込まなければならない。》

 でも、毎日の調査では、参院選で勝って欲しい政党が民主42%、自民33%と初めて逆転していました。ここから7月の選挙までに巻き返せるかどうか。自民党も苦しい立場に追い込まれつつあるのは事実でしょう。

 余談ですが、先日、職場の後輩記者と食事をしながら年金問題と世代論について話した際のことです。今の各種世論調査では、年金をはじめ社会保障分野に対する国民の関心が高いし、年金の給付額の減少などが批判を受けていますが、われわれ二人は「自分たちのころには、どうせ年金制度は機能していないだろう。もう制度自体がなくなっているかもしれないし、あっても支給額はごく僅かだろう」という考えで一致しました。

 これは安倍政権がどうのこうのという話ではないし、数字的な裏づけから論理的に突き詰めたものでもなく、酒の席で「少子化社会が進む中で、これを続けるのは長期的にはもう無理だろう。老後の蓄え、対策は自分達でなんとかしないといけないね」というただの感想のようなものですが。ただ、小泉内閣で政府高官を務めた人物と雑談している際に、「年金はいずれ破綻するよ」とはっきり言われたこともあります。どういう根拠があって言ったのか、いずれとはどの時期のことなのかとか、細かいことは分かりません。

 だから、まさに数年後に受給資格を得るような世代にはとても切実な問題なのでしょうが、私の同世代にとっては、どうなのでしょうか。私自身は、きちんと支給を受けている世代を少し羨やみつつも、逆にあまり関心がなかったのも本当です。不謹慎な言い方かもしれませんが、だから、今回の世論調査結果には、どこかしっくりこないものを感じています。


 今朝の産経第三社会面に、3年に一度の朝鮮総連全体大会の記事が載っていました。それによると、今回の大会には友党だったはずの社民党や、かつて北朝鮮との太いパイプを誇っていた公明党からも議員の出席者はなかったようですね。最近は北朝鮮本国からも相手にされていないとの噂も出ている総連ですが、凋落著しいことが分かります。大会当時に北朝鮮が地対艦ミサイルをぶっ放したのも、祝砲というより大会に水を差すようなものだし…。まずはその記事を紹介します。
 

政党の来賓、出席なし 朝鮮総連の全体大会始まる
[ 2007年05月26日  東京朝刊  社会面 ]


 在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の第21回全体大会が25日、東京都北区の東京朝鮮文化会館で2日間の日程で始まった。朝鮮総連の最高意思決定機関で、3年おきに開催。26日には今後3年間の活動方針や幹部人事などが決まる予定。

大会にはこれまで、自民党を含む日本の各政党関係者が来賓として出席するのが通例だったが、今回は日本と北朝鮮をめぐる関係が改善せず、昭和48年に失踪(しっそう)した渡辺秀子さん=当時(32)=の子供2人の拉致事件で、傘下団体が強制捜査を受けたことなどもあってか、政党からの出席者はなかった

徐万述議長は「朝鮮総連、在日同胞に対する弾圧と民族差別、人権侵害に反対する運動を力強く展開する」と基調報告した。

大会には地方の支部や商工、民族学校関係者などの代議員約2000人が参加した。

 …3年前の全体大会では、総連はこの世の春を迎えたような雰囲気だったのですが、随分と様変わりをしたようです。目にははっきりと見えなくても、世の中は着実に変わっているということでしょうね。あのときには、歴代自民党総裁として初めて小泉前首相があいさつ文を送り、総連関係者は「総連が大使館として認知される日も近い」と喜んでいたと聞きますから。

 今朝の記事は私はタッチしていませんが、3年前の記事にはかかわっています。このときは、1面に本記記事、政治面にその関連記事が掲載されました。1面はどうだったか忘れましたが、政治面の記事は私が書いたものです。今読み返してみると、2度目の訪朝を総連ルートに頼った小泉前首相に対して批判的なものになっていますね。私は拉致被害者の一部を帰国させた小泉氏の実績は評価していますが、彼の北朝鮮や拉致事件に対する姿勢、言動には大きな疑問と不信感を持っているのです。

 

総連で首相挨拶代読 拉致未解決のまま“友好姿勢”先行
[ 2004年05月29日  東京朝刊  1面 ]


 在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の第二十回全体大会が二十八日から都内で始まり、自民党を代表して甘利明筆頭副幹事長が出席、党総裁としての小泉純一郎首相挨拶(あいさつ)が代読された。朝鮮総連大会で党総裁挨拶が披露されるのは初めて。北朝鮮による日本人拉致事件や核・ミサイル問題の解決が見通せない中で首相主導の“友好ムード”が先行した格好だ。

大会では徐萬述朝鮮総連中央常任委員会議長が午前中に「(日朝平壌宣言以降)日本の右翼勢力と反動的な一部のマスコミが拉致問題を極大化することによって、反共和国、反朝鮮総連の異様な雰囲気が醸し出された」と報告。

午後になり甘利氏のほか民主党の藤田幸久衆院議員、公明党の高野博師副幹事長(参院議員)が出席した。

甘利氏が「小泉総裁のメッセージを預かってきた」と登壇すると会場からは拍手が起きた。

代読された挨拶では、首脳会談の成果として(1)平壌宣言履行の再確認(2)一部の被害者家族の帰国と安否不明者再調査の約束(3)コメ、医薬品の人道復興支援(4)在日朝鮮人への差別解消-が報告され、「国交正常化の実現に向け、最大限努力を払っていきたい」との首相の意向が表明された。

朝鮮総連の前回の全体大会(三年前)には甘利氏が、前々回の六年前は森喜朗総務会長(当時)が出席したが、首相挨拶の紹介はなかった。

大会は二十九日閉幕する。

首相挨拶 朝鮮総連大会で紹介 正常化焦る?「融和」色濃く
[ 2004年05月29日  東京朝刊  総合・内政面 ]


 ■「拉致」反省ない総連…施設非課税復活を期待

二十八日の在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の全体大会で、昭和三十年の総連結成以来初めて、現職首相である小泉純一郎・自民党総裁の挨拶(あいさつ)が紹介された。会場は歓迎ムード一色となったが、日朝関係では拉致被害者家族五人の帰国こそ実現したものの、拉致・核・ミサイル問題など諸懸案の大半は手付かず。自民党総裁としての挨拶とはいえ、首相が日朝友好に“前のめり”の姿勢を強めることに、周囲は危惧(きぐ)を深めている。

「首相は“制裁法”は発動せず、在日朝鮮人を差別することなく友好的に対する旨を表明した。これは、朝日両国関係をめぐる環境の大転換を意味する」

徐萬述・朝鮮総連中央常任委員会議長は大会報告でこう述べ、今月二十二日の日朝首脳会談について評価してみせた。

首相は首脳会談の席でも、「日本は今後、在日朝鮮人に差別を行わず、友好的に対する」と約束した。総連側はこの発言を、政府が総連に対する行政措置などで配慮を加えると表明したものと受け止めている。

「総連関係者の一人は、『首相のあの発言で、全国の朝鮮総連会館はまた(非課税扱いの)大使館扱いになる』と喜んでいた」。公安筋はこう証言する。一昨年九月に金正日総書記が拉致を認めて以降、全国の総連関係施設が「公共性が薄い」などの理由で自治体からそれまでの税減免措置を取り消されるケースが相次いだが、元に戻るとの期待が生まれている。

これは、佐賀市が首脳会談に前後して朝鮮総連と在日本大韓民国民団(民団)の佐賀県本部の土地・建物について、固定資産税と都市計画税を全額免除すると通知したことと符合する。

また、貨客船「万景峰92」を想定した特定船舶入港禁止法案の行方も不安視されている。自民党の安倍晋三幹事長は今国会で、対北朝鮮の最も有力なカードとなる同法案を成立させる考えだが、実際に法案の扱いを決める参院国対関係者は「官邸は今国会では(成立は)やりたくないと聞いている」と漏らす。

そもそも、国民の一番の関心事である拉致事件について、総連は長年「捏造(ねつぞう)」としてきたが、この日の徐議長の挨拶でも「日本の右翼と反動的な一部のマスコミが極大化した」と反省はみられない。従来の「総連が組織として関与した事実はない。(内部)調査する必要は感じていない」(南昇祐副議長)との姿勢も崩していない。産経新聞はこの「反動的な一部のマスコミ」とされたのか、会場内での取材は拒否された。

今回の総連全体大会での首相挨拶は、官邸が主導。官邸から党幹事長室に出席要請があったのは前日の二十七日。安倍幹事長は出席を辞退、甘利明筆頭副幹事長に白羽の矢が立った。その甘利氏にも挨拶文が渡されたのは当日の二十八日になってから。甘利氏によると、代読後、徐議長らと握手した際、「小泉総裁に感謝の意を伝えてほしい」「くれぐれもよろしく」と声をかけられたという。

ただ、総連は破壊活動防止法の適用も検討される公安調査庁の指定団体でもあるだけに首相の姿勢には反発も強い。民主党拉致問題対策本部長の鳩山由紀夫元代表は「首相は北朝鮮との国交正常化を焦っているとしか思えない。拉致が解決しないまま食糧支援などを約束する大失態を演じた日朝首脳会談が、成功だったかのように見せかけたいのだろう」と指摘している。

   ◇

 朝鮮総連が直接・間接的に関与した主な事件・事業≫

 ●傘下のパチンコ業者や朝銀信組を通じて不正資金をプールし、貨客船「万景峰92」などで北朝鮮に送金

●日本での対南(韓国・日本)工作活動

●日本人拉致事件の幇助(ほうじょ)

●傘下の商社、貿易会社などによる軍事転用物資やココム(対共産圏輸出調整委員会)違反物品の北朝鮮への不正輸出

●非公然組織「学習組」による在日朝鮮人の組織化

●北朝鮮に不利な報道をしたマスコミへの集団抗議

        

【小泉・自民党総裁挨拶(全文)】

この度の朝鮮総連第二十回全体大会開催に際し、自由民主党を代表して、祝意とごあいさつを申し上げます。

私は二十二日、平壌を訪問し、金正日国防委員長との間で日朝首脳会談を行いました。

今回の首脳会談においては、金正日委員長との間で、日朝関係や核、ミサイルなど北東アジア地域の平和と安定にかかわる安全保障上の問題などにつき、大局的かつ率直な議論を行いました。この中でも、特に皆様に対して以下の四点をご紹介したいと思います。

第一に、今回の首脳会談の結果、今後の日朝関係を進めていく上で、日朝平壌宣言がその基礎であり、同宣言を双方が誠実に履行していくことが再確認され、国交正常化に向けて、互いに努力していくことを申し合わせました。

第二に、日朝間の重大な懸案の一つであった拉致問題について、一部とはいえ被害者ご家族の帰国が実現し、また、安否不明者の真相究明につき、白紙に戻し、直ちに調査を再開するとの約束がなされるなど、一定の前進が得られました。

第三に、わが国として国際機関を通じ食糧二十五万トンおよび一千万ドル相当の医薬品などの人道支援を行う考えであることを表明しました。

第四に、私は、在日朝鮮人の方々に対して、差別などが行われないよう、友好的に対応する考えを伝えました。

わが国と朝鮮半島は、歴史的・地理的に密接な関係にあり、朝鮮半島の安定、わが国と同半島との良好な関係は、わが国自身の安全保障、北東アジア地域の平和と安定に極めて重要な意味を持ちます。このような観点から、今回の首脳会談で得られたこれらの成果は、わが国を含む北東アジア地域における安全保障環境の改善に資するものであったと考えています。

私は、今回の首脳会談の結果を踏まえつつ、日朝間の諸懸案の解決に向け早期に具体的な前進を図り、もってわが国と朝鮮半島との更なる関係の改善、ひいては日朝国交正常化の実現に向け、最大限努力を払っていきたいと考えています。
 平成十六年五月二十八日 自由民主党総裁 小泉純一郎

 …この翌年の2005年5月25日に都内のホテルで開催された朝鮮総連の50周年祝賀レセプションについても、産経は会場に入れてもらえませんでしたが、私は入り口あたりをうろうろちょろちょろして様子をうかがいました。手元に当時のメモが見つからないので名前は残念ながら紹介できませんが、このときはやはり小泉氏のあいさつを自民党の佐田玄一郎氏が代読し、公明、民主、社民、共産各党の国会議員が出席していました。

 会場に入れずとも、テレビ司会者の田原総一朗氏が会場に入っていく姿は目撃できましたし、入り口に飾られている複数の新聞社(朝日、毎日など)やテレビ局幹部の名前が記されたお祝いの花輪も見ることができ、「ふーん、やっぱり総連はマスコミにも根を張っているんだなあ。しかし、花輪まで送る関係って一体…」と思ったのを覚えています。

 今回の全体大会はのぞきに行っていないのでよく分かりませんが、国会議員が出席しなかったぐらいですから、総連の影響力も資金力も格段に落ちているとはいえるでしょう。地味かもしれませんが、これも安倍政権効果かな、と思います。今朝の産経には、総連中央本部が東京都に固定資産税などの滞納延滞金を完納したという記事も載っていました。これも、世の中の正常化の一つの表れだと考えたいところですね。

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